事業等のリスク

2【事業等のリスク】

当社および当社グループの事業その他に関して、経営者の経営判断上無視すべきでないと考えられるリスクは、以下のとおりです。その他のリスクを含む、リスク管理態勢の整備の状況については、4「コーポレート・ガバナンスの状況等」にて、記載しております。なお、本項における将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

当社では、有価証券報告書提出日現在、最も留意を要するリスクは、新型コロナウイルス感染症の影響であると評価しており、各社の社長を本部長とする対策本部を設置するなど、経営トップが陣頭指揮を執っております。当該感染症の影響は、当連結会計年度末までの期間では、比較的小さくとどまっているものの、今後の影響は多岐にわたると考えられます。たとえば、金融市場の動揺、投資先・与信先の信用力低下(経営状況の悪化)、罹患率・死亡率の動向(若年層の死亡率が高まるかどうかを含む)、新契約獲得の減少や対策費用の増加に伴う経費効率の悪化など、影響が出る可能性を想定しておく必要があるものと認識しております。その他、間接的な影響を含め、以下に記載したリスクが顕在化する引き金となる可能性があるものと留意しております。

新型コロナウイルスの感染症拡大にともない、当社グループでは、お客さまや取引先、従業員の健康・安全のため、原則として対面での手続きは自粛する方向へ舵を切り、テレワークの実施など感染抑止策を実施しております。業容の大宗を占めるソニー生命においても、対面でのライフプランナーによる営業活動を見合わせたため、新規契約の減少や対策費用の増加など、ソニー生命の収益に影響を及ぼす可能性があります。なお、ソニー生命では、移動制限の緩和や経済活動の再開の状況を勘案しながら、2020年6月1日より対面での営業活動を再開したことに加え、電話やビデオによるコンサルティングツールも活用するなど、対応を強化しております

 

1.事業に係るリスク

(1)ソニー生命による個人向け生命保険の販売が当社グループの事業の大きな割合を占めていることによるリスク

ソニー生命は、当社の他の子会社に比べ長い歴史があり、当社グループの収入および利益の大きな割合を占めております。個人向け生命保険市場に影響を及ぼす要因には一般的に下記のようなものがあります。

・ 日本における就業率および世帯収入といった指標

・ 他の貯蓄・投資商品の相対的な顧客訴求力

・ 保険会社の財政状態や信頼性に対する一般的認識または風評

・ 長期的に日本の人口構成に影響を与える出生率、高齢化などの傾向

これらの変化やその他の要因により、個人向け生命保険の新規契約減少、保険契約の解約の増加、収益性悪化が起こり、当社グループの業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(2)責任準備金の積み立て不足に関するリスク

生命保険事業および損害保険事業においては、保険業法および保険業法施行規則に従い、将来の保険金・給付金の支払いに備えた責任準備金を積み立てております。これらの責任準備金は、保険契約の保障対象となる事象の起こる頻度や時期、保険金・給付金の支払額、保険料収入を原資に購入される資産の運用益の額など、多くの前提と見積もりに基づいて計算されております。これらの前提条件と見積もりは本質的に不確実なものであるため、最終的に保険金・給付金としてソニー生命、ソニーライフ・ウィズ生命およびソニー損保が支払うべき金額や支払時期、または保険金・給付金の支払いより前に、保険契約債務に対応した資産が想定していた水準に達するかどうかを正確に判断することは困難です。保険契約の保障対象となる事象の頻度や時期および支払う保険金の額は、以下のようなコントロール困難な多くのリスクと不確実な要素に影響されます。

