業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、多くの分野で持ち直し方向にあるものの、新型コロナウイルス感染症の再拡大や半導体などの供給制約に伴う一部減産の影響を受け、自動車分野などで持ち直しの動きが一服しております。

国内の自動車市場におきまして、新車販売台数合計は前連結会計年度(以下、前年同期という)比で83.8%(日本自動車工業会統計データ)と大幅に減少いたしました。半導体の不足と東南アジアや中国における新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う、自動車部品の供給不足による減産の影響を大きく受けております。中古車登録台数も新車販売の低迷に伴い下取り車が減少したことに加えて、中古車相場上昇に伴って買い控えが起きていることから、前年同期比で92.2%と減少いたしました。

売上収益は、海外関連事業におきまして、2021年7月1日に陸友物流(北京)有限公司を連結子会社化したことに加えて、マレーシア向けの中古車輸出事業が好調に推移したことから増収となりましたが、営業利益は、自動車流通の低迷に伴って車両輸送受託台数が減少したこと、燃料単価が高騰していること、雇用調整助成金が前連結会計年度に比べて減少したことから減益となりました。

これらの結果、当社グループの業績は、売上収益1,070億45百万円(前年同期比116.1%)、営業利益39億12百万円(前年同期比73.4%)となりました。また、税引前利益は39億47百万円(前年同期比73.4%)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は25億35百万円(前年同期比69.9%)となりました。

 

〔自動車の国内流通に関連する台数〕

単位:台

国内販売

2020年7月~2021年6月

2021年7月~2022年6月

前年比

新車販売台数

 

 

 

 

国内メーカー

*1

4,577,218

3,830,263

83.7%

(うち日産自動車)

*1

(483,552)

(428,312)

(88.6%)

海外メーカー

*2

278,207

239,669

86.1%

新車販売台数合計

 

4,855,425

4,069,932

83.8%

中古車登録台数

 

 

 

 

登録車

*3

3,909,258

3,591,917

91.9%

軽自動車

*4

3,094,802

2,863,195

92.5%

中古車登録台数合計

 

7,004,060

6,455,112

92.2%

永久抹消登録台数

*3

207,818

180,972

87.1%

 

輸出

2020年7月~2021年6月

2021年7月~2022年6月

前年比

国内メーカー新車

*1

4,140,514

3,529,909

85.3%

中古車乗用車

*5

1,177,126

1,276,107

108.4%

*1 日本自動車工業会統計より算出  *2 日本自動車輸入組合統計より算出  *3 日本自動車販売協会連合会統計より算出

*4 全国軽自動車協会連合会統計より算出  *5 日本自動車販売協会連合会統計の輸出抹消登録台数より試算

〔燃料小売価格〕

単位:円/L

全国平均

 

2020年7月~2021年6月

2021年7月~2022年6月

前年比

軽油

*6

121.0

146.7

121.2%

レギュラーガソリン

*6

140.6

166.9

118.7%

*6 資源エネルギー庁統計より算出 (当社が輸送に使用する燃料は主に軽油)

 

報告セグメント別の成績

当連結会計年度より、持分法適用共同支配企業であった陸友物流(北京)有限公司の一部出資持分を追加取得し連結子会社化したことに伴い、報告セグメント「海外関連事業」を追加しております。また、自動車関連事業を国内自動車関連事業に変更しております。

なお、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

《国内自動車関連事業》

主幹事業である車両輸送事業は、半導体不足による新車販売台数及び中古車登録台数の減少に伴い、車両輸送受託台数が減少したことから減収になりました。また、整備事業も新車販売台数の減少に伴い納車前整備点検の受託台数が減少したことから減収になり、国内自動車関連事業全体でも減収となりました。

セグメント利益は、車両輸送事業と整備事業の減収に伴い減益になったことに加えて、原油価格の高騰と円安に伴って燃料単価及び海上輸送の燃料サーチャージが上昇したことから、減益となりました。

これらの結果、国内自動車関連事業全体の売上収益は514億82百万円(前年同期比93.6%)、セグメント利益は42億2百万円(前年同期比72.5%)となりました。

車両輸送事業におきましては、「デジタル化」「グリーン化」「ニューノーマル」への対応を進めてまいります。デジタル化におきましては、輸送デジタル化推進室を立ち上げ、計画的な配車を実現するシステムの構築を推進しております。

グリーン化におきましては、自動車の電動化に伴って自動車の重量が増していることに対応すべく、最大積載量を増やした輸送機材の開発を完了させ、順次導入を行ってまいります。また、急激にEV化が加速している中で、先手を打って物流拠点のインフラ整備やEV関連の周辺事業構築を進めてまいります。

