当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症及び変異ウイルスの拡大により、社会・経済活動が著しく制限されました。緊急事態宣言の断続的な発出及びまん延防止等重点措置が取られましたが、一方で、ワクチン接種が全国各地で進捗し、同感染症の沈静化が期待される状況となり経済活動に回復の兆しが見え始めているものの、ウクライナ情勢等の地政学リスクや原油価格等の原材料価格の上昇など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
国内の介護業界におきましては、社会の高齢化に伴い介護サービスの利用者数は増加しているものの、サービスを担う人材確保に取り組むことは急務となっており、引き続き介護事業者の大きな課題となっております。我が国の高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)が2020年には28.8%に上昇、うち75歳以上人口は1,871万人となり、前年と比較して24万人増加しました(注1)。2021年4月度の介護報酬改定では改定率『+0.70%』の軽微なプラス改定となり、基本報酬の増額や、うち新型コロナウイルス対応のための時限的報酬増額(特例的な評価 +0.05% 2021年9月末までの間)など介護事業者に有利な改定がなされる一方、介護事業者に新たな取り組みが課されるなど負担増となる内容も含まれております。
その一方で、サービスを担う人材の確保は依然厳しい状態が続き、介護業界にとって大きな課題となっており、2025年に向けた介護人材にかかる需給推計を見ると、約38万人の人材不足(需給ギャップ)に陥ることが予想されており、その確保が事業の継続や成長に影響を与える重要事項となっております(注2)。
このような状況のもと、当社グループは利用者様に品質の高いサービスを提供するため、従業員が働きやすい環境を整備することによって雇用の安定に努めてまいりました。当社では、人員採用と雇用の安定を狙いとして、2021年4月1日付けで非正規社員の大半を正社員に登用を行ないました。これに伴い、当社の正社員比率は70%を超えております。今後も正社員採用に重点をおき、安定雇用に取り組む方針であります。利用者獲得のための営業活動や、介護施設での人員配置の適正化を図る一方で、新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、感染拡大リスクを可能な限り抑制するため感染症対策を徹底しつつ、利用者に寄り添った介護サービスを継続できるよう最善を尽くしました。
一方、グループ経営の効率化を目的として、株式会社生活サポーターふるまい(本社:新潟県見附市)の全株式を2021年4月28日に譲渡したことにより、売上高が減少しましたが、経費の削減により営業利益の増加に寄与しました。また、当該株式譲渡に伴い子会社株式売却益71百万円を計上しております。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は9,185百万円(前連結会計年度比1.8%減)、営業利益は649百万円(前連結会計年度比23.0%増)、経常利益647百万円(前連結会計年度比6.4%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は528百万円(前連結会計年度比10.8%増)となりました。
(注1)出典:総務省統計 2021年9月19日「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」
(注2)出典:厚生労働省 2015年6月24日「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計-確定値-について」
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
福祉用具事業においては、レンタル売上は堅調に推移いたしました。新型コロナウイルス感染症の影響により、在宅の住環境の整備を必要とされている方が増加しており、レンタル商材の手すりの需要が増えました。これに対応すべく、手すりにつきましては居室内で使用するものや、外出機会増加に伴い玄関口で使用するものなど、用途に応じた製品を提供いたしました。費用面では、利用者様の様々なニーズにスピーディーに応えるため、介護用電動ベッドや手すりなどの新商品の貸与品仕入れを増加しました。また、栃木県小山市に営業所を2022年5月に新規開設するため、その準備費用を計上しました。
以上の結果、当連結会計年度の福祉用具事業の売上高は4,036百万円(前連結会計年度比7.3%増)、セグメント利益は271百万円(前連結会計年度比15.6%減)となりました。
介護事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響で施設利用の営業活動に制限を受けた期間もありましたが、利用状況は堅調に推移いたしました。デイサービスの稼働率も、営業活動を強化したエリアでは増加傾向となっております。また、特定施設等を対象とした介護保険報酬の加算(注)を複数事業所で新規に取得したことが、売上高の増加に寄与しました。
介護事業の拠点につきましては、子会社であった株式会社生活サポーターふるまいの各拠点は、株式譲渡に伴い当社グループから除外されました。また、埼玉県深谷市のグループホーム1事業所の事業を譲り受け2021年5月より運営を開始しております。長野県佐久市のデイサービス「ふらっとうすだ」は、近隣の環境変化により利用者の減少傾向が継続しておりましたので2022年3月末に閉鎖いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の介護事業の売上高は5,149百万円(前連結会計年度比7.9%減)、セグメント利益は377百万円(前連結会計年度比83.3%増)となりました。
(注)介護保険における加算とは、介護サービスの質の向上のために設けられた制度であり、基本報酬に加算されます。加算取得には事業所における有資格者の人数や、追加的なサービス業務の提供等、定められた条件を満たす必要があります。
