業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症拡大や、個人消費の低迷の影響が残るものの、全体では徐々に持ち直しの動きとなりました。しかし、世界経済では、期前半では世界の生産と貿易が回復した一方で、期後半は国際海上コンテナ輸送の逼迫に加えて、半導体供給不足、資源価格の高騰などの影響により回復のペースは停滞しました。また、期終盤にはウクライナ情勢等を起因とするエネルギーや原材料価格等の高騰による影響が広がるなど、先行き不透明な状況となりました。

 物流業界におきましても、国内の生産活動等の持ち直しの影響から取扱貨物量は回復傾向にあり、輸出入貨物量も増加が続きましたが、海上輸送料金の高騰による国際物流の混乱や電子部品供給不足などに起因する生産調整による物流量の減少、燃料価格の大幅な上昇が続くなど、依然として厳しい状況が続いています。

このような事業環境のもと、当社グループは第6次中期経営計画「CHANGE!to2021」の最終年度として具体的取組みを着実に実行に移し、業界を取り巻く時代の流れに遅れることのないよう、「CHANGE(意識・知識・組織)」の考え方の組織浸透と実践に直向きに取組んでまいりました。また、変化が加速する顧客ニーズに的確に対応できる営業体制の構築の一つとして、九州地区への足掛かりとする福岡事務所を2021年6月に開設いたしました。加えて、汎用業務の集約を目的とした事務センター開設を推進・拡大するなど業務の効率化への取組みを進め業務品質のさらなる向上を目指すとともに、財務・人事システム及び通関業務のシステムのパッケージ化など業務の見直しを図り、併せて会議等のペーパーレス化やweb化を図るなど、効率化・省力化にも努めました。また、京都梅小路地区資産有効活用計画については、当社として初めての本格的な不動産賃貸事業となる宿泊施設の建築をおこない、2022年3月1日より賃貸を開始いたしました。

 これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(財政状態)

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,400,118千円増の53,306,492千円となりました。

 負債については、前連結会計年度末に比べ、1,768,196千円増の12,056,727千円となりました。

 純資産については、前連結会計年度末に比べ、631,922千円増の41,249,764千円となりました。

 

(経営成績)

 当連結会計年度の営業収益は23,931,611千円(前年同期比7.7%減)、営業利益は1,866,907千円(前年同期比7.8%増)、経常利益は2,080,652千円(前年同期比8.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,352,291千円(前年同期比3.4%増)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。これに伴い、当連結会計年度の営業収益及び営業原価がそれぞれ4,923,225千円減少しておりますが、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益に影響はありません。当該基準を適用しなかった場合の営業収益は28,854,836千円(前期比11.3%増)であります。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 倉庫業におきましては、営業収益は6,802,024千円(前年同期比2.8%増)、セグメント利益は1,294,096千円(前年同期比12.1%増)となりました。

 運送業におきましては、営業収益は13,086,839千円(前年同期比5.1%増)、セグメント利益は1,029,747千円(前年同期比16.9%増)となりました。

 国際貨物取扱業におきましては、営業収益は4,217,719千円(前年同期比39.8%減)、セグメント利益は384,007千円(前年同期比5.6%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ181,348千円(4.6%)減少し、当連結会計年度末には3,726,026千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、資金は2,256,321千円の増加(前期は2,902,365千円の増加)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益2,010,561千円、減価償却費1,364,395千円であります。また、主な減少要因は、営業債権の増加421,793千円、未払消費税等の減少195,441千円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、資金は1,921,032千円の減少(前期は2,387,290千円の減少)となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入156,049千円であります。また、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出1,966,809千円、投資有価証券の取得による支出101,244千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、資金は516,744千円の減少(前期は136,849千円の減少)となりました。主な増加要因は、長期借入による収入455,000千円であります。また、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出499,886千円、配当金の支払額428,410千円であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループの主たる事業は、倉庫業を中心とした総合物流業であり、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産、受注及び販売の実績を区分して把握することは困難であります。

 これに代えて、当連結会計年度におけるセグメントごとの営業収益及び主要業務の取扱高等を示すと、次のとおりであります。

 

a.セグメントごとの営業収益

セグメントの名称

当連結会計年度

(2021年4月1日~2022年3月31日)

