業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 当事業年度(2021年3月1日から2022年2月28日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によって経済活動の一部が制限を受ける状況が続き、2021年9月頃から国内における感染拡大が一旦収束する傾向が見られたものの、2022年1月からは再び感染拡大の傾向が顕著に現れ、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移しました。

 当社と関わりの深い物流業界におきましては、昨年来の新型コロナウイルス感染症の感染拡大や感染再拡大懸念が継続する中、企業においてはEコマースによる商品販売やサービス提供に対する取組み強化が見られ、これらの傾向は当事業年度にわたって継続しました。

 このような環境の下、当社におきましては、引続き物流センターの新設・増床により新規のお客様の受入れ体制を整備し、またSEO対策の一層の強化に取組む等、インターネットを通じた効果的なお客様の獲得に努めたほか、2022年2月期から2024年2月期までの中期経営計画の初年度として、「大型冷凍冷蔵倉庫の新設」、「ITベンダーとしての躍進」を中心とした、Eコマース市場の拡大に対応した成長戦略の遂行に努めました。

 これらの結果、当事業年度の経営成績は、売上高10,099,035千円(前事業年度比6.0%増)、営業利益729,353千円(前事業年度比74.5%増)、経常利益687,830千円(前事業年度比79.4%増)、当期純利益は463,987千円(前事業年度比63.9%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 なお、各セグメントの売上高は外部顧客への売上高を表示し、セグメント損益は損益計算書における営業利益をベースとしております。

 また、従来は報告セグメントを「物流サービス事業」とし、報告セグメントに含まれない事業セグメントを「その他」として、セグメント開示を行っておりましたが、「物流サービス事業」のうち、ソフトウエア販売・利用サービスについて、当事業年度から、「ITオートメーション事業」として、独立した報告セグメントとすることに変更しております。以下の前事業年度比較については、前事業年度の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。

 

[従来の報告セグメント]

報告セグメントの名称

主なサービス

物流サービス事業

EC・通販物流支援サービス、楽天スーパーロジスティクスサービス、倉庫管理システム「クラウドトーマス」、チェックリストシステム「アニー」、受注管理代行サービス、物流コンサルティングサービス、サブリース等

(注)上記のほか、報告セグメントに含まれない事業セグメントとして「その他」があり、外国人技能実習生教育サービス及びその他教育サービス等を含んでおります。

 

[変更後の報告セグメント]

報告セグメントの名称

主なサービス

物流サービス事業

EC・通販物流支援サービス、楽天スーパーロジスティクスサービス、受注管理代行サービス、物流コンサルティングサービス、サブリース等

ITオートメーション事業

倉庫管理システム「クラウドトーマス」、チェックリストシステム「アニー」、受注処理業務自動化システム「e.can」、RPA作成代行サービス「ippo!」等

(注)上記のほか、報告セグメントに含まれない事業セグメントとして「その他」があり、外国人技能実習生教育サービス及びその他教育サービス等を含んでおります。

 

(物流サービス事業)

 物流サービス事業におきましては、EC・通販物流支援サービスを中心に、引続き生産性向上のための改善活動に取組み、お客様満足度の向上を推進しました。一部のお客様の運賃契約切替え、及び当社による低採算取引の見直しに加えて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるお客様の出荷個数の前期比減少により、一部の売上高が減少となった一方で、2021年4月に新設のEC通販物流センター(兵庫県尼崎市、総床面積約5,600坪)、及び2021年6月に新設のD2C物流センター(兵庫県尼崎市、総床面積約5,200坪)を中心に新規のお客様の導入を推進し、また2022年2月に新設のEC通販物流センターの冷凍冷蔵倉庫、及び2022年2月に新設の東京主管センター(埼玉県新座市、総床面積約8,300坪)の新規のお客様獲得のため、SEO対策等のインターネットを通じた効果的なお客様の獲得を強化しました。

 この結果、物流サービス事業に係る当事業年度の売上高は9,568,907千円(前事業年度比4.6%増)、セグメント利益は613,598千円(前事業年度比92.9%増)となりました。

 

(ITオートメーション事業)

 ITオートメーション事業におきましては、倉庫管理システム「クラウドトーマス」について、新規のお客様獲得が堅調に推移し、加えてクラウドトーマスの導入に関連して物流業務の自動化機器の販売を実施し、またサポート人員を強化する等のサポート体制の充実に取組み、その販売強化の体制整備を推進しました。その他、チェックリストシステム「アニー」の契約社数に大きな増減はなかったものの、受注処理業務自動化システム「e.can」、RPA作成代行サービス「ippo!」はともに、受注件数が堅調に推移しました。

