有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
また、当該将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。
① 事業内容の特性に係るリスク
・顧客に提供する商品及びサービスに係るリスクについて
当社グループの収益の大半は投信投資顧問業に係る委託者報酬及び投資顧問料収入によって構成されており、加えて当社グループが運用する資産の投資対象の大半を日本及びアジア地域の上場株式が占めています。従って、当社グループの運用資産残高や運用実績等は、世界経済の動向や、気候変動により起こる異常気象や自然災害、パンデミック、紛争、戦争など日本及びアジア地域の上場株式市場に影響を及ぼす事象の他、同地域の上場株式に対する顧客の資産配分方針に大きく影響を受けます。
また、気候変動問題をはじめとする、ESG(環境・社会・ガバナンス)課題の顕在化に伴い当社グループのステークホルダーからは、責任ある投資家として、ESGに配慮した責任ある投資を行うよう期待されております。当社グループの責任投資に関する取り組みや開示が期待から大きく乖離した場合には、運用資産残高の減少に伴う運用報酬の減少など、当社グループの業績に悪影響が及ぶおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、上場株式を運用対象とする事業において投資戦略の多様化に取組む一方、不動産、再生可能エネルギー発電事業や未公開株式等を運用対象とする商品の開発・提供にも注力し、これを着実に拡大しております。日本及びアジア地域の上場株式市場の低調な状況がたとえ長期化したとしても、グループ全体の業績に対する影響は過去に比べて相対的に小さくなっており、安定的に基礎収益を計上できる基盤が、より強化されてきていると考えております。
また、ESGに配慮した責任ある投資を適切に行うため、グループCIOを委員長とした責任投資委員会を設置し、当社グループの全ての投資戦略において、責任投資が適切に実践されているか等を協議し、推進しております。
・顧客基盤や販売チャネルの不安定性に係るリスクについて
当社グループは国内外に幅広い顧客ネットワークを構築して参りましたが、その基盤は必ずしも十分なものではありません。また、それら顧客と当社グループとの契約は比較的短期の事前通知により、また契約によっては事前通知することなく、いつでも顧客が解約することが可能です。一部の投資顧問契約及び投資信託を除いては、顧客に契約の終了又は資金の引出しを禁じるロック・アップ期間はありません。よって一部の顧客が契約の全部又は一部解約などを行ったり、他の顧客がこれに追随したりするなどしてファンド規模が縮小することがあります。さらに解約などによりファンド規模が縮小した場合、既存又は新規の顧客から新たな資金を集めることが困難になることがあります。これらの結果、運用報酬の減少など、当社グループの業績に悪影響が及ぶおそれがあります。
また、当社グループは他の多くの資産運用会社と異なり、銀行、証券会社、保険会社といった大手金融機関を核とした金融機関の系列に属しておらず、独立系の資産運用会社として自力で顧客基盤と販売チャネルを構築してまいりました。これらの競合他社は、系列に属することで強力な販売チャネルの活用が可能となることに加え、比較的に解約リスクの低い資金を集めることが可能であり、当社は運用資産残高及び営業収益の安定性あるいは耐久力に関して、比較劣位にあります。従いまして、今後も顧客基盤や販売チャネルの不安定性に基づく当社グループの運用資産残高の低下に伴う残高報酬の減少など、当社グループの業績に悪影響が及ぶおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、一つの機関投資家から大きな資金をお預かりすることだけでなく、個人投資家からの資金も含め、小口の運用資金を積み上げていくことで、特定の投資家への集中度を低下させ、たとえ解約が起きたとしても解約金額が限定的になるように努めております。
・運用実績の変動に係るリスクについて
当社グループが顧客から受託している運用資産に係る運用実績が悪化した場合、既存顧客との契約の維持及び新規契約の獲得に困難が生じ、運用資産残高の低下を招き、当社グループの業績及び今後の事業展開に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、当社グループは営業収益の一部を、運用実績に基づく成功報酬により得ておりますが、成功報酬の金額は運用実績を反映して毎年大きく変動しております。
