文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、『人生の最終ステージを利用者様の幸せと満足で元気にする』をミッションとし、利用者の皆様にサービスを提供しております。経営理念には以下の事項を掲げております。
❶ 福祉、介護を通じて介護改革を実践し社会に貢献
❷ 地域密着、24時間・365日、すぐやる、必ずやる、できるまでやる、すべては利用者様のために
❸ ES(職員満足)向上に向け、全職員一致協力の下、グループ全部門連動体制の確立
❹ 環境整備、コストダウンにより、やさしい環境に貢献
❺ 人格、品格、人間性の自己啓発をし、愛される人間を目指す
❻ 躾(マナー)を重視し、スキルアップと法令遵守でCS(顧客満足)に努める
❼ 当たり前のことを当たり前に、そして三配り(気配り、目配り、心配り)の確立
上記の経営理念を全社員で徹底するとともにコンプライアンスを遵守した経営に徹し、今後の介護における多様なニーズに応えるため、有料老人ホーム、グループホーム等の入居系サービスを含め、訪問介護、訪問看護、小規模多機能型居宅介護などの在宅系事業の積極的な展開とともに、福祉用具のレンタル・販売でのシェアの拡大に積極的に取り組んでまいります。コストダウンと業務の効率化を進め、社会貢献はもとより事業計画を着実に推進することにより、経営基盤の強化と財務体質の改善に努めてまいります。
当社グループは、介護を必要とする多くの方々に介護サービスをご利用いただくうえで、継続的、長期的な企業価値の向上が重要であると認識しており、売上高、売上総利益及び売上高総利益率を重要な経営指標と位置づけております。利用者数の増加及び介護施設の稼働率の上昇等による売上高の拡大と、労務費等の売上原価の適正化により売上高総利益率の上昇を目指しております。
サービス事業者が受ける介護報酬の多くが公費で賄われているため、制度変更等の市場に対する影響が大きく、介護報酬の改定が業績に影響を及ぼす可能性があります。介護保険の「公定価格」である介護報酬は、過去の推移から主に3年に一度の頻度で見直しがされており、2021年4月に改定されております。
今回の改定では、3年前の改定率(0.54%)を上回る0.7%のプラス改定となり、新型コロナウイルスへの特例的な評価として、基本報酬に2021年9月末まで0.1%上乗せとなりました。
(出典:厚生労働省老人保健課 全国介護保険高齢者保健福祉担当課長会議資料より抜粋)
今回の改定の柱として(1)感染症や災害への対応力強化、(2)地域包括ケアシステムの推進(図1)、(3)自立支援・重度化防止に向けた取組の推進、(4)介護人材の確保・介護現場の革新、(5)制度の安定性・持続可能性の確保―とされ、基本報酬と共に各項目に対して事業者の取り組みによる加算の見直しもされています。
国内の高齢者人口の割合は増加中であり、65歳以上の高齢者の割合である高齢化率は2000年に17.4%であったものが、2040年には35.3%を超える水準にまで上昇する見込みであります(図2)。
介護保険制度の現状に関しては、「人材」と「財源」の二つの不足を今後如何にして改善させて行くかが大きな注目点となっています。
当社グループといたしましては、今回の改定内容を十分に踏まえたうえで、事業を展開している各地域の特性を十分に把握し、既存のサービスメニューの見直しを進めながら、訪問看護、小規模多機能型居宅介護及び看護小規模多機能型居宅介護、グループホームを中心とした、中重度者や医療ニーズの高い要介護者への対応を強化してまいります。また、専門性の高い人材の採用と育成、教育研修体制の整備によりサービス品質の向上に取り組み、積極的に介護保険法の定める各種加算取得の拡充を図ってまいります。
(図1) (図2)
地域包括ケアシステムの概要 高齢者人口の推移
(図2)出典:総務省統計局 2021年9月19日「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」
市場規模の拡大が見込まれる一方で、サービスを担う人材の確保は依然厳しい状態が続き、業界にとって大きな課題となっております。介護従事職員の離職率(介護労働安定センターによる「2020年度介護労働実態調査」2021年8月23日公表)は14.9%であり、従前よりは改善傾向にありますが、産業全体の水準(厚生労働省による2020年の雇用動向調査)14.2%と比較するとやや高水準にあります。介護従事職員の給与は業務負担に対して少ないと見なされている中で、2019年10月から新たに特定処遇改善加算も開始されましたが、人材確保が困難となっている事業者が増加しております。2025年に向けた介護人材にかかる需給推計を見ると、約38万人の人材不足(需給ギャップ)に陥ることが予想されており、その確保が事業の継続や成長に影響を与える重要事項となっております。総合的な確保の方策の一つに、人材のすそ野の拡大を進め、多様な人材の算入促進を図ることが挙げられています(図3、4)。
当社グループでは、価値観を共有できる研修、入社後の定期的なブラッシュアップ研修及び管理者層を育てる研修等を企画し、必要に応じて外部講師も招聘しております。また、人事評価制度のさらなる拡充を行うとともに、これを活用し個々の職員に対するキャリアプランに関するミーティング等を定期的に実施することで、職員一人一人が満足して働き、人材が定着する環境を構築してまいります。
(図3) (図4)
(図3、4)出典:厚生労働省 2015年6月24日「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」
当社グループでは、これまで事業展開してきた信越及び北関東において、さらなるドミナントを展開していく計画を進めています。また、今後の事業展開においては事業所の新規開設と共にM&A案件等などに取り組むことにより、首都圏を含む関東エリアにおいてもドミナントを展開していく方針であります。同エリアでの事業展開を推進するには、十分な財務基盤に基づいた事業計画が不可欠となります。また、同エリアを含めて介護分野のM&A案件を検討する場合も、投資資金に充当できる自己資金の確保が必要となります。当社グループが事業展開エリアを拡充して成長を持続するためにも、財務基盤の強化に取り組んでまいります。
事業部門での取り組みとして、福祉用具事業においては営業拠点の新規開設及びケアマネジャー・病院などへの営業活動によるエリア内でのシェアアップに取り組む方針です。介護事業においては小規模多機能型施設(看護付き含む)やグループホームの新規開設を推進すると共に、福祉用具事業の利用者へのアプローチを推進します。
なお、介護保険の適用を受けるサービス(グループホーム、小規模多機能型居宅介護、介護付き有料老人ホーム等)の新規開設に関しては、所轄する各地方自治体の事業計画に沿って応募し、事業指定を受けなければなりません。当社グループでは各地方自治体の介護保険事業計画の情報を基に地域の市場環境の分析を行い、当社の事業計画に沿って公募参加を行い、事業指定を受けて施設を開設しております。
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