当社グループの経営成績、財務状況及び株価等に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」からの重要な変更があった事項は以下のとおりであります。
継続企業の前提に関する重要事象等について
当社グループは、2020年3月期から継続して営業損失・経常損失を計上したこと、返済期日が1年内の借入金が手元資金に比して多額となっていることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると判断しておりました。
当社グループは、この状況を解消し又は改善すべく、以下の対応策に取り組んでまいりました。
①収益構造の改革に向けた対応策
②費用削減対応策
③財政状態の改善対応策(借入金の一部について、金融機関と返済スケジュールの変更を協議)
これらの対応策に加えて、急速な海運市況の回復が追い風となり、利益面で大幅な改善が図られました。
また、財務面でも、手元資金残高が返済期日が1年内の借入金を上回りました。
以上を踏まえ、第2四半期連結会計期間末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消したと判断しております。
また、当社グループの業績は、今後起こり得る様々な要因により影響を受ける可能性があり、以下には当社グループの事業展開上、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
(1) 海運市況の変動リスク
当社グループは、経営方針に「安定的に企業価値を高め、期待される株主利益を創出していくために、外部環境の変化即応しつつ、投下資本全体に対する効率性を追求していく」旨を掲げており、海運市況等の一時的な変動に左右されないよう、中長期の契約を主体として安定的な収益確保に努めておりますが、外航海運部門においては、中長期契約の更改時点やスポット輸送を行う場合の契約締結時の海運市況(海上輸送量の増減、競争の激化、船舶需給のバランス等の影響)により、運賃収入及び貸船料収入等が大きく変動する場合があり、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。その為、運航船舶の中で所有船と用船とのバランス、引受け貨物のうちの長期契約とスポット契約のバランスをとることで市況変動リスクを低減しております。
(2) 為替変動リスク
当社グループ主要事業である外航海運業の運賃・貸船料等の収入は、大部分が米ドル建てとなっております。一方、費用については、燃料費、外地港湾経費、借船料、船員費・保険料等については米ドル建てが多くを占めていますが、船舶修繕費や一般管理費等の円建て経費も多く、米ドル建て収入と費用の収支バランスについて為替変動による影響を受けることとなります。当社グループは、必要に応じて、こうした為替変動のリスクを一定程度まで低減するよう為替予約等によるヘッジ策を講じておりますが、必ずしも完全に回避できるものではありません。そのため為替相場の状況によっては当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。
(3) 情報システムリスク
当社グループの基幹業務システムには、外部からの不正なアクセスやコンピューターウイルスの感染対策の為ウイルス対策ソフトの導入及びファイヤーウォールシステムを使用し、また自然災害に対する安全策としてバックアップをとる等の対応をしておりますが、万一情報の漏洩やデータ喪失等の事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。
(4) 金利変動リスク
当社グループは、船舶建造資金及び長期運転資金の調達のために金融機関から借入を行っております。そのうち、変動金利で調達している外航船舶建造資金の借入金については、有利子負債の削減に努めると同時に、金利固定化などにより金利変動リスクの低減に努めておりますが、将来の金利変動によっては当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。
(5) 燃料油価格変動リスク
当社グループの外航海運業で運航する船舶の燃料油価格は、原油市場の動向により変動するため、価格上昇局面では運航燃料費が増加することとなり、損益に影響を受けることがあります。
当社グループは、価格変動の影響を低減するために一部荷主との間にバンカーサーチャージを設定しており、費用増加分を運賃へ転嫁しておりますが、全ての増加分を転嫁できない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。内航海運業で運航する船舶についても、燃料価格の大幅な上昇による費用増加に対応すべく、一部荷主との間に燃料油価格変動調整金を設定し、当事業年度より実施しております。しかし、全ての増加分に対応できない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。
(6) 資金調達リスク
当社グループ保有の外航船舶は、建造資金借入の為にシンジケートローン契約を締結しており、契約には財務制限条項が付されております。これらの条項に抵触し、当該負債の一括返済を求められた場合、当社グループの財務状況に影響する可能性があります。
(7) 固定資産の減損損失計上のリスク
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、保有する船舶等の固定資産の時価が著しく下落した場合や収益性が悪化した場合には減損損失を計上することとなり、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。
(8) 海難事故リスク
当社グループは、経営方針に「安全運航の徹底及び海洋・地球環境の保全に努める」ことと定め、「事故ゼロ・漏油ゼロ」を目指しておりますが、海難事故が発生してしまった場合は、人命・貨物・船舶等の損失・損傷のリスクや、燃料等の流失による海洋汚染のリスクがあります。その為、当社グループでは国際安全管理コード(ISM CODE)に基づく「船舶安全管理システム」を構築し、乗組員の定期的な教育・研修、海難事故を想定した緊急対応訓練を実施する等、万全の体制をとっております。万一海難事故が発生した場合に備え、各種保険による損失補填対策を図っておりますが、事故の規模によっては業績及び財務状況に影響する可能性があります。
(9) 資産価値変動リスク
当社グループの保有する資産(船舶・不動産・投資有価証券等)について、経済状況や海運市況の変動等の影響により資産価値が下落した場合は、当該資産の売却に伴う損失や減損損失が発生し、業績及び財務状況に影響する可能性があります。
(10)公的規制等のリスク
当社グループは、経営方針に「法令及び社会的規範を遵守し、公正かつ透明な事業活動を行う」旨を掲げております。当社の主要事業である海運業は、船舶の設備の安全性及び安全運航の為、各国・地域や国際機関の法令や規則等、様々な公的規制による影響を受けております。これらの法令・規制を遵守する為、コスト増加若しくは事業展開が制限されること等により、当社グループの業績及び財政状況に影響する可能性があります。
(11)世界各地の政治・経済情勢によるリスク
当社グループの事業活動は、日本を含む世界各地に及び、各地域における政治・経済状況等の影響を受ける可能性があり、以下のようなリスクが挙げられます。
・不利な政治的または経済的要因
・事業及び投資許可、租税、為替管理、独占禁止、通商制限などの公的規制の影響
・戦争、暴動、テロ、海賊、伝染病、ストライキ、その他の要因による社会的混乱
・地震、津波、台風等の自然災害 等
(12)新型コロナウイルス感染症によるリスク
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大リスクに対し、常時関連情報の収集を行い、運航船舶に関しては、日本船主協会等が作成した同感染症の対応ガイダンスを基に船内の安全確保と安全運航維持のための措置を講じております。また乗組員についても、ガイダンスに従い船内感染予防対策の徹底、必要物資の供給、乗組員の安全確保を確認したうえでの交代を行っておりますが、各国における人の移動に関する規制が非常に厳しく、自由に交代が行える状況にありません。交代可能な港が限られており、乗下船の費用は増加している状況にあります。陸上社員に関しては、在宅勤務及び交代勤務・時差通勤・出張の原則禁止等の対策を継続しており、同感染症の予防・回避に努めております。
同感染症の拡大により、上記の様な船員交代に伴う諸問題の他にも、世界的な物流の停滞及び消費低迷に起因する貨物輸送の減少等が進むことにより、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。
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