課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社は創業以来、地図業界のリーディングカンパニーとして地図関連情報の提供を通じ、社会に貢献し続けることを活動の基本として事業を拡大してまいりました。当社グループは、「知・時空間情報の創造により人びとの生活に貢献します」を企業理念として掲げ、「Maps to the Future」のスローガンのもと、地図情報で未来を創造していくことを使命として企業運営を行い、「情報を地図化する世界一の企業」となることを目指しております。

また、株主の皆様にとって魅力ある企業集団であることを目指すとともに、お客様及び従業員を大切にし、社会に貢献し続けていく企業集団でありたいと考えております。

(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

当社グループが属する地図業界では、これまでは、詳細で正確な情報に基づいた、わかりやすく使いやすい地図やサービスの提供が求められており、当社グループは、地図に付加価値を加えることで市場のニーズに応え、事業を拡大してまいりました。昨今の市場のニーズは、自動運転やMaaSに代表されるように、社会や産業の課題解決を目的とし、人だけでなくシステムが判断するために必要となる三次元化を含めた現実世界の再現にシフトしております。技術革新や高度なネットワーク社会の実現により、現実世界から様々なデータを収集・解析し、現実世界へフィードバックすることで新たなサービスを創造・展開していくことが可能となった現在では、最新技術の活用と大規模資本を背景とした大手IT企業等の参入もあり、当業界の競争は激化しております。

一方で、一般に流通している情報が多すぎるがゆえに、必要な情報を正しく素早く入手することが困難な状況も発生しており、多様化した市場のニーズに対応するためには、情報を過不足なく適時適切に提供することが重要になってまいりました。

このような環境の変化に素早く対応すべく、当社グループでは6ヵ年の中長期経営計画「ZENRIN GROWTH PLAN 2025(以下、ZGP25)」(2020年3月期~2025年3月期)を2019年4月よりスタートし、『ネットワーク社会における「量と質」の最適化』をテーマに、3つの基本方針を掲げ、①事業活動において利用用途をつなげて「コト」を価値化すること、②生産活動において位置情報をつなげて「モノ」を多様化すること、③事業及び生産活動を支えるため、個の知恵をつなげて「ヒト」を人財化することに取り組んでおります。

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2020年3月期から2022年3月期までの1st Stageは「ビジネスモデル変革時期」と位置づけ、ビジネスモデルの適切な使い分けによって顧客価値の増大と収益基盤の強化に取り組んでまいりました。

その結果、パッケージ商品の企画・拡販によりフロー型ビジネスからストック型ビジネスへの転換が着実に進行したことに加え、流通基盤の開発により企業の業務課題の解決に向けた用途開発やパッケージ商品の提供が可能となりました。さらに、マップデザイン事業や観光型MaaSなど、コンシューマー向けビジネスの積極的な取り組みを強化いたしました。

一方で、新型コロナウイルス感染症拡大、自動車の減産・販売低迷による影響などにより、業績面では厳しい結果であったと受け止めております。オートモーティブ事業やマーケティングソリューション事業は外部環境の変化による影響が大きく、ストック型サービスを始めとする自社サービスによる収益の改善が最優先課題だと認識しております。

当社グループは、位置情報の提供を通じて社会課題の解決を支援することで、持続的な企業成長を目指すサステナビリティ経営を方針として掲げております。2023年3月期から2025年3月期までの2nd Stageにおいては、次の成長ステージへ飛躍するため、まずはコロナ禍により低迷した業績の早期回復を目指します。さらに、顕在化した社会課題の解決のため、位置情報と流通情報を最適化し、新たな価値を創造するための位置情報イノベーションに取り組んでまいります。

(目標達成のための取り組み)

Ⅰ.事業方針

・既存事業の収益安定化を図ります。具体的には①市場ニーズを捉えたパッケージ商品やオンデマンドサービスの投入によるストック型サービスの拡大、②既存ナビビジネスのシェア拡大に取り組んでまいります。

・不動産、物流、金融業界等の課題解決に向けたソリューションの提供により、利益成長を促します。

・スマートシティ、ドローン物流など、地域の課題解決を支援するためのビジネスモデルを確立し、収益化を目指します。

・観光MaaSや地図デザイン商品などコンシューマー向けビジネスへの取り組みを加速し、事業化に向けた投資を継続します。

Ⅱ.生産方針

スマートシティや社会全体におけるDX推進、さらには多様化するモビリティ社会へと幅広く対応するため、位置に紐づくあらゆる情報を収集・管理し、適切につなげる高精度ネットワークデータベースを構築します。

ネットワークデータベースの元となる空間情報と世の中の流通情報とを機動的につなげ、柔軟に利活用できるよう、多様性と拡張性を持たせた時空間情報の高精度化に継続して取り組んでまいります。

Ⅲ.組織・人事方針

多様な人財が活気溢れる組織でイキイキと活躍し、ステークホルダーに信頼される企業グループを目指します。

当社グループでは、経営戦略や変化する事業環境に対応できる人財の育成こそが、価値創造のマテリアリティであると捉えており、従業員のエンゲージメントレベル向上に資する各種制度の導入・運用により、「働きがい改革」に取り組んでまいります。

さらに、環境負荷低減を目指し、事業活動における温室効果ガスの排出量削減に取り組んでまいります。

Ⅳ.財務方針

利益確保及び資産効率の向上により、健全な財務基盤を維持しつつ、事業基盤強化のため、位置情報ビジネス分野への投資を継続するとともに、利益成長に基づいた株主還元を実施します。

(業績目標)

ZGP25 2nd Stageは、ストック型サービスの拡大、流通基盤から様々なサービス・ソリューションを創出するとともに、ビジネスモデルを具現化することにより、投資回収・営業利益率向上を優先課題として取り組んでまいります。

以上の取り組みにより、ZGP25の最終年度である2025年3月期には、連結売上高638億円、連結営業利益58億円(連結営業利益率9.1%)、連結自己資本当期純利益率(ROE)7.3%を目指します。

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