業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度における世界経済は、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けた世界的な経済危機から回復の途上にあり、新種の変異ウイルス発生に伴い世界中で感染の拡大が継続し、各国の対応もゼロコロナとウイズコロナで異なる等未だ将来に対する不安が残りました。更にロシアのウクライナ侵攻による新たな世界経済の不安定要素となる地政学的問題が勃発し、将来に対する大きな不確定要素が世界を包んでおりますが、経済的には今期中までは比較的淡々と推移している様でもあり、先進国について米国では高めの成長ペースが持続し、ユーロ圏・英国も感染拡大が下押しする中でも高めの成長を維持しています。更に新興市場国と開発途上国に関しての中国経済は2021年春から政府の指導による脱炭素政策を重視し、鉄鋼業界に減産を求め、更にはインフラ投資も抑制した結果、2021年後半から経済は減速傾向が継続しています。他の新興国に関してもオミクロン株、半導体部品の不足等により、経済の復調・発展に変調をきたしましたが、今後は、中国政府による北京冬季オリンピック終了後の経済の活性化政策によるインフラ投資、不動産投資等に因る経済の再活性化が期待され、地政学的リスク、原油高、コロナウイルス感染等の不安が継続するなか、貿易量は拡大基調にあり、それにつれて海運マーケットは堅調に推移して来ております。一方、わが国の経済も順調に回復してきましたが、中国経済の変調、オミクロン株の急激な感染拡大、ロシアのウクライナ侵攻、資源高、円安等により変調をきたしており、今後は世界経済の復調に伴い回復傾向となる事が期待されます。

このような世界経済情勢の下、外航ドライバルクのマーケットは2月前半まで調整し、その後は例年のように上昇基調となっております。翌年度以降に関しても、今後のマーケットは堅調な展開が予想されていますが、今回のような新型コロナウイルスの感染拡大による、戦後最大級の経済危機の復興途上にも在り、中国政府のゼロコロナ対策の方向性も非常に大きな影響を及ぼすものと思われます。更には今後の地政学的リスクの進展によっては、上記のシナリオよりも世界経済の悪化が継続・拡大する恐れもあり、今後の様々なリスクに対応するための準備と対策が必要とされています。

以上のような状況下、当連結会計年度も安全と顧客へのサービスを第一に、市況リスク並びに運航リスク、更には環境負荷の軽減に全社で努力を傾注すると共に、太平洋と大西洋を結ぶトランスオーシャン輸送に当社所有の船舶を可能な限り重点的に配船し、安全且つ経済的、効率的な輸送に勤め、新規カーゴには定期用船も計画し、新規契約の獲得に鋭意努力し、将来を見据えた事業展開を図りました。

この結果、当連結会計年度の営業収益は、6,734百万円(前連結会計年度4,723百万円)、営業利益1,542百万円(前連結会計年度12百万円の営業損失)となりました。

営業外収益124百万円、営業外費用76百万円を加減し、経常利益は1,590百万円(前連結会計年度83百万円の経常損失)、特別利益として固定資産売却益47百万円を計上しました結果、税金等調整前当期純利益は1,637百万円となり、法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益を減算して、親会社株主に帰属する当期純利益は1,190百万円(前連結会計年度83百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

   ・外航海運業

支配船舶による北米や豪州からの輸入穀物、南米からの水酸化アルミ、海外向けのスラグの輸送を行い、運航採算の向上に努めるとともに、一部支配船舶の短期貸船により安定収益の確保を図りました。

 営業収益は、高水準で推移したマーケットの影響で運賃が大幅に増加し、5,694百万円(前連結会計年度3,826百万円)となりました。営業費用は、燃料油価格の高騰で運航費が増加したものの、営業収益の増加が大きく、1,937百万円の営業利益(前連結会計年度360百万円)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の営業収益は219百万円増加し、営業利益は186百万円増加しております。

 

 

   ・内航海運業

定期用船1隻による水酸化アルミなどの輸送を行い、安全輸送と効率配船に努めるとともに、所有船2隻に加え他社船1隻の定期貸船により安定収益の確保を図りました。また、船員を他社へ融通し派遣業収入を得ました。

営業収益は、2021年2月に竣工した所有船が年間を通して稼働したことが大きく930百万円(前連結会計年度796百万円)となりました。営業費用は、所有船の増加により償却費や船員費などの船費は増加したものの、営業収益の増加が大きく、39百万円の営業利益(前連結会計年度11百万円の営業損失)となりました。

 

 

   ・不動産賃貸業

不動産賃貸業においては、一部の不動産の売却はあったものの、賃料がコロナ前の水準に回復し、営業収益は、110百万円(前連結会計年度100百万円)、営業利益は46百万円(前連結会計年度27百万円)となりました。

 

(営業利益は配賦不能営業費用(481百万円)控除前のものです。)

 

