課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)私たちの目指すもの

当社は、1974年に創業し、10万戸を超える供給実績のある新築マンションをはじめ、新築一戸建やリノベーションマンションを供給するほか、投資用不動産の開発・再生、不動産賃貸管理、アパートメントホテルの開発・運営などへ業容の拡大を進めてまいりました。

新型コロナウイルス感染症の影響により働き方やライフスタイルの変化がさらに加速する中、ますます不動産の利活用に対するニーズが多様化しています。

当社はMission(存在意義)として、『「Next GOOD」お客さまへ。社会へ。一歩先の発想で、一歩先の価値を。』を掲げ、これらの社会の変化とニーズの多様化にこたえる、商品・サービスを提供し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営方針、目標とする経営指標

2027年3月期を最終期とする「中期経営計画2026」において定めた重点テーマと、目標とする当社グループの経営指標は、以下の通りです。

 

<「中期経営計画2026」 重点テーマ>

●事業・財務基盤の強化

●新たな事業創造

●ESG経営の実践

 

<「中期経営計画2026」最終年度において目標とする経営指標>

●営業利益:100億円

●営業利益率:6%

●自己資本比率:30%

 

(3)経営環境

①全般

当連結会計年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症影響の長期化を背景に、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発出されたことにより、各種の社会経済活動の抑制、個人消費の低迷が継続しました。2021年後半にかけて、新型コロナウイルス対策の進展や行動規制の緩和により、一時的に持ち直しがみられたものの、2022年1月以降、新たな変異株の出現とともに感染者数が急速に再拡大するなど、年間を通して新型コロナウイルス感染症の影響が継続しました。

今後の日本経済は、経済対策をはじめとした各種政策、新型コロナウイルス感染症のワクチン追加接種や治療薬の普及等により、経済活動が正常化に向かうことが期待されます。その一方で、新型コロナウイルス感染症の収束の時期が見通しづらいことに加え、国際的な政治情勢の不安定化、金融市場や資材価格の動向など、依然として先行き不透明な状況にあり、内外経済の下振れリスク等を注視していく必要があります。

 

②レジデンシャル事業セグメント

2021年においては、首都圏・近畿圏の新築マンション市場は、供給戸数の増加、平均価格の上昇、初月契約率の高水準等、住宅購入に対する需要は堅調に推移しました。中古マンション市場についても成約件数は引き続き底堅く、成約価格が上昇しました。

2022年以降においては、金利上昇や雇用をはじめとした経済環境に対する新型コロナウイルス感染症の影響が長期化した場合の住宅購入に対する意欲の減退などのマンション市況の悪化リスクや、資材価格の動向を注視する必要があります。

また、長期的には、国内マンション市場は人口減少等により緩やかに縮小する見通しとなっています。その一方で、首都圏への人口集中は継続する見通しとなっていることに加え、単身・シニア世帯の増加、消費・所有に対する意識の変化、また新型コロナウイルス感染症がもたらした働き方やライフスタイルの変化を背景とした住宅に対するニーズの多様化など、新たな商品・サービスの開発を通じたビジネスチャンスが期待できます。

 

③ソリューション事業セグメント

2021年においては、首都圏不動産投資市場は、オフィスビルにおいて空室率の上昇が続いたものの、低金利等を背景に、引き続き積極的な投資姿勢が継続しました。首都圏賃貸市場は、新型コロナウイルス感染症による影響が軽微な範囲に留まり、住宅における空室率も概ね横ばいで安定推移いたしました。

2022年以降においては、新型コロナウイルス感染症影響は限定的で稼働状況等に現状より著しい悪化は生じず、収益不動産に対する需要は堅調に推移することが見込まれる一方で、オフィス・店舗区画等における空室率上昇や賃貸条件悪化や金利上昇など、投資用不動産市況の悪化リスクや資材価格の動向を注視する必要があります。

一方、新型コロナウイルス感染症がもたらした働き方やライフスタイル、消費行動の変化と、それによる不動産の利活用に対するニーズの多様化など、新たな商品・サービスの開発や、周辺事業領域への展開を通じたビジネスチャンスが期待できます。

 

④宿泊事業セグメント

2021年においては、観光市場は、渡航制限に伴う訪日外国人旅行者数の低迷が続き、国内宿泊者数も前年並みの水準となったことから、昨年同様に厳しい事業環境となりました。

2022年以降においては、経済対策をはじめとした各種政策の実施やワクチン追加接種・治療薬の普及、及び渡航制限の緩和などにより観光市場全体で段階的な回復基調へと移行することが期待される一方、稼働低迷の長期化リスクや不動産投資市場におけるホテル投資の動向を引き続き注視する必要があります。

中長期的には、日本における独自の豊富な観光資源と、東・東南アジア諸国における一人当たりGDPの増加を背景に、家族・グループでの渡航・中長期滞在ニーズの回復と拡大が期待できます。

 

⑤工事事業セグメント

2021年においては、緊急事態宣言下におけるオフィス移転・内装工事や建築・リノベーション工事の見合わせなどにより、需要が一時的に低迷したことに加え、木材をはじめとした資材価格の高騰等の影響がみられました。

