課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、良質で魅力ある専門コンテンツをベースに、デジタル技術を活用した次世代パブリッシングモデルを実現、それらの活動を通して、知恵と感動のある豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えております。

IT、音楽、デザイン、山岳・自然、モバイルサービス等の専門分野ごとの個性的なメディアブランドによる雑誌・書籍等の出版を中心に、電子出版、Webメディア、SNS、イベント・セミナー等、「紙・デジタル・リアル」の多面的な展開により、読者やユーザーに対し「実体験に基づいた、臨場感ある魅力的なコンテンツ」を届け、共通体験の場を増やしていくことを目指します。

また、これまで培ってきたパブリッシングモデルやメディア技術、マーケティング手法をコンテンツパートナーに提供するプラットフォーム事業を展開することで、ユーザーとの「知恵と感動の共有の輪」を広げていきます。

これらのビジョン実現のため、専門分野ごとの比較的小規模の事業会社と、財務・経営管理及びインキュベーション機能を集約した持株会社によるグループ経営によって、個々の事業会社の魅力とともに、相互連携によるグループ全体の企業価値を高めてまいります。

 

(2) 経営戦略及び経営環境等

当社グループは、持株会社である当社を中心にグループ各社が事業の独自性を活かし、顧客ニーズにあった製商品を機動的に提供していくことで、各社及びグループ全体の企業価値の増大を図る分社経営方針をとっており、IT、音楽、デザイン、山岳・自然、航空・鉄道及びモバイルサービス等の専門分野で構成されたそれぞれの分野でコンテンツ事業、プラットフォーム事業を行っております。

 出版業界を取り巻く事業環境は、依然として大変厳しい状況が続いており、紙の出版物の販売額は17年連続で減少していることに加えて物流コストの増加による配送問題が継続しております。当社グループでは、このような事業環境下において、社会的にDXの潮流が強まる中で対応すべく事業ポートフォリオの構造転換を進め、新たな成長基盤を構築することを中期経営計画に掲げ取り組んでおります。

 これらの取り組みを着実に進めており、事業区分別売上構成比率及び紙の出版物の売上比率が下図のように変化し、一定の成果が表れております。売上構成比では、出版・電子出版事業の構成比が若干増えたものの、より伸長率の高いネットメディア・サービス事業及びターゲットメディア事業の構成比が増加しております。また、同様に紙の出版物の売上比率も減少傾向にあり、事業ポートフォリオの転換期にあっても、7期連続増収・5期連続経常利益増益と、成長基盤の事業拡大を図りつつ着実に結果を残しています。

 

 


 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、良質で魅力ある専門コンテンツの強みを追求し、コンテンツ事業において堅実かつ着実な利益成長により安定した収益基盤を確保するとともに、中期的な視野で、新しい事業モデル、メディアビジネスのプラットフォームの創出に取組み、コンテンツ事業とのシナジーを追求することで、新たな価値創造に取り組むことを基本戦略としております。また、同取り組みにより、事業ポートフォリオの構造転換を進め、新たな成長基盤を構築することを中期経営課題として掲げております。

このような中、当連結会計年度の状況といたしましては、出版・電子出版、ネットメディア、ターゲットメディアの主要なコンテンツ事業の拡大により、連結業績は7期連続の増収、5期連続の経常利益の増益となりました。

次期におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化、ウクライナ情勢や急激な円安等、厳しい事業環境が想定されますが、不透明な事業環境下においても収益力の確保に努めるとともに、中期的な事業価値の向上を最優先に以下の課題に取り組んでまいります。

 

①  目標とする中期(5年)経営指標

現状の事業ポートフォリオにおいて、最大の事業規模である紙の出版事業を逓増させつつ、電子出版、ネット・ターゲットメディア及びサービス、プラットフォーム事業を拡大、これら事業の構成比を現53%から60%まで引き上げることで、連結の売上高を200億、経常利益を20億規模への拡大を目指し、企業価値の向上に取り組みます。

 

②  コンテンツ事業の競争力及び収益力の強化

各専門分野において、専門コンテンツとしての強みの強化と隣接分野への拡大を進め、コンテンツ事業の競争力を高めてまいります。 また、出版事業における販売・流通環境、原材料費の値上等の環境変化をふまえ、製造における生産性の向上及び原材料費の上昇への対応、返品率及び物流効率の改善に取り組み、収益力の向上を図ります。

また、当期に子会社化したイカロス出版の構造改革の実施とともに、「航空・鉄道」「デザイン」等の収益性が悪化した各分野について、収益性改善に向けた取り組みを推進します。

 

③  メディアミックス展開による新規事業モデルの開発

各専門分野のファンに向けて、多面的なメディア及びサービス(出版・ネットメディア・リアルな場(イベント・セミナー等))をプロデュース、ダイレクトチャネル(DtoC)における付加価値の高い会員サービスの創出により、会員基盤をベースとした(ファン)コミュニティーの構築及びエンゲージメントを高める取り組みを強化します。

 

④  プラットフォーム(PF)事業の拡大

従来培ってきたパブリッシングモデルやメディア技術、マーケティング手法をコンテンツパートナーに提供するPF事業の開発を促進し、新たな事業モデルの創出と事業規模の拡大を図ります。中でも、㈱メディアドゥと共同で新設した「㈱PUBFUN」において、POD出版サービスの規模拡大に積極的に取り組みます。

 

⑤  DX推進による事業モデルの進化とニューワークスタイルの促進

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、メディアミックス展開のさらなる進化を図るため、デジタル事業を支える顧客情報基盤、マーケティングの分析・運用基盤への投資を実行します。また、2022年7月に新設予定の「㈱IPGネットワーク」において、グループ横断の事業プラットフォームの構築・運営体制の強化と、新規プラットフォーム事業の開発に取り組みます。

なお、コロナ禍の対応として制度・ファシリティともに整備いたしました「テレワークを中心とした新しい働き方」への対応を継続的に推進し、一層の生産性の向上に取り組みます。

 

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