有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループは、事業活動全般のリスクを全社的視点で、合理的かつ最適な方法で管理し、リスク情報の集約や全社的な管理体制を構築するためにリスク管理委員会を設けております。各部・各店にリスク管理者を置き、担当役員がこれらを管掌しております。これにより、定例的にリスクの洗い出しを行い、リスクを共有することでリスク管理を日常業務の一環としてリスク管理意識を向上せしめ、企業全体のリスク対応力の維持・向上を図っております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 傭船先の経営状況の動向
当社グループは、内航海運事業において貨物の輸送責任を全うするために、船舶の確保が最優先課題となっております。そのために、傭船先との協調体制が必要であり、船主が船舶を調達するにあたり、船主への貸付金の実行や債務保証を金融機関に行っております。従いまして、経営環境の変化による傭船先の経営状況によっては債務保証の履行、貸倒損失の発生といったリスクを負っており、当社グループの業績および財務に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスク回避の為に、通常の訪船活動での船主ヒアリングと傭船先の財務諸表等により経営状況を常に注視しております。
② マーケット動向
当社グループは、外航事業において、近海マーケットに着目した積極的な事業展開を図っております。しかし、近海マーケットの需要減退、競争激化または船腹需給バランス等の影響による船舶の稼働率が低下する可能性があり、その結果、当社グループの業績および財務に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスク回避の為に、主要航路の複線化、取扱貨物の多様化に向けた営業活動を展開しております。
③ 金利動向
当社グループは資金の調達手段として間接金融に負うところが大きく、金利スワップ取引による金利の固定化を図っておりますが、一部変動金利で調達している資金については金利変動リスクを受ける可能性があります。近年、金利水準が低位安定しておりますので、相対的にはリスクの軽減が図られております。しかし、大型設備投資が必要な業種特性から引続き金利動向を注視してまいります。
④ 為替動向
当社グループの事業においては、外貨建取引もあり、為替動向により当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、外航事業におけるドル建て売上と港運事業でのドル建てのフレイト支払等で相殺され、為替変動リスクは従前より軽減されております。
⑤ 燃料価格の動向
燃料油価格は世界的な原油需給、産油国の動向等により変動しますが、燃料油の価格の著しい高騰等により、当社グループの業績及び財務に影響を及ぼす可能性があります。これらに対処するために、主要取引先にはバンカーサーチャージの制度導入をお願いしており、この制度の適用拡大を引続き図ってまいります。
⑥ 特定の取引先(高売上比率先)の動向
当社グループは、大和工業株式会社グループからその物流部門を請け負っており、またJFE物流株式会社グループとも多くの取引を頂いておりますが、その輸送品目は鉄鋼であり、両社グループからの売上は全売上の30%を超えております。経済活動の産業基礎物資である鉄鋼は景気に左右されることから、今後の景気動向、ひいては日本の景気に強い影響力のある中国の動向によりましては経営に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、内航事業での主要貨物である鉄鋼の輸送は船舶が中心となることから、輸送需要の減少下であっても長年に培ったノウハウで顧客満足度をより一層高めるサービスの強化を図っております。さらには、環境負荷が軽いモーダルシフトへの時代を見据えた取扱貨物の複線化を目指しております。
⑦ 法的規制の動向
当社グループの事業は、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障等による輸出制限などの政府規制の適用を受けるとともに、通商、独占禁止、環境・リサイクル関連の法的規制を受けております。さらに、国内においても事業継続に必要な各種の法的規制を受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、業務停止などの重いペナルティーを受ける可能性があります。当社グループでは、法令違反による信頼の失墜が事業存続に大きな影響を与えることから、コンプライアンス委員会を設けております。各部・各店ごとにコンプライアンス委員を指名し、最高責任者には代表取締役社長が就いております。この活動を通じて業務の適正を確保するとともに、外部の専門家に適宜意見を求めて、その補完としております。
⑧ 自然災害等の発生
当社グループの事業拠点において自然災害が発生した場合には、顧客の輸送サービスが停止することによる売上高の減少、また被災設備の修復に一時的な費用負担が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、近年の自然発生の頻度から想定しうる範囲内で、顧客サービスの維持・従業員の安全・当社グループ施設の保全に現場からの意見を重視しながら、全社的に取り組んでおります。
⑨ 新型コロナウイルス感染症拡大に関するリスク
新型コロナウイルス感染症等の感染症が拡大した場合、運送事業は公共の福祉たる使命を受けるため事業継続を最優先と考えられるものの、輸送の延期ないし中止が相次ぐなど、収益低下を招き当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。
なお、事業を維持するための各事業所等の環境につきましては、同感染拡大ステージの進行に応じて立案した社内指針に従い、時差出勤及びリモートワークの実施、社内でのソーシャルディスタンスの確保等の適切な防疫体制を敷いておりますが、閉ざされた環境にある社船乗組員にあっては集団感染のリスクが高く、万一の場合は一定期間の停船も余儀なくされるなど、さらなる経済的な損失リスクが想定されます。
⑩ その他
・輸送貨物や保管貨物の安全確保が不十分な場合には、貨物保証リスクの懸念があります。
・当社の輸送手段である船舶については、社有船はもとより傭船にも付保しておりますが、事故等による運航リスクがあります。
当社グループでは、このような事故が発生した場合、当社グループに対する顧客の信頼や社会的評価が失墜し、当社グループの業績及び財務に影響を及ぼす可能性があります。これらの事故を未然に防ぐためには、内航・外航海運事業では、月次の船舶安全会議及び訪船時の注意喚起、倉庫部門では月次の安全衛生会議及び外部の専門家による安全衛生講習等による指示事項の順守を図っております。
お知らせ