(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおり であります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、政府による積極的なワクチン接種の促進をはじめとした感染対策により、経済社会活動の正常化が進み、景気の持ち直しの動きがみられております。一方で、世界的な半導体不足や原材料・原油価格の高騰、急激な金融資本市場の変動に加え、ウクライナ情勢等の地政学リスクにも十分留意する必要があります。
首都圏のマンション市場におきましては、当連結会計年度のマンションの新規供給戸数は前年同期比13.2%増の3万2,872戸となり、また、購入需要についても、同期間の平均初月契約率が72.9%と好調の目安となる70%を上回るなど、購入需要は底堅く推移しております。(数字は株式会社不動産経済研究所調べ)
当社グループの主要事業領域である資産運用型分譲マンション市場におきましては、単身者を中心とした首都圏の賃貸需要は底堅く、購入需要についても、安定した収益が期待できる運用商品として認知度が高まり、低金利にも後押しされ、堅調な状況が続いているものと認識しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う影響について、引き続き留意する必要があります。
このような経営環境のもと、当社グループは、首都圏において、資産運用としての多彩なメリットを提供する「ガーラマンションシリーズ」及びファミリー向けマンションの自社ブランド「ガーラ・レジデンスシリーズ」の開発・販売の拡大、顧客サポート体制の充実、ブランド力の強化を図り、グループ企業価値の向上に全力を尽くしてまいりました。また、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、ITを活用した重要事項説明やWEBセミナーなどの非対面による営業手法をはじめ、感染症拡大防止のための諸施策を講じながら事業の推進に努めてまいりました。
以上の結果、売上高822億58百万円(前連結会計年度比12.7%増)、営業利益90億95百万円(前連結会計年度比23.7%増)、経常利益90億80百万円(前連結会計年度比23.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益63億38百万円(前連結会計年度比27.2%増)となりました。
なお、当社グループは、グループ経営機能と事業の執行機能を分離し、強固なガバナンス体制の構築を図ることを目的として、2021年10月1日付で持株会社体制に移行し、同日付で当社の商号を株式会社FJネクストホールディングスに変更いたしました。これにより、当社はグループ全体の成長へ向けた経営戦略を策定する持株会社となり、同年4月1日付で新たに設立した株式会社FJネクストが当社の不動産開発事業を承継いたしました。事業会社は各社の権限と責任のもと、意思決定の迅速化を図り、それぞれの専門性を追求することで、事業の更なる成長を目指してまいります。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を一部変更しており、前年同期比については、前年同期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えて算出しております。
(不動産開発事業)
当連結会計年度は、「ガーラ・シティ品川西大井」、「ガーラ・リバースクエア横濱南」、「ガーラ・レジデンス葛西」などの新築物件の販売に注力するとともに、中古マンションの販売も積極的に行ってまいりました。
以上の結果、新築マンション売上高397億66百万円(1,431戸)、中古マンション売上高251億74百万円(1,025戸)、不動産賃貸収入70億40百万円、その他収入2億67百万円となり、不動産開発事業の合計売上高722億49百万円(前連結会計年度比15.5%増)、セグメント利益75億36百万円(前連結会計年度比28.4%増)となりました。
売上高等内訳
区分 |
前連結会計年度 自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
||||
戸数 (戸) |
金額 (百万円) |
|
戸数 (戸) |
金額 (百万円) |
|
|
前年比 (%) |
前年比 (%) |
|||||
ガーラマンションシリーズ |
969 |
26,006 |
113.9% |
1,201 |
30,309 |
116.5% |
ガーラ・レジデンスシリーズ |
173 |
7,812 |
86.7% |
230 |
9,456 |
121.0% |
中古マンション |
871 |
21,484 |
58.9% |
1,025 |
25,174 |
117.2% |
不動産賃貸収入 |
- |
7,057 |
103.7% |
- |
7,040 |
99.8% |
その他収入 |
- |
179 |
88.8% |
- |
267 |
149.0% |
合計 |
2,013 |
62,540 |
83.0% |
2,456 |
72,249 |
115.5% |
(注)1 「ガーラ・レジデンスシリーズ」には、共同事業形態によるプロジェクトのうち、当社の持分相当部
分である60戸を含んでおります。
2 当連結会計年度より集計区分を変更しており、比較を容易にするため、前連結会計年度の数値を変
更後の集計区分に組み替えて記載しております。なお、前連結会計年度の売上高合計額が2021年6月24日提出の「第41期 有価証券報告書」に記載の金額と相違しておりますのは、報告セグメントの区分を一部変更したことによるものであります。
(不動産管理事業)
当連結会計年度は、自社グループ開発物件の新規管理受託により管理件数が増加し、賃貸管理戸数は17,432戸、建物管理棟数は327棟となりました。
以上の結果、不動産管理事業の売上高は34億85百万円(前連結会計年度比10.2%増)、セグメント利益8億82百万円(前連結会計年度比1.8%減)となりました。
(建設事業)
当連結会計年度は、マンション建設及び大規模修繕工事を中心に受注は堅調に推移し、また工事についても概ね計画どおりに進捗しました。
以上の結果、建設事業の売上高は53億71百万円(前連結会計年度比14.0%減)となり、また完成工事利益率の向上により、セグメント利益6億46百万円(前連結会計年度比9.1%増)となりました。
(旅館事業)
当連結会計年度は、緊急事態宣言発令下における国内での移動自粛等の影響を受けて、稼働率は低迷したものの、高価格帯の客室を中心に回復基調で推移いたしました。