ニューノーマルへの対応におきましては、2024年に働き方改革関連法の自動車運転業務に対する適用が控えていること、所謂「物流の2024年問題」への対応に向けて、時間外労働の削減に努めておりますが、同時に輸送力を維持できるよう、乗務員の新規採用、輸送機材の効率的な運用、荷扱い分業体制の推進など様々な施策を実施してまいります。

《ヒューマンリソース事業》

送迎事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から引き続き回復基調にあることから増収となり、人材サービス事業及び空港関連人材事業は、新型コロナウイルス感染症拡大による派遣先における雇い止めの影響を受けた前年よりも回復したことから、増収になりました。セグメント利益は、雇用調整助成金が前連結会計年度と比べて僅少になったことから、減益となりました。

これらの結果、ヒューマンリソース事業全体の売上収益は193億30百万円(前年同期比107.7%)、セグメント利益は6億66百万円(前年同期比80.0%)となりました。

《一般貨物事業》

港湾荷役事業は、バイオマス発電所向けの燃料荷役が本格的に立ち上がったことから増収、運輸・倉庫事業も、新規顧客の獲得によって増収となり、一般貨物事業全体では増収となりました。

セグメント利益につきまして、港湾荷役事業は、バイオマス発電向けの燃料荷役の本格稼働が寄与して増益となり、運輸・倉庫事業は、料金改定及び不採算事業からの撤退に加えて、新規顧客獲得が奏功して増益となり、一般貨物事業全体でもセグメント利益が増益となりました。

これらの結果、一般貨物事業全体の売上収益は64億23百万円(前年同期比111.3%)、セグメント利益は10億60百万円(前年同期比139.9%)となりました。

 

《海外関連事業》

中古車輸出事業は、主要輸出先であるマレーシアにおきまして、ロックダウンが解除されたことや自動車の売上税減免措置が継続されたことに伴い需要が急増したことに加えて、顧客満足度の向上活動が市場占有率の上昇に繋がり、大幅な増収になりました。CKD事業は、顧客であるタイの自動車製造工場の稼働再開に伴って増収となりました。また、中国における車両輸送事業におきましては、前連結会計年度は持分法適用会社であった陸友物流(北京)有限公司を子会社化したことに伴い、同社の売上収益が純増となりました。

セグメント利益につきまして、中国における車両輸送事業は半導体不足や上海のロックダウンの影響を強く受けたことから損失を計上しておりますが、中古車輸出事業とCKD事業は増収に伴い増益となった結果、海外関連事業全体では増益となりました。

これらの結果、海外関連事業全体の売上収益は298億9百万円(前年同期比221.4%)、セグメント利益は1億84百万円(前年同期比2,644.4%)となりました。

 

なお、上記セグメント別損益に含まれていない全社費用(当社の管理部門に係る費用)等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおり「調整額」の項目として計上しており、22億円となります。

 

② 財政状態

当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ39億60百万円(7.8%)増加し、548億95百万円となりました。

当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末に比べ16億44百万円(7.3%)増加し、242億81百万円となりました。

当連結会計年度末における資本合計は前連結会計年度末に比べ23億15百万円(8.2%)増加し、306億14百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ7億23百万円減少し、51億80百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、39億54百万円(前連結会計年度は85億94百万円の収入)となりました。

主な資金増加要因は、当期利益25億21百万円、非資金支出である減価償却費及び償却費46億82百万円であり、主な資金減少要因は、営業債権の増加額18億81百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、32億66百万円(前連結会計年度は31億4百万円の支出)となりました。

支出の主な内訳は、有形固定資産及び投資不動産取得による支出25億95百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、16億8百万円(前連結会計年度は43億64百万円の支出)となりました。

収入の主な内訳は、短期借入金の増加23億円であります。支出の主な内訳は、リース負債の返済による支出30億31百万円であります。

④ 生産、受注及び販売の実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

なお、当社グループの取り扱う主要な商品は車両輸送を中心としたサービスであるため、生産及び受注の状況は記載を省略しております。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

前年同期比(%)

国内自動車関連事業(百万円)

51,482

93.6

ヒューマンリソース事業(百万円)

19,330

107.7

一般貨物事業(百万円)

6,423

111.3

海外関連事業(百万円)

29,809

221.4

合計(百万円)

107,045

116.1

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年7月1日

至 2021年6月30日)