b.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ615百万円減少し、7,698百万円となりました。流動資産は前連結会計年度末に比べ114百万円減少し、3,370百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の減少77百万円、その他の流動資産の減少33百万円によるものであります。固定資産は前連結会計年度末に比べ506百万円減少し、4,321百万円となりました。主な要因は、建物及び構築物(純額)の減少372百万円、土地の減少72百万円、のれんの増加20百万円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,141百万円減少し、5,689百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末に比べ395百万円減少し、2,227百万円となりました。主な要因は、1年内償還予定の社債の減少250百万円、未払法人税等の減少122百万円によるものであります。固定負債は前連結会計年度末に比べ746百万円減少し、3,462百万円となりました。主な要因は、長期借入金の減少788百万円によるものであり
ます。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ526百万円増加し、2,008百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益528百万円の計上による増加によるものであります。自己資本比率は前連結会計年度末の17.8%から8.3ポイント増加し26.1%になりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ77百万円減少し、1,594百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は898百万円(前年同期は1,180百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益709百万円、減価償却費309百万円による増加に対して、法人税等の支払額272百万円による減少の結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は97百万円(前年同期は使用した資金111百万円)となりました。これは、主に介護施設の事業譲受による支出24百万円、子会社株式の売却による支出38百万円による減少の結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は878百万円(前年同期は使用した資金373百万円)となりました。これは、主に短期借入れによる収入1,200百万円、長期借入れによる収入100百万円による増加に対して、短期借入金の返済による支出1,200百万円、長期借入金等の返済による支出728百万円、社債の償還による支出250百万円による減少の結果であります。
③仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありませんので、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。
当社グループでは、介護施設の利用者数の状況や福祉用具の利用者数の推移の見積りを前提として、投資回収率や収益性に関する見積り及び判断について継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づいて見積り及び判断を行っております。また、その結果は資産・負債及び収益・費用の報告数値についての判断の基礎となります。これらの実際の結果は、見積りが有する不確実性のため、見積りと異なる場合があります。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は9,185百万円(前連結会計年度比1.8%減)となりました。介護に関するサービスを利用者様にワンストップでサービス提供を行っており、福祉用具事業の利用者様の増加や介護事業のサービス向上にともなう増収がありましたが、グループ再編による子会社株式の売却による売上高の減少が主な要因です。
利益面においては、グループ再編により連結除外した子会社の販売管理費の減少により、営業利益は649百万円(前連結会計年度比23.0%増)となりました。経常利益は借入残高の減少による金利負担軽減もあり647百万円(前連結会計年度比6.4%増)となりました。また、子会社株式の売却益を特別利益に計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は528百万円(前連結会計年度比10.8%増)となりました。
セグメントごとの経営成績等に関する分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績の状況」に記載しております。
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態」に記載しております。
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社における資金需要の主なものは、介護施設等の新規開設に伴う設備投資資金及び運転資金であります。運転資金としては、福祉用具事業におけるレンタル用商品の取得や、労務費、販売費及び一般管理費等であります。資金需要につきましては、主として内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フロー、また金融機関からの借入金も併せて対応してまいります。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に含めて記載しております。
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
当社グループは、介護における多様なニーズに応えることによって、継続的、長期的な企業価値の向上を目指しております。利用者数及び介護施設の利用状況を示す売上高と、労務費等の売上原価の状況を示す売上総利益及び売上高総利益率を重要な経営指標と位置付けております。また、経営基盤の状況を見る上では、財務的視点から自己資本比率についても重要な指標ととらえております。
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