文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、企業理念を「私たちは、人々が『安心して働ける環境』と企業の『活力ある個と組織』を皆様と共に創り出します。」と定め、コーポレートメッセージとして掲げる「企業に未来基準の元気を!」の下、企業と働く人々を取り巻く様々なリスクや課題を解消するための解決策の提供と企業の健康経営推進への取り組みを支援してまいります。
私どもは、従業員が心身ともに元気で、一人ひとりが自分の能力を最大限に発揮できるとき、企業の生産性も大幅に向上し、企業も活性化すると考えております。こうしたプロセスを経て、企業の元気を創り出し、企業を支援し続けることを目指し、以下の行動準則に従って業務を遂行してまいります。
当社グループは、2017年の健康経営宣言策定以降、健康経営銘柄取得を一つのベンチマークとして、その取り組みを推進してまいりました。健康経営度調査票のフィードバックをもとに改善策を実施し、PDCAサイクルを回し続けたことが功を奏し、2022年3月、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する「健康経営銘柄 2022」に初めて選定されるとともに、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」において、5年連続となる『ホワイト500』の認定を受けました。
当社グループでは、健康経営推進の目的と体制図を以下のとおり定めております。
(2)経営戦略
① 中期経営計画
当社は、2021年5月に、2021年度から2023年度を対象期間とする「中期経営計画2023」(以下「中期経営計画」という)を策定いたしました。中期経営計画につきましては、“ウェルビーイング領域におけるNo.1プラットフォーマーへ”を骨子としており、当該領域における社内外の人事データや各種サービスを結び付けることのできる「アドバンテッジウェルビーイングDXP」を基軸として、顧客企業の皆様に対して複数サービスの総合提案を推進し、ウェルビーイング関連の事業領域の拡大を進めてまいります。
(*)当社事業における心身の健康、従業員の成長、リスクの予防と発生時の支援、両立支援、福利厚生、
余暇支援、会社との一体感醸成等の業務領域
② 中期経営計画の具体的な取組内容
従来の事業ドメインを内包するウェルビーイング関連領域において実効性のある課題解決策をSaaSにて展開し、既存事業の深掘りとドメイン拡大を進めることにより、同領域におけるソリューション提供のリーディングカンパニーを目指すことを基本方針としております。具体的には、(1) DXプラットフォームの展開、(2) BtoBtoE領域への進出、(3) 資本提携・オープンイノベーションの加速、(4) 人材育成強化・健康経営推進、(5) ITケイパビリティの強化を重点テーマとして各種施策を実施し、顧客企業の生産性向上を通じた「企業価値の向上」と「従業員の元気」の実現を経営ビジョンとした事業活動を展開いたします。
1)DXプラットフォームの展開
中期経営計画のコア商品となる「アドバンテッジウェルビーイングDXP」は、これまでバラバラに管理してきた人事労務関連データを集約するデータマネジメントプラットフォームであり、データ集約にとどまらず、データ分析を通じて課題抽出を行い、“課題解決までのPDCAをサポートすること”をコンセプトとしています。従来の単品セールスになりがちな状況から、統合プラットフォーム上にてストレスチェック・エンゲージメントサーベイ実施後の多様化する企業ニーズの可視化から課題解決、効果検証までの利用を促すことで本来のカスタマーサクセスを実現し、単価向上及び新規契約の拡大につなげます。
2)BtoBtoE領域への進出
従業員のエンゲージメント向上に直結するウェルビーイング型の福利厚生サービスの提供を軸にBtoBtoEという新たな事業領域への進出により事業規模を拡大いたします。
3)資本提携・オープンイノベーションの加速
企業の多様化するニーズに幅広く応えるため、資本も含めた業務提携による新サービスの開発やオープンプラットフォーム上へのサービスメニューの追加、データの蓄積などを加速し、「ウェルビーイング領域におけるNo.1プラットフォーマーへ」の実現を目指します。
(3)経営環境
①市場環境
当社グループの事業は、例えば、メンタル疾患による労災認定件数や企業における心の病の増加、従業員の死亡リスクから生きるリスクへの備えへの変化、人事部門における福利厚生関連事務といった主要業務以外のアウトソースの促進、公的保障への期待の低下と生活保障準備に対する高い自助努力意識など、社会的な問題意識の高まりや環境変化を背景とした企業と働く人々の課題解消ニーズに対応した各種サービスの開発及び提供を行っております。
最近では、あらゆる企業に共通する経営課題として「働き方改革」と「健康経営」への取り組みが認識されております。当社グループの事業は、正にこのような経営課題への企業の取り組みを支援するための商品及びサービスの提供であり、市場環境が追い風の中、増大するビジネスチャンスを着実に捕捉し、さらなる企業価値の増大を目指してまいります。
②競合の状況
メンタリティマネジメント事業については、労働安全衛生法の一部改正によるストレスチェック義務化を契機として新規参入企業が増加しております。その中で、当社グループは、トップシェア企業としての強みを活かした事業展開を図ることにより、サービスレベルや専門性の点で優位性を確保しているものと認識しております。
GLTD販売を中心とする就業障がい者支援事業については、他社に先行してGLTDに付随するサービスの開発に取り組み、また、マーケットを保有する保険会社や事業会社との提携を推進してきたため、サービスレベルや専門性の点で優位性を確保しているものと認識しております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
