業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のまん延に伴い、個人消費及び経済活動ともに停滞するなか、政府による各種支援の強化により、一時持ち直しの動きが見受けられましたが、まん延防止等重点措置の適用や緊急事態宣言の発令もあり、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社グループが属する不動産業界におきましても、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策に伴う国内経済の急激な落ち込みや訪日客需要の消滅等の影響により、全国平均の地価動向が6年ぶりに下落し、なかでも、東京圏・大阪圏・名古屋圏の三大都市圏が8年ぶりに下落するなど、厳しい状況が続いております。今後も企業の業績悪化による経済回復の遅れや、在宅勤務等による行動様式の変化により、テナント需要の減少、空室率の上昇及び賃料の下落等が発生する可能性が予想されます。

このような状況のもと、当社グループは変化対応型の総合不動産業として、引き続きテナント賃貸事業及び不動産管理事業を中心とした継続的な収益の確保に努めてまいりました。

各事業におきましても、テナント賃貸事業及び不動産管理事業に経営資源を集中し、主に株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスのグループ会社である各リテール事業法人からの受託件数の増加に対応した建物の保全や効率的な保守・メンテナンスの実施により、堅実な収益の確保を図ってまいりました。

当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症のまん延により、社会が大きく変動する中で、当社グループの強みである変化対応力を活かし、前期に引き続きテナント誘致を行ってまいりました。その結果、京都府京都市物件について、テナント企業様と建物賃貸借契約を締結することができ、これにより、当社グループが保有する全ての物件において、収益化を達成いたしました。

一方、新型コロナウイルス感染症のまん延防止のために営業時間の短縮や営業自粛した一部テナント企業様からの賃料の支払い猶予や減額等の要請にも応じてまいりました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高224億27百万円(前年同期比1.1%減)、営業利益79億82百万円(前年同期比4.6%減)、経常利益79億59百万円(前年同期比2.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益54億27百万円(前年同期比11.1%減)となりました。

 

セグメントごとの業績は、次のとおりであります。

 

「テナント賃貸事業」

当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症のまん延に伴い、賃借人であるテナント企業様から賃料の支払い猶予や減額等の要請があり、中・長期的な観点から随時対応してまいりました。一方で、商業圏の地価変動など新型コロナウイルス感染症による影響を見極めながらテナント誘致を積極的に行い、全ての物件の収益化を達成する等、当社グループの立地優位性を活かした新規テナント企業様の獲得に注力してまいりました。

その結果、売上高179億28百万円(前年同期比2.8%減)、営業利益79億13百万円(前年同期比5.6%減)となりました。

 

「不動産管理事業」

当連結会計年度におきましては、引き続き、保守・メンテナンス分野のファシリティサポートを推進し、また当社の不動産管理事業における建物管理の受託件数が増加したことにより、売上が増加いたしました。

その結果、売上高43億10百万円(前年同期比8.5%増)、営業利益5億55百万円(前年同期比13.5%増)となりました。

 

「その他事業」

当連結会計年度におきましては、テナント企業様に対する最適な省エネプランの提案等、電力を中心としたコスト削減やエネルギーの効率的な活用による建物管理のコンサルティング事業を推進してまいりました。

その結果、売上高1億89百万円(前年同期比21.3%減)、営業利益1億68百万円(前年同期比5.6%減)となりました。

 

②財政状態の状況

当連結会計年度末における財政状態は、総資産1,641億12百万円 (前連結会計年度末比57億90百万円の減少) 、負債506億22百万円 (前連結会計年度末比112億17百万円の減少) 、純資産1,134億90百万円 (前連結会計年度末比54億28百万円の増加) となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、77億24百万円(前連結会計年度末比15億19百万円減)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は100億44百万円(前連結会計年度末比15億97百万円減)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益79億57百万円の計上、減価償却費の計上41億19百万円、長期預り金の増加9億72百万円等があった一方、法人税等の支払額15億97百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は18億1百万円(前連結会計年度末比14億54百万円増)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出18億8百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は97億62百万円(前連結会計年度末比81億97百万円減となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出22億50百万円、社債の償還による支出19億16百万円、債権流動化の返済による支出55億96百万円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