2022年以降においては、働き方の変化によるオフィスに対するニーズの多様化、消費行動の変化による店舗等に対するニーズの多様化などを背景に、オフィス移転・内装工事等、建築・リノベーション工事における受注機会の回復と事業拡大が期待できる一方で、資材価格の動向については注視していく必要があります。

 

(4)会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略

前述の経営環境を踏まえ、新型コロナウイルス感染症で悪化した業績の回復・向上と将来のさらなる成長に向けて「中期経営計画2026」を策定しております。事業・財務基盤の強化と新たな事業創造、ESG経営の実践を通じてさらなる企業価値の向上に努めてまいります。「中期経営計画2026」における主要な取り組みは以下の通りです。

 

①成長と安定を両立する事業ポートフォリオの構築

●安定的な経営を支える現在の事業ラインアップを継続強化するとともに、戦略的に拡大を進めてきたリノベーションマンション販売・収益不動産等販売をドライバーとして事業成長を加速させます。

●宿泊事業について、仕掛中施設の開業・稼働向上と着実な施設販売を進めるとともに、インバウンド市場の回復・再拡大に応じて、新規案件への投資再開も検討いたします。

●不動産に対するニーズの多様化を念頭においた高付加価値戦略と、その実現に向けたバリューチェーン強化やデジタル活用により収益性の向上をめざします。

 

②セグメント別戦略

a.レジデンシャル事業

●新築分譲住宅及びリノベーションマンションのブランドを「INITIA」へ統合し、ブランド価値のさらなる向上を追求してまいります。

●リノベーションマンション販売をドライバーとした事業成長と、10万戸超の分譲マンション開発で培ったノウハウと製販一貫体制を活かした付加価値の高い商品企画による収益性向上をめざします。

●新築マンションにおける全住戸ZEHの採用や地域コミュニティ形成、中古ストック再生等によりESG経営を実践します。

b.ソリューション事業

●新築・中古を問わない多様なアセットタイプの収益不動産販売と、独自の不動産運営コンテンツとのシナジー効果により、さらなる事業拡大と収益性向上をめざします。

●中古ストック再生や、コミュニティ形成に寄与する不動産コンテンツの開発・展開等によりESG経営を実践します。

 

c.宿泊事業

●家族・グループでの中長期滞在ニーズにこたえる都市型アパートメントホテル「MIMARU」のブランド力のさらなる向上をめざします。

●仕掛中施設の開業・稼働向上と着実な施設販売を進めるとともに、インバウンド市場の回復・再拡大に応じて、新規案件への投資再開も検討してまいります。

●積極的な外国人採用や、公的不動産をアウトドアリゾートとして有効活用した「ETOWA」の展開等により、ESG経営を実践します。

d.工事事業

●国内・海外のデザインアワード等で多くの受賞実績がある、空間設計・デザイン力のさらなる強化を進めます。

●ファシリティ領域(オフィス移転・内装工事等)、建築領域(建築・リノベーション工事・マンションギャラリー設営工事等)における事業拡大・収益性向上をめざします。

●環境配慮型商品の活用等、環境負荷の低い事業展開への取り組みによりESG経営を実践します。

 

③新たな事業創造

a.海外事業

豪州(シドニーエリア)で展開している分譲住宅開発事業の深耕・拡大をめざすとともに、国内で培ったノウハウを活用できる事業について、米国・テキサス州ダラスやベトナム・ホーチミンなど市場の成長性が高い地域への進出・展開も検証します。

b.新たな運営コンテンツの開発

アパートメントホテル、レンタルオフィス、シェアレジデンス、アウトドアリゾート等に続く新たな運営コンテンツの開発を進め、収益不動産の価値最大化と運営受託による収益基盤の拡充をめざします。

c.アセットマネジメント事業

ソリューション事業で培ってきた収益不動産の価値向上ノウハウを活用できるアセットマネジメント事業への展開を検証します。また、収益不動産販売における仕入機会や販売チャネルの拡充とともに、不動産賃貸管理・運営の受託機会の拡張もめざします。

 

④DXへの取り組み強化

これまで推進してきたビジネス領域・コーポレート領域でのデジタル化に加え、DXへの取り組みを加速して経営・事業の革新と多様な働き方の実現をめざします。

 

⑤ESG経営の実践

上記セグメント別戦略に沿った社会的価値の高い事業運営を通じてESG経営を実践し、さらなる企業価値の向上をめざします。ESG取り組み方針は以下の通りです。

 

●E:環境負荷の低い建物・都市生活づくり

 ・新築マンション全住戸ZEHの実現

 ・リノベーションマンション販売・収益不動産等販売における中古ストック再生の取り組みのさらなる強化

 ・環境負荷の低い都市生活につながる商品・サービスの創造

●S:人と人との温かなつながりにあふれる豊かな都市生活づくり

 ・コミュニティ形成、子どもの成長や子育てを支援する商品・サービスの創造

 ・当社独自の働き方改革(WSI※)のさらなる推進 ※WSI:Work Style Innovation

●G:さらなる成長の基礎づくり

 ・多様な事業ラインアップに対応し、継続的な事業成長を支えるリスク管理機能とコーポレートガバナンスの継続強化

 

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