(業績の概要)
新型コロナウイルス感染症の発生を受けた外出及び移動の自粛等の影響により、引き続き極めて厳しい経営環境が続く中、当社グループは、感染拡大防止に取り組みながら、事業の中核である鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、サービスの一層の充実や新しい旅行スタイルの提案による需要喚起、社員の業務遂行能力の向上、設備の強化に取り組みました。また、これまでも不断に取り組んできた設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化を一層強化するとともに、安全・安定輸送の確保や輸送サービスの提供に支障しないことを前提に、可能な限りの費用削減を行いました。さらに、経営体力の再強化を図るため、ICTをフルに活用し、最も望ましい業務体制を構築する「業務改革」に取り組みました。
東海道新幹線については、お客様に安心してご利用いただけるよう感染拡大防止に取り組み、お客様のご利用状況を踏まえて「のぞみ12本ダイヤ」を活用するなど十分な輸送力を提供しました。また、引き続き大規模改修工事や脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策を推進するとともに、新型車両N700Sの投入及び既存のN700Aタイプに対してN700Sの一部機能を追加する改造工事を進めました。
在来線についても、お客様に安心してご利用いただけるよう感染拡大防止に取り組み、お客様のご利用状況を踏まえて十分な輸送力を提供しました。また、名古屋工場の耐震化等の地震対策、降雨対策、落石対策、踏切保安設備改良等を計画的に推進しました。
営業施策については、東海道・山陽新幹線のネット予約・チケットレス乗車サービスである「エクスプレス予約」及び「スマートEX」をより多くのお客様にご利用いただくための取組みを実施しました。また、ご利用拡大に向けた取組みとして、「定番」から時間、場所、旅先での移動手段や行動をずらした新しい旅として提案している「ずらし旅」を引き続き展開しました。さらに、ご自身の「推し」に会いに行く「推し旅」を各種事業者と協力し、新しい内容にアップデートして提案するキャンペーン「推し旅アップデート」を新たに展開するなど、魅力ある旅行商品等を販売したほか、3月に「のぞみ」号が運行開始30周年を迎えたことを機に、各種記念キャンペーンを実施しました。加えて、東海道・山陽新幹線においてモバイル端末等を気兼ねなく使用して仕事を進めることができる「S Work車両」の試行等、車内や駅のビジネス環境の整備に取り組みました。
超電導リニアによる中央新幹線については、工事実施計画の認可を受けた品川・名古屋間について、地域との連携を密にしながら、測量、設計、用地取得を進めるとともに、長野県駅(仮称)等で工事契約を締結しました。また、これまでに工事契約を締結した工区において、地域にお住まいの方々へ工事概要や安全対策等についてご説明しました。工事については、新たに中部総合車両基地等で本格的な工事に着手したほか、大深度地下でトンネルを掘削する第一首都圏トンネル北品川工区では、シールドマシンを動かして安全・安心の取組みを実地で確認する調査掘進を開始しました。既に工事に着手している神奈川県の東百合丘非常口及び梶ヶ谷非常口では立坑本体が完成し、長野県の伊那山地トンネル青木川工区及び山梨県の第四南巨摩トンネル西工区・東工区では新たに本坑の掘削を開始するなど、沿線各地で着実に工事を進めました。また、中央新幹線に関わる工事における労働災害の防止をより強力に進めていくため、施工会社と「中央新幹線安全推進協議会」を設置しました。引き続き、工事の安全、環境の保全、地域との連携を重視し、コストを十分に精査しつつ、各種工事を着実に進めます。
なお、南アルプストンネル静岡工区においては、大井川の水資源への影響について、静岡県、流域市町等の理解が得られず、トンネル掘削工事に着手できない状態が続いており、2027年の品川・名古屋間の開業は難しい状況となっています。こうした中、科学的・工学的な議論を行うことを通して問題の解決を図るため、一昨年4月に国土交通省主催の「リニア中央新幹線静岡工区 有識者会議」が設置され、昨年12月に「大井川水資源問題に関する中間報告」が取りまとめられました。また、昨年9月に大井川流域市町首長との意見交換会を開催しました。引き続き、有識者会議の中間報告を踏まえて、地域の理解と協力を得られるよう、真摯に対応していきます。
一方、山梨リニア実験線においては、改良型試験車と既存のL0系車両を組み合わせて走行試験を実施し、高温超電導磁石の営業線への投入に向けて必要なデータを取得するなど、超電導リニア技術のブラッシュアップ及び営業線の建設・運営・保守のコストダウンに取り組みました。