  該当事項はありません。

 

b.受注実績

  該当事項はありません。

 

c.販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

テナント賃貸事業

17,928

97.2

不動産管理事業

4,310

108.5

その他事業

189

78.7

合計

22,427

98.9

(注)1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

株式会社ドン・キホーテ

13,786

60.8

12,739

56.8

株式会社長崎屋

4,159

18.3

3,902

17.4

日本商業施設株式会社

2,390

10.5

2,330

10.4

.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

 当連結会計年度における経営成績は、売上高224億27百万円(前年同期比1.1%減)、営業利益79億82百万円(前年同期比4.6%減)、経常利益79億59百万円(前年同期比2.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益54億27百万円(前年同期比11.1%減)となりました。

 

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は224億27百万円となりました。これは主に、不動産管理事業の建物管理受託物件数の増加に伴う業務受託料収入が増加した一方、新型コロナウイルス感染症のまん延によるテナント企業様からの賃料減額要請に応じて賃料収入が減少したことによるものであります。

 

(営業利益)

 当連結会計年度における売上原価は134億91百万円となりました。これは主に、事業用物件に係る有形固定資産の減価償却費、不動産の賃借に係る地代家賃及び維持管理費の計上であります。

 また販売費及び一般管理費は9億53百万円の計上となりました。これは主に、支払手数料及び租税公課の計上であります。

 以上の結果、営業利益は79億82百万円となりました。

 

(経常利益)

 当連結会計年度における営業外損益は、営業外収益が1億99百万円、営業外費用が2億22百万円となりました。営業外収益の主な内訳は、受取利息及び配当金の計上であります。また、営業外費用の主な内訳は、支払利息及び債権流動化費用の計上であります。

 以上の結果、経常利益は79億59百万円となりました。

 

(特別損益)

 当連結会計年度における特別損益は、特別損失が2百万円となりました。特別損失の内訳は、固定資産除却損の計上であります。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 以上の結果、税金等調整前当期純利益は79億57百万円となり、法人税、住民税及び事業税ならびに法人税等調整額控除後の親会社株主に帰属する当期純利益は54億27百万円となりました。

 

事業別セグメントの業績は、次のとおりです。

 

(テナント賃貸事業)

 売上高は179億28百万円と、前連結会計年度に比べて5億23百万円(前年同期比2.8%減)の減収となり、営業利益は79億13百万円と、前連結会計年度に比べて4億68百万円(前年同期比5.6%減)の減益となりました。

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症のまん延による厳しい経済情勢の中、賃借人である一部のテナント企業様から賃料の支払い猶予や減額等の要請があり、中・長期的な観点から随時対応してまいりました。一方で、事業用収益物件の新規取得はありませんでしたが、新型コロナウイルス感染症による影響を見極めながら、新規テナント企業様の獲得に注力した結果、遊休物件となっていた京都府京都市物件について、テナント企業様と建物賃貸借契約を締結するに至り、当社グループが保有する125物件全ての物件の収益化を達成いたしました。また、当社が賃借している土地の賃貸人様に対しても、当社として適切に地代の減額要請を行うなどコロナ禍に即した対応に取り組んでまいりました。

今後の事業用収益物件の取得につきましては、優良物件の獲得機会という外部要因がありますが、安定的な収益の確保のため、検討を重ねてまいります。

 

 

(不動産管理事業)

 売上高は43億10百万円と、前連結会計年度に比べて3億36百万円(前年同期比8.5%増)の増収となり、営業利益は5億55百万円と、前連結会計年度に比べて66百万円(前年同期比13.5%増)の増益となりました。

当連結会計年度は、主に株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスのグループ会社である各リテール事業法人からの建物管理の受託件数が増加し、建物の保全や効率的な保守・メンテナンス分野のファシリティサポートをより推進したため、売上高が増加しております。また、受託件数に連動して外注費用が増加した一方、建物管理物件の効率的な管理・配置による人件費の抑制等のコスト削減を図ったことにより、営業利益も大きく増益となっております。

