業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

2021年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による個人消費の落ち込みがあり、近時、持ち直しの動きが見られるものの、GDPはコロナ前の水準を下回り、回復は緩やかなものにとどまっております。また、22年2月下旬からのウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇等による下振れリスクに注意が必要な状況です。

我が国航空業界においては、運休や減便が継続しておりますが、22年の年明けから続いていたまん延防止等重点措置が3月下旬に全面解除されており、感染再拡大を警戒しつつも、今後、政府による水際対策の緩和や感染拡大抑制と社会経済活動の両立に向けた各種取り組みが更に進展して行くことで、航空需要の活性化にもつながることが期待されます。

 

このような経済情勢のもと、当社グループの連結業績は、20年度に竣工した新規物件の通年稼働等があったものの、コロナ禍の苦境にある航空会社等への対応として賃料等の減免を実施したこと等から売上高は23,777百万円(前年同期比1.5%減)、営業利益は3,280百万円(同14.3%減)、経常利益は固定資産撤去費用の増加等があり2,962百万円(同18.1%減)となりました。

(参考:前年度は、賃料等債権免除額を特別損失計上しておりましたが、これを今期と同様に売上から控除した場合の前年度売上高は22,784百万円、営業利益は2,460百万円、経常利益は2,247百万円となり、この比較においては増収増益となっております。)

また、特別損益では、投資有価証券売却益を計上する一方、インバウンド需要の回復が遅れている京都のホテル用賃貸物件につき、資産効率の更なる向上等を目的に売却する方向で検討することとし、減損損失を計上しました。以上のことから、親会社株主に帰属する当期純利益は821百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失933百万円)となりました。

 

上記状況の中、事業領域拡大にも取り組んでおり、埼玉県越谷市に土地・建物を取得し、カスタマイズカー事業会社への施設提供を21年12月より開始しました。また海外では、当社グループ会社において、新規顧客に対して航空機エンジン調達に関する融資を22年3月に実行しております。なお、空港内外で新たな事業機会を模索し新規事業の創出を推進する組織として、22年4月1日付で「イノベーション推進室」を創設しております。当社及び当社グループはこれまで空港内外の事業で培ってきたノウハウを活かし、今後も空港外や海外における事業領域拡大を目指してまいります。

その他、サステナビリティ推進関連では、21年12月に基本方針を定め、22年1月1日付で設置した「サステナビリティ推進会議」において施策検討を鋭意進めており、CO2排出量削減やD&Iの推進等にも積極的に取り組んでまいります。

 

セグメント別の業績は、次のとおりであります。

① 不動産賃貸事業

不動産賃貸事業は、21年3月に竣工した国際学生寮の通年稼働等はあったものの、航空会社等への賃料減免分を売上から控除したこと等により、売上高は18,845百万円(前年同期比0.5%減)、営業利益は2,862百万円(同2.0%減)となりました。

 

② 熱供給事業

連結子会社の東京空港冷暖房㈱における熱供給事業は、販売実績は微増となりましたが、航空会社等への熱料金減免分を売上から控除したこと等により、売上高は2,957百万円(同12.5%減)、電気・ガス等原材料費の増加等により、営業利益は452百万円(同58.8%減)となりました。

 

③ 給排水運営その他事業

給排水運営その他事業は、空港利用者数が急減した前年同期の対比では、当初想定していた水準ではないものの給排水使用量が増加した他、共用通信におけるネットワークの拡充等があり、売上高は1,974百万円(同7.6%増)、営業損失は33百万円(前年同期は188百万円の営業損失)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前年同期比3,029百万円増加の9,612百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動による資金は、8,467百万円の収入(前年同期は4,758百万円の収入)となりました。これは主に、未払消費税等の減少があったものの、税金等調整前当期純利益、営業貸付金の回収が進んだこと、非資金項目である減価償却費及び減損損失によるものであります。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動による資金は、449百万円の支出(前年同期は2,704百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入があったものの、固定資産の取得による支出があったことによるものであります。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動による資金は、5,117百万円の支出(前年同期は1,907百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済や配当金の支払いによるものであります。

 

(3)生産、受注及び販売の状況

①熱供給の生産実績

品目

当連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

前年同期比(%)

冷 房(MJ)

380,147,296

△3.1

暖 房(MJ)

164,304,429

6.7

(注)1.数量はセグメント間の内部振替後の数量によっております。

2.数量は販売量にて表示しております。

 

②受注状況

当社グループ(当社及び連結子会社)は、受注生産を実施しておりません。

 

③販売実績

品目

当連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

前年同期比(%)

販売高(千円)

不動産賃貸事業

18,845,473

△0.5

熱供給事業

2,957,070

△12.5

給排水運営その他事業

1,974,937

7.6

合計

23,777,481

△1.5

(注)1.販売実績は、外部顧客に対する売上高に該当いたします。

2.最近2連結会計年度の主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先名

前連結会計年度

自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

当連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日本航空㈱

3,724,738

15.4

3,584,370

15.0

全日本空輸㈱

3,802,726

15.7

3,538,322

14.8

日本空港ビルデング㈱

3,097,433

12.8

2,829,584

11.9

 

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当社経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りを行っております。ただし、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数字については、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

併せて、連結財務諸表注記事項(追加情報)、個別財務諸表注記事項(追加情報)もご参照ください。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

①概況

21年度の当社グループの連結業績は、20年度に竣工した新規物件の通年稼働等があったものの、コロナ禍の苦境にある航空会社等への対応として賃料等の減免を実施したこと等から売上高は23,777百万円(前年同期比1.5%減)、営業利益は3,280百万円(同14.3%減)、経常利益は固定資産撤去費用の増加等があり2,962百万円(同18.1%減)となりました。

