業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、変異株の出現もあり新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的蔓延は終息に至らず、サプライ・チェーンのひっ迫、商品価格の上昇、金融政策の緩和から引締めへの転換、地政学リスク等により、先行き不透明感は拭えませんが、主要国の財政出動やワクチン接種の進展等により徐々に回復に向かいつつあります。

当社グループの事業の中核市場であるニュージーランドでは、前年のマイナス成長の反動で暦年ベース+5.6%の経済成長を達成する見込みです(IMF推計、2022年4月)。2021年10月から始まった中央銀行による金融引き締めには一定の留意が必要ですが、同国の景気は依然回復基調を維持しています。同国の輸入中古自動車市場は、2021年3月期にESC(横滑り防止装置)規制が完全導入されたことで輸入中古自動車総量は規制導入前の水準には戻っていませんが、移動手段としてのマイカーニーズは高止まりしており、当連結会計年度の輸入中古自動車総量は前期比10%を超える増加に転じたとみられています(同国税関統計)。

このような環境下、当社グループは、前年度後半より続く中古自動車需要の高位推移を確りと捉えつつ、期中の断続的なロックダウンによる物流の滞留を他国向け輸出増によりカバーし、当社グループ中核会社・貿易セグメントの㈱日貿の当連結会計年度輸出販売台数は45,290台、前年度前半のニュージーランド完全ロックダウンによる物流停止という異常事態の反動もあり、前年同期比48.1%の大幅な取扱台数の増加となりました。また、これに伴い、物流セグメントの売上高の大部分を占める中核事業子会社 Dolphin Shipping New Zealand Limited のニュージーランド向けの輸送台数も、41,620台と前年同期比28.7%の大幅な増加となりました。サービスセグメントでは、中古自動車卸売事業子会社であるTrade Cars Limitedにおいて、前述の市場好況を背景に前年同期を大幅に上回る販売数量を達成しました。検査セグメントにおいては、ニュージーランド向けの船積前検査数量が72,940台と前年同期比23.4%増となり、収益力が漸次回復しております。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

イ.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ113億19百万円増加し、420億12百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ82億86百万円増加し、273億60百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ30億33百万円増加し、146億51百万円となりました。

 

ロ.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高455億38百万円(前年同期比82.7%増)、営業利益30億71百万円(同255.2%増)、経常利益30億72百万円(同143.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益25億44百万円(同166.8%増)となりました。

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

貿易では、売上高326億44百万円(前年同期比107.3%増)、セグメント利益13億67百万円(同650.2%増)となりました。

物流では、売上高74億5百万円(前年同期比68.0%増)、セグメント利益8億27百万円(同181.3%増)となりました。

サービスでは、売上高95億61百万円(前年同期比53.5%増)、セグメント利益5億1百万円(同41.3%増)となりました。

検査では、売上高41億36百万円(前年同期比21.2%増)、セグメント利益4億98百万円(同2,863.6%増)となりました。

 

②キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動の結果減少した資金は21億85百万円(前年同期は14億99百万円の減少)となりました。

また、投資活動の結果減少した資金は17億62百万円(前年同期は1億21百万円の減少)となり、財務活動の結果増加した資金は54億76百万円(前年同期は26億24百万円の増加)となりました。

この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、69億11百万円(前年同期比16億30百万円の増加)となりました。

③生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

ロ.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

貿易

30,868,074

189.1

サービス

198,642

105.9

検査

2,744

358.2

合計

31,069,460

188.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.物流セグメントにおいては商品仕入活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

ハ.受注実績

役務または商品等の受注から完了または納品等までの所要時間が短いため、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ同額であるため、記載を省略しております。

 

ニ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

貿易

26,696,511

212.1

物流

6,389,590

170.9

サービス

9,459,596

154.0

検査

2,865,676

120.0

その他

127,571

202.3

合計

45,538,946

182.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.相手先別の販売実績につきましては、総販売実績に対して10%以上の相手先がありませんので、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。当該見積り項目において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響についても、その収束の見通し等について一定の仮定を置いた上で見積りを行っております。

(固定資産)

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価に当たり、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。

固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損損失が計上される可能性があります。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

(貸倒引当金)

債権の貸倒損失に備えるため、当社及び国内連結子会社は一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。また、在外子会社は主として特定の債権について回収不能見込額を計上しております。将来、債権の相手先の財務状況がさらに悪化して支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績等

(イ)財政状態

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べ41.2%増加し、364億67百万円となりました。これは主に現金及び預金が20億57百万円、売掛金及び契約資産が38億29百万円、棚卸資産が20億55百万円、短期貸付金が14億55百万円、それぞれ増加したことによるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ14.0%増加し、55億45百万円となりました。これは主に国内外子会社における不動産売却等による有形固定資産が4億27百万円減少した一方で、持分法適用会社への投資増加等により投資その他の資産が10億25百万円増加したことによるものです。

