1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
2021年10月に持株会社体制に移行した当社グループは、経営理念「より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する」を今一度、グループ内各社に浸透させ、お客様、地域の皆様、従業員、株主等、全てのステークホルダーに提供する価値の最大化を目指します。
他方、人生100年時代における資産形成の必要性が認識され、従来の生活様式も変化するなど当社グループを取り巻く環境は、目まぐるしく変わってきております。このような変革する時代の中、お客様にとって分かりやすく、明るい未来がイメージできる「豊かな生活=将来への希望」を具現化するため、お客様に希望を届ける『Hope Courier(ホープクーリエ:希望の宅配人)』となることを我々のビジョンとし、また、資産形成を通じて、中間層(資産形成層)の方々を生活の不安から解放し、希望にあふれるこの国の未来を彼らが創造するための後押しをすることをミッションとしております。
当社が「超リテール証券」になるため、そして安定した収益基盤の確立のためには預り資産の増加が必要です。そのため、預り資産を、2025年3月末までに2兆円以上にすることを目標として定めております。
個人金融資産が2,000兆円を突破し、国民の安定的な資産形成の促進「貯蓄から資産形成へ」のために、投資対象と投資時期の分散による中長期投資や、少額からの積立投資、効果的な投資教育の提供、真に顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)の徹底が証券会社に求められております。
また、当社グループは総合金融サービスグループとして、成長性のある企業の資金調達や独自の金融商品・サービスの開発、個人の資産形成を支えることで社会に貢献し、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指してまいります。
中期経営計画『Define Next 100 ~もっとお客様のために~』において当社が取り組むべき重点課題(マテリアリティ)とそれに対する重点施策を以下の通り定めております。経営課題となっている5つの基本方針に従い、これらの重点施策に取り組んでまいります。
なお、現時点では新型コロナウイルス感染拡大による当社の経営戦略への影響は僅少と認識しておりますが、今後新型コロナウイルス感染症の影響が拡大する場合には当社の経営戦略に一定の影響を及ぼす可能性があります。
① 高齢化社会
・資産形成支援(コア資産、積立投資資産の拡大)
・相続・資産承継支援(次世代へのアクセス強化)
・円滑な事業承継
② 地方創生・地域活性化
・地域金融機関との連携(販路拡大、M&A支援、後継者問題の解決)
・自治体・教育機関との連携(金融リテラシー教育やインターンシップ)
③ イノベーション
・事業構造の転換(ブローカレッジから資産形成ビジネス、IFAビジネスの拡大)
・新たな付加価値の創出(GBA型サービスの展開、アジア株取引の拡大)
・オルタナティブ運用商品の開発(マーケットニュートラル商品の開発、セカンダリーファンドの強化)
・社会課題を解決する企業に対する成長資金の提供
④ DX
・各種取引や手続きのペーパーレス化、デジタル化(CX、UXの向上、取引及び社内手続きの効率化)
・デジタルコンテンツの拡充、デジタル技術の活用(営業手法改革、新たなビジネスモデルの創出)
⑤ 経営基盤[環境]
・気候変動への対応(社用車のエコカーへの切り替え、ペーパーレス)
・環境関連商品の取扱い(グリーンボンド、SDGs債、CATボンド商品等の取扱い)
・環境関連ビジネスに対する資金の提供
⑥ 経営基盤[社会]
・金融リテラシー教育の実施
・地域貢献活動の実施
⑦ 経営基盤[ガバナンス]
・コーポレート・ガバナンスの強化
・リスク管理の強化(グループのリスク管理や情報セキュリティを強化)
・コンプライアンス(顧客本位の業務運営の徹底)
⑧ 経営基盤[人的資本]
・自発的に行動し、変化に対応できる人材の育成(CDP、人事制度再構築、人事交流の活発化、多様なプロ
フェッショナルの活躍)
・従業員エンゲージメントの向上(個人と組織が一体となった双方の成長)
当社グループでは、当面の課題として以下の施策に取り組んでまいります。
① 徹底的なお客様目線