(2)財政状態

  ・ 流動資産

当連結会計年度末における流動資産の残高は3,268百万円で、前連結会計年度末に比べ2,093百万円増加いたしました。現金及び預金が2,055百万円、貯蔵品が151百万円増加したことが主な要因であります。

 

  ・ 固定資産

当連結会計年度末における固定資産の残高は8,913百万円で、前連結会計年度末に比べ764百万円減少いたしました。減価償却により船舶が809百万円減少したことが主な要因であります。

 

  ・ 流動負債

当連結会計年度末における流動負債の残高は2,251百万円で、前連結会計年度末に比べ17百万円減少いたしました。未払法人税等が507百万円増加し、短期借入金が747百万円、一年内返済予定の長期借入金が116百万円減少したことが主な要因であります。

 

  ・ 固定負債

当連結会計年度末における固定負債の残高は4,040百万円で、前連結会計年度末に比べ82百万円増加いたしました。特別修繕引当金が81百万円、長期借入金が33百万円増加し、繰延税金負債が43百万円減少したことが主な要因であります。

 

  ・ 純資産

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益などによる株主資本の増加1,226百万円とその他有価証券評価差額金の増加によるその他の包括利益累計額合計の増加26百万円と非支配株主持分の増加10百万円により、前連結会計年度末に比べ1,262百万円増加し、5,890百万円となりました。

なお、収益認識基準等の適用により、利益剰余金の期首残高が35百万円増加したこと等により純資産が増加しております。

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、営業活動の結果得られた資金2,878百万円、投資活動の結果使用した資金33百万円、財務活動の結果使用した資金839百万円などを加減した結果、前連結会計年度末に比べ2,055百万円増加し、2,547百万円となりました。

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、2,878百万円(前連結会計年度比2,677百万円の収入増)です。これは、税金等調整前当期純利益1,637百万円が計上されているうえに、減価償却費840百万円などの非資金費用の調整があり、契約負債の増加額177百万円、仕入債務の増加額174百万円などの増加項目に、棚卸資産の増加額151百万円、為替差益50百万円などの減少項目を加減した結果によるものであります。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、33百万円(前連結会計年度において投資活動の結果得られた資金197百万円)です。これは、主に有形固定資産の取得による支出67百万円、有形固定資産の売却による収入47百万円などによるものです。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の使用した資金は、839百万円(前連結会計年度比693百万円の支出増)です。これは、主に長期借入金の返済による支出818百万円、短期借入金の借換に伴う、長期借入れによる収入735百万円、短期借入金の純減額747百万円などによるものです。

 

翌連結会計年度のキャッシュ・フローの見通しにつきましては、営業活動で得られるキャッシュ・フローは、現下の海運市況により当連結会計年度を上回るキャッシュ・フローを見込んでおります。また、投資活動においては、現段階で大きな投資計画はないため、大きな変動はないと見込んでおります。また、財務活動においては、一部の借入金の一括返済が予定されているため、全体でマイナスのキャッシュ・フローを見込んでおります。

 

②資金需要

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、船舶の購入に係る設備資金、運転資金、借入金の返済、配当金の支払い等であります。

 

③資金調達

当社グループは、運転資金については内部資金や金融機関からの借入により充当し、設備資金については、大部分を金融機関からの長期借入金により調達しております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

①海運業収益

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②繰延税金資産

当社グループは、将来、十分な一時差異等加減算前課税所得が発生し税負担額を軽減する効果を有すると判断した場合に繰延税金資産を計上することとしております。十分な一時差異等加減算前課税所得の判断にあたっては、計算の基礎となる損益予想等の利益について、経営環境等の外部要因の変化や、予想の前提条件の変動の有無等を勘案し検証を行い判断しております。解消スケジュールを見通すことが可能な一時差異については、解消年度の回収可能と判断される額まで繰延税金資産を計上し、解消スケジュール不能な一時差異及び解消年度の回収可能額を超える一時差異については評価性引当額を計上することとしております。

当該見積りにおける、前提条件等が大幅に変動し見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

(5)運営船舶及び収益の実績

  a.運営船舶

区分

(前事業年度) 2021年3月31日現在

(当事業年度) 2022年3月31日現在

 

隻数

重量トン数(K/T)

隻数

重量トン数(K/T)

自営

外航

4

214,084

4

214,084

内航

1

1,630

1

1,630

5

215,714

5

215,714

貸船

内航

2

6,563

2

6,563

2

6,563

2

6,563

7

222,277

7

222,277

 

(注) 短期用船船舶は除いております。

 

  b.収益実績

当連結会計年度における収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

外航海運業

5,694,195

内航海運業

930,485

不動産賃貸業

110,149

合計

6,734,830

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の収益実績及びその総営業収益に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

相手先

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

全国農業協同組合
連合会

1,332,442

28.2

全国農業協同組合
連合会

2,279,694

33.8

日本軽金属㈱

997,742

21.1

日本軽金属㈱

1,336,185

19.8

 

 

 

三菱マテリアル(株)

909,472

13.5

 

 

 

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