この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ36.9%増加し、420億12百万円となりました。

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ45.3%増加し、231億81百万円となりました。これは主に短期借入金が59億6百万円、買掛金が4億77百万円、未払法人税等が2億24百万円それぞれ増加したことによります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ33.8%増加し、41億79百万円となりました。これは主に長期借入金が9億27百万円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ43.4%増加し、273億60百万円となりました。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ26.1%増加し、146億51百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加した他、為替レートの円安進展による為替換算調整勘定が11億28百万円増加したことによるものであります。

(ロ)経営成績

(売上高)

当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べて82.7%増加し、455億38百万円となりました。

当社グループの主力事業を担う貿易セグメントの中核事業会社である㈱日貿では、販売台数の増加に加え、中古自動車需要増を受けた販売単価の上昇がみられ、貿易セグメントの売上高は326億44百万円(前年同期比107.3%増)となりました。

物流セグメントでは、前述のように中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedの輸送台数の増加を受け、売上高は74億5百万円(同68.0%増)となりました。

サービスセグメントでは、中古自動車卸売事業子会社であるTrade Cars Limitedの販売数量の回復や販売単価上昇による売上増等により、売上高は95億61百万円(同53.5%増)となりました。

検査セグメントでは、前述のように船積前検査数量の増加等による売上の回復もあり、売上高は41億36百万円(同21.2%増)となりました。

(営業損益)

当連結会計年度の売上原価、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べてそれぞれ、89.2%増、13.7%増となりましたが、これは主に上述のように中古自動車販売台数増加に伴い、関連する商品仕入原価増、輸送費増、その他業務委託費増等によるものです。

この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べて255.2%増加し、30億71百万円となりました。

(経常損益)

為替差益の減少等による営業外収益の減少や借入金増加による支払利息の増加等による営業外費用の増加はあったものの、営業利益大幅増により、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べて143.3%増加し、30億72百万円となりました。

(特別損益及び税金等調整前当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は、国内外連結子会社における不動産売却等による固定資産売却益の増加もあり前連結会計年度に比べ3億19百万円増加し、4億65百万円となりました。また、特別損失は、前連結会計年度に比べて2億1百万円減少し、13百万円となりました。これは、減損損失の減少等によるものであります。

この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べて195.2%増加し、35億24百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の法人税等合計は、前連結会計年度比7億40百万円増加し9億80百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益の増加に連動したものであります。

この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて166.8%増加し、25億44百万円となりました。

 

(ハ)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べて16億30百万円増加(前年同期比30.9%増加)し、69億11百万円となりました。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果減少した資金は21億85百万円(前年同期は14億99百万円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益35億24百万円、減価償却費4億10百万円等の増加要因はあるものの、売上債権の増加35億25百万円、棚卸資産の増加19億13百万円等の減少要因によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は17億62百万円(前年同期は1億21百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入12億4百万円等の増加要因はあるものの、投資有価証券の取得による支出11億30百万円、短期貸付金の純増額12億38百万円等の減少要因によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は54億76百万円(前年同期は26億24百万円の増加)となりました。これは主に短期借入金の純増額55億4百万円等の増加要因によるものであります。

 

ロ.経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しており、それらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

 

ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要の主なものは、中古自動車の仕入れ、自動車ローンの貸付資金及びその他の売上原価であります。運転資金の財源は、自己資金及び金融機関からの借入金によっています。

投資を目的とした資金需要は、設備投資や事業買収等による投資であります。投資を目的とした資金は、自己資金を主たる財源としつつ、必要に応じて金融機関からの借入や社債及び株式の発行によって資金の調達を行う方針であります。

なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は231億22百万円となっております。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は69億11百万円となっております。

 

ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、収益性及び効率性の観点から、連結営業利益額、連結経常利益額及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と考えております。

また、収益性の観点から、連結子会社である㈱日貿の中古自動車販売台数を重要業績評価指標(KPI)として考えております。その理由は、同社における販売のみならず、物流、サービス、検査等が直接的に影響を受けるためであります。

当連結会計年度における連結営業利益額は30億71百万円(前年同期比22億6百万円増)、連結経常利益額は30億72百万円(同18億9百万円増)及び自己資本当期純利益率(ROE)は19.4%(前年同期は9.1%)となりました。また、㈱日貿の中古自動車販売台数は45,290台(前年同期比14,706台増)となりました。

 

ホ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(貿易)

貿易では、前述のように販売台数の増加に加え、中古自動車需要増を受けた販売単価の上昇がみられました。この結果、売上高326億44百万円(前年同期比107.3%増)、セグメント利益13億67百万円(同650.2%増)となりました。

(物流)

物流では、前述のように中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedの輸送台数の増加を受け、売上高は74億5百万円(前年同期比68.0%増)、セグメント利益は8億27百万円(同181.3%増)となりました。

(サービス)

サービスでは、中古自動車卸売事業子会社であるTrade Cars Limitedの販売数量の回復や販売単価上昇による売上増等により、売上高は95億61百万円(前年同期比53.5%増)、セグメント利益5億1百万円(同41.3%増)となりました。

(検査)

検査では、前述のように船積前検査数量の増加等による売上の回復もあり、売上高41億36百万円(同21.2%増)、セグメント利益4億98百万円(同2,863.6%増)となりました。

 

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