お客様の最善の利益の追求からお客様への重要な情報のわかりやすい提供、お客様の各種手続きのデジタル化や簡素化の推進、地域特性に合ったお客様が来店しやすい店舗つくり、お客様に合ったサービスの展開や商品開発等、従来の常識・慣習・やり方にとらわれることなく、経営資源配分や業務プロセス等を全て見直して、徹底的なお客様目線に切り替えてまいります。そして、全役職員が「お客様のために」という意識を持ち続ける企業風土にまで昇華させることを目指してまいります。
② ブローカレッジビジネスから資産形成ビジネスへ
当社はブローカレッジビジネスから資産形成ビジネスへのシフトを掲げ、投資信託や投資一任運用サービス(ラップ)等のストック商品の販売を強化してまいりました。資産形成ビジネスへのシフトに向けた取組みを更に強力に推し進めるため、新サービス・商品の提供や相続・資産承継支援の強化、お客様とのコミュニケーションの充実化等、他社との差別化を図り当社の優位性をアピールして、資産形成ビジネスの確立に向けて取組んでまいります。
③ プラットフォームビジネスの拡大
昨今、注目されてきているIFA(金融商品仲介業者)に対して、当社は2004年から協働し、プラットフォームビジネスを進めてまいりました。開始当初は株式の販売が主流であったものの、当社独自の取組みである金融機関連携による地域金融機関とのビジネスにより存在感を増しながら、今期は証券系IFAにとどまらず、当社グループ自らがIFA業者(ライフデザインパートナーズ株式会社)となり、さらに保険代理店や一般事業会社とも契約をすすめ、当社のプラットフォームビジネスの裾野を広げております。
今後、契約IFAに対する管理体制の強化などコンプライアンス体制の整備を進めつつ、サポートや研修体制を構築し、当社と契約するIFAを増やすことで当社の認知度向上と信頼の“アイザワ“ブランドを醸成するとともに、当社独自のプラットフォームビジネスの拡大・充実を図ってまいります。
④ グループ連携の強化(総合金融サービスグループ化)
2021年10月より当社グループは、各子会社が営む事業を当社が束ねる持株会社体制に移行いたしました。当社グループの祖業である金融商品取引事業を中心として情報を共有し、営業連携等を図ることでお客様に対してより質の高いサービスを提供することを目指してまいります。また、グループ間における人事交流によって多様な人材の育成を目指すとともに、従業員のキャリア選択の多様化も図ってまいります。
昨今、当社グループはIFAビジネスの強化、新規事業の検討、投資対象の多様化によってリスクも多様化してまいります。これらのリスクに対応するためにグループ一体となってリスク管理を強化してまいります。
⑤ サステナブルな未来の実現を目指す
当社グループは、サステナビリティへの対応を重要な経営課題としてとらえております。サステナビリティ基本方針を定め、気候変動への対応や環境問題をはじめ、地方創生・地域活性化・金融リテラシー教育など地域社会への貢献を重点施策として捉え、成長性のある企業の資金調達や個人の資産形成を支えることで社会に貢献し、サステナブルな未来の実現を目指してまいります。
当社グループは、内部監査の独立性を高めるため、内部監査を所管する監査部をいずれの業務ラインにも属さない独立した部署として設置しております。
監査部は、「内部監査規程」に基づき、毎期初に策定する「内部監査計画書」に従って監査を実施し、監査結果報告会において監査対象部門と問題点の共有化を図ったうえで改善を指示し、改善状況の確認を行います。
また、当社グループの内部統制については、統制組織及び統制手段の両面から内部牽制が有効に機能する仕組みを構築しております。統制組織としては、日本証券業協会の「協会員の内部管理責任者等に関する規則」に基づき、内部管理を担当する取締役1名を「内部管理統括責任者」として定めております。内部管理責任者は組織上、コンプライアンス部に属しており、人事上の評価につきましては組織の上長並びに内部管理統括補助責任者が行うこととし、内部管理体制の充実に努めております。これらの制度を通じ、金融商品取引法その他法令諸規則等の遵守、投資勧誘等の営業活動、顧客管理等が適正に行われるよう社内の監査部門が中心となり、内部管理体制の整備に努めております。
金融商品取引法をはじめとした法令・諸規則遵守の強化を図るため、社内に「コンプライアンス評価委員会」を設置し、法令違反の未然防止策の立案、社内の問題点の洗い出しと改善策の検討・具体化を図っております。
内部統制上の会社のリスクを洗い出し、業務に活かすため「リスク管理委員会」を設け、月一回定期的に業務上のあらゆる問題を討議・検討しております。
監査部内に内部統制専門の担当者を設け、内部統制の運用を行っております。
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