課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの「経営方針」「経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき課題等」「報告セグメントごとの経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき課題等」は以下のとおりであります。 

 

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。また、文中の当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(以下「KPI」といいます。)の各数値については、本有価証券報告書提出日現在において、予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1) 経営方針

当社グループは、以下のグループ経営理念および当社グループが中長期的に実現を目指す社会および社会に提供する価値を示した「SOMPOのパーパス」を定めております。

 

(グループ経営理念)

SOMPOグループは、お客さまの視点ですべての価値判断を行い、保険を基盤としてさらに幅広い事業活動を通じ、お客さまの安心・安全・健康に資する最高品質のサービスをご提供し、社会に貢献します。

 

(SOMPOのパーパス)


(2) 経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき課題等

① 経営環境および経営戦略

地球温暖化等を要因とする気候変動による自然災害の多発や激甚化、国内における急速な少子化・高齢化に加え、低金利環境の長期化やテクノロジーの急速な進化による既存ビジネスモデルの変革など、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化・変質し、対処すべき社会課題はより深刻さを増しております。また、ウクライナ情勢等の地政学リスクや新型コロナウイルス感染症の影響も、引き続き注視していく必要があります。これらはいずれも、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)等に通じる社会共通の課題となっております。

当社グループはこうした急激な変化に敏捷かつ柔軟に対応していくため、2021年度からの3か年の中期経営計画において本業を通じた社会課題解決による経済価値と社会価値の創出に取り組む「SDGs経営」や資本・リスク・リターンのバランスを適切にコントロールするERM(戦略的リスク経営)を実践していくことで強固な経営基盤を維持することとしております。そして、「安心・安全・健康のテーマパーク」の具現化によって社会に価値を提供し続け、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現することを「SOMPOのパーパス」として、経営戦略の根幹に位置づけて取り組んでまいります。

 

「安心・安全・健康のテーマパーク」とは、安心・安全・健康という抽象的な概念を目に見える形に変え、社会の中心である「人」の人生に寄り添い、デジタルテクノロジーなどのあらゆる先進技術を適切に活用することで、事業を通じて社会課題を解決するとともに、お客さまの人生や暮らしをひとつなぎで支えていく存在として社会貢献を果たす当社グループの目指す姿です。

当社グループは、あらゆるリスクに対する備えをご提供し、事故や災害を未然に防ぎ、レジリエントな社会に貢献することで、社会が直面する未来のリスクから人々を守ってまいります。また、健康長寿に向けたソリューションをご提供し、持続可能な高齢社会に貢献することで、健康で笑顔あふれる未来社会を創ってまいります。そして、それらの取組みの中で、経済・社会・環境が調和したグリーンな社会づくりにも貢献してまいります。さらには、多様性ある人材の実現や、パートナーシップのプラットフォーム構築を果たすことで、未来社会を変える力を育むことも目指してまいります。

 

② SOMPOのパーパス実現を通じたサステナブルな成長

当社グループにとって、「安心・安全・健康のテーマパーク」を具現化することは「SOMPOのパーパス」実現を通じた社会課題解決や持続可能な社会への貢献につながると捉えております。

当社グループは、保険や介護といった事業から生み出されるリアルデータを活用したソリューション提供にとどまらず、当社がハブとなりパートナー企業等からもたらされるデータ、ノウハウ、テクノロジーの組み合わせによるソリューションを提供するリアルデータプラットフォーム構想を中心に据えて、パーパス実現に向けた取組みをマネタイズし、企業価値の向上につなげてまいります。

このようなサステナブルな成長ストーリーの起点となるのが、自らの「MYパーパス」(内発的動機)に突き動かされてチャレンジするグループ社員一人ひとりであると考え、MYパーパスに突き動かされるカルチャーの醸成にも取り組んでまいります。

また、パーパス実現に向けた取組み等について、金融市場をはじめとしたマルチステークホルダーとの効果的なコミュニケーションを通じて企業価値向上を実現することを目的に、2021年8月に「Value Communication Team」(以下「VCT」といいます。)を組成しました。VCTは、グループCVCO、グループCSuOおよびグループCPROからなり、パーパス実現に向けた事業戦略、パーパス浸透、サステナビリティ戦略、ブランド・PR等を統合してバリューコミュニケーション戦略として展開し、グループCFOや各事業オーナー等と具体策の協議を行うなど、企業価値向上に向けて取り組んでおります。

