業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 ①経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、パンデミック(新型コロナウイルスの感染拡大)の終息とともに、徐々に回復基調に転じていくことが期待されていました。しかしながら、オミクロン株をはじめとする新種ウイルスの世界的な蔓延、ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界情勢の不安定化やエネルギー価格の高騰などの影響で、停滞した状況が続きました。

 国内の物流市場は、ガソリンや軽油といった燃料価格の急騰に見舞われたほか、採用コストの高騰、コロナ禍での社会・経済活動の制限による荷動きの鈍化などを余儀なくされました。

 このような厳しい経済・社会情勢下において、当社グループでは、主にECビジネスを手掛ける企業を対象にしたサードパーティー・ロジスティクス(3PL)事業である「ECソリューションサービス事業」として、①物流センターの運営機能(業務)を提供する「オペレーションサービス」、②拠点間の幹線輸送や配車プラットフォーム機能の提供(利用運送)、ルート配送やラストワンマイル配送などを担う「トランスポートサービス」の2つのサービスメニューを軸に、事業拡大を進めてきました。

 また、輸入貨物に関する海外および国内の運送取扱(ドレージ手配等)や、通関手続き代行サービスを提供する「国際物流サービス事業」を2021年3月より行っており、当連結会計年度より量的重要性が増したため「国際物流サービス事業」を報告セグメントとしております。

 なお、経営管理区分の見直しを行ったことに伴い、当連結会計年度より従来の「ロジスティクスサービス」と「デリバリーサービス」を統合し、「トランスポートサービス」に名称変更しております。

 「オペレーションサービス」では、従来からの大手ネット通販会社向けや流通業向けの物流センター運営受託業務に加え、家電製品・雑貨・事務用品等を扱う物流センターの運営業務などがスタートしました。さらに、過去最大規模となる新規プロジェクトである大型物流センターの運営業務を受託したほか、大手ネット通販会社等への労働者派遣業務につきましても人材採用のノウハウを活かし順調に拡大しました。また、九州への進出(小倉営業所の開設)も果たしました。

 「トランスポートサービス」では、配車プラットフォーム事業において、新規営業拠点(仙台オフィス)の開設や、既存拠点(東京、名古屋、大阪)の戦力増強などに取り組みました。その結果、取引社数(荷主および実運送会社)と成約件数を大幅に拡大しました。一方、実運送では、EC関連貨物や日雑品を対象にした拠点間輸送をはじめ、生活必需品の定期個配業務や家電専門店向けEC商品配送などラストワンマイル配送業務の開拓・受託に力を注ぎました。

 「国際物流サービス事業」では、グループ会社であるブリリアントトランスポート株式会社を通じて、東南アジア各国を対象にした輸出入関連業務をスタートするなど、対応エリアの拡充や新規取引先の開拓などを進めました。

 「その他サービス」では、主にEC業界を対象とした採用代行事業の受託・成約件数の拡大に取り組みました。

 以上の結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高18,045,790千円(前年同期比39.3%増)、営業利益575,582千円(同3.4%減)、経常利益572,431千円(同2.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益368,458千円(同2.1%減)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。各セグメントの売上収益は外部顧客に対するものです。

 ECソリューションサービス事業

 物流センターの運営受託事業では、過去最大規模の新規プロジェクト(流山事業所)が本格稼働しました。関西エリアでは新たに営業倉庫(尼崎事業所)を開設したほか、家電製品・雑貨・事務用品等を扱う物流センターの運営業務などもスタートしました。

 輸配送の領域では、配車プラットフォーム事業の取引社数および成約件数が大幅に拡大しました。拠点間輸送やラストワンマイル配送など実運送の受託件数は堅調に推移しました。その結果、当セグメントの売上高は16,502,638千円(前年同期比27.9%増)となりました。

 これに対して、セグメント利益は466,513千円(同28.2%減)という結果となりました。新規プロジェクトでの採用費増加や、燃料費の急騰などが大きく影響しました。

 

 ECソリューションサービス事業の各サービス別の売上は次のとおりであります。

 ⅰ  オペレーションサービス

 ネット通販会社向け物流センター、大手消費財メーカー向けマザーセンター、家電製品・雑貨・事務用品等を取り扱う物流センターといった既存受託案件は底堅く推移しました。大規模物流センターの運営業務を受託するなど新規案件もスタートしました。その結果、売上高は11,118,477千円(前年同期比21.8%増)となりました。