前年同期比(%)

倉庫業(千円)

6,802,024

102.8

運送業(千円)

13,086,839

105.1

国際貨物取扱業(千円)

4,217,719

60.2

合計(千円)

24,106,584

92.5

 (注)上記の営業収益にはセグメント間の内部営業収益174,972千円を含んでおります。

 

b.セグメントごとの主要業務の取扱高等

セグメントの名称

当連結会計年度

(2021年4月1日~2022年3月31日)

前年同期比(%)

倉庫業

保管残高

(数量・月末平均)

226千トン

97.6

入庫高

1,213千トン

108.2

出庫高

1,208千トン

106.7

貨物回転率

(数量・月末平均)

44.5%

110.1

運送業

運送取扱高

2,034千トン

105.9

国際貨物取扱業

輸出入取扱高

621千トン

118.3

梱包取扱高

98千m3

117.7

 

 

 

 

(年間入庫高+年間出庫高)

×

 

 

 (注)

貨物回転率

×

100

月末保管残高年間合計

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

 

前連結会計年度

(2021年3月31日)

当連結会計年度

(2022年3月31日)

前連結会計年度比

(%)

流動資産(千円)

13,063,709

13,682,271

104.7

固定資産(千円)

37,842,664

39,624,220

104.7

流動負債(千円)

6,695,132

7,899,315

118.0

固定負債(千円)

3,593,398

4,157,411

115.7

純 資 産(千円)

40,617,842

41,249,764

101.6

 流動資産の増加要因は、現金及び預金が181,348千円、受取手形が247,044千円、それぞれ減少しましたが、営業未収入金が668,837千円増加したこと等によるものです。固定資産の増加要因は、建設仮勘定が京都梅小路地区宿泊施設建設工事竣工による本勘定への振り替えにより1,503,837千円、投資有価証券が378,489千円、それぞれ減少しましたが、建物及び構築物が2,927,889千円、リース資産が588,978千円、それぞれ増加したこと等によるものです。

 流動負債の増加要因は、その他に含まれております未払消費税等が252,834千円減少しましたが、設備関係支払手形が835,914千円、その他に含まれております未払金が399,398千円、それぞれ増加したこと等によるものです。固定負債の増加要因は、繰延税金負債が284,255千円減少しましたが、リース債務が654,165千円増加したこと等によるものです。

 以上の結果、1株当たりの純資産額は2,161.13円と前連結会計年度2,128.81円に比し、32.32円増加し、自己資本比率は76.9%と前連結会計年度79.3%に比し2.4ポイント減少しました。

 

 財政状態につきましては、資産のさらなる有効活用を図り、一層の利益を生み出すことがこれからの大きな経営の課題と考えております。今後も収益性の高い貨物へのシフトや資産をより有効に活用することに努めてまいります。

 

b.経営成績

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前連結会計年度比

(%)

営業収益  (千円)

25,927,637

23,931,611

92.3

営業利益  (千円)

1,732,516

1,866,907

107.8

経常利益  (千円)

1,921,049

2,080,652

108.3

親会社株主に帰属する当期純利益(千円)

1,307,297

1,352,291

103.4

 営業収益の減少要因は、倉庫業で163,058千円、運送業で625,013千円、それぞれ増加しましたが、収益認識に関する会計基準等の適用の影響があり国際貨物取扱業で2,784,098千円減少したことによるものです。

 営業利益の増加要因は、国際貨物取扱業で22,976千円減少しましたが、倉庫業で139,601千円、運送業で149,100千円、それぞれ増加したことによるものです。

 経常利益の増加要因は、営業利益が134,391千円、営業外収益の受取配当金が13,671千円、持分法による投資利益が11,808千円、それぞれ増加したこと等によるものです。

 

 親会社株主に帰属する当期純利益の増加要因は、特別損失に北陸支店福井営業所一部既存倉庫設備の解体工事費用を計上したことにより固定資産除却損が170,308千円、法人税等合計が36,528千円、それぞれ増加しましたが、経常利益が159,602千円、特別利益の投資有価証券売却益が83,993千円、それぞれ増加したことに加え、前連結会計年度に計上しておりました減損損失24,010千円がなくなったこと等によるものです。

