文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。
当社は創業来「プロジェクト型社会の創出」を理念に掲げております。当社の考え方として、日本社会そのものが高度成長期に作られた右肩上がりの経済体制、及び第2次産業を中心とした産業体制を前提とし、仕事を細かく分業し、目の前のタスクを捌くことを最優先事項と考える「タスク型」の仕事の進め方が中心になっていることが、日本社会を停滞させる大きな問題であると捉えています。当社は「タスク型」の社会を「プロジェクト型」に変革し、プロジェクトごとのミッションに基づいてチームが集まり、そのミッションを実現するという社会像を実現することを企業理念としております。
この理念の実現に向けて、まずは日本企業のDXを支援、促進することで、日本企業の競争力を向上させて、理念の実現に近づいていきたいと考えております。
経営の基本方針と致しましては、会社は従業員や株主、取引先といった全てのステークホルダーに対し、企業のゴーイングコンサーンを前提として継続的に価値を提供し、雇用を創出することが使命であると考えております。そのためには、安定した、積み上げ型の売上の創出と、細かい費用科目への見開き及び正しく長期的な視野に立ったコストカット、顧客への密接なフォローアップを継続的に行っていることが、基本的でありながら、最も重要な要素であると考えています。
当社の創業来の継続的な成長は、特定の技術の優位や、マーケットの爆発的な成長等の一時的な要因によってもたらされたわけではなく、基本的な経営の原理原則をしっかりと守って経営していくという点に拠って立ったものと考えております。したがって、引き続きこのような経営方針を守り、進化させていくことで継続的な事業拡大を実現したいと考えております。
当社はベンチャー企業であることから、まずは売上高を前年対比で大きく成長することを目標としています。
また、当社はプロダクト型の企業ではないため、毎年安定的に利益を生み出す形で営業キャッシュ・フローを再投資して事業を拡大することを目指しております。そのため、売上高成長率の次に重視する指標は、営業利益額としております。
当社が属するデジタルトランスフォーメーション市場は拡大基調の市場であり、国内のDX関連投資額は2019年から2030年まで年平均成長率13%で増加していき、結果2030年には約3兆円の市場規模となると予測されております(㈱富士キメラ総研『2020デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望』)。拡大を後押しする要因として、①日本企業の構造的課題による生産性の低さ、②政府によるDXの後押し、③新型コロナウイルス感染症の流行によるニューノーマルの常態化があげられます。①は2014年の『持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~』(経済産業省公表。通称『伊藤レポート』)で問題提起が行われ、2015年の㈱東京証券取引所によるコーポレートガバナンス・コード制定によって上場企業における持続的成長と中長期的な企業価値向上のための実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則が明記されました。また、2018年の『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』(経済産業省公表)により、さらにDX推進の機運が高まっており、DXが経営上の課題だと認識している企業からの当社への引き合いも堅調に推移していると実感しております。日本市場については、日本企業の生産性の問題が指摘されているとはいえGDP上位の市場であり、その中でもDXに向けた予算については市場の拡大とともに増加していくと予想され、市場としては魅力的であると考えております。さらに、②の政府による後押しでは、デジタル庁の新設や経済産業省によるDX銘柄及びDX注目企業の選定等、国をあげて制度設計を行い、DX推進を後押ししている状況です。③新型コロナウイルス感染症の流行は、当初、顧客である日本企業の業績が悪化するという観点から、当社の業績にもネガティブな影響があるのではないかと警戒しておりました。結果的には、新型コロナウイルス感染症が業務のデジタル化を促進するなど、ニューノーマルへの対応という観点でDX市場の拡大要因となり、当社業績に対してもポジティブな影響をもたらしたと判断しております。
当社の基本戦略として、まずは、成長市場であるデジタルトランスフォーメーション市場に注力することを前提としています。DX市場に注力する理由としては、DX市場が長期的視点にたっても、一定の成長が見込まれる市場であるという点であります。DX市場の成長を後押しする要因として、①日本企業の構造的課題による生産性の低さ、②政府によるDXの後押し、③新型コロナウイルス感染症の流行によるニューノーマルの常態化が挙げられると考えます。特に①については『持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~』(経済産業省公表。通称『伊藤レポート』)でも指摘されて以来、長期的に日本企業の課題として捉えられてきています。生産性の低下が指摘されているとはいえ、日本の大手企業は世界的にもある程度の規模であり、そのポテンシャルを鑑みると、デジタル変革による成長余地があるものと考えております。したがって、まず当社が注力する市場は、日本の大手企業に向けたDXソリューションの提供と考えております。
上記の市場に注力するということを前提とした上で、サービス提供体制をより一層強化するということが当社の基本戦略ということになります。顧客におけるDX予算というものはある程度枠が定まっている性質のものであるため、その中で顧客内シェアを獲得していくことが戦略的に重要であると考え、当社としては、プロセス/領域ごとに異なるサービスを都度導入する専門サービス指向型ではなく、異なるプロセス/領域においてもワンストップでのサービスを導入する総合サービス指向型の企業を顧客ターゲット層と捉え、DX領域において一気通貫での支援を行うことにより顧客当たりのLTVを高めていくことを目指しております。例えばマーケティングの領域においては、これまで外注していたデータ分析やSEOの領域について内製化して一気通貫支援体制を強化していくことを検討しております。また、コンサルティング領域においても、AIやブロックチェーンなど最新技術を活用したプロジェクトを積極的に支援していくことを検討しております。このような基本戦略のもと、売上高100億円以上の顧客についての受注継続率及びストック売上高比率について特に重視し、現在の水準を維持することを目標とし、可能であれば徐々に切り上げていくことも目指したいと考えております。
また、継続的な事業運営を実現するに際しては、研修を通じたマネージャー育成や、パートナーの拡充等ストック型ビジネスに適応した体制構築を進めていく方針であります。
デジタルトランスフォーメーション事業を推進するにあたって、顧客をリードできる優秀な人材の獲得が重要な要素かつボトルネックとなりやすいため、常に当社の課題であると認識しております。
当社の既存の強みは一気通貫でのDX化支援サービスだと認識しており、今後も一層の強化を図るべく事業開発を進めていく必要があると考えます。具体的には、これまで効率性の観点から外注していた領域の内製化や、今後生まれる新たなテクノロジーを企業に導入する支援体制の構築等を想定しております。
③ 共同参画パートナーのネットワーク拡充
当社は、すべての案件について社内人材だけで対応するのではなく、状況に応じてコンサルティングファーム出身者や新規事業立ち上げ経験者など幅広い層のパートナーに案件へ共同参画いただいております。今後、協働参画パートナーのネットワークの一層の拡充に取り組むことで、案件受注状況に応じて機動的に人材を投入できる組織体制を構築してまいります。
当社は、創業以来クライアントである日本企業のDX実現を支援してきたことで、プロジェクトマネジメントなどの豊富なノウハウを蓄積してきたと認識しております。これらのノウハウを形式知化して社内に浸透させることで、社内の人材レベルの平準化、及びサービス品質の向上を実現することを目指します。
当社は創業以来、継続的かつ急速な成長を遂げてまいりました。企業成長に必要な内部管理体制を整備していると考えておりますが、今後さらなる拡大のためにも、継続的な内部管理体制の強化、内部統制やコーポレート・ガバナンスの充実を図ってまいります。
お知らせ