このようなリスクに対して当社グループは、良好な運用実績を安定的に達成するため、創業時より続く社内の勉強会などを通じて、投資哲学の共有や運用能力の維持向上に努めております。
さらに、当社グループが運用する投資戦略は、成功報酬の付帯比率が高いオルタナティブ運用型の投資戦略と成功報酬の付帯比率が低い伝統的運用型の投資戦略の2つに大別され、この成功報酬の付帯比率を高位に保つことを経営方針の1つとしておりますが、日本及びアジアの株式市場の変動をはじめとする市場環境の動向や、それに基づく当社グループの運用実績、顧客の資産配分方針の変動などによって成功報酬の付帯比率が変動する可能性があります。
このようなリスクに対して当社グループは、既存の戦略においては成功報酬付きファンドの運用資産残高を積み上げるべくマーケティング活動に注力している他、新規戦略において成功報酬を計上できるようなスキームづくりに努めております。
・運用対象の拡大に係るリスクについて
当社グループは、日本及びアジア地域の上場株式を運用対象とする事業の他、不動産や再生可能エネルギー発電事業等のインフラ資産を運用対象とした商品の開発・提供にも注力しております。
当該分野の事業発展には、従前とは異なった経験や知見を有する人材やリソースの確保が必要であり、事業展開に想定以上の時間を要したり、初期投資の負担が一時的に収益性を毀損するおそれがあります。またこれらの事業領域では、個々の案件を推進した当社グループが第三者に生じた損害に対して賠償責任が生じ得る等の独自のリスクもあります。さらに、万一、顧客やマーケットの信頼を失い、監督当局から行政処分を受けるなどした場合は、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。その他、新規分野においては必ずしも市場が十分に成熟していないことを背景として、法令や諸規則の改正又はその解釈や運用の変更が行われる可能性もあり、その内容によっては今後の業務展開や業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、個々の案件において可能な限り保険或いは契約等によりリスクの回避を図る他、法的規制に対する十分な理解や内部管理体制の構築、そのための人材の充実に努めるほか、その領域に精通した外部専門家に十分なアドバイスを求めるなどの対策を講じております。また、撤退の基準を明確にするなど判断の遅れによる損失の拡大を防ぐよう努めております。
・当社グループが管理運営するファンドに係るリスクについて
当社グループが無限責任組合員又はゼネラルパートナーとしてファンドに関与している場合において、その運用方針、運用制限に沿ってファンド運用を行っている限りは、ファンドの出資額を超える損失が発生し、またそれについて当社グループが責任を負わなければならない事態は、ファンドの運用方針、運用制限の内容からは想定されません。しかしながら、何らかの逸脱行為によって出資額を超える損失を負担する可能性を完全には否定できず、この場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、ファンドとの契約内容が適切なものとなっているか、運用制限に沿ってファンド運用を適切に行っているか等、確認できる体制を構築しております。
・信用供与に関する偶発債務の顕在化に係るリスクについて
当社グループが不動産や発電事業等の実物資産に係る投資スキームを構築する上で、子会社や投資スキーム等を通じて保証等の信用供与を行う必要が生じる場合が例外的に存在します。信用供与先が、信用力低下や破綻等によって取引当事者としての義務を果たせない場合は、信用供与に関する偶発債務の顕在化のリスクが具体化し、これにより当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に悪影響が及ぶおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、事前に外部専門家に十分なアドバイスを求めるなどの対策を講じる他、保証実行のリスク等を慎重に検討し、顕在化するリスクが極めて低いと判断したもののみ限定的に信用供与を行うことに努めております。
・投資先企業への役員派遣に係るリスクについて
当社グループは投資先企業の価値向上のため、役職員を投資先企業の役員として派遣することがあります。その役職員個人に対して、役員損害賠償請求等があった場合、当社グループがその個人に生じた経済的損失の全部又は一部を負担することとなる可能性があるほか、当社グループに使用者責任が発生する可能性があります。
