業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりです。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しています。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりです。

(1)経営成績の状況

 

(単位:億円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

売上高

16,084

22,807

6,723

41.8%

売上原価

13,752

18,273

4,521

32.9%

販売費及び一般管理費

1,616

1,844

228

14.1%

営業損益

715

2,689

1,974

275.9%

経常損益

2,153

10,031

7,878

365.9%

親会社株主に帰属する当期純損益

1,392

10,091

8,698

624.8%

 

平均為替レート

105.79円/US$

112.06円/US$

6.27円 円安

平均消費燃料油価格

US$362.95/MT

US$531.19/MT

US$168.25 高

 

(概況)

 当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症による世界経済への影響が継続する中、ライナー&ロジスティクス事業を中心に輸送スペースの需給が逼迫した状況が続き、運賃水準が上昇しました。これにより、第1四半期から、前連結会計年度における各四半期の業績を上回り、好調に推移しました。

 

 コンテナ船部門では、旺盛な貨物需要が継続する中、新型コロナウイルス感染症拡大を端緒とするサプライチェーン全体の混乱が収束せず、年間を通じて強い市況推移となりました。これにより、OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD. (“ONE社”)の業績は堅調に推移しました。航空運送事業と物流事業では、新型コロナウイルス感染症の影響により国際旅客便の減便・運休が継続する一方、貨物の荷動きは堅調に推移しました。また、海上輸送の混乱を受け、海上貨物の一部が航空輸送に切り替わる動きも継続しました。不定期専用船事業については、自動車輸送部門では、配船の工夫等により船舶の稼働率を向上させ、自動車物流では不採算事業から撤退する一方、成長が見込まれる事業への投資を行い、事業ポートフォリオ再編を進めました。ドライバルク輸送部門では、鉄鉱石や石炭の荷動きが堅調であったことに加え、台風や豪雨、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための水際対策により世界的に滞船が発生した結果、需給が逼迫し、市況は各船型で前連結会計年度を大きく上回る水準で推移しました。エネルギー輸送部門では、船腹需給バランスにおける不均衡により、タンカーの市況が前連結会計年度比で大きく下落しましたが、LNG船を中心に安定的な収益を生む長期契約に支えられ、堅調に推移しました。燃料油価格は前連結会計年度比で上昇しました。

 

 これらの結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高2兆2,807億円、営業利益2,689億円、経常利益1兆31億円、親会社株主に帰属する当期純利益1兆91億円となり、大幅な増収増益となりました。なお、当社持分法適用会社ONE社の好調な業績等により、営業外収益で持分法による投資利益として7,426億円を計上しました。うち、同社からの持分法による投資利益計上額は当連結会計年度において7,137億円、第4四半期連結会計期間では2,224億円となりました。

<セグメント別概況>

 当連結会計年度のセグメント別概況は以下のとおりです。

(単位:億円)

 

 

売上高

経常損益

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減額

増減率

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減額

ロラ

ジイ

スナ

テ|

ィ&

定期船事業

1,705

1,905

200

11.7%

1,408

7,342

5,934

航空運送事業

1,224

1,887

662

54.1%

332

740

407

物流事業

5,612

8,474

2,862

51.0%

270

587

316

不定期専用船事業

6,815

9,745

2,929

43.0%

186

1,391

1,204

不動産業

68

42

△26

△38.9%

25

21

△4

その他の事業

1,297

1,704

406

31.3%

△22

△12

10

 

<定期船事業>

 コンテナ船部門においては、新型コロナウイルス感染症拡大を端緒とする港湾混雑や、ドライバー不足等による内陸部の混雑が緩和されず、サプライチェーン全体の混乱が収束しなかったことにより、需給が逼迫しました。第4四半期では、ロシア・ウクライナ情勢の影響を受けましたが、需給逼迫による運賃市況の上昇が継続し、ONE社の業績は堅調に推移しました。主要航路のうち、北米航路においては、港湾混雑に起因する回転率の低下により減便を余儀なくされた結果、積高は前連結会計年度を下回り、消席率は前連結会計年度を上回りました。また、欧州航路では、積高は前連結会計年度を上回りましたが、下半期に需給の逼迫が軟化した影響で消席率は前連結会計年度を下回りました。運賃は両航路ともに前連結会計年度を上回り、収支良化に大きく寄与しました。このような状況下、ONE社はコンテナの追加調達や臨時便投入を通じて、サプライチェーンの混乱への対応に努めました。

 以上の結果、定期船事業全体では前連結会計年度比で増収増益となりました。

 

