業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次の通りであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい環境が続く中、徐々に持ち直しの動きは見られるものの、先行きについては未だ不透明な状況にあります。また、当社グループを取り巻く事業環境としても、コロナ禍における個人消費の低迷やインフレの加速、さらには海上コンテナ不足や船舶の積載スペースの逼迫等も重なり、厳しい状況で推移いたしました。

このような状況下、当社グループでは、単に海上輸送のみでなく、航空輸送と海上輸送、海外での内陸輸送と海上輸送を組み合わせる等、様々なサービスメニューを拡充し、新規顧客の開拓や既存顧客との取引深耕に取り組むことで、取扱量の増大と収益拡大を図ってまいりました。さらに、通関や配送、検品・検針・加工業務といった輸出入の付帯業務の更なる受注獲得を目指し、精力的な営業活動を展開してまいりました。当連結会計年度では、巣ごもり消費の拡大から生活雑貨や家電製品等の取扱いは堅調な伸びを示し、アパレル関連製品の取扱いも僅かながらではありますが、回復基調に転じております。

また、海上コンテナの不足や船舶の積載スペースの逼迫が続き、さらには海上輸送の運賃水準も上昇する中、当社グループでは、船会社と交渉を重ね、取引先へ安定した国際貨物輸送サービスを提供することで、業績の拡大へと繋げることが出来ました。さらに、販売費及び一般管理費では、継続して見直しや削減を図ることにより、利益の創出に努めてまいりました。

これらの結果、当連結会計年度における営業収益は59,931百万円(前年同期比30.9%増)と前年同期を大きく上回りました。また、営業収益が好調に推移したことにより、営業利益は3,581百万円(前年同期比55.4%増)、経常利益は3,821百万円(前年同期比50.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,367百万円(前年同期比36.6%増)といずれも前年同期を大幅に上回ることとなりました。

 

セグメント別の経営成績は次の通りであります。

なお、報告セグメントに含まれない事業セグメント「その他」では、当連結会計年度において、米国の現地法人「AIT International of America,Inc.」が清算結了したため、連結の範囲から除外しております。また、報告セグメントの「中国」では、「暖新国際貿易(上海)有限公司」が現在清算手続中であります。

 

(日本)

当連結会計年度では、断続的な緊急事態宣言の発出等により、社会経済活動の制限を余儀なくされたことで個人消費にも大きな影響を与えて、景気の減速感も強まりを見せました。

このような厳しい環境下でありましたが、コロナ禍での巣ごもり消費が拡大を続ける中、一貫輸送の受注を増加させるべく営業活動に邁進するとともに、国際貨物輸送のサービスメニューの拡充にも取り組んでまいりました。また、これらに加え、顧客へのサービス向上を図るべく、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みにも注力してまいりました。

その結果、海上輸送の取扱コンテナ本数は、輸入で267,155TEU(前年同期比2.7%増)、輸出入合計では280,585TEU(前年同期比2.3%増)と前年同期を上回りました。通関受注件数においても、子会社での受注が回復傾向にあり、145,931件(前年同期比4.0%増)と前年同期を上回る推移となりました。さらに、前述の数量の増加に加えて、海上運賃の上昇は、営業収益並びに売上総利益を押し上げる大きな要因となりました。また、販売費及び一般管理費においては、継続して見直しを行うに留まらず、DXを活用し、自らの業務効率の改善にも取り組み、コストを圧縮することで更なる利益の創出を図ってまいりました。

以上のことから、日本における営業収益は50,268百万円(前年同期比36.0%増)と前年同期を上回り、セグメント利益は、売上総利益が大幅に増加したことに加え、営業活動における費用等の抑制に努めたこと等で3,102百万円(前年同期比93.1%増)となりました。

 

 

(中国)

アパレル関連の取扱いが低調な推移であることから、検品・検針等の付帯業務の受注は厳しい環境が続いておりますが、前年同期と比較して日本向け貨物の取扱量も回復し、中国国内での輸送関連の収益機会も増すこととなりました。

この結果、中国における営業収益は8,353百万円(前年同期比9.2%増)と前年同期を上回りました。一方でセグメント利益は、前連結会計年度であった法定福利費の減免が無くなったこと等で費用が嵩み、加えて連結固有の調整を行った結果、390百万円(前年同期比37.1%減)となりました。

(その他)

ミャンマー子会社では、新型コロナウイルス感染症や政情不安等の影響から収益は低下したものの、台湾子会社では、貨物の取扱量及び収益が安定的に確保でき、またベトナム子会社では、ロックダウンが解除されて以降は収益も急激に回復を遂げることとなりました。この結果、営業収益は1,309百万円(前年同期比10.5%増)となり、セグメント利益は88百万円(前年同期比13.5%増)となりました。

 

(注)TEU(Twenty-foot Equivalent Unit、20フィートコンテナ換算)とは、海上コンテナの数量を表す単位で、20フィートコンテナ1個分を1TEUと計算します。

 