このようなリスクに対して当社グループは、投資先企業において会社役員賠償保険(D&O保険)の付保や責任限定契約の締結を求めるとともに、投資先企業の所在地や業態などを確認し、派遣している役職員が、当社が加入するD&O保険の補償対象範囲に含まれるように努めております。
② 経営の外部環境に係るリスク
・他社との競合に係るリスクについて
資産運用業、特に投資助言業は、金融業界の他業種に比べると参入障壁が比較的低い業種であり、常に国内外からの新規参入者との競合を覚悟する必要があります。また、グローバルレベルでの資産運用ニーズの高まりは資産運用業界全体にとっての追い風ではありますが、これにより新規参入が将来にわたってさらに促進される可能性があると共に、国内外の大手金融機関が資産運用サービスを経営戦略上重要なビジネスと位置づけ、積極的に経営資源を投入してくるケースも想定されます。また、業界内での統廃合によって、当社グループの競合他社の規模や体力が増強されることがあります。さらに、競合他社が当社グループのファンドマネージャーやその他の従業員の移籍・採用を図る可能性もあります。
この様に他社との競合は今後も激化していくことが予想され、その場合には、顧客の獲得や維持に困難が生じるだけでなく、残高報酬料率や成功報酬料率の水準にも影響を及ぼし、当社グループの業績に悪影響が及ぶおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、日本及びアジア地域の上場株式を運用対象とする事業において投資戦略の多様化に取組む一方、不動産、再生可能エネルギー発電事業や未公開株式等を運用対象とする商品の開発・提供にも注力し、これを着実に拡大することで、結果的に競合する他社とは異なるユニークな事業展開によって差別化を図っております。
また、当社グループの投資哲学を深く理解し、共有・実践することのできる運用体制の構築を、時間をかけて愚直に行うこと、そして当該運用体制によって長く優れた運用実績を積み重ねることが資産運用業にとって最も大切であり、競合する他社には簡単に作り上げられない価値と考え、今後も維持・強化していくとともに、この価値を当社グループのブランド構築の柱に据えて取り組んでまいります。
その他、採用した優秀な人材が互いに切磋琢磨し、成長の機会が提供されて自らの成長を実感できるよう、裁量を与えられて仕事に取り組むことができる社風を維持することに努めている他、適切なインセンティブ制度の提供という金銭的なモチベーションだけでなく、非金銭的なモチベーションも強く感じることのできるよう、”Professional Nurturing Ground(プロを育む肥沃な土壌)”の提供に取り組んでおります。
・為替相場の変動に係るリスクについて
当社グループの財務諸表は円建てで表示されているため、外国為替レートの変動は、外貨建て資産及び負債の円換算額に影響を及ぼします。また、当社が海外子会社を連結する際には、当該子会社における外貨建ての資産や負債あるいは収益及び費用の円換算額も変動し、連結貸借対照表・連結包括利益計算書上の「為替換算調整勘定」を変動させます。
その他、日本国内子会社の営業収益の大部分は円建てですが、一部の外貨建て取引においては外国為替レートの変動により、これらを円換算する際に、為替差損が生じるおそれがあります。日本以外の顧客との契約の増加などを理由として外貨建て取引が増加した場合、為替変動リスクが増大する可能性があります。
このようなリスクに対して当社グループは、為替変動リスクの業績への影響を最小限にするため、為替予約を行うなど為替変動リスクをヘッジする方策を講じております。
③ 内部管理に係るリスク
・アジア地域で実行したM&Aに係るリスクについて
当社グループは、国内外の投資家に対してアジア地域の成長機会を提供すべく、アジア地域の運用会社のネットワーク化に取り組んでおります。
2005年2月には、韓国に拠点をもつSPARX Asset Management Korea Co.,Ltd.(以下、「SPARX Korea社」)の発行済株式の過半数を取得し、また2006年6月には、香港を主な拠点とするSPARX Asia Capital Management Limited(旧 PMA Capital Management Limited)の全株式を取得いたしました。さらに、2014年4月には、総合不動産投資顧問業(いわゆる不動産投資一任業及び不動産投資顧問業)等を営むスパークス・アセット・トラスト&マネジメント株式会社(旧 ジャパンアセットトラスト株式会社)の株式を取得し、完全子会社といたしました。
しかしながら、M&A戦略に基づく事業展開が計画通りに進捗しなかったり、あるいは予期しない環境変化などにより買収会社の業績が著しく悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財務状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
