課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは『品質』、すなわち「安全で良質な輸送・サービス」をお客様に提供するとともに、「お客様の期待以上のサービスを創造することにより、豊かな社会の発展に貢献する。」という企業理念を掲げており、様々なお客様のニーズに対応したあらゆるサービスの質の向上を活動の基本としております。

また、物流業界における確固たるポジションを築くため、既存ビジネスの拡大とともに新規事業や新サービスを創出し、M&Aもひとつの選択肢として、新しい事業領域への展開を推し進めてまいります。持続的な成長・発展を通し、企業価値を増大させ、社会、お客様、株主の皆様から継続的に信頼を得られる企業グループになることを目指してまいります。

(2) 目標とする経営指標

グループ1,000億円以上の売上収益と5%以上の営業利益率の達成を中長期的な目標とし、さまざまな施策を展開し、目標達成に向け邁進してまいります。

(3) 当社グループが置かれている経営環境について

①市場環境

当社グループの主たる事業であります国内自動車関連事業は、消費税や自動車取得及び保有時などの関係諸税の税制に影響を受けやすい国内自動車販売市場の動向に連動しております。国内の新車市場は90年代の700万台をピークに、それ以降は停滞が続き、近年の新車販売台数は500万台前後を推移しておりますが、半導体不足など供給制約がある場合は400万台レベルまで落ち込みます。人口減少などによる運転免許保有者の減少や自動車の所有形態が変化してくるなど、中長期的に見れば市場は減少傾向にあります。

また、物流業界においては中長期的な原油価格の高騰リスクやSOx規制強化に伴う海上運賃上昇に加え、コンプライアンスへの対応、日本国内における労働力不足、特に乗務員の不足への対応、さらには働き方改革関連法に起因する「物流2024年問題」への対応など、引き続き厳しい事業環境が続くものと考えております。

②当社グループの構造と主要なサービスの内容

当社グループは、当社及び子会社19社と共同支配企業4社で構成され、国内自動車関連事業、ヒューマンリソース事業、一般貨物事業、海外関連事業を主たる業務としております。

国内自動車関連事業は、主に新車及び中古車の輸送、バイクの輸送、納車前整備や一般車検整備、リースアップ車や新車販売会社の下取り車の入札会運営、中古車オークション会場での検査業務を主とする構内作業及びそれらに付随する事業を行っております。ヒューマンリソース事業は、車両の運行管理事業やドライバーを中心とした人材派遣事業を行っております。一般貨物事業は、港湾荷役や運輸・倉庫事業に加え、一般消費財等の3PL事業を行っております。海外関連事業は、主として中古車の輸出、海外の自動車製造工場に対して国内の自動車部品を集荷・梱包した上で輸出するCKD事業(Complete Knock Downに関連する輸送事業)、中国における新車の輸送を行っております。

グループの統一的な基本方針のもと、取締役会をはじめ各機関、各社が、相互に事業を組み合わせて、主として自動車のライフサイクルを支える総合物流事業としてのグループシナジー創出と効率化を推し進めております。

③競合他社との優位性

当社グループは、それぞれのセグメントで競合企業が存在いたします。国内自動車関連事業の主たる事業である車両輸送事業においては、多数の車両輸送会社が存在いたしますが、長距離の輸送は対応できないことが多く、当社グループが持つ輸送の全国ネットワークが強みを発揮いたします。また、車両輸送では自動車という特殊な荷物を取り扱っており、その輸送機材に供給の制約があるなど、参入障壁は比較的高いものとなっております。ヒューマンリソース事業においては、一般的な派遣事業の割合は少なく、車両の運行代行やドライバー派遣が主となっており、当社グループとのシナジーがより発揮しやすい構造となっております。また、一般貨物事業においては、参入障壁の高い港湾事業や地域性を活かせる3PL事業を主に事業展開を行っております。海外関連事業においては、中国における車両輸送事業は日本基準の高い輸送品質を強みにしており、中古車輸出事業は地域を集中させ、高い顧客満足度を獲得しております。また、CKD事業は親会社であるタンチョングループとの協業を行うなど独自性を有していることを特長としております。

④新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症拡大の影響や、それに伴う工場等ロックダウンによる自動車部品流通停滞により、車両輸送受託台数の減少、派遣事業での雇い止め等、当社グループの売上収益にも影響が及んでおります。また、景気先行きが不透明であることに起因し、将来的にも当社グループの業績に影響をあたえることが想定されます。当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響等が、2023年6月期においても一定期間にわたり継続するものと想定しておりますが、その影響は限定的であると見ております。