以上の結果、旅館事業の売上高は10億95百万円(前連結会計年度比10.1%増)、セグメント損失20百万円(前連結会計年度は39百万円の損失)となりました。
(その他)
当連結会計年度の売上高は56百万円(前連結会計年度比17.9%増)、セグメント利益38百万円(前連結会計年度
比40.1%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ125億47百万円増加し、355億43百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は222億15百万円(前連結会計年度は80億69百万円の収入)となりました。主な収入は、棚卸資産の減少額109億85百万円、税金等調整前当期純利益90億90百万円、売上債権及び契約資産の減少額21億93百万円であり、主な支出は法人税等の支払額19億97百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により獲得した資金は7百万円(前連結会計年度は89百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は96億75百万円(前連結会計年度は67億80百万円の支出)となりました。主な収入は、事業用地の購入資金対応のための長期借入れによる収入56億90百万円であり、主な支出は、プロジェクトの完成等に伴う長期借入金の返済による支出133億82百万円、配当金の支払額15億3百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
該当事項はありません。
(契約実績)
当連結会計年度における不動産開発事業の契約実績は次のとおりであります。
区分
|
前連結会計年度 自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
||||||
戸数 (戸) |
|
金額 (百万円) |
|
戸数 (戸) |
|
金額 (百万円) |
|
|
前年比 (%) |
前年比 (%) |
前年比 (%) |
前年比 (%) |
|||||
ガーラマンションシリーズ |
992 |
115.5 |
22,416 |
99.5 |
1,074 |
108.3 |
31,199 |
139.2 |
ガーラ・レジデンスシリーズ |
247 |
181.6 |
10,853 |
172.6 |
275 |
111.3 |
10,864 |
100.1 |
中古マンション |
856 |
64.4 |
18,365 |
56.7 |
1,201 |
140.3 |
32,129 |
174.9 |
その他(不動産) |
- |
- |
53 |
73.0 |
- |
- |
128 |
240.8 |
合計 |
2,095 |
90.1 |
51,688 |
84.4 |
2,550 |
121.7 |
74,321 |
143.8 |
(注)「ガーラ・レジデンスシリーズ」には、共同事業形態によるプロジェクトのうち、当社の持分相当部分を含んでおります。
(販売実績)
当連結会計年度の販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
報告セグメントの名称 |
区分
|
前連結会計年度 自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
||||||
戸数 (戸) |
|
金額 (百万円) |
|
戸数 (戸) |
|
金額 (百万円) |
|
||
前年比 (%) |
前年比 (%) |
前年比 (%) |
前年比 (%) |
||||||
不動産 開発事業 |
ガーラマンションシリーズ |
969 |
114.4 |
26,006 |
113.9 |
1,201 |
123.9 |
30,309 |
116.5 |
ガーラ・レジデンスシリーズ |
173 |
83.6 |
7,812 |
86.7 |
230 |
132.9 |
9,456 |
121.0 |
|
中古マンション |
871 |
58.0 |
21,484 |
58.9 |
1,025 |
117.7 |
25,174 |
117.2 |
|
その他 |
- |
- |
7,237 |
103.3 |
- |
- |
7,308 |
101.0 |
|
小計 |
2,013 |
78.8 |
62,540 |
83.0 |
2,456 |
122.0 |
72,249 |
115.5 |
|
不動産 管理事業 |
- |
- |
- |
3,162 |
108.7 |
- |
- |
3,485 |
110.2 |
建設事業 |
- |
- |
- |
6,243 |
112.1 |
- |
- |
5,371 |
86.0 |
旅館事業 |
- |
- |
- |
994 |
99.2 |
- |
- |
1,095 |
110.1 |
その他 |
- |
- |
- |
47 |
146.3 |
- |
- |
56 |
117.9 |
合計 |
- |
- |
- |
72,988 |
86.0 |
- |
- |
82,258 |
112.7 |
(注)1 「ガーラ・レジデンスシリーズ」には、共同事業形態によるプロジェクトのうち、当社の持分相当部分を
含んでおります。
2 当連結会計年度末より集計区分を変更しております。なお、比較を容易にするため、前連結会計年度の数値
を変更後の集計区分に組み替えて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。当該見積りにつきましては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に関して適切な仮定設定、情報収集を行い、見積り金額を計算しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は822億58百万円となり、前連結会計年度の729億88百万円に対し12.7%、92億69百万円の増加となりました。これは主に、当社グループ主力の不動産開発事業における売上高が722億49百万円となり、前連結会計年度の625億40百万円に対し15.5%、97億8百万円増加したことによるものであります。
なお、前連結会計年度の不動産開発事業における売上高合計額が2021年6月24日提出の「第41期 有価証券報告書」に記載の金額と相違しておりますのは、報告セグメントの区分を一部変更したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は625億18百万円となり、前連結会計年度の558億82百万円に対し11.9%、66億35百万円の増加となりました。これは主に、売上高の増加によるものであります。