<航空運送事業>

 航空運送事業では、新型コロナウイルス感染症の影響により国際旅客便の減便・運休が継続する一方、航空貨物の荷動きは自動車・半導体関連貨物等を中心に堅調に推移しました。更に、コンテナ船の輸送スペース不足や港湾混雑の影響により海上貨物の一部が航空輸送に切り替わる動きも継続し、貨物搭載量・運賃ともに高水準で推移しました。ロシア・ウクライナ情勢の影響により第4四半期に一部の欧州線を運休しましたが、当事業の業績への影響は軽微なものに留まりました。

 以上の結果、航空運送事業全体では前連結会計年度比で大幅な増収増益となりました。

 また第3四半期には、今後の事業環境の変化に応じた柔軟な機材の活用を可能とするため、ボーイング747-8F計7機のリース契約を中途解約の上、自社保有化を行いました。これによりリース契約の解約金として、第3四半期に約80億円の特別損失を計上しました。

 

<物流事業>

 航空貨物取扱事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により国際旅客便の減便・運休が継続し、供給スペースが減少している中、旺盛な需要を受け、需給は逼迫しました。このような状況下、機動的な購買活動により輸送スペースを確保し、チャーター機材を手配したことで取扱量は前連結会計年度比で増加し、業績を牽引しました。

 海上貨物取扱事業は、港湾や内陸部の混雑に伴う需給逼迫により、輸送スペース確保に苦慮し、取扱量は前連結会計年度比で微減となりましたが、高騰する仕入れ価格に販売価格が追い付き利益水準が改善し、堅調に推移しました。

 ロジスティクス事業は、需要の底堅い一般消費財を中心に前連結会計年度比で取扱量が増加しました。

 内航輸送事業は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受けた前連結会計年度から輸送需要が復調し、取扱量が増加しました。

 以上の結果、物流事業全体では前連結会計年度比で増収増益となりました。

 

<不定期専用船事業>

 自動車輸送部門では、世界的な半導体不足や新型コロナウイルス感染症の影響に起因する自動車部品不足による完成車取扱台数への影響がありましたが、最適な配船計画と航海スケジュールの策定を行うことで船舶の稼働率を向上させつつ、関係会社との協働や、顧客との綿密な情報交換を通じて代替貨物の集荷を行い、前連結会計年度比で取扱台数は増加しました。また、環境対応船の整備を積極的に推進し、3月には2隻目のLNG燃料自動車専用船が稼働を開始しました。自動車物流は、国・地域ごとに事業環境が異なる中で、不採算事業からの撤退を含む合理化・コスト削減を進める一方、成長が見込まれる事業への投資を行い、トルコでの完成車ターミナル建設や開業、中国から中央アジアへの完成車鉄道輸送の取組み等、事業ポートフォリオ再編を進めました。

 ドライバルク輸送部門では、ケープサイズは、7月から9月のピークシーズンに、雨期が明けたブラジル出しの鉄鉱石の出荷が伸びる一方、中国では度重なる台風・豪雨の被害や、新型コロナウイルス感染症の水際対策強化により再び滞船隻数が増加し、市況は11年ぶりの高値となりました。中国での滞船解消に伴い、市況は10月上旬をピークに反落したものの前年同期を大きく上回る水準で推移しましたが、1月以降は季節的調整局面に入り、前年同期並みの水準となりました。パナマックスサイズは、6月から7月にかけて天然ガス価格が石炭価格を上回ったため、石炭調達が活発化し、電力需要期を前に中国で石炭輸入が増加した結果、市況は10月にピークに達しました。その後、世界的な滞船が鎮静化するにつれ、市況は調整局面に入りましたが、1月以降はブラジル出し大豆の荷動きが例年より早く始まり、前年同期を上回る水準で推移しました。結果として、市況は前年同期を大きく上回る水準で推移しました。このような環境下、市況変動による収支影響を抑えるために先物取引を用いて収入を固定化するほか、長期契約獲得による収入の安定化と効率的な運航によるコスト削減に努めました。

 エネルギー輸送部門では、5月以降にOPECプラスの協調減産が段階的に縮小されたものの、船腹需給バランスの改善には至らず、VLCC(大型タンカー)と石油製品タンカーの市況は歴史的な低迷が続きました。2月下旬にはロシア・ウクライナ情勢の影響を受けて石油製品タンカーの市況は急騰したものの、VLCC(大型タンカー)の市況への影響は一時的となり、低迷が続きました。VLGC(大型LPGタンカー)は、6月以降、季節的な不需要期に入ったことに加え、米国出しLPG価格の高止まりにより、米国出しと中東出しのLPG価格差が縮小した結果、長距離輸送により輸送費が相対的に割高となる米国出しの取引が鈍化し、荷動きも減少したため、市況は低調に推移しました。9月以降は冬場の需要期に向けた荷動きに加えてパナマ運河の混雑により市況が高騰したものの、好市況だった前年同期を下回りました。タンカーは市況変動の影響を受ける短期契約の割合は小さいものの、前年同期比で市況の下落幅が非常に大きく、収支を悪化させる要因となりました。LNG船は安定的な収益を生む長期契約に支えられて順調に推移しました。また海洋事業はFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)、ドリルシップが順調に稼働しました。