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

日産自動車株式会社

13,054

14.2

10,478

9.8

3.当連結会計年度より、報告セグメントの変更等を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記の「5.セグメント情報」をご参照下さい。

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。なお、詳細につきましては、「② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 f.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べ45億44百万円(22.7%)増加し、246億5百万円となりました。

これは主に、営業債権及びその他債権が29億62百万円増加したこと、また棚卸資産が16億76百万円増加したことなどによります。

非流動資産は、前連結会計年度末に比べ5億84百万円(1.9%)減少し、302億90百万円となりました。

これは主に、のれん及び無形資産が6億60百万円増加したものの、有形固定資産が6億96百万円減少したこと、持分法で会計処理されている投資が2億91百万円減少したことなどによります。

これらの結果資産合計は、前連結会計年度末に比べ39億60百万円(7.8%)増加し、548億95百万円となりました。(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ38億12百万円(25.7%)増加し、186億31百万円となりました。

これは主に、短期借入金が24億31百万円増加したこと、営業債務及びその他債務が21億50百万円増加したことなどによります。

非流動負債は、前連結会計年度末に比べ21億68百万円(27.7%)減少し、56億49百万円となりました。

これは主に、リース負債が21億13百万円減少したことなどによります。

これらの結果負債合計は、前連結会計年度末に比べ16億44百万円(7.3%)増加し、242億81百万円となりました。

(資本)

資本は、前連結会計年度末に比べ23億15百万円(8.2%)増加し、306億14百万円となりました。

これは主に、利益剰余金が親会社の所有者に帰属する当期利益の計上などにより16億31百万円増加したことによります。

 

2)経営成績

(売上収益)

売上収益は前連結会計年度に比べて148億73百万円増加し、1,070億45百万円となりました。国内自動車関連事業において、車両輸送事業は、半導体不足等による新車販売台数及び下取り車不足等による中古車登録台数の減少に伴い、車両輸送受託台数が減少し減収となりました。自動車周辺事業は主に新車販売の減少に伴い、日産自動車株式会社向けの納車前整備点検の受託が減少し、工場内受託業務が減少したことなどから減収となりました。国内自動車関連事業全体で35億11百万円の減収となりました。

ヒューマンリソース事業において、送迎事業は新型コロナウイルス感染症拡大の影響から引き続き回復基調にあることから増収となり、人材サービス事業及び空港関連人材事業も、新型コロナウイルス感染症拡大による派遣先の雇い止めの影響を受けた前年よりも回復し増収になりました。ヒューマンリソース事業全体で13億83百万円の増収となりました。

一般貨物事業において、港湾荷役事業は、バイオマス発電用燃料の荷役が本格的に立ち上がったことから増収となり、運輸・倉庫事業も、新規顧客の獲得により増収となりました。一般貨物事業全体で6億54百万円の増収となりました。

海外関連事業につきましては、中古車輸出事業は、主要輸出先であるマレーシアにおきまして、ロックダウンが解除されたことや自動車の売上税減免措置が継続されたことに伴い需要が急増したことに加えて、顧客満足度の向上活動が市場占有率の上昇につながり、大幅な増収になりました。CKD事業は、顧客であるタイの自動車製造工場の稼働再開に伴って増収になりました。また、中国における車両輸送事業におきましては、前連結会計年度は持分法適用会社であった陸友物流(北京)有限公司を子会社化したことに伴い、同社の売上収益が純増となりました。海外関連事業全体で163億47百万円の増収となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、国内自動車関連事業においては、車両輸送受注台数と中古車輸送台数が想定以上に減少したことや、燃料単価が前年比で大幅に増加したことにより、原価率が上昇いたしました。一般貨物事業においては、バイオマス発電事用燃料荷役が原価率低下に貢献したものの、売上増加の主要因である海外関連事業における中古車輸出事業の原価率が高いことなどから、全体として売上原価比率は85.5%から87.7%へ上昇いたしました。これらの結果、売上総利益は前連結会計年度に比べて2億75百万円減少し131億27百万円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、その他の収益、その他の費用、営業利益)

販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べて6億5百万円増加し93億54百万円、その他の収益は前連結会計年度に比べて7億26百万円減少し2億58百万円、その他の費用は前連結会計年度に比べて1億87百万円減少し、1億19百万円となりました。これらの結果、営業利益は前連結会計年度に比べて14億19百万円減少し39億12百万円となりました。