・ 死亡率、疾病率、 解約失効率、 自動車事故率など、計算の前提と見積もりの根拠となる傾向の変化

・ 信頼に堪えるデータの入手可能性およびそのデータを正確に分析する能力

・ 適切な料率・価格設定手法の選択と活用

・ 法令上の基準、保険金査定方法、医療費および自動車修理費用水準の変化

当社グループの実績が、計算の前提条件や見積もりよりも大きく悪化した場合などには、責任準備金の積み立てが不足する可能性があります。また、責任準備金の積み立て水準に関するガイドラインや基準などに変更があった場合には、より厳しい計算の前提や見積もり、または保険数理計算に基づいて責任準備金の積み増しが必要となる可能性があります。これら責任準備金の引当額の増加は、当社グループの業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

なお、ソニー生命、ソニーライフ・ウィズ生命およびソニー損保では、適切なリスクの分散などの観点から、再保険を活用しております。再保険に係るリスクに関しては、保有・出再方針に基づき、保有限度額を超過する引受リスクが適切にカバーされているか等の管理を行っておりますが、出再先のカウンターパーティリスクの顕在化などにより、再保険金を回収できない可能性があります。

 

(3)商品・サービスの拡充にともなうリスク

当社グループでは、経営戦略の一環として、商品・サービスの拡充を行っておりますが、それには下記のような多くのリスクをともないます

事業拡大に必要とされる規制上の要件を満たし、若しくは関連する規制上の許認可を当局から取得するために、想定よりも時間がかかる可能性があり、またはかかる要件を満たすことができず、若しくはかかる許認可を取得できない可能性があります

新規事業が巨額の追加的な運転資金や資本を要し、コンプライアンス、マーケティングその他に関する費用が当初の想定よりも増加する可能性があります

新規事業の成長性あるいは収益性が予想を下回り、想定したとおりの収益を上げることができない可能性があります

競合他社よりもタイミング良く、顧客にとって魅力的な新規サービスを特定し、提供することができず、競争上不利な状況になる可能性があります

ソニーライフ・ウィズ生命による最低保証付きの変額個人年金保険を含む新しく開発された保険商品にともなう保険引受リスクおよび再保険に係るリスクなど、当社グループの経験が浅い、またはまったく経験のないリスクに直面する可能性があります

・ SA Reinsurance Ltd.は、ソニーライフ・ウィズ生命が販売した最低保証付きの変額個人年金保険の最低保証リスクに関する再保険を引き受け、ダイナミックヘッジの活用などにより、適切な管理に努めておりますが、将来において、ダイナミックヘッジが有効に機能しない可能性や、解約・失効等の契約者行動などが想定と乖離することなどで、同社およびソニーライフ・ウィズ生命が悪影響を被る可能性があります。

新規事業に関して、競合他社がより豊富な経験と経営資源を有している場合、すでに顧客基盤を築いている他社から当社グループの新規サービスへと顧客を誘導することができない可能性があります

新規事業を管理し、実行するために、新規に従業員を雇用し、または既存の従業員を再訓練する必要が生ずる可能性があります

事業領域の拡大にともない、ITその他のシステムへの追加投資が必要になる可能性があります

当社グループがこれらのリスクを認識し、適切に対応することができるという保証はありません。当社グループがこれらに適切に対応できなかった場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります

 

(4)ソニー生命が資質のある営業社員を十分に採用、育成、維持することができないリスク

ソニー生命の事業にとって、営業社員の採用、育成、維持は重要な課題です。ソニー生命は、丁寧なコンサルティングに基づく販売を行っており、原則として相当の(通常、生命保険業界以外での)営業経験を持つ人材をライフプランナー(営業社員)として採用しております。採用基準が高いため、ライフプランナーの候補となりうる人材は、他の生命保険会社に比べて相当限られたものとなっている可能性があります

さらに、ソニー生命のライフプランナーの育成は当社グループの差異化戦略において鍵となる要素であり、また、当社グループとして他のグループ会社とのクロスセルを促進するためには追加的な研修を必要とします。新規に採用されたライフプランナーの育成には、通常約3年かかります。高い生産性の維持はソニー生命にとって不可欠な要素であり、ライフプランナーの採用基準が厳しいこと、その育成に長い時間を要することから、ライフプランナーの離職率が増加した場合は、人材不足が生じ、また短期間に十分な人材を確保できない可能性があります。ソニー生命が熟練した営業社員を維持し、育成することができなければ、その事業に悪影響を及ぼす可能性があります