その結果、当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度の171億5百万円に対し15.4%、26億33百万円増加の197億39百万円となり、売上高に対する売上総利益率は、前連結会計年度の23.4%から0.6ポイント増加し、24.0%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は106億44百万円となり、前連結会計年度の97億54百万円に対し9.1%、8億89百万円の増加となりました。これは主に、広告宣伝費等が増加したことによるものであります。
その結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度73億51百万円に対し23.7%、17億43百万円増加の90億95百万円となり、売上高に対する営業利益率は、前連結会計年度の10.1%から1.0ポイント増加し、11.1%となりました。
なお、セグメント別の業績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(営業外損益、経常利益、税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度における営業外収益は71百万円となり、前連結会計年度の1億20百万円に対し40.6%、48百万円の減少となりました。
当連結会計年度における営業外費用は86百万円となり、前連結会計年度の1億37百万円に対し37.1%、50百万円の減少となりました。
その結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度の73億34百万円に対し23.8%、17億45百万円増加の90億80百万円となりました。売上高に対する経常利益率は、前連結会計年度の10.0%から1.0ポイント増加し、11.0%となり、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として設定している売上高経常利益率10%以上を達成いたしました。
なお、当連結会計年度の特別利益は10百万円となり、税金等調整前当期純利益は90億90百万円となりました。
(法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税等は27億51百万円となり、前連結会計年度の23億51百万円に対し17.0%、4億円の増加となりました。
その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の49億83百万円に対し27.2%、13億55百万円増加の63億38百万円となりました。
③ 当連結会計年度の財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は700億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ26億68百万円減少いたしました。主な増加は、現金及び預金124億56百万円、仕掛販売用不動産26億12百万円であり、減少は販売用不動産149億27百万円であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は126億51百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億52百万円増加いたしました。これは主に、販売用不動産の一部について保有目的を変更したことに伴い、販売用不動産を有形固定資産へ振替えたことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は108億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ26億99百万円減少いたしました。主な増加は、未払消費税等9億24百万円、未払法人税等8億58百万円であり、減少は1年内返済予定の長期借入金36億32百万円であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は128億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ40億63百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が40億59百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は589億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ50億47百万円増加いたしました。主な増加は親会社株主に帰属する当期純利益63億38百万円であり、減少は剰余金の配当15億3百万円であります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度の資金の状況の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの資金需要の主なものは不動産開発事業における用地取得費用であり、その調達手段は主として、金融機関からの借入金によっております。用地取得費用以外の運転資金につきましては、自己資金で対応することを原則とし、金融費用を低減するよう努めております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
自己資本比率(%) |
62.0 |
61.8 |
58.0 |
63.8 |
71.3 |
時価ベースの自己資本 比率(%) |
44.3 |
38.4 |
30.8 |
43.5 |
39.1 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) |
- |
- |
2,667.4 |
258.0 |
57.0 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
- |
- |
16.4 |
81.6 |
267.4 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
5.2018年3月期及び2019年3月期の「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」、「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載しておりません。
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