業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の金額となっていることから、対前年同期比増減率は記載していない。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、有形固定資産が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ543百万円減少の92,351百万円となった。

 当連結会計年度末の負債は、借入金が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ995百万円減少の71,724百万円となった。

 当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ452百万円増加の20,626百万円となり、自己資本比率は22.3%となった。

 

b.経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が促進され、企業収益に持ち直しが見られたものの、度重なる変異株の感染拡大や原材料価格の上昇の影響など、先行きに不透明感が続く状況で推移した。

 この間当社グループにおいては、各部門において新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図りながら増収やコストの削減に努めた結果、当連結会計年度の経営成績は前連結会計年度を上回ったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大以前を下回る水準で推移し、次のとおりとなった。

 すなわち、営業収益は20,517百万円(前連結会計年度は20,231百万円)となり、営業利益は1,065百万円(前連結会計年度は698百万円)、経常利益は652百万円(前連結会計年度は370百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は519百万円(前連結会計年度は187百万円)となった。

 また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用している。同基準を適用した結果、営業収益は同基準を適用していなかった場合と比較して、661百万円減少しているが、営業利益、経常利益への影響は軽微である。

 

 

運 輸 業

 鉄道事業においては、「安全の絶対確保」を図るため、安全管理体制のさらなる整備・充実に取り組んだほか、「鉄道軌道安全輸送設備等整備事業」等の補助を活用しながら、軌道の強化、ホームの改良、変電設備の更新等の工事を推し進め、運転保安度の一層の向上に努めた。有馬線花山駅においては、駅舎のリニューアルとともにスロープ及び多機能トイレを新設するバリアフリー化工事を進めている。また、類焼により被災し再整備が進められていた粟生線三木駅については、2022年3月に駅舎が完成し、供用を開始した。

 営業活動については、開催を見合わせていた企画ハイキングを、感染予防策を実施したうえで2021年10月から再開するとともに、粟生線活性化の取組の一環である「おもてなしきっぷ」に、神戸市営地下鉄沿線からもお越しいただけるよう「神戸市営地下鉄版」を新たに加えて発売したほか、上方落語の定席「神戸新開地・喜楽館」と連携した「神鉄・高速×喜楽館 笑い放題切符」を発売するなど、旅客誘致に努めた。

 また、神戸市と締結している当社沿線のリノベーションに関する連携協定に基づき、駅舎と駅周辺の土地の活用を図る参加型プロジェクト「#駅活~Challenge~」(えきかつチャレンジ)を2021年5月から開始した。さらに、アウトドアを通じた当社沿線の地域活性化及び魅力発信に関する連携協定を、神戸市及び株式会社好日山荘と10月に締結するなど、駅や当社沿線の活性化により人口定着や鉄道の利用促進が図られるよう、沿線自治体や地域の皆様と連携した取組を進めている。

 従来からご利用者数が減少傾向にあるなか、新型コロナウイルス感染症の影響により、その傾向が強まっていることへの対応や、鉄道施設の保守等にかかる作業時間の確保を目的としたダイヤ変更を2022年3月に実施した。

 バス事業においては、企業や学校の貸切送迎業務をはじめ積極的な営業活動を展開し、増収に努めた。

 タクシー業においては、配車アプリやキャッシュレス決済の拡充を図るなど、増収に努めた。

 これらの結果、当連結会計年度の運輸業の営業収益は11,429百万円(前連結会計年度は10,695百万円)となり、営業損失は46百万円(前連結会計年度の営業損失は679百万円)となった。

 (提出会社の運輸成績)

期別

 

 

 

種別

単位

当連結会計年度

(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

 

対前期増減率

(%)

営業日数

365

0.0

営業キロ

キロ

69.6

0.0

客車走行キロ

千キロ

14,926

△0.3

旅客人員

定期

千人

33,414

2.2

定期外

15,254

7.5

48,668

3.8

旅客運輸収入

定期

百万円

3,898

定期外

3,538

7,436

運輸雑収

960

収入合計

8,397

乗車効率

18.7

 

 

(注)1. 乗車効率の算出は、

 

 

延  人  キ  ロ

客車走行キロ×平均定員

 

          による。

2. 客車走行キロ数は社用、試運転及び営業回送を含んでいない。

 

期別

 

 

 

