当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日、以下「当期」という。)における日本経済は、長引く新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、経済活動が抑制され、個人消費が停滞するなど、足踏み状態が続く厳しい状況で推移しました。足元では、ワクチン接種の進展や医療提供体制の拡充のもと、段階的な経済活動が再開し、人流の増加による景況感改善の兆しがみられているものの、ウクライナ情勢の長期化や原油・原材料の高騰に加え、物価高・円安などの影響で、景気の下振れが懸念されており、本格的な景気回復の見通しは依然として不透明な状況にあります。
物流業界におきましては、国内貨物輸送量は徐々に持ち直してきておりますが、燃料価格の高騰により運送原価が増大し、トラック運送事業者に深刻なダメージを与えています。一方、倉庫・宅配・3PLにおいては、ECの市場規模が拡大しており、比較的堅調に推移しております。また、ドライバーの高齢化問題による労働力不足への懸念については、構造的な課題は解消しておらず、働き方改革や労働環境の改善に向けて、人件費の増加や採用強化に関わる必要コストが増大しているなど、依然として厳しい経営環境が続いております。
このような環境の中、当社グループは、「第22次中期経営計画(2021年4月1日~2024年3月31日):コーポレート・スローガン『TONAMI NEW PLAN 2023』」の2年目の取組みを進めております。新しい経営ステージを目指し、過去最高の業績目標に加え、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した物流システムの展開やM&A、設備投資の積極展開などを図り、社会の持続的な発展にも寄与できるよう邁進しております。
物流関連事業においては、グループの物流リソースの相互連携・活用を図り、多様化するお客様の物流ニーズに沿う総合的なロジスティクスサービスの提供にむけた積極的な営業活動の展開に加え、DXによる業務効率化や生産性の向上を図り、経営基盤の強化に努めてきました。事業成長の一環としては、埼玉県にトナミ運輸株式会社春日部流通センターと大阪府に京神倉庫株式会社箕面支店を新たに開設しました。また、2021年4月30日付で高岡通運株式会社、2022年3月1日付で株式会社サンライズトランスポートを新たに連結子会社化し、当社グループの一層の連携強化を図り、経営基盤と事業規模の拡大を通じた物流事業基盤の更なる強化を行いました。
その結果、当社グループの当期経営成績は、営業収益において135,361百万円と前連結会計年度に比べ665百万円(0.5%)の増収となりました。
利益に関しては、業務効率化による生産性の向上と外注業務の内製化等のコストコントロールに努めた結果、営業利益は7,369百万円と、前連結会計年度に比べ913百万円(14.2%)の増益となりました。
経常利益は7,906百万円となり、前連結会計年度と比べ759百万円(10.6%)の増益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は5,110百万円を計上し、前連結会計年度と比べ450百万円(9.7%)の増益となりました。
セグメントの業績を説明いたしますと、次のとおりです。
なお、以下におけるセグメント利益は営業利益ベースの数値であります。
当期における物流関連事業は、貨物輸送量の回復などにより、営業収益は127,691百万円と前連結会計年度に比べ3,940百万円(3.2%)の増収となりました。
セグメント利益は、6,455百万円を計上し、前連結会計年度と比べ564百万円(9.6%)の増益となりました。
情報処理事業の営業収益は2,733百万円と、前連結会計年度に比べ429百万円(13.6%)の減収となりました。
セグメント利益は444百万円を計上し、前連結会計年度に比べ93百万円(26.6%)の増益となりました。
物品販売並びに委託売買業、損害保険代理業等の販売事業における営業収益は収益認識会計基準の変更により
3,025百万円
と、前連結会計年度に比べ
3,022百万円
(50.0%)の減収
となりました。
セグメント利益は
261百万円
を計上し、前連結会計年度と比べ
17百万円
(7.4%)の増益
となりました。
その他では、自動車修理業やその他事業で営業収益1,911百万円を計上し、前連結会計年度に比べ176百万円(10.2%)の増収となりました。
セグメント利益は404百万円で、前連結会計年度に比べ221百万円(121.8%)の増益となりました。
総資産は154,263百万円となり、前連結会計年度と比べて3,485百万円(2.3%)増加しました。
流動資産は57,818百万円となり、前連結会計年度と比べて3,643百万円(6.7%)増加しました。主な要因は、現金及び預金が2,610百万円、営業未収入金及び契約資産が1,360百万円それぞれ増加したことなどによります。
固定資産は96,444百万円となり、前連結会計年度と比べて158百万円(0.2%)減少しました。主な要因は、有形固定資産で建物及び構築物が1,653百万円、土地が355百万円それぞれ増加した一方で、建設仮勘定が1,698百万円、投資その他の資産で投資有価証券が649百万円それぞれ減少したことなどによります。
負債は73,342百万円となり、前連結会計年度と比べて220百万円(0.3%)減少しました。
流動負債は34,252百万円となり、前連結会計年度と比べて2,139百万円(5.9%)減少しました。主な要因は、営業未払金が197百万円、未払法人税等が107百万円それぞれ増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が2,050百万円、未払消費税等が221百万円それぞれ減少したことなどによります。
固定負債は39,090百万円となり、前連結会計年度と比べて1,919百万円(5.2%)増加しました。主な要因は、繰延税金負債が112百万円減少した一方で、長期借入金が1,431百万円増加したことなどによります。
