(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による景気の悪化から持ち直しの動きがみられるものの、新たな変異株の出現による感染再拡大の懸念により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
物流業界においては、外出自粛や企業のテレワーク推奨等の巣ごもり需要により、ネット通販市場の拡大に伴う物流需要が引続き拡大傾向にある一方で、ウクライナ情勢、新たな変異株も発生した新型コロナウイルス感染症の影響による物価の高騰や、世界的な半導体供給不足の影響による各メーカーの生産量の減少など、今後の経営環境への影響が懸念される状況にあります。
このような状況のもと、当社グループは、物流という社会インフラの責任ある担い手として、全従業員が一丸となって業務に取り組んでまいりました。
当期は「中期経営計画2023」の2年目となり、主にインフラ会社の資材3PL業務の開始、首都圏での移転業務の拡大、e-コマース向けの大型物流センター(東大阪市、門真市)での業務拡張など積極的な業容拡大に努めた結果、過去最高の売上となりました。
また「中期経営計画2023」に基づく成長戦略に必要な投資財源を確保するため、本社間接費を中心とした経費削減や収益性の低い事業のコスト構造改革を実施し、筋肉質な経営体質の構築に取り組みました。
この結果、「中期経営計画2023」に向けた成長投資としての費用増加がある中で、過去最高の経常利益となりました。
当連結会計年度の業績は、売上高279億53百万円(前年同期比14.4%増)、営業利益14億75百万円(同44.2%増)、経常利益16億70百万円(同29.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は11億20百万円(同68.1%増)となっております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①運送事業
当事業につきましては、売上高は172億34百万円(前年同期比5.9%増)となり、セグメント利益は17億97百万円(同7.0%増)となりました。これは主に、事務所移転作業が増加したことによるものです。
②倉庫事業
当事業につきましては、売上高は74億4百万円(前年同期比16.7%増)となり、セグメント利益は11億18百万円(同27.6%増)となりました。これは主に、大口得意先からの庫内業務を受注したことによるものです。
③商品販売事業
当事業につきましては、売上高は21億69百万円(前年同期比279.5%増)となり、セグメント利益は63百万円(同526.3%増)となりました。これは主に、新たに資材販売業務を開始したことによるものです。
④ウエルフェア事業
当事業につきましては、売上高は9億38百万円(前年同期比5.2%増)となり、セグメント利益は1億38百万円(同7.1%増)となりました。これは主に、福祉用具の貸出しにより売上が増加し、拠点の統廃合による人件費等の減少により、セグメント利益が増加したことによるものです。
⑤その他
当事業につきましては、主なものは駐車場事業やオフィスコンビニ事業となりますが、売上高は2億6百万円(前年同期比40.7%減)となり、セグメント利益は9百万円(同53.4%減)となりました。これは主に、駐車場事業の大口得意先との契約終了、PCデータのイレース作業(機密データの消去や物理破壊等)のスポット案件が終了したことによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は,34億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億75百万円増加いたしました。その内訳は営業活動により得られた資金が14億84百万円(前年同期比191.6%増)、投資活動により使用した資金が10億1百万円(同87.4%増)、財務活動により使用した資金が1億7百万円(前年同期比6.5%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、14億84百万円(前年同期は5億8百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益17億20百万円、減価償却費5億14百万円、法人税等の支払額4億73百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、10億1百万円(前年同期は5億34百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出6億9百万円、無形固定資産の取得による支出70百万円、差入保証金の差入による支出1億26百万円、差入保証金の回収による収入8百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2億87百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、1億7百万円(前年同期は1億1百万円)となりました。これは長期借入による収入6億円、長期借入金の返済による支出6億3百万円、短期借入金の増加額1億50百万円、リース債務の返済による支出20百万円、配当金の支払による支出2億33百万円によるものです。
当社グループの主たる事業内容である物流事業(運送事業、倉庫事業)については、受注生産形態はとっておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、主な相手先の販売実績につきましては次のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたりまして、判断及び仮定を使用することが必要となる金額については、過去の実績や状況に応じ判断、仮定、情報の適切性及び金額の妥当性に留意した上で会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
なお、連結財務諸表作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。