 

※グループCVCOは、グループのバリューコミュニケーション領域の最高責任者であり、Group Chief Value Communication Officerを指します。

※グループCSuOは、グループのサステナビリティ領域の最高責任者であり、Group Chief Sustainability Officerを指します。

※グループCPROは、グループのパブリックリレーション領域の最高責任者であり、Group Chief Public Relations Officerを指します。


 

③ 中期経営計画(2021~2023年度)および経営数値目標の進捗状況

当社グループは、グループの実質的な収益力と資本効率を示すために、修正連結利益、修正連結ROE、リスク分散比率および海外事業比率を経営数値目標としております。中期経営計画の初年度である当期の修正連結利益は2,613億円、修正連結ROEは9.4%、リスク分散比率は41.1%、海外事業比率は23.7%となりました。

経営数値目標の達成に向けて、各事業において順調に推移している収益拡大に向けた取組みをさらに進展させて資本効率を高めるとともに、規律ある成長投資によって持続的な成長に向けて取り組んでまいります。既存マーケットの縮小など長期的な観点で予想されうる外部環境のマイナス影響も見据え、収益基盤を強化させてまいります。

当社グループの中期経営計画におけるグループ経営数値目標は次のとおりであります。

 

<グループ経営数値目標(修正連結利益・修正連結ROE・リスク分散比率・海外事業比率)>


 

 

(注)2022年度以降の事業部門別修正利益、修正連結利益、修正連結ROE、リスク分散比率および海外事業比率(地域分散比率)の計算方法は、以下のとおりであります。


 

※1 事業部門別修正利益は、一過性の損益または子会社配当等の特殊要因を除く。

※2 損害保険ジャパン株式会社、セゾン自動車火災保険株式会社、損保ジャパンパートナーズ株式会社、Mysurance株式会社、損保ジャパンDC証券株式会社、SOMPOリスクマネジメント株式会社、株式会社ティアフォー、株式会社DeNA SOMPO Mobility、akippa株式会社、株式会社DeNA SOMPO Carlife、株式会社プライムアシスタンスおよびSOMPOワランティ株式会社の合計

※3 SOMPO Light Vortex株式会社、Palantir Technologies Japan株式会社、SOMPOオークス株式会社および株式会社ABEJAの合計

※4 SOMPOヘルスサポート株式会社、ウェルネス・コミュニケーションズ株式会社、SOMPOアセットマネジメント株式会社および株式会社フレッシュハウスの合計

※5 一過性の変動要素を除いたOperating Income(=当期純利益-為替損益-有価証券売却・評価損益-減損損失など)で定義

※6 国内生命保険事業修正純資産=国内生命保険事業純資産(日本会計基準)+危険準備金(税引後)+価格変動準備金(税引後)+責任準備金補正(税引後)+未償却新契約費(税引後)

 

④ グループガバナンス体制

当社は、指名委員会等設置会社として、社外取締役を中心とした監督体制を整備しており、指名委員会、監査委員会および報酬委員会の3つの法定委員会では、いずれも社外取締役が委員長を務め、グループガバナンスの強化に向けた公正かつ活発な議論が行われております。指名委員会は、劇的に変化する事業環境を踏まえた役員選任方針やサクセッション・プラン等の策定、グループ会社を含めた役員の選任を審議しております。監査委員会は、内部監査部門とも連携した監査を通じて収集した情報に基づき、経営に対して必要な意見・提言を行っております。報酬委員会は、ガバナンスを効かせつつ効果的なインセンティブとなる報酬制度を設計し、グループCEOをはじめ各役員個別の報酬を決定するとともに、目指すべき報酬制度のあり方を検討しております。当社ではさらに、執行部門に対する監督機能が十分に発揮されるよう、取締役会メンバーとの情報共有の場を確保するなどして、能動的かつ積極的に執行状況の共有を図ることでガバナンスの健全性と透明性を高めております。