 以上の結果、不定期専用船事業全体では前連結会計年度比で増収増益となりました。

 

<不動産業、その他の事業>

 不動産業は、当社子会社株式の一部譲渡に伴い、前連結会計年度比では減収減益となりました。またこの譲渡により、第2四半期において約230億円の特別利益を計上しました。

 その他の事業は、燃料油販売事業が好調に推移し、船用品・船用資材販売事業、及び技術サービス業で復調が見られ、前連結会計年度を上回る業績となりました。客船事業は、乗船当日のPCR検査等新型コロナウイルス感染症対策を強化しながら、一部のクルーズを催行しました。また第4四半期では、1月からの定期入渠後に運航再開を予定していましたが、3月下旬に電気関係機器の不具合が発生し、運航休止となりました。これらにより、その他の事業では前連結会計年度比で増収となりましたが、損失を計上しました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べて1,231億円増の2,266億円となりました。

 

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1兆373億円、減価償却費1,015億円、持分法による投資損益△7,426億円、利息及び配当金の受取額2,880億円などにより5,077億円(前年同期1,593億円)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶を中心とする固定資産の取得及び売却などにより△1,485億円(前年同期△168億円)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の減少や配当金の支払い、社債の償還やリース債務返済等により△2,375億円(前年同期△1,254億円)となりました。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

 当社グループは国際的な海上貨物運送業を中核として多角的事業を展開しているため、生産、受注の各実績を求めることが実務的に困難であり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示していません。

 当連結会計年度における売上高をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

定期船事業

190,552

111.7

航空運送事業

188,731

154.1

物流事業

847,492

151.0

不定期専用船事業

974,556

143.0

不動産業

4,207

61.1

その他の事業

170,405

131.3

2,375,944

142.1

消去

(95,169)

148.6

合計

2,280,775

141.8

(注) 売上高に対する割合が10%以上の顧客はいません。

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの財政状態及び経営成績等の状況に関する分析・検討の内容は以下のとおりです。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1)財政状態及び経営成績等の分析

 当連結会計年度末の総資産は、受取手形、営業未収入金及び契約資産の増加や、ONE社等の持分法適用会社の利益計上に伴う投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ9,545億円増加し、3兆800億円となりました。社債、借入金等の減少により、有利子負債は前連結会計年度末比で1,428億円減少して8,082億円となり、負債合計額は前連結会計年度末に比べ1,371億円減少し1兆3,209億円となりました。純資産の部では、利益剰余金が9,514億円増加し、株主資本とその他の包括利益累計額の合計である自己資本が1兆7,137億円となり、これに非支配株主持分453億円を加えた純資産の合計は、1兆7,590億円となりました。これらにより、有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)は0.47に、また自己資本比率は55.6%となりました。なお、D/Eレシオ算定上の有利子負債は連結貸借対照表上に計上されている負債のうち、借入金、社債及びリース債務を対象としています。経営成績については「1.経営成績等の状況の概要(1)経営成績の状況」をご参照ください。

 

(2)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

 当社グループは、2018年4月から開始する5カ年の中期経営計画として“Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green”を策定しました。“Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green”の利益・財務目標並びに2021年度実績については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的なグループ経営戦略及び目標とする経営指標及び(3)中長期的なグループ経営戦略と優先的に対処すべき課題」をご参照ください。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性

① キャッシュ・フローの状況

 「1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

② 資金需要

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループの不定期専用船事業運営に関する海運業費用です。この中には燃料費・港費・貨物費等の運航費、船員費・船舶修繕費等の船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業や航空運送事業等の運営に関する労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。一方、設備資金需要としては船舶・航空機投資や物流設備・ターミナル設備等への投資があります。当連結会計年度中に2,051億円の設備投資を行っています。

 なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による資金需要への悪影響はありません。

 

③ 財務政策

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金については、財務の健全性を損なうことなく、また、過度に特定の市場リスクに晒されることなく安定的に確保するために、金融機関からの借入や社債、コマーシャル・ペーパーの発行による調達を行うこととしているほか、船舶に関してはリース等を活用しています。