このようなリスクに対して当社グループは、日本・韓国・香港の運用拠点が、スパークスの投資哲学の共有を徹底させることで、各拠点における運用力の向上を図ると同時に、各拠点が協働することで業績の向上に努めております。また、当社取締役会による業績の定期的なモニタリングなど、グループ内に適切な内部管理体制を構築し、各社の事業計画の進展を確認しております。
・自己勘定からの投資に係るリスクについて
当社グループは、自己勘定から当社グループが運用するファンドや量子コンピュータ、医療・介護などの成長領域等への投資を行っております。2022年3月末の有価証券・投資有価証券の残高は121億55百万円であり、総資産の32.7%を占めています。この投資額は過去から増減しており、余裕資金の残高、市場環境及び当社グループの運用実績等に基づき、今後も大きく変動する可能性があります。この投資のうち市場価格がある有価証券・投資有価証券については、取得原価と時価との差異は、税効果を考慮した後、貸借対照表における「その他有価証券評価差額金」に計上されておりますが、取得価額を時価が下回った状態で実際に解約・償還等が行われた場合や時価が著しく下落したこと等により減損処理を行った場合には、売却損や評価損として損益計算書に反映され、当社グループの業績が悪影響を受けるおそれがあります。また、市場価格がない有価証券・投資有価証券については、貸借対照表において取得原価で計上されており、投資先の業績不振等により有価証券等の資産価値が下落し減損処理を行った場合には評価損として損益計算書に反映され、当社グループの業績が悪影響を受けるおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、投資総額が連結純資産額の一定の範囲に収まるように管理する他、市場価格のある有価証券・投資有価証券については月次でモニタリングを実施して時価及び損益の把握に努め、また、市場価格のない有価証券・投資有価証券については、四半期ごとに事業進捗、財務状況等の把握に努めることで、それぞれ投資先の状況を定期的に確認しております。
・税に係るリスクについて
当社グループは、国内外で事業を展開し、各国の税法に準拠して適正な納税を行っております。しかし、国や地域間での税務上の取り決め及び各国や各地域における税制上の制度運用や解釈などに変更が生じた際の対応が不十分な場合には、今後の事業展開や当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、適切な納税を行うため、各拠点においてそれぞれ又はグループ全体で税務顧問のアドバイスを受け、適切な税務判断を行うよう努めております。
・人材の確保に係るリスクについて
当社グループは、事業の維持及び成長を実現するためには、全ての部門で適切な人材を適切な時期に確保することが重要と考え、継続的に優秀な人材を採用し、教育を行ってまいります。しかし、優秀な人材が社外に流出した場合や人材の採用・教育が予定通り進まなかった場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に悪影響が及ぶおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、「世界で最も信頼・尊敬される投資会社になる」ことで「世界を豊かに、健康に、そして幸せにする」というミッションをグループ全体へ浸透させるため、ビジョンステートメントを作成し、それに沿った採用のルールを設けるなどの取組を行っております。その他、採用した優秀な人材が、互いに切磋琢磨し、成長の機会が提供されて自らの成長を実感できるよう、また金銭的なモチベーションだけでなく、非金銭的なモチベーションを強く感じることのできるよう、”Professional Nurturing Ground(プロを育む肥沃な土壌)”の提供に取り組んでおります。
・外部事業者に係るリスクについて
当社グループは、業務遂行の過程で多くの外部事業者を活用しています。これらには投資信託財産や顧客資産の保管・管理を行うために指定される受託銀行(投資信託委託契約及び国内顧客との投資一任契約の場合)及び保管銀行(外国籍の顧客との投資一任契約の場合)、取引を執行する証券会社などが含まれます。当社グループが利用している外部事業者において、安定的なサービス提供に困難が生じるような事態が発生した場合、当社グループの業務遂行上に支障が発生するおそれがあります。また、当社グループの信用が間接的に損なわれるおそれもあります。