 

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(倉庫業)

 期中平均の保管残高は前期に比し減少しましたが、既存荷主への営業拡大により自社倉庫及び再寄託先も含めた入出庫高及び貨物回転率は増加したことなどから、営業収益は増加しました。また、当社の物流ノウハウを活かした構内荷役作業サービスの提供や貨物構成の見直し、料金改定などの効果により、セグメント利益は増加しました。

(運送業)

 国内の輸送貨物及び保管貨物の荷動きの回復に加え、新規取扱拡大もあり取扱量は前期に比し増加したことなどから、営業収益は増加しました。また、燃料費単価高止まりの影響はあるものの、料金改定や貨物積み合わせの効率化などの効果により、セグメント利益は増加しました。

(国際貨物取扱業)

 通関業の取扱数量は、国内および海外の経済活動の持ち直し等から輸出入ともに前期に比し増加し、梱包業の取扱数量についても、海外市況の回復等の影響から増加しましたが、収益認識に関する会計基準等適用の影響があり営業収益は減少しました。また、コンテナ不足等による海外物流の混乱の影響を受けて、セグメント利益は減少しました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度のキャッシュ・フロー状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本とし、設備投資等資金につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

 今後の資金需要のうち、主なものは、運転資金の他、事業用地取得、物流施設建築・改修等の設備投資等であります。これらの資金についても、基本方針に基づき、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要に応じて金融機関からの借入を実施する等、必要な資金を調達してまいります。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績や現時点における客観的情報、将来の計画事項等を合理的・総合的に判断し会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性により、これらの見積りと異なる可能性があります。なお、当社グループが採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 第6次中期経営計画「CHANGE!to2021」の最終年度となる2021年度の達成状況は以下のとおりであります。

 営業収益は計画比68百万円(0.3%)減となりましたが、営業利益は計画比96百万円(5.5%)増、経常利益は計画比170百万円(8.9%)増となりました。また、営業利益率につきましては計画値7.4%を0.4ポイント上回る7.8%となり、ROIC(投下資本利益率)については4.4%となりました。

 

指標

第6次中期経営計画

(2019年度~2021年度)

最終年度目標値

(修正前)

第6次中期経営計画

(2019年度~2021年度)

最終年度目標値

(修正後)

当連結会計年度

(2021年度)

実績

営業収益

28,760百万円

24,000百万円

23,931百万円

営業利益

1,760百万円

1,770百万円

1,866百万円

経常利益

1,880百万円

1,910百万円

2,080百万円

営業利益率

6.1%

7.4%

7.8%

自己資本比率

80%程度

80%程度

76.9%

ROIC

(投下資本利益率)

4.5%

4.3%

4.4%

※ROIC:(営業利益+受取利息・配当)÷(純資産+有利子負債)

※第6次中期経営計画最終年度の目標値について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や梅小路地区において建築中の宿泊施設(不動産賃貸)の稼働予定時期の変更、収益認識に関する会計基準等の適用などの影響を受けて、当初の目標値から修正しております。

 

 以上の結果を踏まえて、新型コロナウイルス感染拡大やコンテナ不足等による海外物流の混乱などの影響があり、営業収益においてはわずかに計画を達成できなかったものの、倉庫部門における料金改定や貨物構成の見直しや既存荷主への営業拡大等を進め、また、費用全般の削減に引き続き取組んだこと等により、営業利益、経常利益は計画を上回ることが出来ました。

 今後につきましては、2022年度から開始する第7次中期経営計画「Let’s TRY ! 2024 」において自ら能動的に行動する「自身にTRY!」、挑戦する風土を創って、分かち合う「組織でTRY!」、社会に応える・つなげる「社会へTRY!」、この3つのTRY!に取組むことで、全社一丸となって収益拡大を図り、企業価値向上に努めてまいります。また、当社の企業理念「誠実」「進歩」「挑戦」とコーポレート・スローガン「未来を預かる、未来を運ぶ」にもとづき、グループ経営新中長期ビジョンの実現に向け、当社グループの持続的な成長と企業価値向上のため、当社を取り巻く様々な課題に果敢に挑戦してまいります。

 

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