業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が収束せず、緊急事態宣言の再発出や度重なるまん延防止等重点措置があったものの、ワクチン接種の普及や各種政策の効果によって行動制限が年度末には解除され、景気回復の兆しが見られるようになりましたが、半導体・部品不足による物流網の混乱や、ウクライナ情勢の混乱に伴う資源・原油価格の高騰など、先行き不透明な状況が続いております。

海外においては、中国では感染症の抑制により経済活動をいち早く再開しましたが、ゼロコロナ政策に伴う活動制限と外出自粛による個人消費の下振れにより、景気低迷が懸念されます。欧米でもワクチン接種の進展や経済政策による下支えにより景気回復は持続しておりますが、世界規模の物流の混乱と半導体不足は収束しておらず、資源や原油価格の高騰も加わって予断を許さない状況が続いております。

この様な経済情勢の中で当社グループは、海運事業において北海道定期航路では、令和3年8月に日本製紙釧路工場が事業終了したのに伴い、9月より自主運航を一隻減少させる配船変更で対応した結果、貨物動向に持ち直しの動きがみられたものの、スポット貨物が低調であったこともあり、貨物輸送量は前年を下回りました。また燃料油価格の高騰により燃料油価格調整金が売上高を増加させて燃料コストも増加しましたが、配船変更によるコスト抑制等が寄与したことで増収、増益となりました。近海航路では市況は好調に推移し三国間定期航路も堅調で、燃料油価格の上昇や近海船の傭船料の高騰もありましたが、収益は改善して増収、増益となりました。

ホテル事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による度重なる緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の発出や延長によって、集客済のツアーが催行中止になるなど宿泊需要は回復せず、極めて厳しい経営環境が継続しております。

不動産事業においては概ね順調に推移いたしました。

以上の結果、売上高が452億5千5百万円(前年同期は414億9千8百万円)、営業利益1億4百万円(前年同期は4千1百万円の営業損失)となり、経常利益が6億3千万円(前年同期は3億5百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益が9千万円(前年同期は6億7千万円)となりました。

 

なお、事業セグメントの経営成績は次のとおりであります。

 

(海運事業)

新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に解除されたことで経済は回復基調にあり、北海道定期航路では貨物全般に持ち直しの動きがみられ、大宗貨物の減少から配船を変更したことで、雑貨、鋼材の輸送量は前年を上回りましたが、車載用半導体や部品不足の影響で車両輸送が伸び悩み、スポット貨物も低調であったこともあり、貨物輸送量は前年を下回りました。燃料油価格の高騰により燃料油価格調整金が売上高を増加させて燃料コストも増加しましたが、配船変更によるコスト抑制等が寄与したことで増収、増益となりました。近海航路では市況は好調に推移し、三国間定期航路も堅調で燃料油価格の上昇や近海船の傭船料の高騰が影響しましたが、収益は改善して増収、増益となりました。これらの結果、売上高は434億2百万円(前年同期は402億4千9百万円)となり、営業費用は430億4千万円(前年同期は399億9千3百万円)で、営業利益は3億6千1百万円(前年同期は2億5千6百万円)となりました。

 

(ホテル事業)

新型コロナウイルス感染症拡大は、令和3年4月25日から東京都等で緊急事態宣言が発令され、その後まん延防止等重点措置に切り替わり9月30日まで行動制限が続きました。その後年明けの令和4年1月21日から3月21日までまん延防止等重点措置が再度発令、北海道においてもほぼ同様の措置がなされました。このため令和3年5月23日から6月18日までの27日間と令和4年1月31日から2月20日までの21日間の計48日間にわたり休館となり、業績は回復しませんでした。これらの結果、売上高は6億7千1百万円(前年同期は6億7千1百万円)となり、営業費用は12億3千1百万円で(前年同期は12億1千9百万円)、営業利益は5億6千万円の営業損失(前年同期は5億4千7百万円の営業損失)となりました。

(不動産事業)

前年度と同様に順調に推移し、売上高は前年度並みの6億7千7百万円(前年同期は6億5千7百万円)となり、営業費用は4億1千4百万円(前年同期は4億6百万円)で、営業利益は2億6千2百万円(前年同期は2億5千万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動及び財務活動による収入が、投資活動による支出を上回ったため、前連結会計年度末に比べて14億7千4百万円増加して、105億6千5百万円となりました。各キャッシュ・フロー状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増加などにより、前期に比べて13億9千1百万円増加し、49億1千9百万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が減少し、前期に比べて支出が35億1千9百万円し、16億3千8百万円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期未払金の返済による支出などの増加により、前期に比べて44億2千6百万円減少し、18億3千9百万円の支出となりました。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