 この結果、ITオートメーション事業に係る当事業年度の売上高は433,530千円(前事業年度比46.0%増)、セグメント利益は122,712千円(前事業年度比10.3%増)となりました。

 

(その他の事業)

 その他の事業におきましては、外国人技能実習生教育サービスでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、ミャンマーにおける教育施設が営業停止となる等サービス提供ができない状況が続きましたが、その他教育サービスへの影響は限定的で、2020年12月にサービス提供を開始しました発達障がい者向け就労移行支援事業所を含め、売上高は堅調に推移しました。

 この結果、その他の事業に係る当事業年度の売上高は96,597千円(前事業年度比11.6%増)、セグメント損失は6,957千円(前事業年度は11,151千円のセグメント損失)となりました。

 

[2022年2月期 セグメント別経営成績]                                               (単位:千円,%)

セグメント区分

売上高

セグメント損益(営業損益)

 

サービス区分

実績

百分比

前期

増減率

実績

売上高営業利益率

前期

増減率

 

EC・通販物流支援サービス

9,393,087

93.0

4.7

 

受注管理業務代行サービス

111,863

1.1

20.5

 

その他

63,955

0.6

△25.3

物流サービス事業

9,568,907

94.8

4.6

613,598

6.4

92.9

ITオートメーション事業

433,530

4.3

46.0

122,712

28.3

10.3

その他の事業

96,597

0.9

11.6

△6,957

セグメント合計

10,099,035

100.0

6.0

729,353

7.2

74.5

 (注)楽天スーパーロジスティクスサービスの売上高は、EC・通販物流支援サービスの売上高に含めて記載しております。

 

② 財政状態の分析

 当事業年度末における総資産は9,484,642千円(前事業年度末比1,951,652千円増加)、負債は6,757,881千円(前事業年度末比820,181千円増加)、純資産は2,726,761千円(前事業年度末比1,131,470千円増加)となりました。

 主な増減要因は、次のとおりであります。

 

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産の残高は4,673,767千円(前事業年度末比531,543千円増加)となりました。

 主な要因は、売掛金が160,375千円減少した一方で、長期借入金及び新株予約権の行使等による資金調達により現金及び預金が625,771千円増加したことによるものです。

 

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産の残高は4,810,874千円(前事業年度末比1,420,109千円増加)となりました。

 主な要因は、冷凍冷蔵倉庫の新設等により建物が407,741千円、物流センターへのマテハン機器の導入等により工具、器具及び備品が50,482千円、冷凍冷蔵倉庫の新設工事により建設仮勘定が93,144千円、自動倉庫の新設によりリース資産が247,774千円、物流センターの新設により敷金及び保証金が320,765千円それぞれ増加したことによるものです。

 

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債の残高は2,007,818千円(前事業年度末比171,810千円増加)となりました。

 主な要因は、買掛金が168,752千円減少した一方で、冷凍冷蔵設備の未払計上等によりその他(流動負債)が261,985千円、未払法人税等が67,016千円それぞれ増加したことによるものです。

 

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債の残高は4,750,062千円(前事業年度末比648,371千円増加)となりました。

 主な要因は、長期借入金が224,513千円、冷凍冷蔵倉庫及び自動倉庫の新設により資産除去債務が156,137千円、自動倉庫の新設によりリース債務が231,452千円それぞれ増加したものによるものです。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産の部の残高は2,726,761千円(前事業年度末比1,131,470千円増加)となりました。

 主な要因は、新株予約権の行使等により資本金及び資本準備金がそれぞれ335,692千円増加したことに加え、当期純利益の計上により利益剰余金が463,987千円増加したことによるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ611,962千円増加し、3,012,955千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は805,463千円(前事業年度は187,545千円の資金の獲得)となりました。

 主な要因は、仕入債務の減少額168,752千円、法人税等の支払額163,344千円があった一方で、税引前当期純利益を675,760千円、減価償却費304,350千円を計上し、売上債権の減少額120,337千円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は1,093,609千円(前事業年度は650,438千円の資金の使用)となりました。

 主な要因は、有形固定資産の取得による支出422,527千円、無形固定資産の取得による支出114,503千円、敷金及び保証金の差入による支出557,999千円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は900,108千円(前事業年度は675,737千円の資金の獲得)となりました。

 主な要因は、長期借入金の返済による支出876,597千円があった一方で、長期借入れによる収入1,130,000千円、株式の発行による収入653,049千円があったことによるものです。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社のサービス提供の実績は、販売実績とほぼ一致しておりますので、受注実績に関しては販売実績の項をご参照ください。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

