課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

2020年春、当社グループは企業理念を定めました。

「TBSグループは、時代を超えて世界の人々に愛されるコンテンツとサービスを創り出し、

多様な価値観が尊重され、希望にあふれる社会の実現に貢献してまいります。」

この理念を実現していく上で、当社グループの全員が常に心の中にとどめておくべき未来の志、お客様への大切な約束であるブランドプロミスも併せて制定しました。

「最高の〝時″で、明日の世界をつくる。」

 

当社グループが、さまざまなフィールドで心揺さぶる”時間”をお届けし、社会を動かす起点となることを目指す。その未来への決意を表明したものです。

我々は、この企業理念及びブランドプロミスをあらゆる経営活動の指針とし、新しいことにチャレンジしつつ、公正・迅速な報道と愛されるコンテンツの提供に努めるとともに、さらなる企業価値の向上を目指し、株主の皆様のご期待にお応えしてまいりたいと存じます。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、企業価値を生み出す源泉としての指標である「売上高」と、本業の中で効率よく利益を生み出す指標としての「営業利益」を重要な経営指標としております。当連結会計年度の売上高は3,582億6千9百万円(前年比10.0%増)、営業利益203億4千6百万円(同87.7%増)でした。2021年度を初年度とする「TBSグループ 中期経営計画2023」では、「コロナ禍からの回復と成長への種まき」に取り組む期間とし、2023年度の目標を連結売上高3,700億円、同営業利益185億円としていましたが、営業利益は2021年度において目標を達成いたしました。これを受け「TBSグループ 中期経営計画2023アップデート」を策定し、2023年度の目標を連結売上高3,900億円、同営業利益260億円に引き上げることとしました。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題と当社グループの経営戦略など

当社グループの最大の課題は、予測が難しく変化が続く経営環境においても、社会に求められる企業として持続的に企業価値を向上していくことであると認識しております。こうした課題に対し、長期的な視点に立ち、将来の目指す姿として「TBSグループ VISION2030」を昨年策定しました。そして、その実現に向けた第1フェイズとして、2021年度から2023年度を対象とした「TBSグループ 中期経営計画2023」を策定いたしました。

 

 <「TBSグループ VISION2030」の概要>

当社グループにとって最大の武器は“コンテンツ創造”の力であります。ライフスタイルの多様化、インターネットの台頭などメディア環境が激変していく中で今まで以上に人々の“信頼”に応え、心や生活を豊かにする素晴らしいコンテンツを“創り”、さらに放送の枠を超えて“拡げる”(届ける)。「心揺さぶるもの」すべてをコンテンツと定義し、その価値を最大化するコンテンツグループを、当社グループは目指します。

具体的には、オリジナルIP(知的財産)開発を推進し、クリエイティブを強化していきます。そして、創ったコンテンツを無限に広げる拡張戦略として「EDGE」を推進します。

EDGE: Expand Digital Global Experience

配信を強化してデジタルコンテンツを開拓し(Digital)、海外市場へのさらなる飛躍を追求し(Global)、ライブエンタテインメントやライフスタイルを“体験する”事業の拡大(Experience)へ当社リソースを集中していきます。

TBSグループ VISION2030で、拡張戦略「EDGE」によって、成長事業領域・放送事業以外がグループ売上の60%を占めるまで拡大することにより、グループの成長を目指すとしています。

とはいえ、放送事業はこの成長の土台であり、放送事業の価値向上を目指すことに変わりはありません。これからの放送事業は、これまで培った価値“信頼”をさらに深化させ、広告媒体の機能を超えて価値共創ハブとなり、パートナーと新たな価値を提案すること、また、データマーケティング推進によるメディアパワーの進化を目指していきます。

そして、公共的・社会的使命をもつメディアを包含するグループならではのESG経営として、私たちが暮らす地球に(E)、社会や働く仲間に(S)、責任企業として(G)「最高の”時”」を提供するため様々な施策を講じていきます。私たちはコンテンツを通じて、全てのステイクホルダーとともに、多様な価値観が尊重される、幸福で持続可能な社会を共創してまいります。