種別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

営業収益

(百万円)

対前期増減率

(%)

鉄道事業

8,397

バス事業

1,581

タクシー業

 1,455

消去

△4

営業収益計

11,429

 

不 動 産 業

 土地建物賃貸業においては、当社が保有する賃貸物件へのテナント誘致を進め収益の拡大に努めるとともに、土地建物販売業においては、神戸市北区の販売土地を売却した。

 また、2021年4月より神戸市から「神戸市新長田駅前駐車場(神戸市長田区)」の管理運営業務を新たに受託した。

 これらの結果、当連結会計年度の不動産業の営業収益は2,009百万円(前連結会計年度は1,927百万円)となり、営業利益は900百万円(前連結会計年度は944百万円)となった。

 

 

期別

 

 

 

種別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

営業収益

(百万円)

対前期増減率

(%)

土地建物販売業

28

土地建物賃貸業

1,980

営業収益計

2,009

 

流 通 業

 食品スーパー業においては、青果部門を中心とした生鮮部門の品揃えを強化するなど、販売促進策を各店舗で積極的に展開した。また、顧客層の拡大と増収を図るため、2022年3月よりクレジットカード決済を導入した。

 コンビニ業及び飲食業においては、各店舗で増収に努めた。

 しかしながら、前連結会計年度に見られたいわゆる「巣ごもり需要」の反動減などにより当連結会計年度の流通業の営業収益は5,237百万円(前連結会計年度は6,132百万円)となり、営業利益は38百万円(前連結会計年度は71百万円)となった。

 

期別

 

 

 

種別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

営業収益

(百万円)

対前期増減率

(%)

食品スーパー業

3,953

コンビニ業

970

飲食業

298

その他

14

営業収益計

5,237

 

 

そ の 他

 保育事業及び健康事業においては、駅に近接する各施設の強みを活かしてご利用者の増に努めた。

 建設業においては、当社グループ外からの受注拡大に努めた。

 これらの結果、当連結会計年度のその他の営業収益は3,090百万円(前連結会計年度は3,101百万円)となり、営業利益は166百万円(前連結会計年度は359百万円)となった。

 

期別

 

 

 

種別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

営業収益

(百万円)

対前期増減率

(%)

建設業

1,350

施設管理・警備業

1,309

保育事業及び健康事業

796

その他

462

消去

△828

営業収益計

3,090

 

②キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ104百万円(7.6%)減少し、当連結会計年度末は1,256百万円となった。

  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。

 

    (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、2,809百万円と前連結会計年度に比べ925百万円の増加となった。これは、仕入債務の増減額が増加したこと等によるものである。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、1,073百万円と前連結会計年度に比べ291百万円の減少となった。これは、有形固定資産の取得による支出が減少したこと等によるものである。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、1,840百万円と前連結会計年度に比べ1,512百万円の増加となった。これは、借入金が減少したこと等によるものである。

 

③生産、受注及び販売の実績

  当社グループは運輸業、不動産業及び流通業など多種多様な事業を営んでいるため、そのセグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。

  このため生産、受注及び販売の実績については、「①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの経営成績に関連付けて示している。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりである。

a.財政状態の分析

    当連結会計年度の財政状態の分析は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりである。

b.経営成績の分析

  営業収益及び営業利益

    営業収益は、運輸業では、鉄道事業のご利用者数は、新型コロナウイルス感染症の拡大以前を下回る水準であり、従来からご利用者数が減少傾向にあるなか、その傾向が強まっていることへの対応等として、ダイヤ変更を2022年3月に実施した。鉄道事業、バス事業及びタクシー業のいずれも新型コロナウイルス感染症の影響が縮小傾向にあることから、前連結会計年度に比べ734百万円の増収となった。

    不動産業では、土地建物賃貸業において、当社が保有する賃貸物件へのテナント誘致を進めるとともに、2021年4月より神戸市から「神戸市新長田駅前駐車場(神戸市長田区)」の管理運営業務を新たに受託したことから、前連結会計年度に比べ82百万円の増収となった。

    流通業では、前連結会計年度に比べ895百万円の減収となった。これは、食品スーパー業において、当連結会計年度の期首から適用した「収益認識に関する会計基準」の影響額(575百万円)を含むとともに、前連結会計年度に見られたいわゆる「巣ごもり需要」の反動減などによるものである。

