課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「人々が心豊かに暮らせる持続可能な社会をつくる」というミッション(存在意義)を掲げています。

このミッションは、当社グループが生命保険、損害保険、銀行、介護など幅広い事業を展開するグループとして一つの方向に進んでいくために、「お客さまのために」という原点に立ち返って自らを見つめ直す作業を進め、ビジョン(目指す姿)、バリュー(価値観)とあわせて、2019年4月に制定しました。お客さまや株主の皆さまはもちろん、社員などのすべてのステークホルダーの皆さまに心豊かな生活を送っていただけるよう、継続的に価値を生み出す企業として、持続可能な社会の発展に貢献していきたいという決意を込めています。

当社グループ は、お客さまや社会の期待を超えるような付加価値の高い商品・サービスを提供することが、当社グループの使命であると考えています。金融サービス提供のあり方は変革を迫られていますが、人々の生活がある限り、それは求められ続けるものです。 当社グループ は、お客さまに最高のサービスを提供し、人々や社会の本来的なニーズと、さらにこうであれば嬉しいという期待に新しく応えることで、社会に貢献してまいります。

 

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(2) 経営戦略等

当社グループは、2018年5月に発表した中期計画において、「新たな成長への挑戦をテーマに、既存のビジネスモデルによるオーガニック成長に加え、10年超の長期視点で起こる変革を“機会”に次の成長へつながる布石を打つ」というテーマのもとに、「お客さま本位の業務運営の一層の推進」と「変革(技術進歩/社会・規制環境の変化など)を機会とした次の成長への基盤作り」に取り組んでおります。

中期計画の最終年度にあたる2020年度においては、主に以下の経営戦略を実行することにより、グループ企業価値の最大化を図るとともに、2021年度を始期とする次期中期計画策定に向けた下地作りを着実におこなってまいります。

グループガバナンスの更なる充実・強化とお客さま本位の業務運営の推進

当社グループの持続的な企業価値向上を目的とした経営体制強化の一環として、2019年度に持株会社である当社の取締役会を中心としたグループ全体のガバナンス強化を図りました。具体的には、「監督と執行」を分離する目的で当社の取締役会の構成を見直しました。これにより、当社の取締役は、社外取締役、ソニー株式会社の経営陣および当社の経営陣にて構成されることになり、従来当社の取締役を兼務していた主要3子会社(ソニー生命、ソニー損保、ソニー銀行)の社長は、各事業の経営に専念できるようにいたしました。引き続きグループガバナンスの充実・強化を図ることで、各事業の一層の成長を促進するとともに、更なるシナジーの具現化を目指してまいります。

また、当社グループは、金融庁の『顧客本位の業務運営に関する原則』に基づき、当社および主要3子会社において各々業務運営方針を策定・公表して適切な業務運営に努めております。今後も引き続き、お客さま本位の業務運営の観点から様々な取り組みを進めてまいります。

 

②主要3事業等の成長

ソニー生命、ソニー損保およびソニー銀行は、いずれも既存の業界他社と異なる独自性の高いビジネスモデルを実現することで差異化を図り、合理的かつ利便性の高い商品・サービスを個人のお客さまに提供してまいりました。今後も各社の優位性を強化することで成長を続け、それぞれの業界におけるプレゼンスを高めてまいります。また、フィンテックやAI(人工知能)といった新たな技術の活用やソニーグループとの連携による先進テクノロジーの活用についても積極的に取り組み、グループ各社において利便性の高いサービスの提供や業務の効率化を目指してまいります。なお、2013年11月に参入した介護事業については、ソニー・ライフケアの完全子会社であるライフケアデザイン株式会社およびプラウドライフ株式会社において介護付有料老人ホーム等を展開しており、両社ともに、新設ホームの展開等を通して、多様化する介護サービス市場での中長期的な成長を目指してまいります。

 

③グループシナジーの推進

グループ各社の成長に加え、これまでも、ソニー生命のライフプランナーが、ソニー損保の自動車保険やソニー銀行の住宅ローンを販売する等のグループ内の連携を図っておりますが、グループ各社間の連携をより一層強めることで、商品・サービスの提供や販売チャネル・インフラの共有化、相互活用などを通じてグループとしての相乗効果を高め、従来の金融機関では提供できなかったような付加価値の高い魅力的な商品・サービスをお客さまに提供していきます。

 