車両輸送事業においては、自動車メーカーの減産等にともない、売上収益に一定の影響は与えると考えられますが、一方で新車販売における受注は好調に推移している模様であり、部品供給等が正常化するのに伴い、販売台数の戻りも大きく、売上収益を増大させると見込んでおります。ヒューマンリソース事業においては、雇い止めなどの影響は一定程度出る可能性はあるものの、派遣事業や空港関連事業においては急速に持ち直しており、傾向は継続するものと見ております。一般貨物事業においては、参入障壁の高い事業に関しては、新型コロナウイルス感染症の直接的な影響は受けづらくなっております。海外関連事業においては、マレーシアや中国におけるロックダウンの影響から回復基調にありますが、中国におけるゼロコロナ政策の影響を受ける可能性があります。

(4) 対処すべき課題

当社グループは次の課題に取り組み、力強い成長戦略を実現してまいります。

①輸送改革の推進

事業基盤再構築の一環として行った車両輸送会社の地域ブロック化により、グループが保有する地域毎の輸送能力を見極め、既存の輸送戦力を最大活用できる最適な配置を進めるとともに、輸送デジタル化による計画的な配車の実現等により輸送効率を向上させてまいります。また、顧客や地域の特性に応じた営業体制・輸送体制の構築に加えて、コスト管理の徹底を図るとともに、請求・支払料金体系の包括的な見直しを進め、収益向上につなげてまいります。

自動車生産工場や中古車オークション会場の所在する地域は、多くの商品車を纏めて輸送するための戦力を配置する重要な拠点が存在しており、サービスセンターやディーラーまでの新車輸送や中古車オークション開催日前後の搬入搬出によって商品車輸送が集中します。サービスセンターや販売店からの復荷の有無によって輸送効率に差が生じ、また中古車オークション開催日とそれ以外の日で繁閑差がありますが、不経済な回送や運休が生じないように配車のデジタル化を含め輸送体制の最適化を進めることで、物流の2024年問題への対応を進めてまいります。

 

②働き方改革の推進

働き方改革を推進して、業界ダントツの魅力ある会社、働きがいのある職場をつくり上げることで、乗務員や整備士の定着、従業員満足度の向上を促進してまいります。

法令順守に努めるとともに、総労働時間の短縮を推進するため、業務の簡素化及び自動化、システムやデジタル化によって負荷軽減に努めてまいります。業務プロセスをシンプルにすることや、輸送機材の荷扱いや中古車オークション会場における自動車探しなどを分業やアウトソースすることによって、業務量の削減と平準化を図り、労働環境や諸条件の改善を進めることで、物流の2024年問題への対応を進めてまいります。

さらに、新型コロナウイルスなどの感染症拡大や災害発生に備え、テレワークや裁量労働制の導入を推進してまいります。

 

③国内自動車周辺事業の拡大

車両輸送に依存しない事業ポートフォリオを構築するため、名義変更や登録代行、納車前整備点検、自動車一時預かり、入札会などの自動車周辺事業を構築して、新規事業や新サービスを創出してまいります。また、M&Aや事業譲受によってバイク輸送やレンタル建機の回送に参入するなど新しい領域への事業展開を進め、事業基盤をより強固なものとしてまいります。

④ヒューマンリソース事業・一般貨物事業の拡大

ヒューマンリソース事業におきましては、戦略的な営業活動及び営業体制の強化により、少子高齢化や需要の多様化などによる、さまざまな企業のアウトソース需要を獲得し、また地方都市への展開などを行っております。

また、社用車を一企業内でシェアリングするオンデマンドモビリティ分野におきましても、ドライバーの需要が高まっており、新規に契約を開始しております。さらに従来の「ドライバー」を軸とした人材・サービスの提供に加えて、空港への人材・サービスの提供を開始しており、今後は更に新たな分野への人材・サービスの提供を検討してまいります。

一般貨物事業におきましては、港湾荷役事業と運輸・倉庫事業ともに既存顧客の要望に的確に応えるとともに、新規顧客の獲得に努めることで事業の拡大を進めております。運輸・倉庫事業では、顧客の物流センター・倉庫の3PL事業に注力しております。港湾荷役事業におきましては、グリーン化・カーボンニュートラルの流れの中で、バイオマス発電所向けの燃料荷役を開始し、軌道に乗ってきております。また、グループ内における協業を推進することで、インフラやリソースの最大活用して、シナジー創出を進めてまいります。

 

⑤海外関連事業の拡大

国内自動車関連事業で長年培ってきた当社グループのサービス技術、ノウハウを海外の成長市場で展開しております。中国におきましては、2004年に陸友物流(北京)有限公司を設立して進出以来、順調に事業を拡大し収益を上げており、2021年7月1日に出資持分を追加取得し、連結子会社化いたしました。ASEAN諸国におきましては、親会社であるタンチョンインターナショナルリミテッドと協業して、車両輸送・整備・自動車部品梱包、輸送(CKD事業)などの事業拡大に努めております。

⑥ その他

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、車両輸送受託台数の減少等、当社グループの売上収益にも影響が及んでおります。また、景気先行きが不透明であることに起因し、将来的にも当社グループの業績に影響をあたえます。

当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響が、2023年6月期においても一定期間にわたり継続するものと想定しておりますが、その影響は限定的であると見ております。

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