業務執行体制においては、グループCEOおよびグループCOOの全体統括のもと、事業オーナー制およびグループ・チーフオフィサー制を採用しており、敏捷かつ柔軟な意思決定および業務執行ならびに権限・責任の明確化を図っております。2022年4月からは、新たにグループの渉外活動、情報、社外ネットワーク領域の最高責任者としてグループCERO(Chief External Relations Officer)を設置しました。取締役会が選任した執行役および執行役員が自らのミッションに邁進し、グループ全体としては、グループCEOの諮問機関かつ執行部門の最上位の会議体であるGlobal Executive CommitteeおよびグループCOOの諮問機関であり事業戦略の実行やグループの管理業務案件に係る重要事項等を協議する経営執行協議会(Managerial Administrative Committee)の機能を最大限に活用することで、グループの持続的な成長を支える実効性の高い執行体制の構築を目指してまいります。

 

当社グループは、創業来の保険を軸としたDNAを継承しつつ、保険の枠組みを超えたソリューションプロバイダーとして進化し、様々な社会課題を解決する社会価値を創出することで、「SOMPOのパーパス」が掲げる社会の実現を目指してまいります。

 

(3) 報告セグメントごとの経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき課題等

① 国内損害保険事業
ア.経営環境および経営戦略

国内損害保険マーケットにおける当社グループのシェアは約3割を占めており、現状、保険料収入は安定的に推移しております。一方、国内損害保険事業を取り巻く環境につきましては、自然災害の多発化や激甚化、デジタル技術の進化などによる産業構造やビジネスモデルの変化に加え、新型コロナウイルス感染症によるお客さまの生活スタイルや事業環境への影響にも引き続き注視する必要があります。

損害保険ジャパン株式会社は、このような環境変化の中においても、SOMPOグループの中核会社として、グループが目指す「安心・安全・健康のテーマパーク」を具現化するための成長戦略に取り組んでまいります。

 

イ.中期経営計画(2021~2023年度)およびKPIの進捗状況

国内損害保険事業では事業規模や実質的な収益力を示すため、「修正利益」、主要事業会社である損害保険ジャパン株式会社の「正味収入保険料」および「E/Iコンバインド・レシオ」を主要なKPIとしております。

2021年度の修正利益については、新型コロナウイルス感染症影響の長期化等、一過性の増益要因も背景として2021年11月発表の通期業績予想(以下「通期予想」といいます。)を450億円上回る1,574億円となりました。

また、損害保険ジャパン株式会社の2021年度の正味収入保険料は、19,417億円となり、通期予想を96億円下回りましたが、火災保険や新種保険の好調な販売などにより前年度比で382億円増加しました。E/Iコンバインド・レシオは、前年度比で0.8%改善し、93.5%となりました。当期純利益についても、資産運用粗利益の増加を主因として、通期予想を292億円上回る1,662億円となりました。引き続き2023年度計画に達成に向けて3つの基本戦略である「成長戦略の加速」「レジリエンスの向上」「事業基盤の強化」に取り組んでまいります。

 

<主要なKPIの推移>


※損害保険ジャパン株式会社単体(除く自賠責・家計地震)

 

ウ.KPI達成に向けた主な取組み

国内損害保険事業を取り巻く経営環境が大きく変化する中で、損害保険ジャパン株式会社は、同社の中期経営計画の基本戦略である「成長戦略の加速」「レジリエンスの向上」「事業基盤の強化」に取り組み、着実な利益成長を図ってまいります。

DX・マーケティング戦略の推進などにより、サービス品質を高めることでお客さまの数の拡大を目指すとともに、デジタル技術の活用などによる生産性向上や料率の適正化を中心とした収益構造改革の加速によって収益性向上を実現してまいります。また、再保険手配などによる引受リスクコントロールや、政策保有株式の計画的な削減などにより、適切にリスクを管理してまいります。


 