前年同期比(%)

物流サービス事業(千円)

9,568,907

104.6

ITオートメーション事業(千円)

433,530

146.0

報告セグメント計(千円)

10,002,438

105.9

その他の事業(千円)

96,597

111.6

合計(千円)

10,099,035

106.0

 (注)1.セグメント間の取引については該当事項ありません。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年3月1日

至 2021年2月28日)

当事業年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

楽天グループ株式会社

1,749,365

18.4

当事業年度につきましては、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 経営成績等の状況に関する認識及び検討内容

 当社は物流サービス事業を主たる事業としておりますが、これらのサービスにかかわる分野は競合他社との競争に優位性を獲得する必要があり、サービスレベル、サービス品質及び価格等の面において、お客様に常に新しい価値を提供することが求められます。当社は、新しい価値の創造のため、継続的な教育を通じた物流サービスの品質向上はもとより、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)への取組み、物流ロボットをはじめとする自動化機器の導入、倉庫管理システム「クラウドトーマス」のバージョンアップ等の省人化を目的とした設備投資を積極的に推進し、人と物流ロボットとの組み合わせの最適化を推進し、当社の持続的な発展を図ってまいります。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に係る当事業年度の会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。

 

③ 財政状態の分析

 財政状態の分析に関する情報については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の分析」に記載のとおりです。

 

 

④ 経営成績の分析

(売上高)

 物流サービス事業においては、一部のお客様の運賃契約の切替え、及び当社による低採算取引の見直しに加えて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるお客様の出荷個数の前期比減少により、一部の売上高が減少となった一方で、2021年4月に新設のEC通販物流センター(兵庫県尼崎市、総床面積約5,600坪)、及び2021年6月に新設のD2C物流センター(兵庫県尼崎市、総床面積約5,200坪)を中心に新規のお客様の導入を推進したこと、ITオートメーション事業においては、倉庫管理システム「クラウドトーマス」について、新規のお客様獲得が堅調に推移し、加えてクラウドトーマスの導入に関連して物流業務の自動化機器の販売を実施したこと等により、売上高は前事業年度比6.0%増の10,099,035千円となりました。

 

(売上原価)

 当事業年度の売上原価は、前事業年度比1.2%増の8,527,449千円となりました。

 これは主に、物流サービス事業において、一部のお客様の運賃契約の切替え等により発送運賃が549,851千円、外注費が98,167千円それぞれ減少した一方で、労務費が371,598千円、派遣費用が91,656千円、賃借料が物流センターの新設等により102,225千円、減価償却費が52,921千円それぞれ増加したことによるものです。

 

(販売費及び一般管理費)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度比22.5%増の842,231千円となりました。これは主にコーポレート・ガバナンス及び内部統制の強化等により人件費が64,284千円、賃借料が30,652千円、減価償却費が12,199千円、租税公課が18,985千円、支払手数料が13,587千円それぞれ増加したことによるものです。

 

(営業外収益)

 当事業年度の営業外収益は、前事業年度比26.4%減の22,390千円となりました。これは主に貸倒引当金戻入額が減少したことによるものです。

 

(営業外費用)

 当事業年度の営業外費用は、前事業年度比1.9%減の63,914千円となりました。これは主に、和解金を9,818千円計上した一方で、株式公開費用が4,936千円、新株予約権発行費が8,740千円それぞれ減少したことによるものです。

 

(特別利益)

 当事業年度の特別利益は2千円となりました。これは、固定資産売却益を計上したことによるものです。

 

(特別損失)

 当事業年度の特別損失は12,072千円となりました。これは主に、本社機能を有する事務所の移転等により固定資産除却損11,457千円を計上したことによるものです。

 

⑤ キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析に関する情報については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性

 当社の事業活動における運転資金の主なものは、発送運賃費及び運送費用、賃借料等があります。また、設備投資需要としては、物流センターの新設または増床、ソフトウエア開発、及びマテハン機器の導入等があります。

 当社は、これらの資金需要に機動的に対応するため、内部留保を蓄積すること、資本市場からの資金調達並びに金融機関からの借入を行うことで、流動性を確保することとしております。

 

⑦ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

 当社は、ROE(自己資本利益率)を持続的な企業価値増大に関わる中核的な指標と捉え、ROE15%以上を維持し、かつ持続的に向上させることを目標としております。

 最近3事業年度におけるROEの推移は次のとおりです。

指 標

2020年2月期

2021年2月期

2022年2月期

ROE(自己資本利益率)

31.2%

25.5%

21.5%

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