海外における高速鉄道プロジェクトへの取組みについては、米国テキサスプロジェクトの事業開発主体に対して技術支援を進める一方で、国内各メーカーとともにプロジェクトのコアシステムの受注契約に向け、事業開発主体との協議等を行いました。また、引き続き超電導リニアシステムを用いた米国北東回廊プロジェクトのプロモーション活動を推進しました。さらに、台湾高速鉄道に対する技術コンサルティングを進めました。加えて、日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを推進しました。
鉄道以外の事業については、感染拡大防止に取り組みながらJRセントラルタワーズとJRゲートタワーの営業を行い、収益の確保に努めました。また、駅商業施設のリニューアルや高架下開発を行い、競争力、販売力の強化に努めました。
上記の結果、当期における全体の輸送実績(輸送人キロ)は、前期比30.1%増の320億1千6百万人キロとなりました。また、営業収益は前期比13.6%増の9,351億円、経常損失は672億円、親会社株主に帰属する当期純損失は519億円となりました。
これをセグメントごとに示すと次のとおりです。
運輸業
東海道新幹線については、お客様に安心してご利用いただけるよう「のぞみ12本ダイヤ」を活用するなど十分な輸送力を確保しつつ、車内の換気、駅や列車のお客様が手に触れやすい箇所の定期的な消毒及びお客様と接する社員のマスクの着用等、感染拡大防止に取り組むとともに、駅のデジタルサイネージ等でピクトグラムや動画を用いてお客様へわかりやすくご案内しました。また、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、不断のコストダウンを重ねながら大規模改修工事を着実に進めるとともに、地震対策については、脱線防止ガードの敷設を進めるなど、東海道新幹線全線を対象にした脱線・逸脱防止対策に取り組んだほか、鉄道設備の浸水対策について、ハザードマップ等を踏まえて進めました。さらに、車椅子スペースを6席設置したN700Sの投入を開始するとともに、既設の車椅子対応座席における「エクスプレス予約」及び「スマートEX」での予約の試行を開始しました。また、引き続き新型車両N700Sの投入及び既存のN700Aタイプに対してN700Sの一部機能を追加する改造工事を進めました。加えて、可動柵について新大阪駅20~22番線ホームへの設置工事を進め、21、22番線ホームでの使用を開始するなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。
在来線についても、東海道新幹線同様、お客様に安心してご利用いただけるよう感染拡大防止に取り組み、お客様のご利用状況を踏まえて十分な輸送力を提供しました。また、名古屋工場や高架橋柱の耐震化等の地震対策を引き続き進めるとともに、降雨対策、落石対策、踏切保安設備改良等を計画的に推進しました。さらに、可動柵について、金山駅東海道本線ホームへの設置工事を進め、下りホームでの使用を開始したほか、QRコードを利用したホーム可動柵開閉システムの実証試験を行いました。内方線付き点状ブロックについては、整備対象を乗降1千人以上の駅に拡大して取替を進めるなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。加えて、新形式の通勤型電車315系の営業運転を開始したほか、ハイブリッド方式の新型特急車両HC85系量産車の投入に向けた諸準備を進めました。なお、令和3年8月の大雨により被災し、運転見合わせとなった中央本線(南木曽駅~塩尻駅間)及び飯田線(大海駅~平岡駅間、伊那松島駅~辰野駅間)について、それぞれ早期復旧に取り組み、中央本線については昨年9月3日に、飯田線については昨年11月15日に全線で運転を再開しました。
新幹線・在来線共通の取組みとしては、自然災害や不測の事態等の異常時に想定される様々な状況に対応すべく実践的な訓練等を実施しました。また、地震対策として、駅の吊り天井の脱落防止対策を進めるとともに、駅のプラットホーム上家の耐震補強工事を開始しました。