 ⅱ  トランスポートサービス

 国内全体の荷動き低迷が続く中、EC関連貨物や食料品、日雑品などをターゲットとした営業活動を強化した結果、配車プラットフォームサービスや実運送サービスにおける新たなクライアント獲得に成功しました。物流センター間で発生する横持ち幹線輸送業務、メーカー工場〜物流センター間、配送デポ間といった輸送案件の新規開拓にも取り組みました。その結果、売上高は5,384,161千円(前年同期比42.7%増)となりました。

 国際物流サービス事業

 東南アジア諸国を中心とした海外代理店網の整備、国内パートナー企業との協業、新規取引先の開拓などが奏功し、受託件数が拡大した結果、売上高は1,132,875千円となりました。

 その他

 その他サービス事業としては、主にEC業界を対象にした職業紹介事業を含む採用代行事業の本格稼働により、受託・成約件数が伸長しました。また、日本システムクリエイト株式会社が当社グループに加わりました。その結果、売上高は410,277千円となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,312,756千円と前連結会計年度末と比べ383,300千円の減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益572,431千円、減価償却費141,054千円、未収消費税等の減少209,252千円等の資金の増加要因と、売上債権の増加952,855千円、法人税等の支払額269,708千円等の資金の減少要因により、41,554千円の支出(前年同期は703,379千円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、敷金及び差入保証金の差入による支出36,676千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出90,585千円等の資金の減少要因により、94,418千円の支出(前年同期は71,386千円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入210,060千円等の資金の増加要因と、短期借入金の減少170,000千円、長期借入金の返済による支出223,457千円等の資金の減少要因により、247,354千円の支出(前年同期は21,026千円の支出)となりました。

 

 ③生産、受注及び販売の実績

 ⅰ生産実績

 当社グループはECソリューションサービス事業を中核とするサービス提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。

 

 ⅱ受注実績

 当社グループはECソリューションサービス事業を中核とするサービス提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。

 

 ⅲ販売実績

 当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

ECソリューションサービス(千円)

16,502,638

127.9

国際物流サービス事業(千円)

1,132,875

その他(千円)

410,277

合計(千円)

18,045,790

139.3

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

アマゾンジャパン合同会社

9,056,989

69.9

8,710,674

48.3

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討な内容

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,604,385千円増加し、5,835,024千円となりました。これは主に売掛金及び受取手形が1,231,795千円増加したこと及び日本システムクリエイト株式会社の子会社化によりのれんが235,906千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,213,795千円増加し、3,744,420千円となりました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が252,572千円、長期借入金が221,403千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ390,589千円増加し、2,090,604千円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加等によるものであります。

 

(売上高、営業利益)

 当連結会計年度の売上高は、オペレーションサービス及びトランスポートサービスにて主要顧客の通販関係荷量が伸長した結果、前連結会計年度に比べ39.3%増加し18,045,790千円となりました。

 営業利益につきましては、新規プロジェクトでの採用費増加や、燃料費の急騰などが大きく影響した結果、前連結会計年度に比べ3.4%減少し575,582千円となりました。

 なお、セグメント別売上高の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1) 経営成績の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

 

(営業外損益、経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益は、助成金収入及び固定資産売却益等の計上により38,063千円となりました。また、営業外費用は、新型コロナ感染症による損失及び和解金等の計上により41,215千円となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度に比べ2.0%減少し572,431千円となりました。

 

(特別利益、税金等調整前当期純利益)

 当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ4.9%減少し572,431千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の法人税等は190,980千円となりました。この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ2.1%減少し368,458千円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況  3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

③資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費及び外注費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。M&A等により大型の投資資金が必要になった場合には、財務健全性を考慮しながら長期借入を行うことを検討してまいります。

 なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は1,129,710千円となっております。また、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は1,312,756千円となっております。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っておりますが、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 

 連結財務諸表の作成で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループは、「第2 事業の状況  2 事業等のリスク」に記載のとおり、法的規制の変化、顧客の動向、競合との競争の激化、人材の確保及び育成、システム障害等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社グループは法令遵守の浸透、顧客ニーズへの対応、新たなサービス開発、優秀な人材の確保と育成、システム基盤の増強等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。

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