文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「JALグループ企業理念」を次のとおり定めています。
(JALグループ企業理念)
JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
一、お客さまに最高のサービスを提供します。
一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。
(2)目標とする経営指標
「2021~2025年度 JALグループ中期経営計画」において、次の3項目を経営目標としております。
①安全・安心
安全:航空事故・重大インシデント0件
安心:航空利用に加え、日常・ライフステージでも世界トップレベルの顧客体験を実現(NPS +4.0pt)
②財務
EBITマージン:2023年度に10%以上を達成(以降向上)
ROIC :2023年度に9%を達成(以降維持・向上)
EPS :2023年度に260円(コロナ禍以前の水準)、2025年度に約290円レベル
③サステナビリティ
環境 :CO2削減(総排出量 909万トン未満)
使い捨てプラスチック削減(客室・ラウンジ:新規石油由来全廃、空港・貨物:環境配慮素材へ100%変更)
地域社会:国内の旅客・貨物輸送量を2019年度対比+10%
人 :D&I推進(グループ内女性管理職比率 30%)
(3)経営環境ならびに対処すべき課題
当社グループは、2021年5月に、「安心・安全」「サステナビリティ」をキーワードとした「JAL Vision 2030」およびその実現に向けた「2021-2025年度 JALグループ中期経営計画」を策定、発表しました。また、2022年5月6日には「2021-2025年度 JALグループ中期経営計画ローリングプラン2022」を策定し、新型コロナ影響の長期化や世界情勢の不安定化、市況の変動等の新たな外部環境変化は踏まえつつも、昨年定めた戦略の方向性や目標は変更せず、着実に取組みを推進することで、中期計画・経営目標の達成を目指します。
また、当社グループが対処すべき課題については、中期計画の中で目標達成の時間軸に従い次のとおり課題を整理し、取組みを推進していくこととしております。
1.長期レンジの課題
① ESG戦略の推進による企業価値の向上 (~2030年)
② 「CO2排出量実質ゼロ」に向けた取組みの推進(~2050年)
2.中期レンジの課題(~2025年)
① 事業構造改革の加速
② グループ経営の推進によるシナジーの創出
③ 財務基盤の再構築
1.長期レンジの課題
1―①:ESG戦略の推進による企業価値の向上(~2030年)
2030年のSDGs達成に向けた社会の意識は日増しに高まっており、企業はその活動の中でESGを強く意識した判断を行うことが求められております。当社はこのような社会の変化に先駆け、ESG戦略を経営戦略の軸に位置づけ、成長に向けた経営判断をESG戦略に基づき行なってまいります。また、このESG戦略の推進を通じてサステナブルな人流・商流・物流を創出することで、当社の社会的・経済的価値を高めるとともに、企業価値の向上を実現します。
1―②:「CO2排出量実質ゼロ」に向けた取組みの推進(~2050年)
当社グループは、航空機によるヒト・モノの流動を創出することを主たる事業とする性質上、他の移動手段に比べて単位当たりCO2排出量が格段に多いことから、排出を抑制するための取組みについて、真摯に、かつ、主体的に取り組む必要があると認識しております。
当社グループは、中期計画において2050年までに「CO2排出量実質ゼロ」とすることを定め、その実現に向けた取組みを着実に推進しております。「省燃費機材への更新」や「運航の工夫」に加え、持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel、以下「SAF」)の安定的かつ適正な価格での調達を実現するため、官民・業界で一体となり、連携して取組んでまいります。
2.中期レンジの課題(~2025年)
2−①:事業構造改革の加速
当社グループは、高いレジリエンスを備えたポートフォリオの構築を目指し、事業構造改革を加速させます。航空領域では、基幹事業であるFSC事業の収益性改善に加え、LCCや貨物・郵便での事業拡大を、また、非航空領域(マイル・ライフ・インフラ)では、強みである顧客基盤やヒューマンスキルを活かし、成長する分野へ積極的に展開することを通じて事業構造改革を牽引します。これらの取組みにより、変化する外部環境の中においても、安定的な事業運営を実現してまいります。
2−②:グループ経営の推進によるシナジーの創出
事業構造改革と併せて、各事業領域への最適な資源配分とシナジー創出を実現するため、グループ経営を推進してまいります。「安全・安心」「人財」「DX」「営業」等の分野において、これまで以上に事業領域を越えた連携を推進することにより、グループ全体の収益性の最大化を図ります。
2−③:財務基盤の再構築
新型コロナ影響からの「財務再構築フェーズ」においては、引き続き「リスク耐性強化」と「資本効率」を両立し、経営資源を戦略的に配分するとともに、株主還元についても2022年度末までの復配を目指します。また、新型コロナ影響後の需要回復期における「持続的成長フェーズ」においては、キャッシュ・フロー配分を株主還元や持続的な成長に向けた投資に徐々にシフトさせることで、健全な財務体質を維持しつつ、企業価値の向上を実現してまいります。
以上の取り組みを通じて「JAL Vision 2030」を実現し、多くの人々やさまざまな物が自由に行き交う、心はずむ社会・未来において「世界で一番選ばれ、愛されるエアライングループ」を目指します。
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