文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「安全の確保は社業の基盤である」との認識のもとに、よいサービスと商品を社会に適正な利潤を得て安定的に供給すると共に、すべてのコストについて不断の削減につとめ、効率的な経営を行うことを基本方針としております。
なお、その実行にあたっては社会的要請へ適応し、環境に配慮した行動をとることとしております。
(核となる事業)
企業集団の人的・物的資源を生かしながら、当社グループは引き続き次の3つの事業を核として推進します。
・全世界にわたる水域で原油、石油化学製品、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、発電用石炭、肥料、木材チップなどの基礎原料の輸送を行う外航海運業
・国内、近海を中心とした水域で液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、石油化学ガスなどの基礎原料の輸送を行う内航・近海海運業
・東京都心とロンドン中心部における賃貸オフィスビルの所有、運営、管理及びメンテナンス並びにフォトスタジオの運営を行う不動産業
(2)中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2030年に向けたグループ企業の一層の成長を見据えて策定した3ヵ年の中期経営計画 「Be Unique and Innovative. : The Next Stage‐2030年に向けて‐」(計画期間:2020年4月~2023年3月、以下「本計画」という) を2020年度より進めています。
本計画では、2030年に向けた目標“IINO VISION for 2030”を掲げ、時代の要請に応え自由な発想で進化し続ける独立系グローバル企業としての地位確立を目指しています。独自のビジネスモデルである“IINO MODEL”の形成、高品質なサービス“IINO QUALITY”の提供を更に追求し、自社の経済的価値を高めると同時に、サステナビリティへの積極的な取り組みにより環境保全を含めた社会的ニーズに対応することで社会的価値をも創造し、当社グループの理解する共通価値の創造(CSV)を目指したいと考え、本計画を策定しました。
本計画では「共通価値の創造を目指して」をテーマとしており、3つの重点強化策として挙げた「グローバル事業の更なる推進」、「安定収益基盤の更なる盤石化」及び「サステナビリティへの取組み」を重点的に実行してきました。
各重点強化策の具体的な推進事項・主な取り組みは以下の通りです。
本計画ではこれらの重点強化策に加え、ESG・SDGsへの対応強化のため、環境・社会等の課題の克服に真正面から取り組み、経済的価値に加えて社会的価値を創造する経営(以下、ESG経営)の推進を掲げております。経営理念に基づいたESG経営を実践し、持続可能な社会の実現と企業の成長を追求していきます。
なお、本計画の詳細につきましては当社ホームページをご参照ください。
https://www.iino.co.jp/kaiun/ir/plan.html
(サステナビリティの推進体制)
社会と企業のサステナビリティ(持続可能性)を経営の中心に据えることが今まで以上に求められる時代となりました。当社では、以下の通り組織を設立し、サステナビリティの推進体制を強化しました。
当社のESG経営では、ステークホルダー・社会にとって重要で、かつ、当社の企業価値に大きく影響するマテリアリティ(重要課題)を克服することで社会的価値及び経済的価値を創造することを目標としています。マテリアリティと当社の経営戦略とを結合させ、着実に実行に移すことでこの目標を実現します。
これらのマテリアリティは、各部・グループ各社の年度ごとの業務遂行計画で進捗管理をしていきます。また、外部環境の変化にも対応するため、PDCAサイクルに基づき、取締役会において議論・評価を行い、定期的に見直すことで取り組みを推進します。
なお、当社のサステナビリティへの取り組みの詳細につきましては当社ホームページをご参照ください。
https://www.iino.co.jp/kaiun/csr/
(新型コロナウイルス感染症への対応)
世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19。以下、「感染症」という。)の拡大は一進一退ながら、ワクチン接種が進展したことで重症化率が低下し、一部地域を除き活動の制約が緩和されつつあります。一方、今後も新たな変異株の流行等の可能性は否定できず、世界経済や当社グループを取り巻く事業環境は予断を許さない状況が継続する見込みです。状況が悪化した場合には、当社グループでは以下の影響が長期化する可能性があります。
・海運業 …港湾の検疫強化による滞船、船員交代可能国への寄港による離路の発生等
・不動産業…保有する賃貸ビルの商業フロアの賃料低下や空室率上昇、イイノホール&カンファレンスセンターの稼働低下等
当社グループとしては、感染症への対応として、海運業においては安全・安定的な海上輸送を止めず、社会インフラとしての役割を果たすこと、不動産業においては感染症対策を徹底し、安全なオフィス空間の提供を継続することを社会的使命と考えております。
安全・安心を支える当社グループの役職員及び本船乗組員の安全確保・感染防止に注力し社会的使命を果たすために、陸上職員においては在宅勤務体制をハード・ソフト両面で強化し、事業継続可能な体制の確立に努めております。海上職員においては船内防疫の徹底として、外部からの訪船者の限定、乗船者への検温等を実施するほか、乗組員に対する支援としては、積極的な精神的支援や、配乗交代の円滑化への取り組み等を実施しております。引き続き感染症の拡大状況を注視しつつ、社会的使命を果たすために適切な対応を行って参ります。
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