業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末の総資産につきましては、前事業年度末に比べ119,293千円減少し、1,582,409千円となりました。

 これは主に、売掛金が90,918千円、未収入金が31,948千円、関係会社株式が213,000千円増加したのに対し、現金及び預金が161,791千円、前払金が15,396千円、機械及び装置が23,665千円、リース資産が19,936千円、関係会社長期貸付金が213,000千円減少したこと等によります。

(負債)

 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ9,045千円減少し、956,971千円となりました。

 これは主に、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が210,000千円増加したのに対し、契約負債が199,929千円、リース債務が19,936千円減少したことによります。

(純資産)

 当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ110,247千円減少し、625,437千円となりました。

 これは、利益剰余金が110,247千円減少したためであります。

 

② 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が依然として続いており、また、世界的な原油価格の高騰、ロシア・ウクライナ情勢、サプライチェーンの停滞などによる資源価格の上昇、世界経済の停滞等も関係し、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

クリーンテック・グリーンケミカル分野においては、2020年10月、臨時国会で「2050年カーボンニュートラル」が宣言されたことを受け、経済産業省により2兆円のグリーンイノベーション基金が造成されるなど、二酸化炭素排出の削減を経営課題として取り組む企業等に対して、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援を行う機運が高まっております。

このような状況下において、当社が研究開発を進めるマイクロ波プロセスは、化石資源ではなく電気由来であり、「内部加熱」「選択加熱」「急速加熱」などの特徴により効率的なエネルギー伝達を可能とするマイクロ波を利用することで、化石資源を利用している従来プロセスと比較して、大幅な二酸化炭素削減が可能であるため、カーボンニュートラル実現に向けた有望なキーテクノロジーとして注目されております(※)。

当事業年度においては、このような状況のもと、2021年3月期においてコロナ禍の影響もあり落ち込んだ新規ラボ開発案件の獲得活動に注力したほか、ラボフェーズに続いて実証フェーズに進んだ案件の開発を着実に進めてまいりました。特に、「脱炭素」の流れを受けて、ケミカルリサイクル関連の共同開発が増加いたしました。

以上の結果、売上高は、860,510千円(前年同期比87.9%増)を計上しました。一方で、研究開発を積極的に推進した結果、研究開発費452,890千円を含む販売費及び一般管理費は745,179千円となり、営業損失は87,495千円(前事業年度は営業損失348,382千円)となりました。

上記の他、営業外収益2,317千円および営業外費用13,698千円を計上したことにより経常損失は98,876千円(前事業年度は経常損失355,599千円)となり、特別利益で補助金収入134,502千円、特別損失で固定資産除却損400千円、固定資産圧縮損105,223千円、投資有価証券評価損5,000千円、本社移転費用32,400千円を計上した結果、法人税等控除後の当期純損失は110,247千円(前事業年度は当期純損失1,036,391千円)となりました。

なお、当社は、マイクロ波化学関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

(※)化学工業日報(2021年7月2日)化学品生産への応用拡大 50年に世界で導入率10%へ

日経ビジネス(2021年9月6日)脱炭素のカギは「レンチン」? 化学大手がマイクロ波に熱視線

化学工業日報(2021年9月21日)SDGs達成に不可欠な革新的技術(社説)

日経産業新聞(2021年9月30日)マイクロ波に熱い視線(第2部/化ける化学脱炭素の陣)

日刊ケミカルニュース(2021年11月12日)マイクロ波により、化学産業の製造プロセスに革新を起こす(カーボンニュートラル特集)

日本経済新聞(2021年12月1日)化学、電気プラントで脱炭素 新興勢が「常識」に風穴

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ161,791千円減少し220,528千円となりました。

当事業年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、226,012千円の支出(前事業年度は287,659千円の支出)となりました。主な要因は、税引前当期純損失107,397千円、売上債権の増加90,746千円、未収入金の増加31,563千円、契約負債の減少199,929千円等の減少要因があった一方、減価償却費69,265千円、固定資産圧縮損105,223千円、前払金の減少15,396千円等の増加要因があったことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、125,843千円の支出(前事業年度は72,640千円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出107,205千円、関係会社株式の取得による支出213,000千円の減少要因があった一方、関係会社長期貸付金の回収による収入213,000千円の増加要因があったことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、190,063千円の収入(前事業年度は69,936千円の支出)となりました。主な要因は、長期借入による収入210,000千円の増加要因があった一方、リース債務の返済による支出19,936千円の減少要因があったことによります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当事業年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社はマイクロ波化学関連事業の単一セグメントであるため、売上高の主な内訳別に記載しております。

