課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、ライフラインを支える物流企業グループとして、物流を通じた安全かつ高品質なサービスの提供を行うことにより、お客様、株主、地域社会等から信頼され、社会とともに発展を遂げていく企業グループであり続けることを経営の基本方針としております。

 また、社是「奉仕こそ我が務め(Service is my Business)」のもとに、「安全・フェア・信頼・チャレンジ・ハーモニー」の5つのキーワードからなる、「JOTグループ・ミッション」を経営理念として掲げ、企業が持続的な成長を目指す上で欠かせない要素であるESG(環境・社会・ガバナンス)を含めた活動を推進してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

 上記の経営方針に基づき、2021年度から2023年度までの中期経営計画を策定しており、2023年度において、売上高35,100百万円以上、営業利益1,800百万円以上、経常利益1,900百万円以上の達成を目標としております。

 

(3) 経営環境

 今後のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が収束に向かい、社会経済活動が正常化することで景気の回復が期待される一方、ロシアによるウクライナ侵攻が、日本のみならず世界経済に長期的な悪影響を与えることが懸念されております。

 当社グループの事業環境につきましても、輸送需要は徐々に回復傾向にあるものの、世界情勢を受け、エネルギー価格や原材料価格の高騰、需要低迷等への懸念も強く、今後も先行き不透明な状況が続くものと予想されます。

 セグメントごとの経営環境は、以下のとおりであります。

 

① 石油輸送事業

 石油輸送事業では、鉄道タンク車およびタンクローリーによるガソリン、軽油、灯油等の石油製品の輸送等を行っており、石油元売り各社等を主な顧客としております。

 当社グループは、長距離で大量の輸送を行う鉄道タンク車輸送と、高い機動性を有し、様々な輸送ニーズに柔軟に応える自動車輸送の2つの輸送手段が利用可能であることを強みとしております。

 国内石油製品の需要は長期的に減少することが見込まれ、原油価格の高騰や感染症の影響もあり、より厳しい事業環境にあるといえますが、当社グループでは、上記の強みを活かし、輸送数量およびシェアの維持・拡大に努めてまいります。

 

② 高圧ガス輸送事業

 高圧ガス輸送事業では、自動車および鉄道コンテナによる民生用および産業用のLNG(液化天然ガス)や

LPG(液化石油ガス)、水素等の高圧ガスの輸送を行っており、ガス会社等を主な顧客としております。

 当社グループは、現在の主力輸送品目であるLNGの輸送を1984年から継続しており、長年にわたり蓄積された経験・実績や、専用の教育施設を活用した自動車乗務員への徹底した安全教育、研修等による安全・安定輸送を強みとしております。

 温室効果ガスの排出を減らす低・脱炭素社会の実現にあたり、今後国内の高圧ガス需要は更に高まることが予想

され、当社グループでは、上記の強みを活かし新規需要をより多く取り込むことで、更なる輸送数量の拡大に努め

てまいります。

 

③ 化成品輸送事業

 化成品輸送事業では、各種化学品、食品等の液体・粉粒体を輸送するISOタンク、ホッパコンテナ等のリース事業と、最適な輸送手段の選定、日々の輸送手配、精算処理等の一連の輸送業務を一括して請け負うワンストップサービスを国内およびアジア地区で提供しており、化学品・食品メーカーを主な顧客としております。

 当社グループは、オーダーメイドも含めた多種多様なコンテナのラインナップや、グループ内の自動車会社の機動力を活かした輸送により、顧客の幅広いニーズに臨機応変に対応し、顧客の業務効率化に貢献できることを強みとしております。

 化学品業界においても、未だ感染症の影響が残っているものの、当社グループは、強みである高付加価値の物流サービスの提供に加え、成長事業として取り組んでいる海外事業のさらなる需要開拓、規模拡大を進め、収益力の維持・向上に努めてまいります。

 

④ コンテナ輸送事業

 コンテナ輸送事業では、輸送ニーズに合わせ、保冷性能や通風機能等を有する鉄道、自動車、船舶で輸送可能なボックスコンテナのレンタルおよびリースを行っており、国内通運会社等を主な顧客としております。

 当社グループは、上記のとおり、保冷性能や通風機能など、顧客の多様なニーズに応えられる付加価値を持ったコンテナを日本全国で約7,000個以上運用しており、鉄道網を活用することで、顧客がどこでも使用できる体制を確立していることを強みとしております。

 日本国内の貨物輸送需要は、感染症の影響からの回復が期待されている一方、依然として先行き不透明な状況にありますが、当社グループでは、新型コンテナの開発等カスタマイズコンテナの提供等による新たな需要の掘り起こしや、長期安定的なリース案件の獲得に重点的に取り組むことで、収益力の維持・向上に努めてまいります。

 

(4) 対処すべき課題

 上記のとおり当社グループは、中期経営計画の達成を目指して、安全・安定輸送を継続しつつ、基盤事業における収益の維持・確保や生産性向上、海外輸送の収益力のさらなる向上、脱炭素社会に向けた輸送需要への対応などに取り組んでおります。中期経営計画1年目となる2021年度は、目標達成に向け順調に進捗いたしましたが、現状は非常に厳しい事業環境にあり、各事業における基本方針・行動計画のもと、事業環境の変化にも迅速に対応しつつ、着実に取り組みを進めてまいります。

 また、将来に向けた「クリーンロジスティクス」(CO₂の排出抑制に向けた、新たなエネルギーの輸送事業や輸送方法)の実現に向けた取り組みなど、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営の実践にも努めてまいります。

 当社グループといたしましては、本中期経営計画の達成により、強い収益基盤と安定した財務体質のもと、安全・安定輸送による国内ナンバーワンのエネルギー輸送会社を目指し、グループ一丸となって邁進してまいります。

 

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