 

(5)事務リスク

当社グループの事業においては、以下のものを含む様々な事務プロセスが行われております。

・ 保険料の請求および保険金・給付金、解約金等の支払いを含む、当社グループの保険契約の管理

・ 当社グループの銀行事業における貸付金および預金の管理・回収など、銀行間取引の管理および実行

・ 有価証券への投資ならびにデリバティブ取引、為替取引およびその他の取引の実行を含む、当社グループの投資ポートフォリオの管理

・ 資金決済

当社グループの事業には、当社グループの内部的な事務プロセスに係る過失、不正行為、機能不良などの問題によって損失を被る事務リスクがともないます。事務リスクを特定し管理する取組みの一環として、当社グループは大量かつ増加しつづける様々な取引および事象を正確に記録し、検証する手続を構築し、実行しなければなりません。当社グループの事務リスク管理が失敗した場合または有効でなかった場合などにおいて、上記事務プロセスの適切な実行に影響を与える重大な過失、不正行為、機能不良などの問題が生じたときは、当社グループが損失を被り、それにより業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(6)株価変動に係るリスク

株式相場の下落により有価証券の評価損もしくは売却損が発生し、または有価証券の売却益若しくは未実現利益が減少する可能性 、あるいは、最低保証に関する責任準備金の積立が増加するリスク があり、当社グループの業績 およ び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、株価が下落すると、その他有価証券の評価差額(税効果控除前)が減少することにより、ソニー生命 、ソニーライフ・ウィズ生命 およ びソニー損保のソルベンシー・マージン比率や実質純資産にも悪影響を与える可能性があります。

ソニーフィナンシャルベンチャーズでは、未上場の株式等を裏付け資産とするファンドに投資をしております。未上場株式には、上場株式と同様のリスクがあるだけでなく、流動性が低く、適時の換金が困難であること、大企業に比べて、経営の安定性が低いこと等のリスクがあります。

 

(7)金利変動に係るリスク

当社グループでは、各事業の負債の状況に鑑み、運用資産を適切に管理するため、資産負債管理(以下「ALM」という)を行っております。当社グループのALMは、長期的な資産負債のバランスを考慮しながら、安定的な収益の確保を図ることを目的としております。特に、ソニー生命においては、通常、契約者に対して負う債務の期間が、運用資産よりも長期であるため、ALMはより難しいものとなっております。ソニー生命では、長期の債券への投資を増やすことにより、金利環境の変化に応じたALMを行っております。しかし、当社グループがALMを適切に実行できなかった場合、または市場環境が当社グループのALMによって対処しうる程度を超えて大きく変動した場合には、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。例えば、ソニー生命は契約者にお支払いいただいた保険料の一部を、将来の保険金等の支払いに備えて責任準備金として積み立てており、この責任準備金は一定の利率により毎年運用されることを前提としております(この利率のことを「予定利率(責任準備金計算用)」といいます。)。

金利低下局面(マイナス金利を含む)においては、投資利回りの低下により投資ポートフォリオからの収益が減少し、予定利率(責任準備金計算用)の設定に際して想定した収益を充足できず、逆ざやが発生・拡大する可能性があります。

金利上昇局面においては、投資利回りの上昇により投資ポートフォリオからの収益が増加する一方で、保険契約者が他の高利回りの投資商品を選好する結果、保険契約の解約率も上昇する可能性があります。また、金利の変動により、保有資産のうち固定利付債券について評価損が発生し、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

