業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染の波が繰り返し表れるなかで、海外の情勢や原材料価格等の動向による下振れリスクもあって、弱含みが見られるも、経済社会活動の正常化に向かって、持ち直しの動きが続きました。

 

 ゲーム業界におきましては、コロナ禍における新たな生活様式が日常化するなか、巣篭もり特需の反動から国内市場規模は、落ち着きを見せております。スマホゲーム市場では、新たなヒットタイトルも登場しておりますが、長期プレイする既存上位タイトルのユーザーリテンション効果が働くなか、新規タイトルにおいて一定規模のユーザー獲得から定着にまで至るタイトルは限られており、収益の安定化や新規IP創出のハードルは高くなっております。また、コンシューマー市場でも、ヒットタイトルや人気タイトルが生まれており、プラットフォームの普及も進んでおりますが、強い需要に対して、品薄傾向が続いております。

 

 モバイル業界におきましては、オンラインプランやサブブランドなど、低料金プランの訴求が激しくなるなか、大手キャリアショップ数は、微減傾向が続いております。サブブランド併売や一部MVNOの取り扱い連携がされるなど、店舗のサービス提供範囲は広がっておりますが、来店予約の浸透やオンライン手続きの利用により、来店者数の減少傾向は続いております。また、キャリアメール持ち運びや契約解除料の廃止等により、スイッチング(乗り換え)が円滑になる一方で、同一事業者内のプラン移行等の選択肢により乗り換えメリットは薄れており、新規ユーザーの獲得環境は厳しさを増しております。

 

 このような事業環境のなか、当社は、ゲーム事業におきましては、高度化する開発タイトルの要求水準に対応していくため、人的資源を効果的に発揮すべく、労務管理の効率化とコミュニケーションツールの活用に取り組むとともに、新規の開発案件及び運営サポート案件の受注活動に注力してまいりました。モバイル事業におきましては、来店者数の前年割れの傾向が続くなか、イベント出店等の実施により、外出機会に対する顧客接点を確保し、来店の促進に取り組みました。

 

 この結果、当連結会計年度の連結業績につきましては、以下のとおりです。

 

 売上高は、ゲーム事業においては、開発案件の中止や終了に加え、開発の遅延等から見込んでいた受注額が獲得できなかったことや新規開発案件の受注が進まなかったことから、計画を大きく下回り、減収となりました。モバイル事業においては、サブブランドや格安SIMの訴求により契約獲得数の維持に努めてきましたが、端末販売を伴わないSIM単体契約の割合が増加したことから減収となりました。この結果、売上高は、10,652百万円と前年同期と比べ1,336百万円(11.1%減)の減収となりました。

 

 営業損益及び経常損益は、ゲーム事業においては、上記のとおり受注額が計画を大きく下回ったことに加え、開発タイトルの原価増加の見通しにより、売上計上の進捗度が低下するとともに受注損失引当金を計上した結果、大幅な営業損失となりました。モバイル事業においては、低料金プランへの移行による将来的な利益低下を防ぐため、新規契約の獲得を目指し、SIMのみの乗り換えニーズを取り込んだことによって、1顧客あたりの販売利益額が低下したことに加え、同一事業者内でのブランド移行に伴う手数料が減少した結果、利益の積み上げが進まず、減益となりました。この結果、営業損益は、869百万円の営業損失(前年同期は220百万円の営業利益)となり、経常損益は、865百万円の経常損失(前年同期は204百万円の経常利益)となりました。

 

 親会社株主に帰属する当期純損益は、1,231百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前年同期は92百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 

 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

(ゲーム事業)

 当セグメントにおきましては、(株)ゲームスタジオ、(株)トライエース、(株)ウィットワン、(株)ウィットワン沖縄及び(株)テックフラッグにてゲームの開発受託及び運営受託等を行っております。

 当連結会計年度におきましては、売上高については、開発案件の中止や終了に加え、開発の遅延等から見込んでいた受注額が獲得できなかったことや新規開発案件の受注が進まなかったことから、計画を大きく下回った結果、8,124百万円と前年同期と比べ1,241百万円(13.3%減)の減収となりました。

 セグメント損益(営業損益)については、上記のとおり受注額が計画を大きく下回ったことに加え、開発タイトルの原価増加の見通しにより、売上計上の進捗度が低下するとともに受注損失引当金を計上した結果、609百万円のセグメント損失(営業損失)(前年同期は516百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。

 

(モバイル事業)

 当セグメントにおきましては、(株)ネプロクリエイトにてauショップ等のキャリアショップ及び複数の通信事業者の端末・サービスを取り扱う販売店PiPoPark(ピポパーク)を運営しております。

 当連結会計年度におきましては、売上高については、サブブランドや格安SIMの訴求により契約獲得数の維持に努めてきましたが、端末販売を伴わないSIM単体契約の割合が増加した結果、2,467百万円と前年同期と比べ97百万円(3.8%減)の減収となりました。

 セグメント利益(営業利益)については、低料金プランへの移行による将来的な利益低下を防ぐため、新規契約の獲得を目指し、SIMのみの乗り換えニーズを取り込んだことによって、1顧客あたりの販売利益額が低下したことに加え、同一事業者内でのブランド移行に伴う手数料が減少した結果、利益の積み上げが進まず、46百万円と前年同期と比べ5百万円(11.3%減)の減益となりました。