営業利益率は5.0%の目標に対して3.7%となりました。原価低減活動を進め、営業利益率向上に努めてまいりましたが、売上商品構成の変化や燃料単価の上昇、雇用調整助成金の減少などから、目標を下回る利益率となりました。

 

(金融収益、金融費用、持分法による投資損益、税引前利益)

金融収益は前連結会計年度に比べて31百万円増加し70百万円、金融費用は前連結会計年度に比べて0百万円増加し39百万円、持分法による投資損益は前連結会計年度に比べて38百万円減少し3百万円となりました。この結果、税引前利益は前連結会計年度に比べて14億26百万円減少し39億47百万円となりました。

 

(法人所得税費用、親会社の所有者に帰属する当期利益)

法人所得税費用は前連結会計年度に比べて3億33百万円減少し14億25百万円となりました。非支配持分は前連結会計年度に比べて2百万円減少し△14百万円となりました。これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べて10億90百万円減少し25億35百万円となりました。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

2015年度から2017年度にかけて三ヶ年計画を立案して、三つの成長戦略(車両輸送事業に伴う周辺事業の拡大、人材事業・一般貨物事業の拡大、アセアン事業の推進)と二つの事業基盤の再構築(輸送体制の地域ブロック化の推進、グループシナジーの創出)を掲げて推進してまいりました。三つの成長戦略に関しては、2016年12月に高栄運輸株式会社(現 株式会社ゼロ・プラスBHS)を買収してバイク輸送事業への本格参入、2017年6月に株式会社Aリリーフを商号変更して、空港ビジネスにおける人材派遣事業への新規参入、苅田港海陸運送株式会社にてバイオマス発電の燃料荷役事業への参入決定、日本とタイにおけるCKD事業への新規参入など、種蒔きとその成果が現れてまいりました。

二つの事業基盤の再構築に関しては、まず車両輸送事業において、2015年10月に株式会社ゼロ・プラス九州を商号変更・再編したことを皮切りに輸送体制の地域ブロック化を推進して、2016年7月には株式会社ゼロ・プラス関東を商号変更・再編いたしました。また、2017年4月に株式会社ゼロ・プラス西日本を設立し、10月に株式会社ゼロ・プラス中部を商号変更・再編しました。同時に協力会社6社の事業譲受を行い、11月には株式会社HIZロジスティクスを子会社化して、12月に株式会社ゼロ・プラス東日本と商号変更・再編したことで地域ブロック化が完了いたしました。結果としてゼロ、輸送子会社7社、協力会社6社の合計14社を全国5つのブロックへ再編いたしました。グループシナジーの創出については、類似事業の集約、グループ内インフラの共有化、グループ内における株式会社ジャパン・リリーフの人材リソース利用促進、グループ一丸となった新規事業の開拓を進めてまいりました。

また、2018年度から2020年度にかけての三ヶ年計画では、自動車業界の変化、アセアンの経済成長、少子高齢化に伴う労働力不足に対応すべく、異業種の自動車業界参入や次世代モビリティを見据えた新規事業の開拓、株式会社ジャパン・リリーフにおける人材事業の拡大、タンチョングループと協業した海外事業の拡大に努めると同時に、物流拠点や輸送戦力の最適化をはじめとする地域ブロック化の効果最大化、グループシナジー創出と効率化の推進をしてまいりました。

さらに、車両輸送事業において、積年の課題となっている乗務員の不足と高齢化、輸送機材の老朽化、繁閑差解消への取り組みも進め、働き方改革として総労働時間の管理や労働諸条件の改善を図っております。

2018年度には、株式会社メルカリやKeePer技研株式会社との業務提携を実施して、異業種とのアライアンスを推進しており、また三菱自動車工業株式会社の完成車輸送を全面的に受託することが決定するなど事業領域の拡大を進めております。

2021年度から2023年度にかけての新たな三ヶ年計画においては、企業理念の基本に立ち返り「あらゆる品質(経営品質・人的品質・業務品質・輸送品質など)の向上」を実現することで、「成長し続ける会社」「お客様の期待を裏切らない会社」「安心して働ける会社」を目指してまいります。また、目標とする経営指標である売上収益1,000億円以上についても、三ヶ年で達成するよう掲げており、2022年6月期には既に達成をしております。

c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

1)財務戦略の基本的な考え方

当社グループは、今後予想される様々な経営環境の変化に対応し、持続的な成長に伴うリスクに見合った資本水準と負債・資本構成の維持を基本方針としております。安定した財務体質のもと、企業価値の向上のための成長投資と利益還元を両立してまいります。