財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,885百万円増加し23,516百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ2,382百万円増加し19,235百万円となりました。これは主に、現金及び預金が2,000百万円、立替金が253百万円、受取手形及び売掛金が250百万円増加したことによるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ496百万円減少し4,280百万円となりました。これは主に、顧客関連資産が263百万円、のれんが108百万円、繰延税金資産が65百万円減少したことによるものであります。

(負債)

当連結会計年度末における負債総額は、前連結会計年度末に比べ16百万円減少し9,382百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ111百万円増加し7,875百万円となりました。これは主に、買掛金が759百万円、未払法人税等が237百万円、賞与引当金が57百万円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が1,000百万円減少したことによるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ127百万円減少し1,507百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が117百万円減少したことによるものです。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ1,902百万円増加し14,134百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益2,367百万円を計上した一方で、剰余金の配当により986百万円が減少したことによるものであります。また、為替換算調整勘定が529百万円増加したことによるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,367百万円増加し、12,419百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの内訳は次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は3,772百万円(前年同期比2,251百万円増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を3,670百万円計上したことのほか、仕入債務の増加655百万円、減価償却費636百万円、利息及び配当金の受取額252百万円、のれん償却額108百万円等の資金の増加要因に対し、法人税等の支払額1,085百万円、立替金の増加253百万円、持分法による投資利益198百万円、売上債権の増加151百万円等の資金の減少要因によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、獲得した資金は396百万円(前年同期は300百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入1,595百万円等の資金の増加要因に対し、定期預金の預入による支出1,158百万円等の資金の減少要因によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、支出した資金は2,197百万円(前年同期比210百万円増)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出3,700百万円、配当金の支払986百万円等の資金の減少要因に対し、長期借入れによる収入2,700百万円の資金の増加要因によるものであります。 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社グループは、国際貨物輸送サービスの提供をしております。従って、サービスの性格上、生産実績を定義することが困難であるため生産実績の記載は省略しております。

 

b.受注実績

生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

50,268

+36.0

中国

8,353

+9.2

その他

1,309

+10.5

合計

59,931

+30.9

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

   2.主な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありませんので、記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.「中国」では、「暖新国際貿易(上海)有限公司」が現在清算手続中であります。

5.「その他」には、台湾、ベトナム及びミャンマーの現地法人を含めております。なお、「その他」では、米国の現地法人「AIT International of America,Inc.」が当連結会計年度において清算結了したため、連結の範囲から除外しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金、賞与引当金等の各引当金や退職給付に係る負債の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、会計上の見積り及び仮定にあたっての新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績

(営業収益)

当連結会計年度における営業収益の概況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載しております。

(営業利益)

当連結会計年度における営業原価は、外注業務の一部内製化を継続しながら、可能な限り圧縮を図ってまいりました。一方では、営業収益同様に、世界的なコンテナ不足や船舶の積載スペースの逼迫等による海上運賃の高騰で営業原価は大幅に増加し、また原油価格の上昇により、国内外での貨物輸送に伴う仕入コストは上昇を続けており、原価率は1.8%上昇することとなりました。その結果、当連結会計年度における営業原価は50,253百万円(前年同期比33.7%増)となりました。

販売費及び一般管理費では、デジタル戦略の一環として、DXを活用し実務の効率化を図り、また可能な限りのテレワークや時差出勤を取り入れながら、事業活動に掛かる費用や人件費の抑制等に努め、利益の創出に取り組んでまいりました。これらの結果、販売費及び一般管理費は、6,096百万円(前年同期比3.3%増)と僅かな増加に留まり、感染症が拡大する中でも、営業収益が大きく増加したことと販売費及び一般管理費の削減・抑制効果の双方により、営業利益は3,581百万円(前年同期比55.4%増)と前年同期を大幅に上回る結果となりました。

(経常利益)

営業外収益は、主に持分法による投資利益が31百万円増加したことで、前連結会計年度に比べ28百万円増加し、303百万円となりました。営業外費用は、主に為替差損が14百万円、支払利息が10百万円増加したことで、前連結会計年度に比べ28百万円増加し、63百万円となりました

この結果、経常利益は3,821百万円(前年同期比50.1%増)と前年同期を上回る結果となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

特別損失にて事業構造改革費用145百万円等が発生し、また、法人税、住民税及び事業税に法人税等調整額等を合わせた法人税等合計は1,261百万円となり、この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,367百万円(前年同期比36.6%増)と前年同期を上回る結果となりました。

b. 財政状態

当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載の通りであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用および金融機関からの借入により資金調達を行っております。

主な資金需要につきましては、運転資金として、国際貨物輸送事業に係る営業原価、及び販売費及び一般管理費等であります。また、設備資金として、基幹システムの改修に係る費用等があります。

これら資金需要及び事業規模と業容の拡大を図るためのM&Aに係る資金等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達にて対応してまいります。

株主還元につきましては、各期の連結業績や連結配当性向、将来の国内外での事業展開及び経営基盤の強化を図るための内部留保を総合的に勘案しながら、安定的且つ継続的に配当を実施することを基本方針としております。この方針の下、株主の皆様のご期待にお応えするべく、配当による更なる利益還元を推し進めていきたいと考えております。配当政策に関する詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、組織体制、法的規制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

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