ソニー損保の終身医療保険に関して、上述のソニー生命と同様のリスクがあります。

ソニー銀行の資金運用収益は、貸出金や債券の利息収入が大きな部分を占めております。今後、金利の上昇が続き、預金利息の金利の上昇が債券投資やその他の運用から得られる利回りの上昇を上回った場合、業績に対し悪影響を与えることがあります。また、金利の予想外の変動が、ソニー銀行の金利デリバティブ商品の損益に悪影響を与えることがあります。さらに、ソニー銀行の住宅ローンにおいても、金利が上昇することにより、借入需要が減少することが考えられます。

 

(8)その他の投資ポートフォリオに係るリスク

安定した投資収益を確保するため、当社グループでは内外公社債、国内株式、貸付金、不動産など、様々な投資資産を保有しております。金利および株価変動リスクに加え、当社グループの投資ポートフォリオは、下記に掲げる様々なリスクに晒されており、そのようなリスクが業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・ 為替リスク: ソニー生命およびソニー銀行が保有する有価証券には外貨建てのものが含まれております。ソニー生命の外貨建て保険については、同一通貨建ての有価証券などで運用することにより、為替ヘッジを行っておりますが、そのヘッジが効果的である保証はありません。また、資産運用の一環として、為替ヘッジをせずに外貨建て有価証券に投資することがあります。ソニー銀行は、外貨預金から発生する外貨建ての負債に関するリスクは、当該通貨に見合う形で外貨建て資産を保有することで、為替ヘッジを行っております。また、それ以外の外貨建債券の大部分についても為替ヘッジを行っておりますが、そのヘッジが効果的である保証はありません。これらの外貨建投資により、また、ソニー銀行が投資活動の一環として保有しているデリバティブ商品に係る為替リスクにより、為替レートの動向によっては、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・ 信用リスク:保有債券の発行体について格付けの引下げがなされるなど信用力が低下し、当社グループの保有債券の市場価格に悪影響を及ぼし、その結果、有価証券の評価損が発生し、有価証券の売却益が減少し若しくは売却損が発生し、または未実現利益が減少する可能性があります。また、保有債券の発行体による元利金の支払いが債務不履行となる可能性もあります。さらに、市場リスクをヘッジするために行っている金利スワップ、通貨スワップ、為替先物、株式指数オプションなどのデリバティブ取引についても、カウンターパーティリスクがあります。当社グループの保有債券の発行体の信用力が低下し、かかる債券の元利支払いについて債務不履行が生じた場合、またはデリバティブ取引上のカウンターパーティの義務について債務不履行が生じた場合には、当社グループの業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、ソニー銀行は住宅ローンやカードローンを中心とした個人向け貸出のほか、シンジケート・ローンへの参加などによる法人向け貸出に取り組んでおります。当該住宅ローンなどに関して不良債権が増加したり、担保設定されている不動産の価値が減少すると、ソニー銀行の貸出金ポートフォリオの信用力に悪影響を及ぼし、これにより与信関連コストが増加する可能性があります。

・ 不動産投資リスク: 不動産関連収益は、さまざまな要因によって発生する不動産価格および賃貸料の低下や空室率の上昇などにより減少する可能性があります。

 

(9)流動性リスク

当社グループは、生命保険事業および損害保険事業における保険金、給付金および解約返戻金の支払いならびにその他の支払いや、銀行事業における預金の引き出しに備え、流動性を確保する必要がありますが、当社グループでは、それぞれの事業の特性に応じて、適切な流動性の管理に努めております。また、当社グループでは多額の流動性資産を保有しておりますが、一方で貸付金や不動産、未上場株式などのように、流動性が低い資産や、ほとんど流動性がない資産も保有しております。グループ各社において、例えば想定外の保険契約の解約が起こった場合、または金融市場の混乱や自然災害が起こった場合などで、急遽多額の現金支出が必要となった場合には、各社の流動性が不足する部分について、それらの資産を不利な条件で売却せざるを得ないこともありえます。このような事態は、当社グループの業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(10)財務基盤の悪化に関するリスク