このようなリスクに対して当社グループは、特定の外部事業者に依存した業務遂行を行わないように努める他、定期的に外部委託先の往査を行うなど継続的なモニタリングを通じて、安定的なサービス提供が受けられることの確認に努めております。
また、マネーロンダリング/テロ資金供与対策(以下、「AML/CFT」という。)に対する規制が今般強化されており、ファンドの販売会社に対してもAML/CFTへの対応状況をモニタリングしております。
・システム障害に係るリスクについて
当社グループが業務を行う上でコンピューター・システムは必要不可欠なものであり、障害が生じた場合、当社グループの業務に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、テロ、気候変動により起こる異常気象から生じる風水害や地震等の自然災害、さらには高度化する外部からのサイバー攻撃その他の不正アクセスにより、当社グループの重要な情報の改ざん、消失を引き起こし、想定以上のシステム障害が発生した場合には、業務に悪影響を及ぼすおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、情報セキュリティ規程類を整備し、システムの改善、サーバーの増強、信頼性の高いデータセンターを利用するなど、システムの安定的な稼動及び保守運営と保持する情報資産の機密性・完全性・可用性の確保に努めております。加えて、サイバー攻撃の高度化を踏まえ、サイバーセキュリティ規程類を整備し、多層防御(入口対策、内部対策、出口対策)によるシステム脆弱性の適切な対応、定期的な訓練を実施するなど、サイバーセキュリティ対策の強化に努めるとともに、業務継続のための計画を策定し、事故・災害等発生時の業務への支障を軽減するための対策を講じております。
・役職員による過誤及び不祥事並びに情報漏えいに係るリスクについて
当社グループの役職員等による業務上の過誤や不祥事等、あるいは情報の漏洩や悪用が発生した場合、当社グループが第三者に生じた損害を賠償する責任を負うだけでなく、顧客やマーケットの信頼を失い、さらには監督当局から行政処分を受けるなど、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、社内業務手続の確立を通して役職員による過誤の未然防止策を講じている他、情報の重要性に応じたセキュリティ体制を構築し、情報漏えいを未然に防止する体制を構築しております。また、業務上のヒヤリハット(重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の認知)を「インシデントレポート」として取りまとめ、社内委員会にて共有し、継続的な業務改善に努めております。特にコロナ禍においてテレワークが進み業務上の過誤の発生可能性が高まっているため、社内業務手続きの確立を通して役職員による過誤の未然防止策を講じております。その他、コンプライアンス関連、情報セキュリティ関連の研修などを通じて、役職員の意識を継続的に高めるよう努めております。
④ その他のリスク
・法的規制に係るリスクについて
当社グループは、日本においては、金融商品取引法に定める投資運用業、投資助言業、第一種金融商品取引業及び第二種金融商品取引業に加え、それらに関連あるいは付随する業務を営んでおりますので、金融商品取引法を始めとする各種の法令や諸規則を遵守する必要があります。
当社グループでは、現時点において、主たる業務において以下の許認可及び登録(以下、「許認可等」という。)を受けております。現時点におきましては、上記免許又は認可が取消しとなるような事由は発生しておりませんが、将来、何らかの理由により許認可等の取消等があった場合には、当社グループの事業推進に悪影響を及ぼす可能性があります。
取得・登録者名 |
スパークス・アセット・マネジメント株式会社 |
スパークス・アセット・トラスト &マネジメント株式会社 |
取得年月 |
2007年9月30日 |
2007年9月30日 |
許認可等の名称 |
金融商品取引業者(登録) |
金融商品取引業者(登録) |
所管官庁等 |
金融庁 |
金融庁 |
許認可等の内容 |
投資運用業 投資助言・代理業 第一種金融商品取引業 第二種金融商品取引業 登録番号 関東財務局長(金商)第346号 |
投資運用業 投資助言・代理業 第二種金融商品取引業
登録番号 関東財務局長(金商)第783号 |
有効期限 |
有効期間の定めはありません。 |
有効期間の定めはありません。 |
法令違反の要件 及び主な許認可取消事由 |
不正の手段により登録を受けた場合、役員等が欠格事由に該当する場合、純資産額が必要かつ適当な水準に満たない場合など、金融商品取引法第52条に抵触する場合は登録の取消 |