 

(その他事業)

 売上高は1億89百万円と、前連結会計年度に比べて51百万円(前年同期比21.3%減)の減収となり、営業利益は1億68百万円と、前連結会計年度に比べて10百万円(前年同期比5.6%減)の減益となりました。

当連結会計年度は、すでに多くの店舗で省エネ機器が導入され、新規導入件数が減少したことなどから、減収・減益となっております。

 

b.財政状態の分析

<資産>

当連結会計年度末における資産につきましては、借入金の返済期限到来等に伴い、現金及び現金同等物が15億19百万円減少し、また築古物件の改修工事等により有形固定資産の取得が18億8百万円の増加があった一方で、41億19百万円の減価償却があったこと等により、前連結会計年度末に比べ57億90百万円減少の1,641億12百万円となっております。

主な内訳は、以下のとおりです。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は94億2百万円となり、 前連結会計年度末に比べ19億60百万円減少しております 。主な要因は、関係会社預け金の減少15億11百万円等であります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は1,547億10百万円となり、 前連結会計年度末に比べ38億29百万円減少しております 。主な要因は、建物及び構築物(純額)の減少33億47百万円、繰延税金資産の減少11億72百万円等であります。

 

<負債>

当連結会計年度末における負債につきましては、通常の返済計画に基づいた借入金、社債、債権流動化に伴う支払債務の減少等により、前連結会計年度末に比べ112億17百万円減少の506億22百万円となっております。

 主な内訳は、以下のとおりです。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は93億84百万円となり、 前連結会計年度末に比べ54億33百万円減少しております 。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金の増加5億円、1年内償還予定の社債の増加6億50百万円、未払金の減少3億97百万円、債権流動化に伴う支払債務の減少 52 76百万円等であります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は412億38百万円となり、 前連結会計年度末に比べ57億84百万円減少しております 。主な要因は、社債の減少25億66百万円、長期借入金の減少27億50百万円、債権流動化に伴う長期支払債務の減少6億32百万円等であります。

 

<純資産>

当連結会計年度末における純資産は1,134億90百万円となり、 前連結会計年度末に比べ54億28百万円増加しております 。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加54億28百万円であります。

以上 により、自己資本比率は69.2%となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループは、継続的な成長を確保するために事業用収益物件の取得による企業価値の向上を図っており、優良物件の取得や設備投資等、今後の収益増加に寄与する分野に資金を活用するために、長期的な事業原資として一定程度の内部留保を行っております。

今後も、積極的な優良物件取得のために調達した資金の返済、更なる優良物件の取得、設備投資及び人材採用等、今後の収益増加に寄与する分野を中心に資金を活用し、継続的な事業の発展及び企業価値向上を実現しつつ、様々な株主の皆様への利益還元の実現に向けて最大限努めてまいります。

 

 また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下に記載のとおりであります。

(契約債務)

 2021年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

長期借入金

9,975

2,750

6,600

500

125

社債

6,442

2,566

2,251

1,300

325

債権流動化に伴う支払債務

632

632

 上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めており、1年内償還予定の社債は、社債に含めております。

 

(財政政策)

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、事業用収益物件の取得費用等の設備投資によるものであります。

 当社グループは、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金または借入、社債の発行、債権流動化に伴う支払債務等により資金調達することとしております。

 2021年3月31日現在、長期借入金の残高は99億75百万円(1年以内返済予定分を含む)、社債の残高は64億42百万円(1年以内返済予定分を含む)、債権流動化に伴う支払債務の残高は6億32百万円であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しているため省略しております。

 なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響に関して、経済や企業活動に広範な影響を与える事象であり、翌連結会計年度(2022年3月期)の一定期間にわたり当感染症の影響が継続するという一定の仮定に基づいて検討しておりますが、当連結会計年度において重要な影響を与えるものではないと判断しております。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。

 

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