当社グループ各社の競争上の優位性を確保するにあたり、財務基盤は重要な要素となります。財務基盤を測る業界共通の指標として、ソニー生命(ソニーライフ・ウィズ生命を含む)およびソニー損保が属する保険業界ではソルベンシー・マージン比率、ソニー銀行が属する銀行業界では自己資本比率が普及しており、これらが著しく低下した場合には、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社、ソニー生命およびソニー銀行は、格付会社より格付けを取得しており、当社グループの収益性や財務基盤の悪化により格付けが引き下げられ、当社グループの事業や資金調達の条件などに悪影響を及ぼす可能性があります。格付け変動の要因として、当社グループの収益性や財務基盤の悪化のみならず、国や親会社の格付けの影響を受ける可能性もあります。

財務基盤の悪化や格付けが引き下げられた場合、当社グループ各社の事業に下記の悪影響を及ぼす可能性があります。

ソニー生命においては、新規契約の獲得やライフプランナーの採用・維持への悪影響、保険解約高の増加、ソニー生命の代理店やその他販売店・提携先との関係悪化など、ソニー損保においては、保有契約の更改や新規契約獲得への悪影響など、ソニー銀行においては、預金者による預金引き出しの増加、新規の預金口座・貸出の獲得などへの影響、デリバティブ取引に関して追加担保の提供を求められる可能性などがそれぞれあげられます。

(11)提携先との関係または提携先の業績変動にともなうリスク

当社グループでは、事業活動を促進するため、他の企業との提携を行っております。事業提携は、下記のような数々のリスクをともないます

・ 提携先が、その事業目的の変化により当該提携に価値を見出さなくなる可能性があります。

・ 提携先が当社グループを優良な提携先とみなさなくなる可能性があります。

・ 提携先が財政上の困難やその他の当社がコントロールできない要因により、期待した役割を果たさない可能性があります。

・ 提携先の違法行為などにより企業イメージが損なわれる可能性があります。

これらのリスク等により、事業戦略の遂行が困難になり、当初想定した成果を得られなかった場合には、のれんの減損処理や事業再編等に伴う損失や費用の計上を行う必要が生じるなど、当社グループの業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(12)システムリスク

当社グループが保有している情報システムおよび外部委託先の情報システムには、インターネットを利用したマーケティング販売チャネル、ポートフォリオ・マネジメント・ツール、保険契約管理や預金・貸出金管理、カード決済/クレジット決済、統計データ、個人情報を扱うバックオフィスシステムなどがあります。顧客からの申込受付、支払いその他の取引などを適切に処理できない場合を含め、インターネットやシステムの障害・停止、システム企画・開発の不備を原因とする直接・間接のコストの発生は、業務に重大な影響を与える可能性があります。そのような事態は、業務の遅延による顧客の不満、ひいては行政処分、損害賠償訴訟などにつながり、当社グループのイメージの悪化、収入・手数料その他の事業機会の減少をもたらす可能性があります。当社グループや外部委託先、提携先のITその他のシステムは、下記のような様々な障害により影響を受ける可能性があります。

・ ネットワークやシステムアーキテクチャにおける欠陥および誤動作を含む、ハードウェア・ソフトウェアの欠陥および誤動作

・ 想定を超えた利用量

・ 事故・火災・自然災害

・ 停電

・ サイバー攻撃、人為的な過失、サボタージュ、ハッキング・破壊活動など

・ マルウェア、コンピューターウイルス

さらに、当社グループおよび外部委託先・提携先の業務ならびにITその他のシステムは首都圏に集中しており、首都圏での地震やその他災害により事業に支障をきたす可能性があります。そのような場合に、当社グループおよび外部委託先・提携先が速やかに業務を再開できない可能性があります。

 