純資産は80,920百万円となり、前連結会計年度と比べて3,705百万円(4.8%)増加しました。これはその他有価証券評価差額金が426百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を5,110百万円計上するなどして、利益剰余金が4,117百万円増加したことなどによります。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度の51.0%から52.1%となりました。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ2,449百万円増加し、29,975百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは9,826百万円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が7,693百万円、法人税等の支払額が2,612百万円あったことなどによるものであり、前連結会計年度に比べて245百万円、収入が増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは3,050百万円の支出となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が2,900百万円、投資有価証券取得による支出が23百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が347百万円あったことなどによるものであり、前連結会計年度に比べて2,384百万円、支出が減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは4,328百万円の支出となりました。(前連結会計年度は9,227百万円の支出)これは主に長期借入れによる収入が2,100百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が2,762百万円、配当金の支払いによる支出が997百万円あったことなどによります。
当社グループでは総合物流事業の展開を図っております。総合物流事業の展開は、貨物輸送並びにそれに附帯する業務を中心に行う物流関連事業と、コンピューターによる情報処理並びにソフトウェアの開発及び販売を中心に行う情報処理事業と、物品販売等を中心に行う販売事業に区分されております。物流関連事業につきましては、輸送する物品は単一ではなく、輸送する距離もまちまちであること、また、情報処理事業及び販売事業に関しましても、生産、受注の形態をとらないものが多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことは困難であります。
このため、生産、受注及び販売の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に固定資産の評価、投資有価証券の評価、繰延税金資産、貸倒引当金、退職給付に係る負債、債務保証損失引当金及び法人税等であり、継続して合理的に評価しております。
なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、営業収益が135,361百万円(前連結会計年度比0.5%増)、営業利益は7,369百万円(同14.2%増)、経常利益は7,906百万円(同10.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益では5,110百万円(同9.7%増)となりました。
グループの物流リソースの相互連携・活用を図り、多様化するお客様の物流ニーズに沿う総合的なロジスティクスサービスの提供にむけた積極的な営業活動の展開により、営業収益は135,361百万円となり前連結会計年度比0.5%、665百万円の増収となりました。
業務効率化による生産性の向上と外注業務の内製化等のコストコントロールの強化に努めた結果、営業利益は7,369百万円となり、前連結会計年度比14.2%、913百万円の増益となりました。
経常利益は7,906百万円となり、前連結会計年度比10.6%、759百万円の増益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、5,110百万円となり、前連結会計年度比9.7%、450百万円の増益となりました。
当社グループの主要な資金需要は、高品質の物流サービス維持に係る人的コスト、燃料費、販売費及び一般管理費等の営業費用、多様化する物流ニーズに対応するための施設・設備の新設や改修等に係る投資であります。
また、中期経営計画の基本方針の一つとして「DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した物流システムの展開やM&A、設備投資の積極的な展開」を掲げており、更なる企業価値向上と、新たな収益の源泉確保に向け、投資の検討を行ってまいります。
これらの資金需要については、自己資金、金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達等にて対応していくこととしております。
当社グループでは、CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入しており、各社の余剰資金を当社へ集中・一元管理することで、資金効率の向上を図っております。また、コミットメントライン契約を締結しており、運転資金の効率的な調達を行えるようになっております。以上から、当社が想定する事業リスクはもとより、新型コロナウイルス感染症の様な突発的な事態が発生した場合でも、事業を継続するために必要な資金を確保することが可能です。
なお、キャッシュ・フローの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ④連結キャッシュ・フロー計算書」をご参照ください。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
当期における物流関連事業は、貨物輸送量の回復などにより営業収益は127,691百万円と、前連結会計年度に比べ3,940百万円(3.2%)の増収となりました。
セグメント利益は、6,455百万円を計上し、前連結会計年度に比べ564百万円(9.6%)の増益となりました。