区分

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

フェーズ1(千円)

721,450

357.9

フェーズ2(千円)

192,797

39.2

フェーズ3(千円)

65,000

フェーズ4(千円)

100

合計(千円)

979,347

141.4

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はマイクロ波化学関連事業の単一セグメントであるため、売上高の主な内訳別に記載しております。

区分

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

フェーズ1(千円)

309,950

146.3

フェーズ2(千円)

320,460

130.2

フェーズ3(千円)

30,000

フェーズ4(千円)

200,100

合計(千円)

860,510

187.9

 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三菱ケミカル㈱

48,000

10.5

215,432

25.0

三井化学㈱

121,143

26.4

214,281

24.9

ティエムティ㈱

200,000

23.2

大日本印刷㈱

87,000

19.0

92,500

10.8

太陽化学㈱

53,300

11.6

BASF戸田バッテリーマテリアルズ(同)

48,300

10.5

 

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末日における資産および負債、会計年度における収益および費用について会計上の見積りを必要としております。この見積りに関しては、過去の実績および適切な仮定に基づいて合理的に計算しておりますが、実際の結果と相違する場合があります。

 当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

(売上高)

 当事業年度における売上高は、売上高は、860,510千円(前年同期比87.9%増)を計上しました。これは主に、ケミカルリサイクル関連の案件を中心に、フェーズ1の共同開発契約件数が増加したこと、フェーズ1からフェーズ2に進捗した案件の開発を着実に進めたこと、及びフェーズ4としてライセンス契約における契約一時金を売上計上したことによるものであります。

(販売費及び一般管理費)

 当事業年度における販売費及び一般管理費は、745,179千円(前事業年度の販売費及び一般管理費は586,628千円)となりました。これは主に、事業規模拡大に伴う、人員数の増加及び諸経費の増加によるものであります。

(特別利益)

 当事業年度における特別利益は、前事業年度に比べて117,173千円増加し、134,502千円を計上しました。これは、補助金収入が増加したことによるものであります。

(特別損失)

 当事業年度における特別損失は、前事業年度に比べて552,246千円減少し、143,024千円を計上しました。これは、前事業年度においては関係会社株式評価損を計上した一方、当事業年度においては補助金収入に対応する固定資産圧縮損が増加したこと等によるものであります。

(資産)

 当事業年度末の総資産につきましては、前事業年度末に比べ119,293千円減少し、1,582,409千円となりました。

 これは主に、売掛金が90,918千円、未収入金が31,948千円、関係会社株式が213,000千円増加したのに対し、現金及び預金が161,791千円、前払金が15,396千円、機械及び装置が23,665千円、リース資産が19,936千円、関係会社長期貸付金が213,000千円減少したこと等によります。

(負債)

 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ9,045千円減少し、956,971千円となりました。

 これは主に、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が210,000千円増加したのに対し、契約負債が199,929千円、リース債務が19,936千円減少したことによります。

(純資産)

 当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ110,247千円減少し、625,437千円となりました。

 これは、利益剰余金が110,247千円減少したためであります。

 

③ キャッシュ・フロー、資本の財源および資金の流動性

 当社は、基盤技術の強化をはかるべく、積極的に研究開発活動を実施してまいりましたが、今後も継続して実施する方針であり、必要な資金は、自己資金、金融機関からの借入金、新株発行による調達資金により充当することとしております。

 当社の資金の流動性については、「(1)経営成績等の状況の概要③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④  経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の分析

 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通り、1)新規案件獲得数、2)案件総数の拡大を主な経営指標として重視しており、各指標の進捗度は以下のとおりです。

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

新規案件獲得数

11件

9件

18件

案件総数

23件

19件

41件

 2021年3月期は、コロナ禍の影響により新規案件獲得のための営業活動が停滞し、新規引合い件数が減少したこともあり、各指標は減少しましたが、営業担当者の増員、ウェブセミナーの開催などにより、各指標の改善に取り組んだ結果、2022年3月期においては堅調に推移したものと認識しております。

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