業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により企業活動や個人消費が断続的に制限され、その後ワクチン接種の促進や各種規制により小康状態が続いておりましたが、2021年末以降は新型コロナウイルス感染症の変異株により感染者数が拡大に転じております。新規陽性者数は一定数が報告される状況が継続しながらも、2022年3月21日にまん延防止等重点措置の解除に伴う人流の増加や飲食店の営業再開により徐々に社会・経済活動の正常化が進んでおります。

当社グループが属する不動産分譲市場では、コロナ禍で自宅でのリモートワークが普及したこともあり、住宅に求める要件に一定の変化があったものの、依然として高い購買意欲は健在です。引き続き単身世帯や共働き世帯の増加、価値観の変化等によりエンドユーザーのライフスタイルが多様化しており、立地や生活利便性に対するニーズに加えコンパクトマンション需要が増加傾向にあります。一方、地方中核都市においては、コンパクトシティ化の流れもあり、引き続きアクティブシニア層を中心に高い需要があり、堅調に推移しております。

2021年の首都圏におけるマンション供給戸数は、コロナ禍で供給が落ち込んだ2020年からの反動もあり、33,636戸(不動産経済研究所調べ)と、前年比で23.5%増加しましたが、供給戸数は近年3万戸程度で推移しており、需給バランスは良好な状態が続いております。平均販売価格は、継続して上昇しており、3年連続で最高値を更新しております。

全国でのマンション供給戸数も、前年に新型コロナウイルスの影響で供給が落ち込んだ反動で、前年から29.5%増加の77,552戸(不動産経済研究所調べ)となりました。そのような中、当社グループは売主グループ別供給戸数ランキングで5位となり、独立系不動産総合デベロッパーとして、不動産分譲市場において安定的に供給を行う役割を担っております。

流動化事業では当社初の物流施設「野田市中里物流施設」が2022年3月に千葉県野田市で竣工いたしました。物流施設の建設は、当社の主要セグメントの一つ「流動化事業」の一環としての新たな取り組みであるのみならず、レジデンスやオフィス中心、また地域も関東・関西・中京の主要都心部中心となっておりました当事業における「資産ポートフォリオの最適化」に向けた事例でもあります。

このような状況下、当社は2021年5月14日に新中期経営計画を発表し、利益拡大のみに留まらない、事業を通じたCSR活動に取り組むことで社会課題の解決とSDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献し、今後もさまざまなステークホルダーや社会からの信頼を得て、その幸せについて考え実現に向け、永続的な発展を目指してまいります。

当連結会計年度の経営成績は、売上高162,744百万円(前年同期は148,397百万円)、営業利益11,877百万円(前年同期は10,789百万円の営業利益)、経常利益10,258百万円(前年同期は9,933百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益6,215百万円(前年同期は4,693百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となっております。

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

(売上高)

当連結会計年度より、従来「発電事業」としていた報告セグメントの名称を「エネルギー事業」に変更しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。

不動産販売事業においては、新築分譲マンション1,830戸(JV持分含む)、収益不動産の売却、新築戸建分譲及び中古マンションの販売等により、109,152百万円となっております。

不動産賃貸事業においては、アパート、マンション及びオフィス等の賃貸収入により、5,950百万円となっております。

不動産管理事業においては、管理戸数69,335戸からの管理収入等により、5,856百万円となっております。

エネルギー事業においては、稼働済み発電施設の売却収入及びその他発電施設の売電収入により、34,248百万円となっております。

その他事業においては、建設の請負、大規模修繕工事の受注、各種手数料収入等により、7,536百万円となっております。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は162,744百万円(前年同期は148,397百万円)となっております。

 

(売上原価)

稼働済み発電施設の売却収入の増加に伴い、129,626百万円(前年同期は118,469百万円)となっております。

 

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、事業拡大に伴う人員増加等により、21,240百万円(前年同期は19,139百万円)となっております。

 

(営業外損益)

営業外収益は、持分法適用会社の持分法投資利益が減少した事等により、684百万円(前年同期は687百万円)となっております。

営業外費用は、連結子会社の取得に伴う支払利息の増加等により、2,303百万円(前年同期は1,542百万円)となっております。

 

(特別損益)

特別利益は、負ののれん発生益を計上した事により、37百万円となっております。

特別損失は、減損損失を計上した事等により、845百万円(前年同期は2,761百万円)となっております。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりとなっております。

 

(不動産販売事業)

新築分譲マンションの売上高68,912百万円、収益不動産の売却による売上高23,571百万円、新築戸建分譲及び中古マンションの販売等の売上高16,668百万円により、当事業売上高は109,152百万円(前年同期は117,200百万円)となっております。

 

(不動産賃貸事業)

アパート、マンション及びオフィス等の賃貸収入により、当事業売上高は5,950百万円(前年同期は5,753百万円)となっております。

 