 当社グループの主要な設備である船舶投資については、営業活動によって個々の船舶が将来収受する運賃もしくは貸船料収入の通貨や期間にあわせた長期の借入のほか、社債発行により調達した資金や内部留保した資金も投入しています。このほか物流・ターミナル施設等設備投資についても同様に将来のキャッシュ・フローにあわせた安定的な資金等を投入しています。運転資金については、主に期間が1年以内の短期借入並びにコマーシャル・ペーパーの発行により調達することとしていますが、一部長期の借入によっても調達しています。2022年3月31日現在の短期及び長期借入金の残高は5,779億円で、通貨は円のみならず米ドル等の外貨建借入金を含んでおり、金利は変動及び固定です。また、資本市場から調達した社債の残高は、2022年3月31日現在1,270億円となっています。

 当社グループは、資金の流動性確保に努めており、2022年3月31日現在1,000億円のコマーシャル・ペーパー発行枠に加え、予備的借入枠として円建て及び米ドル建てコミットメントライン(借入枠)を有しているほか、キャッシュマネージメントシステム等を活用しグループ内金融による資金効率向上にも取組んでいます。

 なお、当社は国内2社、海外1社の格付機関から格付を取得しています。2022年3月31日現在の負債格付(長期)は、日本格付研究所(JCR):「A」、格付投資情報センター(R&I):「A-」、ムーディーズ・インベスターズ・サービス:「Ba2」となっています。

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に準拠して作成されています。その作成にあたっては経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断していますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。

① 収益の認識

 当社グループの収益の認識は、主に一定の期間にわたり充足される履行義務として、航海期間及び輸送期間における日数等に基づき進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しています。

 

② 貸倒引当金

 当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、債務者の財政状況の悪化等の事情によってその支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

 

③ 投資の評価について

 当社グループは、金融機関や取引先等の株式を保有しています。これらの株式は、市場価格が存在する株式等に関して原則として市場価格にて評価を行い、市場価格の存在しない株式等に関しては投資先の財政状態等を勘案し、価値の下落が一時的でないと判断する場合には減損処理を行います。

 

④ 減価償却資産の償却

 当社グループは、有形及び無形の減価償却資産を保有しています。これらの減価償却資産は、合理的と判断される償却方法及び償却期間で償却されていますが、実際の資産価値の減価は会計上の減価償却による貸借対照表価額の減少とは異なる場合があります。

 

⑤ 退職給付

 従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。当社グループは毎年数理計算の基礎となる前提条件を見直しており、必要に応じて、その時々の市場環境等をもとに調整を行っています。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、あるいは税率変動等を含む各国税制の変更等があった場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上されます。

 

⑦ 固定資産の減損

 当社グループは、原則として事業用資産においては投資の意思決定を行う事業ごとにグルーピングを行い、賃貸不動産、売却予定資産及び遊休資産等においては個別物件ごとにグルーピングを行っています。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。なお、資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い価額としています。正味売却価額は第三者により合理的に算定された評価額等により、使用価値は将来キャッシュ・フローに基づき算定しています。

 

 会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

(5)今後の見通し

 コンテナ船部門は、新型コロナウイルス感染症拡大による中国のロックダウンやロシア・ウクライナ情勢等による影響で先行きは不透明ですが、これまで継続してきた北米を中心とする旺盛な需要の落ち着きと共に、下期以降、徐々に正常化に向かう前提で見通しを策定しています。国内ターミナルは、前連結会計年度と同水準の取扱量を想定していますが、海外は北米西岸のターミナルを当連結会計年度の早い段階でONE社へ移管することを目指します。

 航空運送事業は、国際旅客便の市場復帰と需要減少により、需給逼迫が一定程度緩和することを想定していますが、引き続き好調な業績を見込みます。

 物流事業では、航空貨物取扱事業において前連結会計年度と同水準の取扱量を見込んでおり、輸送需要の減少や国際旅客便の市場復帰に伴い利益水準は低下するものの、例年よりも高い水準で推移することを想定しています。海上貨物取扱事業においては、取扱量の増加を見込みますが、輸送需要の弱まりにより利益水準が低下する見通しです。ロジスティクス事業については、これまで進めてきた価格改定等の契約見直しやコスト削減の取り組みによる収益の安定化を見込んでいます。

 自動車輸送部門では、半導体不足が緩和され、北米を中心に輸送台数が増加する見通しです。

 ドライバルク事業部門では、市況が全船型において前連結会計年度に比べ落ち着く見込みですが、堅調な推移を想定しています。

 エネルギー事業部門では、VLCC(大型タンカー)やVLGC(大型LPGタンカー)は低迷した市況が継続しますが、LNG船や海洋事業における中長期の安定契約に支えられ、堅調に推移する見通しです。

 以上を踏まえ、翌連結会計年度は増収減益を見込んでいますが、業績は引き続き好調な水準で推移すると見ています。

 

(注)2023年3月期より、「ドライバルク輸送部門」は「ドライバルク事業部門」へ、「エネルギー輸送部門」は「エネルギー事業部門」へ名称を変更します。

 

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