(13)重要な業務の外部委託先に係るリスク

当社グループは、下記のような業務を第三者に委託しております。

・ 主要な情報システムの開発・保守・運用

・ カスタマーセンターの電話・情報管理システムの開発・保守・運用

・ 顧客・株主向け各種変更通知などの印刷・発送

・ ソニー損保の契約者が事故にあった場合のロードサービス、損害調査サービス

・ ソニー銀行の口座保有者に対するATMサービス

・ ソニー銀行のカードローンに関する借入人の信用評価と保証サービス

・ 文書保管

・ その他バックオフィス業務

これらの業務に関し、外部委託先が効率的に合理的なコストで業務を継続し、当社グループの事業の拡大にあわせて適切に業務を拡大できるという保証はありません。システム停止、処理能力超過などによりこれらのサービスが停止した場合、当社グループが顧客に対しサービスを提供できないこととなり、当社グループのイメージに悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループはかかるサービスの代替手段を速やかにかつ合理的なコストで導入することができない可能性があり、その場合、追加的な費用が発生する可能性があります。これらの理由により、かかるサービスの停止が当社グループの事業および業績に悪影響を与える可能性があります。

 

 

(14)個人情報漏えいに関するリスク

当社グループは、外部委託先に委託しているものも含め、オンラインサービスおよび集中的なデータ管理を広範囲で活用していることから、安全な機密情報の維持・伝達が重要となっております。顧客・株主情報の紛失・漏えい、盗難、当社グループあるいは外部委託先、提携先のITその他のシステムにおけるセキュリティ侵害が起こらない保証はありません。当社グループが個人情報を紛失した場合や、第三者が当社グループ、提携先、外部委託先などのネットワークセキュリティを破り顧客・株主の個人情報を不正利用した場合などには、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があり、また企業イメージが悪化する可能性があります。当社グループの役職員による顧客・株主情報の紛失、漏えい、不正利用についても同様です。顧客・株主情報の紛失、漏えい、不正利用、その他セキュリティの侵害は、当社グループの信頼性に悪影響を与え、事業および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)従業員、代理店、第三者の供給業者または顧客の不正により損失を被るリスク

従業員、代理店、第三者の供給業者および顧客による詐欺やその他の不正、例えば、違法な販売活動、詐欺、なりすまし犯罪、個人情報の紛失などにより損失を被るリスクがあります。特に、ソニー生命のライフプランナーや代理店、ならびにソニー銀行の銀行代理業者はそれぞれ相当程度の裁量をもって活動しており、顧客と直接の関係を持ち、その個人的・経済的情報を知りうる立場にあります。さらに、一部の第三者の供給業者も顧客に関する個人的・経済的情報を知りうる立場にあります。

また、顧客も、口座の不正利用や口座開設における虚偽の個人情報の申告など、詐欺的行為を行う可能性があります。こうした詐欺的行為は事前に防止、察知することが困難であり、またその損失を回復することは困難です。これらの行為により当社グループのイメージも悪化する可能性がありますが、特に、顧客がマネーローンダリングやその他の違法行為のために口座を利用した場合、当社グループのイメージは大きく悪化し、多大な法的責任を負う可能性があり、また行政処分の対象となる可能性があります。

 

(16)リスク管理方針およびリスク管理マニュアルが予期せざるリスクに対し適正に機能しないリスク

当社グループのリスク管理は、流動性リスクおよび投資活動に関連したその他のリスクに加え、事務リスク、システムリスク、保険引受リスク、法務リスク、風評リスクおよび事業継続リスクなどを含めた一連のリスクに対処することを企図しております。しかし、当社グループが商品やサービスを多様化し、顧客基盤を拡充するにともない、これらのリスクを管理するために必要なシステムおよびリスク管理の改善を行うことが困難となる可能性があります。リスク管理方針およびリスク管理マニュアル等は、事業にともなう様々なリスクに関連した損失防止に有効でない可能性があります。

これらの方針やマニュアル等が有効に機能しない場合には、当社グループの業績に多大な悪影響を及ぼし、損失を生じさせる可能性があります。

 

