研究開発活動

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、公共の資源である電波を預かる放送事業者として、多様化する視聴者ニーズと放送局を取り巻く技術面での課題に応えるため、「AI(人工知能)を用いた画像認識技術を応用し新たな番組演出の創出や番組制作を効率化する研究」「IP技術などを応用した将来の番組制作設備に関する研究開発」など、幅広く新技術の研究開発に取り組んでおります。当社グループの研究開発は、主に日本テレビ放送網(株)技術統括局において推進しております。

 

メディア・コンテンツ事業における研究開発項目は、以下の2つを主要テーマとしております。

  ① 番組制作支援、業務効率化に関する研究開発

AIによる画像認識技術を応用し、番組演出や番組制作の支援に関する研究など

  ② 将来の番組制作に関する研究開発

放送設備へのIP技術やクラウド技術の導入検証、IPネットワークを用いた映像・音声の伝送実験に関する研究など

 

当連結会計年度におけるメディア・コンテンツ事業の研究開発費は 293 百万円であり、主な研究開発の成果は以下のとおりです。

 

「東京2020オリンピック・パラリンピック」、「北京2022オリンピック」では国際映像信号の英字テロップを日本語テロップへ置き換える作業にAI画像認識技術を応用したソフトウェアプログラムを外部ベンダーに頼ることなく内製し運用しました。これまではヒトによる作業であったため生放送中に映像加工が間に合わないことがありましたが、AI画像認識技術により瞬時かつ正しく日本語テロップが準備されることで放送内容の精度を上げることが出来ました。また、他の競技中継では英字テロップの日本語化作業を完全自動化し作業効率の向上を実現しました。

② 「東京マラソン2021」では、AIによる画像認識技術を応用しCG合成に必要な“型抜き”信号を中継映像からリアルタイムで生成し世界記録や日本記録のペースで走るランナーのCG動画を生放送画面に合成する「RECORD MAN」を実施し、実際のランナーの走りが世界記録や日本記録とどのくらい差があるかを視聴者に判りやすく見せる新たな番組演出を実現しました。

事件報道やスポーツニュースなど国内外の取材現場から記者や視聴者が放送局へ迅速に映像ファイルなどを伝送できる様、クラウド技術を応用したファイル素材伝送ツールを開発し運用を開始しました。クラウドと本社設備の接続には冗長性を持たせるなど耐障害性の高いシステムであることはもちろん、特定のソフトウェアを必要とせず、記者の端末だけでなく取材に協力いただく視聴者のスマートフォンからでも直接本社の編集システムに素材伝送が可能となり速報性の向上に大きく寄与しています。

 

これらの研究開発と共に、特許取得や機器メーカー等との共同開発契約に係る業務を行っております。これまで開発した機器にはメーカー・ベンダーを通じて販売されているものが多数あります。また、当連結会計年度は、出願済みの「自動スイッチング技術」等、3件が特許登録されました。

 

社外からの評価としては、以下のように各方面から高い評価を得ております。

日テレ系リアルタイム配信開始を念頭に開発した「クラウドプレイアウトシステム」が、放送文化基金賞(個人・グループ部門 放送技術)、及び日本民間放送連盟賞(技術部門)を受賞しました。

「プロ野球中継におけるAIキャッチャーの開発と運用」 が映像情報メディア学会 コンテンツ技術賞(共同開発:データスタジアム株式会社)を受賞しました。

 

なお、生活・健康関連事業及び不動産関連事業に係る研究開発活動は行っておりません。

 

 

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