② 海外保険事業
ア.経営環境および経営戦略

世界の損害保険マーケットは、気候変動等の影響による自然災害の多様化・頻発化、ウクライナ情勢などの地政学リスクの増大、予想を上回る物価上昇など、引き続き不確実性の高い状況にあると認識しております。一方、このような環境下で日々変化するリスクに対する保険カバーのニーズは増しており、企業分野では大規模自然災害やソーシャルインフレーションによる賠償額の高騰化などに伴い、マーケットのハード化が継続し、収入保険料の増加につながっております。

海外保険事業では引き続き、収益性向上を伴う業界トップクラスの成長、規模の拡大に伴うさらなるオペレーションの効率化、規律あるM&Aを通じてグループ利益に貢献してまいります。

 

イ.中期経営計画(2021~2023年度)およびKPIの進捗状況

海外保険事業では、実質的な収益力を示すため、「修正利益」をKPIとしております。また、コマーシャル分野につきましては、収益性を伴う成長、規模と分散への貢献を示す「グロス保険料成長率」と「E/Iコンバインド・レシオ」もKPIとして設定しております。2021年度の修正利益は、前年度を318億円上回る618億円となり、通期予想を53億円上回り、目標達成に向けて順調に推移しております。Sompo Internationalコマーシャル部門におけるグロス保険料成長率はマーケットのレートアップ環境が緩やかになったことから前年度比では6.6ポイント下回りましたが、通期予想を3.3ポイント上回る伸びで31.2%となり、KPIを既に達成しております。E/Iコンバインド・レシオは前年度比では3.9ポイント改善し、93.9%になり、目標達成に向け順調に推移しております。

 

<KPIの推移>


※SIコマーシャル

 

ウ.KPI達成に向けた主な取組み

規模と分散を通じたさらなる成長と収益性に資する取組みとして、コマーシャル分野ではグローバルな販売網とアンダーライティング能力を活かし、新規ビジネスの獲得、元受・再保険ポートフォリオの最適化やプライシングの改善、保有比率の引き上げに取り組んでおります。大手農業保険会社CGB Diversified Services, Inc.買収による AgriSompo North Americaの販売基盤の強化によりグロス保険料成長を推進しております。さらにマーケットのハード化を背景とした保険料増収により、損害率改善を加速させております。また、非連続な成長と分散の加速を支えるボルトオンM&Aなどを実施してまいります。

コンシューマー分野では生産性向上と事業費削減を目指し、法務、財務、人事などの間接部門の集約によるオペレーションの効率化や統合されたグローバルネットワークを通じて、プライシング、チャネル支援等のスキル横展開を加速しております。これらの取組みを通して、持続的成長と企業価値向上を目指してまいります。

そして海外コンシューマー事業各社をSompo International Holdings Ltd.傘下に移行する組織再編を引き続き進め、コントロールの効いたフレームワークにより強固な事業体制を確保してまいります。

 

 

③ 国内生命保険事業
ア.経営環境および経営戦略

生命保険業界の経営環境は、少子高齢化の進展による保険ニーズの多様化、デジタル技術進展、低金利の常態化など、大きく変化しております。また、政府が掲げる「健康寿命の延伸」のもと、国民一人ひとりの健康づくりや疾病等の予防をサポートするため、官民一体となった取組みが進められております。

このような環境のもと、国内生命保険事業は、保険本来の機能である「万が一」への備え(Insurance)に加えて「毎日」に寄り添い健康を応援する機能(Healthcare)を組み合わせた新たな価値「Insurhealth®(インシュアヘルス)」を提供することにより、お客さまが健康になることを応援する「健康応援企業」の確立を目指しております。Insurhealth®を原動力として着実な成長を実現するとともに、お客さま本位の業務運営方針に基づき、従来の保険会社にはない新たな価値の提供を行い、お客さまから選ばれる保険会社を目指してまいります。

 

イ.中期経営計画(2021~2023年度)およびKPIの進捗状況

国内生命保険事業では、生命保険の会計上の特性として契約初年度は会計上の損失が生じ次年度以降に利益が発生するため、新契約が増加するほど利益が圧縮されることから、費用の発生時期を是正し、利益を一定平準化させる「修正利益」をKPIに採用しております。その他、Insurhealth®を原動力とする成長を測定する「新契約年換算保険料」※1、お客さまの数の拡大を測定する「保有契約件数」ならびにグループ資本効率向上のための金利リスク削減の進捗を測定する「ALM資産投入額」※2をKPIに採用しております。