営業施策については、感染拡大防止の一環として、東海道・山陽新幹線のネット予約・チケットレス乗車サービスであり、駅係員を介することなくきっぷを購入できる「エクスプレス予約」及び「スマートEX」のご利用促進に努めたほか、「こども」が実質無料で「のぞみ」に乗車できるキャンペーンを期間限定で実施しました。また、令和5年夏に予定している、新幹線とともにホテルや観光プラン等、ご旅行全体をシームレスに予約・決済いただける新サービス「EX-MaaS(仮称)」の展開に先立ち、「エクスプレス予約」及び「スマートEX」の画面から沿線のホテル等の各種コンテンツにリンクするポータルサイト「EX 旅のコンテンツポータル」を開設しました。さらに、今後のご利用拡大に向け、京都、奈良、東京、飛騨等の観光資源を活用した各種キャンペーンの準備・展開を行いました。また、これからの新しい旅として提案している「ずらし旅」や「推し旅アップデート」について、特設サイトやTwitterアカウントにて発信するとともに、魅力ある旅行商品等を販売したほか、3月に「のぞみ」号が運行開始30周年を迎えたことを機に、各種記念キャンペーンを実施しました。さらに、「S Work車両」の試行に加え、新しい無料Wi-Fiサービス「S Wi-Fi for Biz」を開始したほか、駅待合室に無料の半個室タイプのビジネスコーナーを設置するなど、お客様のワークスタイルに応じた移動時間をお過ごしいただけるよう、車内や駅のビジネス環境の整備に取り組みました。
上記の結果、当期における輸送実績(輸送人キロ)は、東海道新幹線は前期比38.3%増の251億7千6百万人キロ、在来線は前期比6.7%増の68億4千万人キロとなりました。
バス事業においては、感染拡大防止に取り組みながら、安全の確保を最優先として顧客ニーズを踏まえた商品設定を行い、収益の確保に努めました。
上記の結果、当期における営業収益は前期比34.6%増の7,176億円、営業損失は83億円となりました。
また、運輸業の大部分を占める当社の鉄道事業の営業成績は次のとおりです。
区分 |
単位 |
前事業年度 (自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日) |
当事業年度 (自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日) |
||||||
新幹線 |
在来線 |
合計 |
新幹線 |
在来線 |
合計 |
||||
営業日数 |
日 |
365 |
365 |
365 |
365 |
365 |
365 |
||
営業キロ |
キロ |
552.6 |
1,418.2 |
1,970.8 |
552.6 |
1,418.2 |
1,970.8 |
||
客車走行キロ |
千キロ |
928,813 |
223,080 |
1,151,893 |
911,762 |
221,292 |
1,133,054 |
||
旅 客 輸 送 人 員 |
定期 |
千人 |
10,519 |
231,552 |
240,350 |
10,289 |
231,319 |
239,899 |
|
定期外 |
千人 |
53,090 |
73,948 |
123,239 |
73,221 |
88,520 |
156,478 |
||
計 |
千人 |
63,610 |
305,500 |
363,589 |
83,511 |
319,839 |
396,377 |
||
旅客輸送人キロ |
百万人キロ |
18,199 |
6,411 |
24,610 |
25,176 |
6,840 |
32,016 |
||
旅 客 運 輸 収 入 |
旅 客 運 賃 ・ 料 金 |
定期 |
百万円 |
12,099 |
28,771 |
40,870 |
11,790 |
29,581 |
41,372 |
定期外 |
百万円 |
405,258 |
30,060 |
435,318 |
578,055 |
37,815 |
615,870 |
||
計 |
百万円 |
417,357 |
58,831 |
476,189 |
589,846 |
67,396 |
657,242 |
||
小荷物運賃・ 料金 |
百万円 |
- |
2 |
2 |
- |
2 |
2 |
||
合計 |
百万円 |
417,357 |
58,834 |
476,191 |
589,846 |
67,398 |
657,244 |
||
鉄道線路使用料収入 |
百万円 |
- |
- |
4,348 |
- |
- |
3,564 |
||
運輸雑収 |
百万円 |
- |
- |
46,906 |
- |
- |
50,587 |
||
収入合計 |
百万円 |
- |
- |
527,447 |
- |
- |
711,396 |
||
輸送効率 |
% |
座席利用率 23.7 |
乗車効率 22.1 |
- |
座席利用率 33.4 |
乗車効率 23.7 |
- |
(注) 1 旅客運輸収入の新幹線及び在来線区分は、旅客輸送計数により区分しています。また、旅客輸送人員の合計については、新幹線、在来線の重複人員を除いて計上しています。