①財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ23億29百万円増加し、181億40百万円となりました。資産の主要科目の増減は、現金及び預金が3億94百万円の増加、営業未収入金が3億60百万円の増加、商品が新たに資材販売業務を開始したことにより2億26百万円の増加、車両運搬具が1億71百万円の増加、投資有価証券が1億77百万円の増加、土地が山神運輸工業株式会社を子会社化したことにより7億円の増加となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ13億79百万円増加し、82億76百万円となりました。負債の主要科目の増減は、営業未払金が3億73百万円の増加、短期借入金が2億50百万円の増加、未払法人税等が1億77百万円の増加、長期借入金が3億81百万円の増加となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産につきましては、利益剰余金の増加等により前連結会計年度末に比べ9億50百万円増加し98億63百万円となり、自己資本比率は54.4%となりました。
(売上高)
当連結会計年度は、資材3PL事業の開始、e-コマース向けの大型物流センターでの業務拡張などにより、売上高は279億53百万円(前年同期比14.4%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、本社間接費を中心とした経費削減や、収益性の低い事業のコスト構造改革により、16億70百万円(同29.7%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、山神運輸工業株式会社の子会社化に伴い発生した負ののれんによる影響などにより、11億20百万円(同68.1%増)となりました。
キャッシュ・フローの分析は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績業及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、運送事業における人件費や燃油費、設備投資においては車輛運搬具や情報設備等の購入、倉庫施設の改修及び設備面における作業効率改善、既存設備等のメンテナンスと入替のための費用があります。これらの資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入による資金調達にて対応する方針であり、主に短期的な運転資金は銀行等金融機関からの短期借入により調達し、設備投資等に要する資金は銀行等金融機関からの長期借入により調達する方針です。
また、当社は運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行と当座貸越契約を締結しております。2022年3月31日現在の短期借入金の残高は10億30百万円、長期借入金(1年以内に返済予定のものを含む)の残高は15億79百万円であります。
株主還元につきましては、安定配当かつ利益還元を重視しつつ、長期的かつ安定的な事業展開に必要な内部留保の充実を図りながら、これを総合的に勘案して決定することとしており、連結配当性向は30%を目標水準としております。
上記の基本に基づき、当期の配当金につきましては、1株につき26円としております。
物流業界においては、ウクライナ情勢、新たな変異株による新型コロナウイルスの感染拡大、物価上昇、半導体供給不足の影響による各メーカーの生産量の減少など、今後も不透明な経営環境が続くものと予想されます。
このような認識のもと、当社グループは、中期経営計画2023(2020年7月29日公表)の最終年度となる2023年3月期につきまして、2021年10月のインフラ会社の資材3PL業務の開始や、2022年2月の山神運輸工業株式会社の子会社化、2022年4月の三郷ロジスティクスセンターの開設等、積極的な業容拡大に努めた結果、売上高に関しましては、当初中期経営計画2023で掲げた300億円を上回る、315億円(前年同期比12.7%増)を見込んでおります。
利益に関しましては、新事業開始に伴う初期投資費用や、中期的な成長を牽引する重点事業領域への人材投資等が予定されていますが、業容拡大による収益源の増加や、本社間接費の徹底した抑制を継続することによる、損益分岐点引き下げの効果により、営業利益は16億80百万円(前年同期比13.9%増)、経常利益は17億50百万円(同4.7%増)、当期純利益は11億10百万円(同1.0%減)を見込んでおります。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 会社の対処すべき課題」に記載しております。
物流業界は、規制緩和が進み業者間の競争が厳しさを増す一方で荷動きの低迷に直面しており、制度や法律の改正による企業倫理や安全・環境問題への対応等、企業として果たすべき役割や責任が大きくなってきております。
当社グループは、「安全」と「安心」を大切にして物流事業を通じ社会に奉仕することをスローガンに、①商品・サービスの使命、②社会的使命、③経済的使命の3つの使命を経営理念として株主価値の向上を図り、社会に貢献できる会社を目指しております。
なお、コンプライアンス全体を統括する組織として社長を委員長とする「コンプライアンス・リスク管理委員会」を設置すると共に「法令遵守マニュアル」を制定し、コンプライアンス体制の整備及び問題点の把握に努め、内部管理体制の一層の充実を図ることで主要事業許認可関係に対する法令遵守及び交通安全対策並びに環境問題に積極的に対応する方針であります。
また、財務報告の信頼性を確保するため、「財務報告に係る内部統制の整備・運用及び評価の取り扱い」を定めており、関係規程の整備、役員及び従業員の意識向上、内部監査制度の充実等を図り、財務報告に係る内部統制の有効かつ適切な運用・管理に努めております。
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