2021年度のKPIの進捗状況は、新契約年換算保険料は通期予想を74億円下回る356億円となりましたが、修正利益は通期予想を11億円上回る336億円、保有契約件数は通期予想を2万件上回る445万件、ALM資産投入額は通期予想を294億円上回る3,294億円となりました。

2022年度は、引き続きInsurhealth®を原動力とした成長を、働き方改革を含めた生産性向上によって後押ししていくことにより、修正利益350億円、新契約年換算保険料460億円、保有契約件数472万件、ALM資産投入額3,000億円を目指し、「健康応援企業」の確立に向けた成長を加速化させてまいります。

※1 新契約年換算保険料は、営業成績ベースであります。

※2 ALM資産投入額は、購入から売却を除いたネット購入額であり、30年債換算であります。

 

<KPIの推移>


※3 2020年度修正利益は現行定義で再計算

※4 Insurhealth®占有率は2022年5月時点計画

 

ウ.KPI達成に向けた主な取組み

国内生命保険事業のビジョンである「健康応援企業」 の確立を目指し、その実現を加速化させるべく、次の戦略4本柱に取り組んでまいります。

a.Insurhealth®を原動力とした成長

これまでの取組みを徹底し、営業体制の筋肉質化、およびニューマーケット・ニューチャネル開拓をベースとした高効率ビジネスモデルを確立し、飛躍的な成長を図ってまいります。

b.働き方改革

社員の成長とスキル発揮を支える基盤構築および競争力の高い事業費構造といった抜本的生産性・効率性向上を図ってまいります。

c.デジタル/データによる成長加速

ダイレクト、サービス起点のビジネス、CX等を発展させ、デジタル・データ活用を梃子とすることで新収益源を確立し、戦略の柱a.に織り込むことで成長加速を目指してまいります。

d.ひまわりブランドの確立

戦略の柱a.~c.を通じ、Insurhealth®を始めとしたSOMPOひまわり生命保険株式会社ならではのお客さまへの提供価値を明確化し発信することで、健康応援企業としての社会的認知向上と成長の後押しを図ってまいります。

 

④ 介護・シニア事業
ア.経営環境および経営戦略

急速に進展する高齢化に伴い、介護を必要とする高齢者は増加し、今後も国内の介護市場は拡大することが見込まれております。その一方で、生産年齢人口の減少に伴い、介護を支える労働力の減少が見込まれており、持続可能な事業モデルを確立するためには、品質を伴う生産性の向上や人材確保・育成が喫緊の経営課題であると認識しております。

 

イ.中期経営計画(2021~2023年度)およびKPIの進捗状況

介護・シニア事業では、実質的な収益力を示す「修正利益」、成長力を示す「売上高」をKPIとしております。また、当社グループの介護事業における収益の多くを居住系サービスが占めていることから、併せて居住系サービスの「入居率」をKPIとしております。

2021年度のKPI進捗状況は、計画に織り込んでいたM&Aの実行が2022年度となったことや、新型コロナウイルス感染症に伴う特別手当の支給、原油高に伴う費用増などが影響し、修正利益は通期予想を6億円下回る59億円、売上高は通期予想を16億円下回る1,361億円、入居率は通期予想を0.9%下回る91.1%となりました。2022年度は引き続き取組みを進めることで、修正利益60億円、売上高1,511億円、入居率92.9%を目指しております。

 

※入居率は、年度末時点での数字であります。

 

<KPIの推移>


 

ウ.KPI達成に向けた主な取組み

感染症対策に十分留意しつつ営業活動を強化することにより、既存施設の入居率の向上を図ってまいります。また、新棟や新規事業所の開設、M&Aを効果的に組み合わせ、積極的な規模の拡大を目指すとともに、テクノロジー・リアルデータの活用を通じた圧倒的な品質・生産性向上へのチャレンジを通じて修正利益、売上高等のKPI達成を目指してまいります。

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