2 輸送効率の算出方法は次のとおりです。
新幹線座席利用率= |
旅客輸送人キロ |
×100 |
|
座席キロ(編成別列車キロ×座席数) |
在来線乗車効率 = |
旅客輸送人キロ |
×100 |
|
客車走行キロ×平均定員 |
3 旅客運輸収入のうち主要なJR他社(当該会社の旅行代理店等を含む。)による発売額の構成比は、次のとおりです。
会社名 |
前事業年度(%) |
当事業年度(%) |
|
東日本旅客鉄道株式会社 |
17.8 |
17.7 |
|
西日本旅客鉄道株式会社 |
14.7 |
15.3 |
|
流通業
流通業においては、感染拡大防止に取り組みながら、「ジェイアール名古屋タカシマヤ」と「タカシマヤ ゲートタワーモール」において、顧客ニーズを捉えた営業施策を展開するとともに、大名古屋ビルヂングに高級時計売場を出店するなど、収益の確保に努めました。また、駅やホテルの人気商品やオリジナル鉄道グッズ等を取り揃えた多彩なオンラインショップが集う新ショッピングサイト「JR東海MARKET」をオープンしました。さらに、引退した新幹線車両のアルミニウムを再利用した「新幹線再生アルミ」を建材・内装材として販売し、マテリアルリサイクルに取り組んだほか、名古屋駅ホーム上の店舗において、運営体制の最適化を行いつつリニューアルを実施し、商品力の強化と運営コストの低減等を通じて競争力を高めました。
上記の結果、当期における営業収益は前期比41.2%減の1,027億円、営業損失は37億円となりました。
不動産業
不動産業においては、静岡駅「アスティ静岡西館」や高蔵寺駅「アスティ高蔵寺」のリニューアルを完了するなど、競争力、販売力の強化に取り組みました。また、社宅跡地等の開発において、大垣市内の宅地分譲「セントラルガーデン・ステージ大垣駅北」の販売を進めたほか、駅構内や駅直結ビル等におけるワークスペース事業「EXPRESS WORK」を開始しました。
上記の結果、当期における営業収益は前期比4.4%増の722億円、営業利益は前期比14.5%増の149億円となりました。
ホテル・サービス業
ホテル業においては、感染拡大防止に取り組みながら、高品質なサービスの提供に努めました。
旅行業においては、これからの新しい旅として提案している「ずらし旅」と連動し、京都、奈良、東京、飛騨等の各方面へ向けた魅力ある旅行商品を販売したほか、「推し旅アップデート」として各種事業者と協力した新たな観光プランを販売しました。
上記の結果、当期における営業収益は前期比8.8%増の338億円、営業損失は75億円となりました。
鉄道車両等製造業
鉄道車両等製造業においては、鉄道車両や建設機械等の受注・製造に努めました。
上記の結果、当期における営業収益は前期比5.7%減の923億円、営業利益は前期比32.5%減の58億円となりました。
その他
その他の事業においては、工事の設計、施工及び管理等に努めました。
上記の結果、当期における営業収益は前期比11.5%減の1,097億円、営業利益は前期比38.8%減の28億円となりました。
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績
① 営業収益
営業収益は、前期比1,116億円(13.6%)増の9,351億円となりました。
運輸業においては、当社の運輸収入は前期比1,810億円(38.0%)増の6,572億円となりました。東海道新幹線では、輸送実績(輸送人キロ)が前期比38.3%増加した結果、運輸収入は前期比41.3%増の5,898億円となりました。また、在来線では、輸送実績(輸送人キロ)が前期比6.7%増加した結果、運輸収入は前期比14.6%増の673億円となりました。
運輸業以外の事業においては、不動産業、ホテル・サービス業ではそれぞれ前期比4.4%、8.8%の増収、流通業、鉄道車両等製造業、その他では前期比41.2%、5.7%、11.5%の減収となりました。
② 営業費
営業費は、前期比748億円(7.4%)減の9,334億円となりました。
③ 営業損益
営業利益は17億円となり、前期が1,847億円の営業損失であったことと比べ、1,864億円改善しました。
④ 営業外損益
営業外損益は、前期と比べて83億円改善しました。
⑤ 経常損益
経常損失は672億円となり、前期が2,620億円の経常損失であったことと比べ、1,947億円改善しました。
⑥ 親会社株主に帰属する当期純損益
上記に法人税等などを加減した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は519億円となり、前期が2,015億円の親会社株主に帰属する当期純損失であったことと比べ、1,496億円改善しました。