(不動産管理事業)

受託管理戸数69,335戸からの管理収入等により、当事業売上高は5,856百万円(前年同期は5,446百万円)となっております。

 

(エネルギー事業)

稼働済み発電施設の売却収入及びその他発電施設の売電収入により、当事業売上高は34,248百万円(前年同期は13,485百万円)となっております。

 

(その他事業)

建設の請負、大規模修繕工事の受注、各種手数料収入等により、当事業売上高は7,536百万円(前年同期は6,512百万円)となっております。

 

② 財政状態の状況

当社グループの当連結会計年度の資産、負債及び純資産の状況は、事業用資産の順調な仕入等により、総資産は223,473百万円と前連結会計年度末に比べ19,157百万円増加しております。

 

(流動資産)

新規仕入に伴う棚卸資産の増加及び事業用資産を棚卸資産へ振替えた事等により、流動資産は142,625百万円と前連結会計年度末に比べ16,938百万円増加しております。

 

(固定資産)

事業用資産が連結の範囲の変更によって増加したこと等により、固定資産は80,792百万円と前連結会計年度末に比べ2,260百万円増加しております。

 

(流動負債)

短期借入金の増加や借入金及び社債の長短区分の振替等により、流動負債は75,010百万円と前連結会計年度末に比べ19,360百万円増加しております。

 

(固定負債)

借入金及び社債の長短区分の振替等により、固定負債は88,860百万円と前連結会計年度末に比べ5,172百万円減少しております。

 

(純資産)

親会社株主に帰属する当期純利益の計上額が剰余金の配当等を上回った事等により、純資産の合計は59,601百万円と前連結会計年度末に比べ4,969百万円増加しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、5,806百万円減少し、32,693百万円となっております。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は23,189百万円(前連結会計年度は26,330百万円の増加)となっております。これは主に棚卸資産の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は27,871百万円(前連結会計年度は25,090百万円の減少)となっております。これは主に有形固定資産の取得によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は1,132百万円(前連結会計年度は2,654百万円の増加)となっております。これは主に借入金の返済によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a)売上高の実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

不動産販売事業     (百万円)

117,200

109,152

不動産賃貸事業     (百万円)

5,753

5,950

不動産管理事業     (百万円)

5,446

5,856

エネルギー事業     (百万円)

13,485

34,248

報告セグメント計   (百万円)

141,885

155,207

その他         (百万円)

6,512

7,536

合計    (百万円)

148,397

162,744

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

b)期中契約戸数

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

戸数

金額(百万円)

戸数

金額(百万円)

不動産販売事業

2,310

106,736

2,753

133,002

124.6

合計

2,310

106,736

2,753

133,002

124.6

 

c)契約残高

セグメントの名称

前連結会計年度末

(2021年3月31日現在)

当連結会計年度末

(2022年3月31日現在)

前年同期比(%)

戸数

金額(百万円)

戸数

金額(百万円)

不動産販売事業

944

37,272

1,403

61,122

164.0

合計

944

37,272

1,403

61,122

164.0

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、コア事業であります不動産販売事業における新築分譲マンション事業において、コロナ禍の中、お客さまの住宅に求める要件に変化があったものの、購買意欲には大きな変化はみられず、販売進捗は好調に推移し、1,830戸(JV持分含む)の引渡しを行いました。またエネルギー事業において、当社最大規模となる「LS千葉勝浦発電所」を含めた稼働済発電施設の売却が寄与し、前期比で増収増益となりました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、外部環境では主にはマーケット環境等が挙げられますが、内部環境面では特に借入金の依存度について注視しております。コア事業である不動産販売事業においては、借入金を前提とした事業となっておりますので、適切な自己資本を確保しつつ、安定的な事業成長のため、借入金の依存度につきましては、原則60%未満を目指しております。なお、当連結会計年度末におけるLTVは57.3%と目標水準内となっております。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループでは、コア事業であります不動産販売事業において、用地取得及び建設資金の一部を金融機関等からの借入により調達しております。また、主要取引銀行等とコミットメントライン契約を締結しており、迅速な資金手当てが可能となっております。なお、近年の事業領域の拡大、投資事業の伸展により、借入金が増加傾向にありますが、投資回収サイクルの確立を図ると共に、自己資本比率を向上させ、適切なポートフォリオを構築することで、安定した資金を確保出来るものと考えております。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの主力であります不動産販売事業は、購入者マインド及び供給者の供給動向に左右される傾向があります。購入者マインドは、景気動向、金利動向、住宅税制、消費税、地価動向等の影響を受け、また、供給者の供給動向は、土地の仕入代、ゼネコン等外注業者の外注価格の変動、外注業者の破綻、金融動向の影響を受けやすいことから、これらの動向が変動した場合には、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

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