平成30年3月

平成31年3月

令和2年3月

令和3年3月

令和4年3月

自己資本比率(%)

31.42

32.02

27.42

28.22

29.05

時価ベースの自己資本

比率(%)

14.26

9.51

6.14

6.99

8.37

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)

6.67

4.84

15.95

9.20

6.36

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

11.67

17.11

8.13

12.63

16.86

 

(注1)上記指標の計算式は次の通りです。

    自己資本比率:自己資本÷総資本

 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額÷総資産

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

 インタレスト・ガバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー÷利払い

(注2)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

(注3)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象
としております。

 

 

③ 財政状態の状況

当連結会計年度末における財政状態の状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(資産)

当連結会計年度末の資産の残高は、前期末に比べて5億9千7百万円増加694億3千1百万円となりました。これは主に、船舶などの固定資産が減少した一方で、現金預金などの増加、および保有株式の時価上昇による投資有価証券の増加によるものであります。

(負債)

負債の残高は、前期末に比べて1億7百万円増加463億7千5百万円となりました。これは主に、支払手形および買掛金や短期借入金の増加によるものであります。

(純資産)

純資産の残高は、前期末に比べて4億8千9百万円増加230億5千5百万円となりました。これは主に、保有株式の時価上昇によるその他有価証券評価差額金が増加したことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、主に国内貨物輸送サービスの提供をしております。従って、サービスの性格上、生産実績を定義することが困難であるため生産実績の記載は省略しております。

b.受注実績

 生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

増減(千円)

増減比(%)

営業収益金額(千円)

割合(%)

営業収益金額(千円)

割合(%)

海運事業

40,249,685

97.0

43,393,735

95.9

3,144,050

7.8

ホテル事業

671,176

1.6

661,062

1.4

△10,114

△1.5

不動産事業

577,624

1.4

579,610

1.3

1,985

0.3

その他事業

621,091

1.4

621,091

合計

41,498,486

100.0

45,255,500

100.0

3,757,013

9.1

 

(注) 1.金額は、セグメント間の内部売上高又は振替高を除いた外部顧客に対する売上高によっております。

2.主な相手先別の営業収益実績及び当該営業収益実績の総営業収益実績に対する割合は次のとおりであります。

3.その他の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、農産物卸売事業を含んでおります。

 

相手先

前連結会計年度
自 令和2年4月1日
至 令和3年3月31日

当連結会計年度
自 令和3年4月1日
至 令和4年3月31日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

王子製紙㈱

578,951

1.4

471,504

1.0

王子物流㈱

3,649,175

8.8

3,555,280

7.9

日本製紙㈱

941,088

2.3

487,717

1.1

オーシャントランス㈱

1,949,307

4.7

1,440,640

3.2

 

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、海運事業・ホテル事業・不動産事業の各セグメントにおいて積極的な事業展開を行ってまいりました。

海運事業において北海道定期航路では、令和3年8月に日本製紙釧路工場が事業終了したのに伴い、9月より自主運航を一隻減少させる配船変更で対応した結果、貨物動向に持ち直しの動きがみられたものの、スポット貨物が低調であったこともあり、貨物輸送量は前年を下回りました。また燃料油価格の高騰により燃料油価格調整金が売上高を増加させて燃料コストも増加しましたが、配船変更によるコスト抑制等が寄与したことで増収、増益となりました。近海航路では市況は好調に推移し三国間定期航路も堅調で、燃料油価格の上昇や近海船の傭船料の高騰もありましたが、収益は改善して増収、増益となりました。

ホテル事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による度重なる緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の発出や延長によって、集客済のツアーが催行中止になるなど宿泊需要は回復せず、極めて厳しい経営環境が継続しております。

不動産事業においては概ね順調に推移いたしました。

以上の結果、売上高が452億5千5百万円(前年同期は414億9千8百万円)、営業利益1億4百万円(前年同期は4千1百万円の営業損失)となり、経常利益が6億3千万円(前年同期は3億5百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益が9千万円(前年同期は6億7千万円)となりました。


 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの主な資金需要につきましては、運転資金需要として海運事業の運用に関わる貨物費・燃料費・港費・船員費等の海運業費用や労務費等の役務原価、商品、材料等の仕入原価、人件費、その他物件費等の一般管理費があり、設備資金需要としては船舶や物流設備等への投資があります。その他の需要として借入金の返済、社債の償還等があります。

これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達にて対応してまいります。なお、キャッシュ・フローの状況の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照ください。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金や賞与引当金等の各引当金や退職給付に係る負債の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法等により見積りを実施しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

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