(2) 財政状態
当期末の資産残高は、前期末から1,498億円減少し9兆4,505億円となりました。また、セグメント別の資産残高について、運輸業は前期末から637億円減少し8兆7,137億円、流通業は前期末から14億円増加し1,176億円、不動産業は前期末から5億円減少し3,513億円、ホテル・サービス業は前期末から43億円減少し290億円、鉄道車両等製造業は前期末から40億円減少し1,254億円、その他は前期末から116億円増加し2,724億円となりました。
当期末の負債残高は、前期末から724億円減少し5兆8,412億円となりました。なお、長期債務の当期末残高は、4兆9,416億円となりました。そのうち、中央新幹線建設長期借入金を除いた長期債務残高は1兆9,416億円となり、前期末と比べ90億円増加しました。
当期末の純資産残高は、前期末から773億円減少して3兆6,092億円となり、自己資本比率は前期末の37.9%から当期末は37.7%になりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末と比べ1,004億円減の6,194億円となりましたが、資金の流動性を確保していると判断しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、717億円の資金の増加となりました。前期が1,693億円の資金の減少であったことと比べ、当社の運輸収入が増加したことなどから、2,411億円の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,530億円の資金の減少となりました。前期が1,347億円の資金の減少であったことと比べ、中央新幹線建設資金管理信託の取崩しの時期を見直したことにより収入が減少したことなどから、183億円の減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、191億円の資金の減少となりました。前期が2,626億円の資金の増加であったことと比べ、短期社債の発行による収入等が減少したことなどから、2,818億円の減少となりました。
② 重要な資本的支出の予定及びその資金の源泉
「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりです。
③ 株主還元
「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。
④ 資金調達
資金調達については、中央新幹線などの設備投資計画や債務償還計画等を考慮し、経済情勢、金融市場動向を踏まえた上で、必要な資金を安定的、機動的かつ低利に確保することを基本としています。
当期は、債務の償還及び設備資金等に充当するため、グリーンボンド200億円を含む国内普通社債400億円を発行し、長期借入金により1,055億円を調達しました。また、新型コロナウイルス感染症の影響による収入の減少が続いた場合に備え、短期社債2,000億円を発行しました。
なお、中央新幹線の建設については、財政投融資を活用した長期借入を行い、当面必要となる資金を確保しています。
当社では、円滑な資金調達を行うため、当期末時点でムーディーズ・ジャパン株式会社よりA2、株式会社格付投資情報センターよりAA、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社よりA+、株式会社日本格付研究所よりAAAの格付けを取得しています。
また、短期的な流動性確保のため、当期末現在1,000億円のコミットメントラインを設定しています。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しています。この連結財務諸表の作成にあたって、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループにおける見積りのうち、退職給付に係る負債及び退職給付費用については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(退職給付関係)」において割引率、長期期待運用収益率等を記載しています。なお、割引率、長期期待運用収益率等に変動が生じた場合には、退職給付債務が増減することに伴い、退職給付に係る負債及び退職給付費用に増減が生じます。
また、繰延税金資産については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
お知らせ