当社グループの掲げている新たな三ヶ年計画においては、企業理念の基本に立ち返り「あらゆる品質(経営品質・人的品質・業務品質・輸送品質など)の向上」を実現するための投資などに、当社グループの成長、企業価値の向上に必要な資金及び経常の運転資金を効率的に確保しております。さらに、グループ会社との間ではCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、グループ各社における余剰資金の有効活用に努めております。

2)財務基盤の安定

当社グループの持続的な成長を支え、景気変動の影響にも耐えうるには「財務基盤の安定維持」が前提となります。当社グループのキャッシュ創出力は堅調に推移し、財務基盤は安定しております。今後も、D/Eレシオを0.5倍程度に抑制し、自己資本比率を50%程度に保つことで、当社グループの財務安定性を確保してまいります。

3)安定的な利益還元

当社グループは株主の皆様に対する「安定的な利益還元」を経営方針の一つとし、基本的1株当たり当期利益が80円超の場合の配当性向を25%と設定しております。

4)資金調達

当社グループは現在、自己資金及び金融機関の借入れ等により資金調達することとしています。運転資金について借入れによる資金調達を行う場合、CMSでのグループ内調達を優先的に考え、不足する場合などには、一年以内の短期借入金で各連結会社が外部金融機関より調達することとしております。

生産設備などの長期資金も、CMSでのグループ内調達を先ず考慮し、必要に応じて外部金融機関より長期借入金で調達しております。当社グループは、健全な財務状況、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力、金融機関との当座貸越契約などにより必要資金の確保と緊急時の流動性を確保してまいります。

新型コロナウイルス感染症の影響は、2023年6月期においても一部影響を受けるシナリオを想定しております。当社グループは資金計画に基づき、投資時期の適切性を慎重に考慮するとともに、取引金融機関との当座貸越契約などにより十分な資金を確保することで、新型コロナウイルス感染症等の影響を受ける期間においても適切に事業を遂行し、計画を実現できるものと考えております。

5)資金需要

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、当社グループの輸送事業に関わる車両費、外注費、販売費及び一般管理費等があります。また、当社グループの設備投資需要としましては、営業用車両投資と不動産投資に加え、販売、業務管理用の無形資産投資等があります。

6)財務状況

当連結会計年度の財政状態は以下のとおりであります。

 

財務戦略の基本方針

経営指標

2021年6月期

実績

2022年6月期

実績

 

(a)財務基盤の安定維持

D/Eレシオ

0.38倍

0.35倍

自己資本比率

55.5%

54.8%

(b)収益を伴う成長

ROE

13.6%

 8.7%

(c)安定的な利益還元

配当性向

25.0%

25.0%

 

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは客観的な指標等について、グループ1,000億円以上の売上収益と5%以上の営業利益率の達成を中長期的な目標としており、2023年6月期には連結売上収益1,090億円、営業利益42億円、営業利益率3.9%を業績予想としております。当連結会計年度における連結売上収益は1,070億45百万円であり、営業利益39億12百万円、営業利益率3.7%となりました。引き続き、これらの指標の達成に向けて取り組んでまいります。

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度のセグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については「(1) 経営成績等の状況の概要 ①業績」に記載のとおりであります。

f.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

1)有形固定資産、無形資産、使用権資産

当社グループでは、有形固定資産、無形資産及び使用権資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損テストを実施しております。この判定は、事業用資産についてはグルーピングした各事業単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて行っております。経営者は将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。

新型コロナウイルス感染症拡大による影響は、当社グループの事業活動にも大きな影響を及ぼしています。当社グループは新型コロナウイルス感染症の影響を将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りに反映するに当たり、感染症の影響が2023年6月末までの一定期間は影響するシナリオを想定しております。現在の状況及び入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる見積り及び判断を行っておりますが、不確実性の極めて高い環境下にあり、新型コロナウイルス感染症の広がりや収束時期等の見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

2)貸倒引当金の計上

当社グループの貸倒引当金は、債権の貸倒による損失に備えるため、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、全期間の予想信用損失と等しい金額で貸倒引当金を認識しております。重大な金融要素を含んでいない営業債権については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、常に全期間の予想信用損失と等しい金額で貸倒引当金を認識しております。

個別に回収不能見込額を見積るにあたっては、債権を有する相手先の過去の回収実績や支払能力等を総合的に判断しております。

回収不能見込額の見積りには経営者が管理不能な不確実性が含まれており、予測不能な前提条件の変化等により債権の評価が変動する可能性があり、この場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において貸倒引当金が増減する可能性があります。

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