(17)ヘッジ全般に関するリスク

当社グループでは、経営の安定性を高めるため、上述した観点以外でも、適宜リスクヘッジを実施しております。

再保険を含むリスクヘッジの実施に際しては、企図した効果が得られるように留意しておりますが、想定通りの効果が得られる保証はなく、結果として、(機会)損失の発生・拡大につながってしまう可能性があります。

また、想定した通りのヘッジ効果が得られた場合でも、異なる方法で評価すると、損失の発生・拡大につながっているという可能性もあります。たとえば、EVなど、経済価値ベースの企業価値の変動をヘッジした場合、企業会計に基づく期間利益の変動が大きくなる可能性があります。

 

2.業界に係るリスク

(1)競争状況に関するリスク

金融業界は、激しい競争状況におかれております。さらに近年、異業種による金融サービス事業への参入が本格化するなど、新しい競争圧力が生じております。

・保険事業について

生命保険業界においては、伝統的な保険会社に加え、インターネットのみで生命保険を販売する会社の参入も見られるほか、外資系の競業他社および全国共済農業協同組合連合会、全国労働者共済生活協同組合連合会、日本生活協同組合連合会なども同様の生命保険商品を提供しており、競合関係にあります。

損害保険業界においては、代理店を通して契約を獲得する従来型の保険会社に加え、ソニー損保のように電話やインターネットによるダイレクトマーケティングによって保険を販売している保険会社とも競合しております。近年は、大手既存保険会社によるダイレクトマーケットへの参入や異業種からの損害保険市場への参入なども見られます。

保険業界において、競合他社の有する優位性には以下が含まれます。

・ 資本力と財務格付け

・ ブランド力

・ 他の金融機関との提携などによる強力なマーケティング、販売ネットワーク

・ 価格優位性

・ 顧客基盤

・ 幅広い商品およびサービス

・銀行事業について

ソニー銀行は個人向けの資産管理および融資業務の提供に注力しており、個人向け金融サービス市場における激しい競争に直面しております。近年、都市銀行をはじめとする既存金融機関は、個人向け金融サービス市場での取組みにより重点を置いており、インターネットなどを利用した個人向け金融サービス業務を拡大しております。また、ソニー銀行は、多くの銀行が提供している金利よりも通常低い金利で、住宅金融支援機構と協力して長期固定金利住宅ローンを提供しているノンバンクとも競合します。また、ソニー銀行は、個人向け金融サービスの提供に関し既存証券会社やネット証券、外国為替証拠金取引業者との競争にも直面しております。ソニー銀行の顧客との主たる接点はインターネットであり、取引を対面で行うことができる金融機関を選好する顧客にはアピールしづらい可能性があります。

なお、銀行業界と証券業界の間の規制上の障壁は、現在、さらに緩和されており、例えば、共通の持株会社の下で事業を営む銀行と証券会社が顧客情報を共有することを許容し、銀行と証券会社がより幅広いサービスを提供できるようになりました。大規模な既存の金融コングロマリットに有利となる規制緩和措置は、わが国における金融サービス業界のさらなる統合に繋がる可能性があります。異なる金融サービス業界間の参入障壁が継続的に緩和するにつれて、様々な国内外の金融機関が拡大しつつあるビジネスチャンスを活用しようとするため、当社はこれらの業界間の競合は激化し続けると予測しております。

こうしたわが国における金融サービス市場における競合の激化により、当社グループの事業 およ び業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(2)顧客・人口動態の変化によるリスク

・生命保険事業について

日本の人口の高齢化および長期にわたる不況により、生命保険業界は全体として、解約率の上昇や新規契約の減少という影響を受けてきました。ソニー生命の商品開発およびマーケティングは、中期的には比較的安定的に推移すると見込まれている30歳代から40歳代の顧客を主たるターゲットとしておりますが、総人口の減少など人口動態の変化が、当社グループの事業および業績に想定外の悪影響を及ぼす可能性があります