不正の手段により登録を受けた場合、役員等が欠格事由に該当する場合、純資産額が必要かつ適当な水準に満たない場合など、金融商品取引法第52条に抵触する場合は登録の取消 |
取得・登録者名 |
スパークス・アセット・トラスト &マネジメント株式会社 |
スパークス・アセット・トラスト &マネジメント株式会社 |
取得年月 |
2022年4月28日 |
2021年7月15日 |
許認可等の名称 |
不動産投資顧問業者(登録) |
宅地建物取引業者(免許) |
所管官庁等 |
国土交通省 |
東京都 |
許認可等の内容 |
総合不動産投資顧問業 登録番号 国土交通大臣 第149号 |
免許証番号 東京都知事(3)第86144号 |
有効期限 |
2022年4月28日から 2027年4月27日まで (5年間) 以後5年ごとに更新 |
2021年7月15日から 2026年7月14日まで (5年間) 以後5年ごとに更新 |
法令違反の要件 及び主な許認可取消事由 |
不正の手段により登録を受けた場合、役員等が欠格事由に該当する場合など、不動産投資顧問業登録規程第30条に抵触する場合は登録の取消 |
不正の手段による免許の取得、役員等が欠格事由に該当する場合など、宅地建物取引業法第66条に該当する場合、免許の取消 |
また、韓国、香港、バミューダ及びケイマン等におきましても資産運用業等を営んでおりますので、それぞれの国や地域における法令や諸規則を遵守する必要があります。広範な権限を有する監督当局等から行政上の指導あるいは処分を受けるというような事態が生じた場合には、その内容によっては通常の業務活動が制限されたり、行政処分などを理由として顧客が資産を引き揚げたりするおそれがあります。また、法令や諸規則の改正又はその解釈や運用の変更が行われる場合、その内容によっては今後の業務展開や業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
加えて当社グループは気候変動に対する政策及び法規制、市場の要求を踏まえ、再生可能エネルギー事業に取り組んでおりますが、これらの規制が予測を超えて厳しくなった場合は、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を与えるおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、国内外の法令や諸規則の遵守を徹底するため、グループ各社が社内規則及びモニタリング体制の整備、さらには役職員等に対する研修に努める一方、当社に設置されたコンプライアンス委員会がグループ内の利益相反取引などのモニタリングと指導を行い、適切なコンプライアンス態勢を維持・強化に努めております。また当社グループの事業に関連する政策や法規制の改正等の動向に注視し、事業への影響の低減を図っております。
・訴訟等の可能性に係るリスクについて
当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟等は現在存在しません。また当社グループの事業に重大な影響を及ぼすような訴訟に発展するおそれのある紛争も現在ありません。しかしながら、当社グループの事業の性格上、当社及び当社の国内外子会社が関連法規や各種契約などに違反し、顧客に損失が発生した場合等には訴訟を提起される可能性があります。このような訴訟が提訴された場合、訴訟の内容及び金額によっては当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、グループ各社に適切な内部管理体制を構築し、各社にコンプライアンス委員会を設置して関連法規や各種契約などに違反していないかどうかモニタリングと指導を行い、当社のコンプライアンス委員会がそれらを取りまとめ、グループ全体のコンプライアンス態勢が適切な水準を維持していることを、常に確認しております。
また、グループ役職員に求められる行動規範の1つとして「悪い情報ほど早く報告する」を定め、これに従って大小にかかわらず顧客からの不満、クレームに関する情報が、適時に経営陣に報告される体制を構築しております。さらにその内容によっては、外部専門家に十分なアドバイスを求めるなどの追加的な対策を講じます。
・阿部修平への依存の高さに係るリスクについて
当社の創業者であり、現 代表取締役社長である阿部修平は、当社グループの事業経営及び投資戦略の方向性の決定において重要な役割を果たしています。このため、阿部が何らかの事情で通常の職務を遂行できなくなる場合には、当社グループの業績に少なからぬ悪影響を及ぼすリスクがあります。
