課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「総合物流業者としてその業務を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと顧客のニーズを先取りし、生産と消費をつなぐ物流のエキスパートを目指しております。そのニーズに具体的に応える高度な情報力と革新的でスピーディーな経営を行うとともに社会や環境との共存を図り、株主、顧客、社員の信頼と期待に応えてまいります。

(2)経営戦略等

 当社グループは、従来からの事業である「内航・外航海運」と「港運・倉庫」の強化と育成を以て、グループの業容拡大を目指しております。
 内航海運を中心とする国内物流にありましては、鉄鋼メーカーが生産する鋼材の海陸一貫輸送の取扱いを主力としております。この事業の業容拡大にはベース貨物となる鋼材輸送において、安全で安定した配船サービスの提供が最大の輸送責任と認識しております。そのためにも老朽船のリプレースによる高品質輸送の継続的な提供を考えております。また、傭船船主との良好な関係の構築は不可欠であり、船主の経営強化を目指して新たな体制(共同管理)に着手し、当社と船主によって設立しました七洋船舶管理株式会社がその任に当たっております。これにより、当社グループの経営基調である「共存共栄」の精神の下、船腹の維持増強と市況変動に耐えうる強固な収益体制の向上に努めてまいります。
 外航海運にありましては、スピーディーでフットワークの良い運航の強みを発揮した収益体制の構築に加え、傭船の利用による輸送効率のアップに注力し、近年、ロシアの極東開発に着目したロシア航路の拡充に、一定の成果をあげてまいりました。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻によりロシア航路の維持が今後の課題となっております。また、複数年度に及ぶインフラ整備でのプロジェクト輸送も収益基盤となっており、引き続き案件発掘に注力してまいります。また、東南アジアに絞った長期安定輸送貨物の獲得も目指しております。

 国内の港運事業にありましては、AEO制度による認定と規制緩和は当事業の経営環境を厳しくしておりますが、攻めの営業へのチャンスととらえております。また、通関業を主とする港運事業の人材配置の再編を進め、認定業者として、輸出入貨物のリードタイムの短縮・コストの削減に努め、新たな顧客開発による収益性の向上を目指します。特に、国際複合輸送の分野にありましては、従来からの中国、台湾、韓国地域を中心に、最近ではタイ、ベトナム、インドネシア方面へとその取扱い商圏を広げつつあります。これら業容拡大に欠かせない存在である海外物流パートナー会社との提携開拓と関係強化を推進することにより、相互に請負貨物の取扱量を拡大してまいります。

 倉庫事業にありましては、付加価値の高い危険物に着目し、姫路地区と、神戸地区に建設した危険物倉庫が新たな収益基盤に成長しつつあります。、さらなる収益拡大を目指し、2022年10月には兵庫埠頭物流センター敷地内に3棟目となる危険物倉庫を新設いたします。危険物取扱者の人材育成等安全面にも配慮し、長期安定貨物のさらなる確保に努めてまいります。また、港運事業と倉庫事業の一体性を発揮することで、きめ細かいサービスを顧客に提供することで自社倉庫のさらなる優位性の発揮を目指します。

(3)経営環境

 次期の経営環境の見通しにつきましては、世界レベルではコロナ・ショックからの景気回復は予想を上回る早さが見られ、ウイズコロナへの政策変更に舵を切る諸外国が増加しております。本邦でも、遅れながらもその政策変更が進むと予想しております。しかし、コロナ禍の完全収束には時間を要し、経済の本格的な回復の道筋も不透明感が続くものと想定されます。さらには、前期末からの急激な円安と原油高騰への警戒など、輸入のコスト高を招くリスク要因が懸念され、経済の回復を鈍化させるなど、閉塞感が漂うことも想定されます。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 内航事業ではコロナ禍の収束とともに公共投資をはじめ各種の設備投資計画も緩やかな回復が想定され、鉄鋼輸送量の足取りを軽くするものと考えております。老朽船の売船や代替建造、高齢化する船主の廃業選択など、厳しい時代に応じた船団の組み換えを模索する必要があります。傭船船主の世代交代も進みつつあり、新造船でラインアップされるHKLシリーズ船団をもって、安全で安定した輸送体制の維持確保を第一に、事業継続と適正利益を残せるよう邁進してまいります。しかしながら、事業そのものが大きな設備投資を伴うことから、船主ともども収益マインドの醸成とコスト管理の強化が課題となっております。

 

 

 外航事業では、将来に向けての急速な脱炭素への社会構造の変化を受け、主力貨物の一角である火力発電プラントの輸送は激減するものと想定されます。今後の方針として、時代に沿った環境配慮型産業に注目し、バイオマス発電の燃料輸送など、継続的かつ大量輸送に取り組んでまいります。また、自社船の経過年数を考慮するとリプレースの検討が必要となっておりますが、厳しい経営環境の下では財務面でのインパクトが強いことから、そのタイミングを模索しております。当社グループは、従来からの事業である「内航・外航海運」と「港運・倉庫」の強化と育成を以て、グループの業容拡大を目指しております。

 港運及びこれと両輪関係にある倉庫の両事業では、コロナ・ショックでも需要が活発であった食品や衛生(化成品)に着目し、営業展開を目指してまいります。温度管理や危険物管理に適した自営設備と豊富な経験を積んだスタッフ体制を強みに、荷主直結の営業展開を目指すとともに、一般貨物の取り扱いから一歩踏み出し、将来的に需要が見込める危険品等の取扱を新たな営業の柱と位置づけております。神戸港に新設した倉庫設備と先行の姫路地区の倉庫設備とともに危険品等取扱の業容を拡大し、事業収益の底上げを目指してまいります。

当社グループは、もともと船舶・倉庫等の大型設備を必要とする事業特性から自己資本比率が低いことが課題となっております。財務体質の強化を図るために、早急に自己資本比率30%を確保することを経営指標として取組んでおります。そのためにも更なる経営の効率化を図り、売上高経常利益率5%、ネットDEレシオ1.0倍を目指した業務改善に取組んでまいります。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、各セグメント別に特段の経営指標の設定はありませんが、グループ全体での経営指標として、自己資本比率30%の確保を掲げ、売上高経常利益率、ネットDEレシオを重視しております。

 なお、当連結会計年度における、当社グループが経営指標としている自己資本比率は前年同期より0.9ポイント上昇し27.4%となりました。また、売上高経常利益率は前年同期より1.64ポイント上昇し3.25%、ネットDEレシオは前年と変動なく1.43倍となりました。

 

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