新規事業分野への取り組み

2018年7月に設立したソニーフィナンシャルベンチャーズはベンチャーキャピタル事業を営んでおり、フィンテック等の分野に強みを持つベンチャー企業への投資等を行うことで、財務リターンの獲得を目指すことに加えて、グループ各社とベンチャー企業の連携を通じた既存事業強化と新規事業創出に取り組んでおります。

引き続き、主要3事業と連携のある事業領域を中心に、お客さまのご期待に応える商品・サービスを継続的に拡充し、着実な業容拡大に努めてまいります。また、現在参入していない分野で当社グループの持続的な企業価値向上に資するものについては進出を検討し、収益源の多様化および収益拡大を進めてまいります。

(3) 目標とする経営指標

当社は、グループ全体の業績を示す指標として、以下の指標を重視しております。

・連結経常収益

・連結経常利益

・親会社株主に帰属する当期純利益

 

また、当社は、当社グループが有する様々なリスクを統合的に管理しつつ、適切なリスクテイクによる収益拡大と資本効率向上の実現を目的として、2017年度よりグループERM(Enterprise Risk Management)の枠組みを導入しております。保険事業や銀行事業などグループ各社の業態が異なるため、各事業ごとに、収益性・資本効率の指標としては修正利益および修正資本に基づく「修正ROE」を用い、また、規制ベースの健全性指標として、保険事業ではソルベンシー・マージン比率、銀行事業では自己資本比率を設定し、さらに、経済価値ベースでも適切な水準が維持できるよう管理を行っています。「修正ROE」の算出方法については、後記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)財政状態及び経営成績の状況(ⅳ)目標とする経営指標の達成状況等」をご参照下さい。

なお、2020年度は現行中期計画の最終年度にあたりますが、有価証券報告書提出日現在において新型コロナウイルス感染症の収束時期や営業活動の回復速度等を見通すことが困難であり、業績に与える影響に未確定要素が多いことから、当社としては合理的な算定が困難と判断し、2020年度連結業績予想を未定としております。

 

(4) 経営環境及び対処すべき課題

2020年度第1四半期のわが国経済は、緊急事態宣言に伴う需要の喪失によって著しい悪化が予想されます。しかし、新型コロナウイルスの感染が収束に向かうと予想される2020年度後半には、需要の自律的な反発や金融・財政政策の後押しによって、経済は力強く回復すると見込まれます。ただし、金融緩和は長期化する公算が大きく、日本の10年国債利回りは当分の間、ゼロ%付近にとどまると見込まれます。他方、世界経済や株式市場の回復とともに市場参加者のリスク選好度は高まり、ドル円レートは緩やかな円安進行が予想されます。なお、新型コロナウイルスの収束時期が遅れれば、景気の悪化が長期化するとともに、金利低下や大幅な円高が起こるおそれがあります。一方で、このような経営環境にあっても、保険業界・銀行業界は、安定的な金融サービスを適切に提供する役割の発揮と、将来を見据えた成長戦略実現の両立が求められております。

当社は、2020年5月19日開催の取締役会において、当社の支配株主(親会社)であるソニー株式会社による当社の普通株式および本新株予約権に対する公開買付け(以下「本公開買付け」)に賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主及び新株予約権者の皆さまに対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。なお、上記取締役会決議は、ソニー株式会社が公開買付けおよびその後の一連の手続を経て当社を完全子会社とすることを企図していること、ならびに当社普通株式が上場廃止となる予定であることを前提として行われたものであります。これは、当社グループをとりまく事業環境が、①少子高齢化やライフスタイルの変化、②経済構造の変化(低金利、低成長の常態化)、③Fintechに象徴されるテクノロジーの金融への直接的な影響とその変化を積極的に支持する行政スタンス(規制の変化、顧客利便性の徹底)、④リスクに対する厚い資本要請と経済価値ベースでの規制基準の充足要請(リーマンショック以来のグローバル観点でのシステミックリスクの回避)など加速度的、かつ劇的に変化しつつある中、当社グループが持続的な成長を実現していくためには、既存事業のオーガニックな成長に加えて、付加価値の高い新しい金融サービスを創出することが必要であることから、当社とソニー株式会社の連携を更に緊密にし、人的資源を含む経営資源やノウハウの相互活用をより迅速に推進していくことが必要になると考えたことなどによるものです。

今後は、ソニー株式会社とサービス開発体制やコーポレート機能の一層の集約・再編等を含む大胆な経営施策を弾力的に実行に移していくほか、事業環境の変化や多様化するお客さまニーズに対応した金融サービスをスピーディかつ着実に展開することで、社会全体の発展により貢献してまいります。

 

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