セグメント資産は、新たに事業所を開設したことによる固定資産計上などにより、124,029百万円となり、前連結会計年度に比べ2,835百万円(2.3%)の増加となりました。
なお、今後においても新型コロナウイルスの感染終息時期は不透明であり、新型コロナウイルス感染症拡大前までの貨物量水準に回復するまでの予測が難しい状況であります。
情報処理事業における営業収益は2,733百万円を計上し、前連結会計年度に比べ429百万円(13.6%)の減収となりました。
セグメント利益は、444百万円を計上し、前連結会計年度に比べ93百万円(26.6%)の増益となりました。
セグメント資産は、2,735百万円となり、前連結会計年度に比べ585百万円(27.2%)の増加となりました。
物品販売並びに委託売買業、損害保険代理業などの販売事業における営業収益は3,025百万円と、前連結会計年度に比べ3,022百万円(50.0%)の減収となりました。
また、セグメント利益は261百万円と、前連結会計年度に比べ17百万円(7.4%)の増益となりました。
セグメント資産は、10,495百万円となり、前連結会計年度に比べ30百万円(0.3%)の減少となりました。
その他では、自動車修理業、その他事業で営業収益1,911百万円を計上し、前連結会計年度に比べ176百万円(10.2%)の増収となりました。
セグメント利益は404百万円を計上し、前連結会計年度に比べ221百万円(121.8%)の増益となりました。
セグメント資産は、12,220百万円となり、前連結会計年度に比べ98百万円(0.8%)の増加となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、前述の「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
今後の経済情勢につきましては、ワクチン接種の進展と医療提供体制の拡充のもと、社会経済活動が正常化に向かい、持ち直しの動きが期待される一方で、新たな変異株の出現やウクライナ情勢の長期化による経済活動の抑制や下振れが懸念されるなど、先行き不透明な状況が続くものと予想されております。
物流業界は、2022年度の国内貨物輸送量は消費関連貨物の増加により、前年より若干の伸長が見込まれておりますが、コロナショック前の水準には依然として届かない見通しであり、加えて、環境問題や安全問題に対応するための社会的なコスト負担が増え、燃料価格の高騰も長期化しており、経営環境は一層厳しい状況が続くものとみられます。
このような中、当社グループは5つの重点戦略、
①輸送サービスと物流サービスの連携強化・新規流通センター開発、M&Aや事業再編による事業の成長
②TDX(TONAMIデジタルトランスフォーメーション)による業務効率の向上と物流・輸送の高度化
③多様な人材の採用確保、事業形態や地域特性に応じた人事制度の構築
④自己資本比率の向上と安定した資本政策
⑤経営品質(CSR・BCP)と成長性(ESG)評価や社会的認知度の向上
を柱とする第22次中期経営計画の着実な進展により、新たな社会構造の中にあっても中長期的な成長を継続し、社会の持続的な発展へ貢献してまいります。
トラック運輸産業は国内物流の9割を担い、我が国の産業・経済活動の基盤となる重要な役割を果たしているとともに、インターネット社会に対応した、きめ細やかな物流サービスはなくてはならない存在として成長・発展してきております。
このような環境の中、「働き方改革関連法」の施行により、2024年4月から罰則付き「トラックドライバーの時間外労働時間の上限規制」が適用され、トラックドライバーの長時間労働の改善・解消にむけた対応など、働き方の見直しや労働条件改善の取組みが一段と加速していくものと認識しております。しかしながら依然として人口減少や少子高齢化など、構造的課題は解決しておらず、トラックドライバーの労働力不足や高齢化問題はさらに顕在化する見通しにあります。これは当社にとって、同法への対応は経営課題の最重要課題の一つになっており、働き方改革の推進と従業員の待遇改善はもとより、採用活動の強化や職場環境の改善を継続して進めてまいります。
市場競争力の強化及び費用対効果の最大化を図るため、特積み事業所や倉庫施設の新規拠点展開、既存施設の狭隘化、老朽化の更新対応など、成長投資を促進してまいります。
M&Aについては、多様化する顧客ニーズに対応可能なパートナーの検討を進め、特積み事業及び3PL事業を始めとする物流事業の業容拡大やシナジー効果を発揮できるよう成約に取組みます。また、同業との協業や連携を視野に、輸配送業務の効率化や既存事業の拡大に取組むとともに、環境負荷の低減に努めてまいります。
輸送を通じ社会に寄与し、地球環境の保全に努めることを基本理念として環境方針を定め、環境マネジメントに取組んでいます。
環境対策の投資を積極的に行っており、全国21カ所で太陽光発電事業を開始しています。また、ハイブリッド車の導入はもとより、本年3月にはトナミ運輸株式会社富山支店にEVトラックを試験導入しました。今後ともCО2排出量の削減に努め、サステナブルな社会の実現に取組んでまいります。
当社グループは、「安全な社会づくり」へ貢献するため、輸送の安全に関する基本的な方針を定め、国土交通省の「運輸安全マネジメント」に準拠した安全管理体制を構築し、交通事故防止の取組みを推進し、交通安全に努めています。
一般財団法人トナミホールディングス松寿会を通じ、福祉車両贈呈、子供食堂への寄付、マスクの寄贈、災害地への義援金寄贈等を行っております。
コーポレートガバナンスの強化のため、意思決定機関は社外取締役3名を含む、8名での取締役会を設置するとともに、内部統制構築の一環として常勤監査役2名と社外監査役からなる監査役制度と、内部監査部門として監査室を設置しております。
経営リスクマネジメントに関する基本方針を定め、経営基盤の安定化と経営リスクの極小化によりグループ及び社会的損失の発生防止に努めています。
コンプライアンス委員会を設置し、「トナミグループ社員行動規範」に基づき、推進担当者を設置し、コンプライアンス教育を実施しております。また、相談窓口を設置し、法令違反などの早期発見・未然防止に努めています。
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