    この結果20,517百万円と前連結会計年度に比べ286百万円の増収となった。

    営業利益は、各部門において新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図りながら増収やコスト削減に努めた結果、1,065百万円と前連結会計年度に比べ367百万円の増益となった。

  経常利益

    営業外収益は、主に新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、前連結会計年度に引き続き、公的な支援である雇用調整助成金や地域公共交通感染拡大防止対策事業費補助金を計上したこと等により、325百万円と前連結会計年度に比べ158百万円の減少となった。これは、主に雇用調整助成金及び受託工事事務費戻入等の減少である。

    営業外費用は、主に雇用調整助成金に対応した従業員への支給である休業手当を計上したこと等により、738百万円と前連結会計年度に比べ73百万円の減少となった。これは、借入金の減少等に伴い支払利息が減少したことと、主に雇用調整助成金に対応した従業員への支給である休業手当などの減少である。

    これらの結果、経常利益は652百万円と前連結会計年度に比べ282百万円の増加となった。

  親会社株主に帰属する当期純利益

    特別利益は、主に「鉄道軌道安全輸送設備等整備事業費」等の補助他の工事負担金受入額を計上したこと等により466百万円となり、前連結会計年度に比べ608百万円の減少となった。

    特別損失は、主に「鉄道軌道安全輸送設備等整備事業費」等の補助他の工事負担金圧縮額を計上したこと等により474百万円となり、前連結会計年度に比べ609百万円の減少となった。

    この結果、税金等調整前当期純利益は644百万円と前連結会計年度に比べ283百万円の増加となり、これから法人税等(法人税等調整額を含む)を控除した当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は519百万円と前連結会計年度に比べ332百万円の増加となった。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

  当社グループの当連結会計年度の営業キャッシュ・フローは2,809百万円であり、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を1,256百万円保有している。

  当社グループは、キャッシュ・フロー重視の経営を行っており、収益力の強化により営業活動によるキャッシュ・フローを高め、さらに、投資効率を重視した設備投資を行うとともに、有利子負債の削減を進めることに取組んでいる。

 

  a.有利子負債

当連結会計年度末現在の有利子負債の概要は、以下のとおりである。

 

 

年度別要支払額(百万円)

有利子負債

合 計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

(1)短期借入金(※1)

10,665

10,665

(2)長期借入金(※1)

48,173

18,633

13,529

11,504

4,506

(3)リース債務(※2)

645

196

279

140

28

(4)その他有利子負債(※3)

1,176

365

533

277

合 計

60,660

29,860

14,341

11,922

4,535

 

(※1)1年内返済予定の長期借入金は、「(2)長期借入金」に含めている。

(※2)「(3)リース債務」は、流動負債と固定負債のリース債務の合計である。

(※3)「(4)その他有利子負債」は、流動負債と固定負債の未払金の合計である。なお、主に変電所機械等の割賦購入代金等である。

 

  b.資金需要

  当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、持続的な成長のための投資や各事業に係る運転資金の他、鉄道事業をはじめとする運輸業における設備の更新等に要する設備資金である。

  c.財務政策

  当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入等により資金を調達しており、資金については当社及び金融業を営む子会社で一元管理している。

  資金調達に際しては、金利スワップ等を活用し、調達コストの低減に努めている。

  また、金融機関に借入枠を有しており、当社グループの運営に必要な運転資金及び設備資金の安定的な調達は今後も可能である。

  なお、当連結会計年度末における借入金、リース債務等を含む連結有利子負債残高は60,660百万円である。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成において、経営者は、見積り及び仮定の設定を行っている。見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されている。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した連結会計年度と将来の連結会計年度において認識される。

実際の業績は、これら会計上の見積り及びその基礎となる仮定と異なる場合がある。

当社グループの連結財務諸表上で重要と判断する会計上の見積り及びその基礎となる仮定は以下のとおりである。

  a.固定資産の減損

当社グループは、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等に基づき算出している。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性がある。

  b.繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して、事業計画に基づいて将来獲得しうる課税所得の時期及びその金額を見積り算定している。従って、将来獲得しうる課税所得の見積額や時期が変更された場合は、繰延税金資産が増額又は減額される可能性がある。

 

 

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