課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、海外旅行において知的満足や精神的な喜びを強く求める円熟層を対象に、世界170ヶ国以上を舞台に、当社独自の海外旅行企画を販売しております。そうした円熟層のニーズに応えるため、自然、文化、芸術、人間という知的テーマを強く打ち出した旅行商品の品揃えと、訓練された添乗サービス、コミッション目当てに免税店へ立ち寄ることなく観光時間を充実させるなど、上質なツアー運営を目指しています。そのようにありきたりでない旅行商品の販売で強みを発揮し当社のファンを拡大するため、それを担う「人材」の知力とサービス力を高めることが最大の経営課題であり、当社は、知恵の共有のためIT技術を積極的に活用し、学習や教育のモチベーション向上に力を入れています。

 人づくりのために、当社グループは経営における公正(フェア)さと透明性と説明責任を重視し、特に、人の評価に関して、その姿勢を徹底します。

 公正さと透明性と説明責任は、従業員に対してだけでなく、当社グループの企業活動に関わる全ての人々に対して果たされるべきものであり、そのことを重要な経営方針として、当社は企業活動を推進いたします。

 

(2)経営環境

 当連結会計年度における我が国経済は、一部自治体に発出されていた緊急事態宣言が解除された状況で始まり、経済社会に落ち着きが戻りつつありました。しかしその後、諸外国において広がった新型コロナウイルス感染症の変異種(オミクロン株)が国内でも感染拡大し、2022年1月には蔓延防止等重点措置が実施される事態となりました。新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴う生活様式の変化、資源価格の高騰、内外金利差等を背景とした円安の進行、ロシアによるウクライナ侵攻など様々な環境変化の下にありました。これら国内外の情勢が各企業、各個人に与える影響は様々ですが、我が国経済全体としては不確実性が増しているといえます。

 当社グループにおきましては、とりわけ新型コロナウイルス感染拡大の影響を強く受けております。当連結会計年度の開始時点では、外務省により発出された海外感染症危険情報などの水際対策により、海外旅行が事実上催行不可能でありました。しかし旅行先国における日本からの観光客受け入れ状況が整い始め、観光の再開が可能な状況となるとともに、2022年4月1日付で外務省より、106カ国について海外感染症危険情報がレベル3からレベル2に引き下げられたこと等により、一定の制約下での海外旅行が可能になったことから、当社グループにおきましても海外団体旅行の募集を再開し、2022年7月に新型コロナウイルス感染拡大後初めての海外旅行を催行しております。

 今後の経営環境につきましては、当連結会計年度末時点で1日5万人に制限されている入国者総数の上限が、2022年10月11日以降撤廃される旨、外務省より公表され(2022年9月26日付)、これに伴い、海外旅行需要の回復が見込まれます。この機会を逃すことなく、営業収益獲得に邁進いたします。また、収益の一つの柱に成長しつつある国内旅行部門にも引き続き注力し、全国旅行支援など公的施策の動向もとらえつつ、安心・安全な旅を提供して参ります。こうした環境を踏まえ、経営資源の有効活用を図りながら、営業収益の確保に取り組んで参ります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

 インターネットを通じた航空券販売や、航空券販売における旅行会社の手数料の減少など、旅行会社の淘汰や、旅行会社同士の合併などによって、旅行業は急激な変化を余儀なくされます。しかしその変化の本質は、仲介業者としての旅行会社の役割が消失するということであり、旅行会社が旅行商品をプロデュースする役割が無くなるということではありませんし、そのニーズも依然として強くあります。

 すなわち、誰でもできるチケットの仲介業ではなく、その会社にしかできない専門領域を持ち、その強みで顧客の信頼を勝ち取ることによって、旅行業界内において勝ち残り組の立場を築けると考えます。

 当社グループとしてはその考えのもと、知的・精神的円熟層というコアターゲットの支持を集めながら、その層の顧客を着実に拡大していくことを中長期的な会社の経営戦略の中心に置いています。

 経営指標としては、「営業収益」及び「営業利益」に着目しております。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響で蔓延防止等重点措置は実施されたものの、前連結会計年度のように緊急事態宣言は発出されませんでした。その影響もあり、当連結会計年度の営業収益は502百万円となり、前連結会計年度の224百万円を大幅に上回りました。また、営業損失は、前連結会計年度の505百万円から当連結会計年度は401百万円となり、損失が縮小いたしました。今後海外旅行の回復に伴い、営業収益が概ね新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻る時期は、2024年9月期以降と仮定しております。当社グループの営業収益及び営業利益の回復には、もうしばらく時間がかかる見通しです。引き続き営業収益及び営業利益の回復に努めてまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大を受け、2020年3月25日付で外務省より、全世界に対しての危険情報「レベル2(不要不急の渡航はやめて下さい。)」の発出がなされて以降、日本からの海外旅行の催行が事実上不可能な状況が続いておりました。2022年4月1日付で106カ国に対する海外感染症危険情報のレベルが引下げられた事等により、一定の制約下での海外団体旅行を再開したものの、海外旅行需要の本格的な回復には至っておりません。

 その結果、連結営業損失及び連結営業キャッシュ・フローのマイナスが2期以上連続しており、政府による入国者総数の制限撤廃の時期、及び今後の海外旅行需要の回復状況によっては、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 新型コロナウイルス感染症及びそれにより生じる課題についての対処方法は、「2 事業等のリスク (4)継続企業の前提に関する重要事象等について」に記載しております。

 かかる課題に対処し、顧客の支持を確固たるものとするために、引き続き顧客との綿密なコミュニケーションに努め、知的好奇心や精神的喜びに応える旅づくりを通じて上質なサービスを提供し続けるよう努めます。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得