・損害保険事業について

ソニー損保の主たる商品である自動車保険の市場は、横ばい傾向にあります。これは国内の新車登録台数の増加が安定しないことや、軽自動車など比較的安価な車両が保有契約台数に占める割合が増えていることから1車両あたりの保険料の平均額が減少傾向にあること、さらに、契約を継続することにより割引が進行する契約者が多いことから、保険料の平均額が減少傾向にあることによっております。ソニー損保やその他のダイレクト損保会社は、近年マーケットシェアを伸ばしておりますが、ソニー損保の戦略は、ダイレクト損保会社が市場全体においてさらにマーケットシェアを拡大し続けることを前提としております。例えば、顧客が、ダイレクト損保会社一般について、ダイレクト損保会社以外の競合他社よりも信頼性、またはサービスの水準が低いと考える場合、ダイレクト損保会社のマーケットシェアが期待どおりに成長しない可能性があります。また、ダイレクトマーケティングが顧客に受け入れられずシェアが伸び悩むような場合には、当社グループの業績に悪影響を与えます。

・銀行事業について

ソニー銀行の顧客との主たる接点はインターネットです。当社グループが銀行事業において成長を持続できるか否かは、インターネット専業の金融機関によるインターネットなどを利用した銀行サービスおよび金融商品仲介サービスがこれまでのように支持されていくかどうかによります。情報セキュリティ上の懸念、またはその他の理由によってインターネットの利用度が低下した場合、あるいは顧客が取引を対面で行うことができる金融機関への選好を示した場合は、インターネットなどを利用した銀行サービスおよび金融商品仲介サービスに対する需要が期待どおりに成長しない可能性があります。インターネットなどを利用した銀行サービスおよび金融商品仲介サービスが継続的に成長しない場合、または成長率が低下した場合には、当社グループの成長見通しおよび業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)個人向け金融サービス市場における技術などの進歩に対応できないリスク

個人向け金融市場は現在急速な技術的変化に晒されており、顧客の要求の変化、新商品・サービス導入の早期化、業界基準の変化などが見られます。インターネットやダイレクトマーケティングチャネルを効率的に利用できることは当社グループの成長の鍵であり、将来の成功は、適時かつ費用効率のよい態様による一部既存サービスの促進、新サービスの開発に依存しております。こうした技術的変化や顧客の要求の変化、業界基準の変化に対応できない場合、対応策への投資が費用効率の悪いものとなった場合、当社グループの事業や成長見通し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)大規模災害に関するリスク

ソニー損保は、天候の異変などにより自動車保険において予測不能な損失を被る可能性があります。

ソニー生命およびソニーライフ・ウィズ生命も、感染症などの疫病が発生した場合の保険金等の支払い、地震、津波その他地域的な災害が人口密集地域に発生した場合に多額の保険金等の支払いが発生するリスクに晒されております。各保険子会社は、保険業法上の基準や業界の慣行、会計基準に則った危険準備金、または異常危険準備金を積み立てておりますが、これらの準備金が実際の保険金等の支払いに十分でない可能性があります。

また、ソニー銀行も、大規模災害の発生にともなう経済情勢の悪化による貸倒れや、担保価値の下落などから貸倒引当金の積み増しが必要となることなどにより、与信関連コストが増加する場合があります。

さらに、物理的な損害などにより当社グループの業務が滞る可能性もあり、当社グループがこれらのリスクに適切に対応できなかった場合には、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3.持株会社としてのリスク

当社は金融持株会社であり、収入の大部分は当社が直接保有している子会社からの配当となっております。一定の状況下では、保険業法、銀行法および会社法上の規制などにより、子会社が当社に支払うことができる配当の金額が制限される場合があります。また、子会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当を支払えない状況が生じた場合などには、当社はその株主に対して配当を支払えなくなる可能性があります。

 

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