メンタリティマネジメント事業、就業障がい者支援事業及びリスクファイナンシング事業、並びに全事業共通の対処すべき課題は、以下のとおり考えております。
① メンタリティマネジメント事業
主にメンタル不調による就業不能発生の予防や職場の高ストレス者に対応するためのメンタルヘルスケアにとどまらず、組織や個人に対して生産性向上の観点からポジティブサイドのアプローチも行う事業として推進しております。競合企業が増加する中、市場のニーズに対応した新商品を適時に投入し、競合他社との差別性を確保しつつ、シェアを拡大していくことが重要な課題と考えております。
1)企業のストレスチェック義務化への対応
法制化にフルラインアップで対応する「アドバンテッジタフネスシリーズ」の安定的運用を図るとともに、顧客要望等を踏まえたうえで、提供するサービスのクオリティ向上に取り組んでまいります。
2)大企業マーケットの顧客基盤拡大
一定の規模以上の顧客に対して、外部チャネルの積極的な活用やセミナーの開催を始めとしたマーケティング活動等の様々な手段により継続的にアプローチを行い、積極的な営業展開を図ってまいります。
3)ミドルマーケットの開拓
中堅企業に対して、多様な商品・サービスを個々のニーズに応じて提案し、ミドルマーケットにおける新規顧客開拓を推進してまいります。
4)効率的なオペレーション体制の構築
導入企業数、対象従業員数の拡大に伴う課題として、業界トップレベルの品質である商品・サービスを安定供給するためにも、オペレーション体制のさらなる効率化に取り組んでまいります。
5)人事課題解決型プラットフォームの構築
従業員の心身の健康状態や人事労務情報についての各種ビッグデータを分析し、分析結果に基づいて組織・従業員個人のパフォーマンス向上を図ることにより企業の健康経営を実現する人事課題解決型「アドバンテッジ ウェルビーイングDXP」の構築・提供を進めてまいります。
② 就業障がい者支援事業
就業障がい者支援事業で展開しているサービスについては、競合他社との差別化を意識した開発を行っておりますが、競争が激しくなる市場において、優位性を確保しつつシェアを拡大していくことが重要な課題と考えております。
1)GLTD販売
イ.新規顧客の獲得の強化
一定の規模以上の顧客に対して、GLTDに注力しているパートナー企業との連携や積極的なマーケティング活動等、様々な手段によりアプローチを行います。第4類団体(共通目的を持つ者により組織される会員団体)への本格展開等、より一層の新規顧客の獲得活動に取り組んでまいります。
ロ.ミドルマーケット参入のための基盤づくり
ミドルマーケット参入のため、同マーケット向けの商品開発、中堅企業との取引に業務基盤を有する企業との提携に取り組んでまいります。
ハ. 新たな優位性の確立
GLTDの普及が進むことによって、これまでの実績や知見・ノウハウ面での優位性が相対的に低下していくことが考えられるため、新たな優位性の確立に取り組んでまいります。
2)休業者管理支援システムの顧客開拓
GLTDの付帯サービスとして提供していた休業者管理業務支援システムを改良、刷新し、会社と休業中の従業員を繋ぐクラウドサービスとして商品化した休業者管理支援システム「ADVANTAGE HARMONY(アドバンテッジ ハーモニー)」の利用顧客拡大を推進してまいります。
③ リスクファイナンシング事業
当該事業は、成熟したマーケットを対象としております。また、当事業では職域等のチャネルを通じて主に個人に対してサービス提供も行っており、適切な募集体制の構築に取り組むことや提供するサービス及びオペレーション体制を適宜見直すこと等により、効率的な業務運営を行うことが重要な課題と考えております。
④ 全事業共通
当社の属する各市場の競争環境が激化する中において、顧客企業の皆様の生産性の向上を通じた企業価値の向上と、従業員の真のウェルビーイングを同時に実現することで優位性を確保していくことが重要な課題と考えております。この課題に対応するため、持分法適用関連会社であるリソルライフサポート株式会社との連携を図り、当社が有する健康経営支援事業・両立支援事業におけるDXプラットフォーム及び課題解決のためのソリューション商品と、同社が提供する総合的福利厚生サービスを活用し、「健康経営・両立支援」と「福利厚生」が一体化した従業員エンゲージメント向上のための共通基盤の構築を進めてまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
目標とする経営指標
当社グループでは、各事業において提供している各種サービスを多くの方に提供し、かつ、長期にわたって提供することを基本方針とし、事業規模の拡大と収益性の向上が当面の間重要な課題と認識しております。従いまして、連結売上高及び連結売上高経常利益率を重要な経営指標として位置付け、当該指標の向上に努めたいと考えております。
直近の状況を示すと、次の通りであります。
回次 |
第20期 |
第21期 |
第22期 |
第23期 |
第24期 |
決算年月 |
2018年3月 |
2019年3月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
連結売上高(百万円) |
4,482 |
4,897 |
5,263 |
5,452 |
5,792 |
経常利益(百万円) |
827 |
926 |
954 |
730 |
362 |
連結売上高経常利益率(%) |
18.5 |
18.9 |
18.1 |
13.4 |
6.3 |
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