(参考:前年度は、賃料等債権免除額を特別損失計上しておりましたが、これを今期と同様に売上から控除した場合の前年度売上高は22,784百万円、営業利益は2,460百万円、経常利益は2,247百万円となり、この比較においては増収増益となっております。)

また、特別損益では、投資有価証券売却益を計上する一方、インバウンド需要の回復が遅れている京都のホテル用賃貸物件につき、資産効率の更なる向上等を目的に売却する方向で検討することとし、減損損失を計上しました。以上のことから、親会社株主に帰属する当期純利益は821百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失933百万円)となりました。

 

②売上高

売上高は前年同期比1.5%減少の23,777百万円となりました。

不動産賃貸事業は、21年3月に竣工した国際学生寮の通年稼働等はあったものの、航空会社等への賃料減免分を売上から控除したこと等により、売上高は18,845百万円(前年同期比0.5%減)となりました。

連結子会社の東京空港冷暖房㈱における熱供給事業は、販売実績は微増となりましたが、航空会社等への熱料金減免分を売上から控除したこと等により、売上高は2,957百万円(同12.5%減)となりました。

給排水運営その他事業は、当初想定していた水準ではないものの給排水使用量が増加した他、共用通信におけるネットワークの拡充等があり、売上高は1,974百万円(同7.6%増)となりました。

 

セグメント毎の売上高

(単位:千円)

 

不動産

熱供給事業

給排水運営

合    計

 

賃貸事業

その他事業

2022年3月期

18,845,473

2,957,070

1,974,937

23,777,481

2021年3月期

18,940,904

3,379,600

1,834,617

24,155,122

2020年3月期

18,727,273

3,274,631

2,853,826

24,855,730

 

③営業利益

営業利益は、前年同期比14.3%減少の3,280百万円となりました。

 

④営業外収益(費用)

営業外収益は、受注工事に係る受取手数料収入が増加した一方、前期に計上した固定資産撤去費用引当金戻入益が今期は発生しなかったこと等により、前年同期比1.5%減少の203百万円となりました。

営業外費用は、固定資産撤去費用及び撤去費用引当金繰入額の増加等により前年同期比24.2%増加の522百万円となりました。

 

⑤経常利益

経常利益は、前年同期比18.1%減少の2,962百万円となりました。

 

⑥特別利益(損失)

特別利益は、投資有価証券の売却等により、前年同期比142百万円増加の462百万円となりました。

特別損失は、減損損失の減少や、前期は特別損失として計上した航空会社等への賃料等債権免除額を、今期は売上から控除したこと等により、前年同期比2,850百万円減少の1,730百万円となりました。

 

⑦税金等調整前当期純利益

税金等調整前当期純利益は、1,694百万円(前年同期は税金等調整前当期純損失642百万円)となりました。

 

⑧法人税等

法人税等は、前年同期比663百万円増加の803百万円となりました。

 

⑨非支配株主に帰属する当期純利益

非支配株主に帰属する当期純利益は、東京空港冷暖房㈱の非支配株主に帰属する当期純利益からなり、前年同期比53.6%減少の70百万円となりました。

 

⑩親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、821百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失933百万円)となりました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

  経営成績の重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。

 

(4) 戦略的現状と見通し

  戦略的現状と見通しについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

(5) 資本の財源及び流動性についての分析

①キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前年同期比3,029百万円増加の9,612百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金は、8,467百万円の収入(前年同期は4,758百万円の収入)となりました。これは主に、未払消費税等の減少があったものの、税金等調整前当期純利益、営業貸付金の回収が進んだこと、非資金項目である減価償却費及び減損損失によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は、449百万円の支出(前年同期は2,704百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入があったものの、固定資産の取得による支出があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は、5,117百万円の支出(前年同期は1,907百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済や配当金の支払いによるものであります。

 

(キャッシュ・フローの指標)

 

自己資本

時価ベースの

キャッシュ・フロー対

インタレスト・カバ

 

比率(%)

自己資本比率(%)

有利子負債比率(年)

レッジ・レシオ(倍)

2022年3月期

51.4

28.0

3.6

26.8

2021年3月期

52.1

30.9

7.2

13.0

2020年3月期

51.5

20.3

5.2

16.5

(備考)自己資本比率                      : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率          : 株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率  : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ  : 営業キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

3.キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

 

②資金需要

  当社グループの運転資金需要の主なものは、建物等の修繕費の他、人件費、旅費・交通費、通信費等の営業費用によるものであります。

 

③契約債務

  2022年3月31日現在の当社グループの契約債務の概要は、下記のとおりであります。

(単位:百万円)

年度別要支払額

契約債務

合  計

1年以内

1年超2年以内

2年超3年以内

3年超

短期借入金

1,163

1,163

社債

6,100

6,100

長期借入金

23,492

3,967

3,798

2,938

12,787

 

④財政政策

当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、主として内部資金または借入により資金調達をすることとしております。

このうち、運転資金については期限が1年以内の短期借入で各々の連結会社が調達することとしております。これに対して、建物、設備などの長期借入は、原則として固定金利で調達しております。2022年3月31日現在、長期借入金の残高は23,492百万円であり、銀行からの借入金22,375百万円、生命保険会社からの借入金1,117百万円で構成されております。

 

(6) 経営者の問題意識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するようにしております。「空港を拠点とする活力ある民間企業として、空港に必要な施設と機能を創造し提供する役割を担い、航空の発展に貢献する。」ことを使命としている当社グループとして、新たに策定した中長期経営計画に基づき、各種の課題に着実に取り組むことを通じて顧客・社会のニーズに適切に応えた施設・サービスを提供することで、社会価値を創造してまいります。

なお、業績等に重要な影響を与える要因については、「2.事業等のリスク」に、経営方針と今後の方針については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にそれぞれ記載しております。

 

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