 

(その他)

 当セグメントにおきましては、クレジット決済事業等を行っております。

 当連結会計年度におきましては、売上高については、68百万円と前年同期と比べ2百万円(3.8%増)の増収となりました。セグメント利益(営業利益)については、31百万円と前年同期と比べ9百万円(41.9%増)の増益となりました。

 

② 財政状態の状況

(流動資産)

 当連結会計年度末の流動資産は3,259百万円となり前連結会計年度末と比べ470百万円の減少となりました。その主な要因は仕掛品の減少167百万円、現金及び預金の減少156百万円等によるものであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末の固定資産は1,385百万円となり前連結会計年度末と比べ644百万円の減少となりました。その主な要因はのれんの減少334百万円、差入保証金の減少182百万円、ソフトウェアの減少83百万円等によるものであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末の流動負債は1,852百万円となり前連結会計年度末と比べ87百万円の増加となりました。その主な要因は短期借入金の増加250百万円、買掛金の減少152百万円等によるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末の固定負債は900百万円となり前連結会計年度末と比べ150百万円の増加となりました。その主な要因は長期借入金の増加144百万円、繰延税金負債の増加50百万円、社債の減少40百万円等によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は1,892百万円となり前連結会計年度末と比べ1,352百万円の減少となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失1,231百万円等によるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ156百万円減少し1,094百万円となりました。となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の減少は、685百万円(前期は169百万円の増加)となりました。資金の増加要因は、減損損失355百万円、売上債権の減少額126百万円、のれん償却額113百万円、減価償却費102百万円等であり、減少要因は、税金等調整前当期純損失1,223百万円、仕入債務の減少額152百万円等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の増加は、230百万円(前期は61百万円の減少)となりました。資金の増加要因は、差入保証金の回収による収入334百万円等であり、減少要因は、固定資産の取得による支出42百万円、差入保証金の差入による支出31百万円、資産除去債務の履行による支出31百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の増加は、299百万円(前期は472百万円の減少)となりました。資金の増加要因は、長期借入れによる収入500百万円、短期借入金の増加額250百万円であり、資金の減少要因は、長期借入金の返済による支出285百万円、長期未払金の返済による支出63百万円、配当金の支払額52百万円、社債の償還による支出40百万円等であります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループの資金需要は、運転資金としては主として、商品の仕入れ、原価に係る労務費及び外注費、並びに販売費及び一般管理費であります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 投資を目的とした資金需要としては、ソフトウェアを含む設備投資、M&Aを中心とした投資資金等であります。

 資本の財源につきましては、自己資金及び金融機関からの借入金による調達を基本としております。

 

④ 開発、受注及び販売の状況

イ 開発実績

 当連結会計年度における開発実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

ゲーム事業

8,207,576

99.3

合計

8,207,576

99.3

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、製造原価によっております。

 

ロ 仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

モバイル事業

1,546,469

93.6

合計

1,546,469

93.6

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、仕入価格及び代理店支払手数料によっております。

 

ハ 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

ゲーム事業

6,362,937

63.4

798,470

118.5

合計

6,362,937

63.4

798,470

118.5

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

ニ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

ゲーム事業

8,118,812

86.8

モバイル事業

2,465,093

96.2

その他

68,704

103.9

合計

10,652,610

88.9

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

(株)スクウェア・エニックス

3,979,356

33.2

3,089,529

29.0

(株)バンダイナムコエンターテインメント

2,445,052

20.4

2,419,338

22.7

(株)ジェイ・コミュニケーション

1,874,018

15.6

1,806,293

17.0

3.販売高には顧客に対する割賦販売代金を含めて表示しております。

 

⑤ 重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されています。その作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える仮定や見積りを必要とします。これらの仮定や見積りは、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。

 当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」等に記載していますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を与えると考えています。

 

a.履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり認識する収益について

 当社グループのゲーム事業において、主にモバイルゲームやコンソールゲーム等の受託開発については、契約における取引開始日から完全に履行義務を充足すると見込まれる時点までの期間がごく短いものを除き、一定の期間にわたり履行義務は充足されると判断し、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しております。

 履行義務の充足に係る進捗度は案件の原価総額の見積りに対する連結会計年度末までの発生原価の割合に基づき算定しております。

 当社グループでは、プロジェクト管理体制を整備し、受注時の見積りと受注後の進捗管理を適切に行うとともに、見積総原価に一定割合以上の変動があったときはその修正を速やかに行っており、売上高計上額には相応の精度を確保していると判断しています。

 

b.繰延税金資産について

 当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しています。将来の課税所得を過去の業績等に基づいて見積っているため、税制改正や経営環境の変化等により課税所得の見積りが大きく変動した場合等には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。

 繰延税金資産の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」をご覧ください。

 

c.のれんの減損について

 当社グループは、のれんの償却方法について、その効果が発現すると見積られる期間で均等償却を行っております。今後、のれん対象事業の収益力が低下した場合、のれんの減損処理が必要となる可能性があります。なお、のれんの資産性については、対象事業が創出する営業利益相当額や過去の実績等を基礎に将来予測を合理的に織り込んだ事業計画等を基に検討しております。

 

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