<「TBSグループ 中期経営計画2023アップデート」の概要>

「TBSグループ 中期経営計画2023アップデート」は、「TBSグループ VISION 2030」(2021年度~2030年度)のフェイズ1にあたる「TBSグループ 中期経営計画2023」における営業利益目標を、2021年度に達成したことを受けて策定したもので、テーマは、従来の「コロナ禍からの回復と成長への種まき」から「ポストコロナを見据えた成長への種まき」へアップデートしました。成長戦略による収益拡大を加速・推進し、2030年のあるべき姿に向けて邁進いたします。

 

「VISION2030」における中期経営計画2023アップデート

 

 

 

 

 

 

 

 

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アップデートの背景としては、当社グループの収益に影響を与える事象として、多くの業界が「ポストコロナ」を見据えて動き出していること、地上波テレビ広告の回復、コンテンツ供給形態の多様化を挙げています。また利益に影響を与える事象としては、新型コロナウイルス感染症をきっかけとした「コスト抑制意識の定着」や、技術革新の加速などを挙げています。そして、当社グループに非財務的な影響を与える事象として、自然災害による電源喪失リスク、サイバーテロ、ウクライナ情勢を中心とするロシア・ファクターなどを挙げています。

その上で、まず競争戦略としては「放送の価値向上」に引き続き取り組みます。新ファミリーコア(男女4~49歳)の個人視聴率を重点ターゲットとして、次世代視聴者の開拓とリーチの拡大に努めるほか、データの活用に基づいて広告主のニーズに沿った提案を行い、テレビ広告の価値の再構築を目指します。

また、成長戦略としては、「VISION2030」に掲げたコンテンツの拡張戦略「EDGE」の推進を加速します。

Digital及びGlobal領域では、2021年度に開始した海外配信プラットフォームでのコンテンツ世界配信を推進しつつ、世界市場への流通を前提としたコンテンツ制作に着手し、海外クリエイターとの協業を拡大していきます。具体的には、海外戦略の新会社「THE Factory」を設立、総額300億円規模のコンテンツ制作費予算を準備し、5年以内に世界的ヒット作を2~3本制作することを目指すほか、緑山に、国際基準のコンテンツ制作の拠点となる国内最大級の新スタジオを建設いたします。

またExperience領域では、アジア初上陸となる舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」のロングラン公演を開始いたします。赤坂二・六丁目地区開発計画につきましては、2021年11月、国家戦略特別区域計画における国家戦略都市計画建築物等整備事業として認定を受けました。TBSの既存エリアも含め、Shake the World. AKASAKAをコンセプトに、赤坂を人々の喜びと幸福に寄り添う最高の“時”を届ける街として、一層の価値向上を図っていく所存です。

そして、当社グループが取り組むべき最重要課題=マテリアリティの特定を、新たに行いました。

事業領域のマテリアリティは『世界に愛されるオリジナル・コンテンツを生みだす』『メディアとしての「社会的使命」を果たす』そして『テクノロジー開発・活用で仕事を変革』としました。また、ESG戦略としてのマテリアリティは『命息づく地球に「最高の“時”」を』『すべての働く仲間に「最高の“時”」を』そして『責任企業としてガバナンスを強化する』としました。マテリアリティの抽出・特定の詳細につきましては、「TBSグループ 統合報告書2022」に記載いたします。

「TBSグループ 中期経営計画2023アップデート」では、上記のような取り組みの結果として、2023年度の定量目標を、連結売上高3,900億円、連結営業利益260億円、売上高営業利益率6.67%としております。セグメント別では、メディア・コンテンツ事業は、放送収入の回復と配信事業の拡大、そしてライブエンタテインメントの回復によって、売上高3,074億円、セグメント利益160億円を目標に、またライフスタイル事業は、売上高660億円、セグメント利益26億円、不動産・その他事業は売上高166億円、セグメント利益74億円を目標といたします。政策保有株の売却による資金や営業キャッシュ・フロー等をもとに、1,000億円以上の成長投資に果断に取り組み、中長期的な利益拡大、および資本効率の向上をめざします。

 

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