また2022年3月末現在、阿部は、本人及び本人の出資する会社(以下「阿部グループ」といいます)を通じて、当社株式の過半を保有する大株主であります。阿部グループは、当社取締役の選任等会社の基本的な事項を決定することができるため、この点においても、阿部が何らかの事情で適切に議決権を行使できず、企業価値を害されるような議決権行使がされてしまう場合には、当社グループの利益ひいては他の株主の利益に少なからぬ悪影響を及ぼすリスクがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、より組織的な運営形態の構築及びマネジメントを担い得る人材の育成により、阿部個人への依存度を引き下げる努力を継続的に行ってまいります。
・連結の範囲決定に係るリスクについて
当社グループは、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会 実務対応報告第20号 最終改正平成23年3月25日)を適用しており、各ファンド及びSPCごとに、アセットマネジメント契約や匿名組合契約等を考慮し、個別に支配力及び影響力の有無を検討した上で、子会社及び関連会社を判定し、連結の範囲を決定しております。
今後、新たな会計基準の設定や実務指針等の公表により、各ファンド及び各SPCに関する連結範囲決定方針について、当社グループが採用している方針と大きく異なる会計慣行が確立された場合には、当社グループの連結範囲に大きな変更が生じ、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して当社グループは、新たな会計基準の設定や実務指針等の決定前からその動向を注視して影響を最小限にするように努めるほか、新たなファンドやSPCとの契約を締結する際に、個別に支配力及び影響力の有無を確認してまいります。
・負債による資金調達に係るリスクについて
当社グループでは、これまでアジア地域での事業展開を主たる目的に、自己資金の活用に加え、増資、銀行借入れ、社債による資金調達を行ってまいりました。2022年3月末時点の外部有利子負債額は90億円であり、株式会社格付投資情報センターより2022年3月末時点で取得している発行体格付けは「BBB+(安定的)」ですが、金融市場での信用収縮や金利上昇が生じた場合には、追加的な資金調達に悪影響を及ぼすおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、今後も保守的な財務方針を堅持し、バランスシートの健全性、キャッシュ・フローの安定性に留意した資金計画と財務活動によって、事業の発展に資する資金調達に努めてまいります。
・気候変動に係るリスクについて
当社グループは、気候変動が環境・社会、人々の生活・企業活動にとっての脅威であり、金融市場の安定にも影響を及ぼしうる最も重要なグローバル課題の一つであると認識しておりますが、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、上場会社としての情報開示が不十分であった場合又はそのように見做された場合には、当社グループの企業価値の毀損に繋がるおそれがあり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
このようなリスクに対して当社グループは、金融安定理事会(Financial Stability Board)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures。以下「TCFD」)が策定した気候変動関連財務情報開示に関する提言への支持を表明するとともに、必要なデータの収集と分析を行い、TCFDに沿ったリスクの把握・評価や情報開示の拡充に取り組んでまいります。
・SNSなどを通じた情報発信に伴うリスクについて
当社グループ又は当社グループが行っている事業全般に対する否定的な風評が、マスコミ報道やインターネット上の掲示板、SNSへの書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社グループ又は当社グループが行っている事業、あるいは当社グループが提供する商品やサービスのイメージ・社会的信用が毀損し、ひいては当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して当社グループは、SNSやインターネット上の掲示板への悪質な書き込みに対して毎日モニタリングを行っており、必要に応じてSNSや掲示板の運営者に対し削除依頼等の対応を行ってまいります。
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