業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)事業の経過

① 企業グループを取り巻く経営環境

2021年度のわが国経済は、持ち直しの動きがあるものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が続いており、一部に弱さがみられ、物価上昇傾向にあります。東北地域においても同様の傾向にあります。

電力業界においては、電力小売全面自由化以降続く競争の激化、激甚化する大規模自然災害及びカーボンニュートラルに向けた取り組みなど、電気事業を取り巻く経営環境に多くの課題が顕在化しております。加えて、当社においては、本年3月の福島県沖を震源とする地震による発電設備などへの甚大な被害や、世界的な燃料価格の高騰により、非常に大きな影響が生じております。

このような中、当社企業グループは、東北電力グループスローガン「より、そう、ちから。」のもと、電力供給事業を基盤としながら、スマート社会実現事業の早期収益化に向け、これまで以上にお客さまや地域のみなさまのご期待に応えつつ、地域とともに持続的に成長していくため、様々な施策を展開してまいりました。

 

[発電・販売事業]

② スマート社会実現事業の取り組み

成長事業であるスマート社会実現事業については、電力小売を事業展開の切り口と位置付け、早期収益化に向けた取り組みを進めてまいりました。

お客さまのニーズや電気の使い方に応じた提案を行うとともに、電気とサービスのパッケージにより快適・安全・安心を届けるため、サービスの拡充に努めてまいりました。具体的には、電気設備と水回りのトラブルに対応する「すまい安心サポート」の提供エリアの拡大や、自家消費型太陽光システムの提案などに取り組んでまいりました。

スマート社会実現事業の中核的な役割を担うために設立した東北電力フロンティア株式会社においては、電気と動画配信サービスを組み合わせたバンドルサービスである「シンプルでんき With Netflix」の提供を開始いたしました。加えて、キャンプ用品レンタルサービス、絵本の定期購入サービス、リユース子供服の購入サービス及び賃貸住宅向けの保険など、暮らしを彩る様々なサービスを提供してまいりました。

東北電力ソーラーeチャージ株式会社においては、太陽光発電設備と蓄電池を活用した「あおぞらチャージサービス」の提供を進め、東北6県及び新潟県に加え関東エリアでの販売を開始いたしました。

また、地域の社会課題の解決に資する事業アイデアを募集する「TOHOKU EPCO BUSINESS BUILD」を実施し、新しい雇用の仕組みを活用したサービスなどの事業化を目指してまいりました。加えて、東北大学との間で連携・協力に関する協定を締結し、安心・安全で持続可能なグリーンかつスマートな未来社会の実現推進に取り組んでおります。

今後、サービス開発から販売開始のサイクルを早め、独自のサービス提供基盤の構築を加速するとともに、電力小売を切り口とする付加価値の高いサービスパッケージを提案することで、競争に打ち勝ち、早期収益化を図ってまいります。

 

③ 持続的な利益創出に向けた取り組み

電力販売については、競争激化による小売販売単価の低下や世界的な燃料価格の高止まりによるコストの増加により、非常に厳しい状況にあります。

このような中、電力小売については、競争環境の変化や市況の動向を踏まえ、収益性を重視した販売活動に取り組んでまいりました。また、多様化するお客さまニーズにお応えするため、家庭用のお客さまには、「70周年記念ご愛顧感謝キャンペーン」を実施するとともに、東部ガス株式会社などと提携し、電気とガスのセット販売に取り組んでまいりました。法人のお客さまには、カーボンニュートラル推進の動きを受け、環境価値を付加した電気料金メニュー及び太陽光発電設備の導入提案などを強化するとともに、サステナブル農業の実現に向けたソリューションサービスの提供を開始いたしました。

電力卸売については、東北電力エナジートレーディング株式会社による電力取引市場や燃料先物の活用など、柔軟な契約条件の設定や市場環境の変化をとらえた各種取引を行うことで収益力強化に取り組んでまいりました。

 

 

④ 再生可能エネルギーに関する取り組み

再生可能エネルギーについては、風力発電を主軸に、水力発電、太陽光発電、地熱発電、バイオマス発電を含めて、200万kWの開発を目指しており、開発案件が事業化された場合の持分出力の累計は約60万kWとなっております。

具体的には、田子風力発電事業(青森県、秋田県)の開発可能性調査を実施するとともに、鳥海南(山形県)や新潟東港(新潟県)におけるバイオマス発電事業に参画するなど、新たに7件の開発に取り組んでまいりました。

また、昨年4月、再生可能エネルギー電源及び関連設備のメンテナンス、オペレーション、トレーニングなどのサービスを提供することを目的に「東北電力リニューアブルエナジー・サービス株式会社」を設立いたしました。

引き続き、再生可能エネルギー発電事業の開発から運用・保守などライフサイクル全般に関与していくことで、地域に豊富に賦存する再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでまいります。  

 

⑤ 原子力発電所の安全性向上

原子力発電については、新規制基準への適合にとどまらず、より高いレベルでの安全確保に向けて、最新の知見も取り入れながら、設備面と運用面の両面から、さらなる安全性の向上に取り組んでまいりました。

女川原子力発電所2号機については、昨年12月、原子力規制委員会から工事計画認可をいただきました。安全対策工事については、2022年度の完了を目指して取り組んでまいりましたが、あらためて工事完了時期について評価した結果、原子炉格納容器の圧力抑制室の狭隘な場所において並行して行う複数の工事が工程に与える影響を考慮し、2023年11月の工事完了を目指していくことといたしました。また、本年1月には、特定重大事故等対処施設の設置に関し、原子力規制委員会に原子炉設置変更許可申請を行いました。本年2月には、国主催の原子力総合防災訓練に参加し、発電所の事故収束訓練、国や自治体との情報連携訓練及び避難退域時検査の要員派遣などに適切に対応いたしました。

 

⑥ 発電・卸売の競争力向上、脱炭素の取り組み

燃料市場や電力市場が大きく変化するなかでも競争力を高めるため、当社と東北電力エナジートレーディング株式会社が連携し、燃料調達から発電、卸売のバリューチェーンの最適化に取り組んでまいりました。また、電源の競争力を高めつつ環境性を確保するため、経年火力発電所の休廃止を進めるとともに、世界最高水準の熱効率を有する上越火力発電所1号機の建設を着実に進め、本年3月には試運転を開始しております。

昨年3月、2050年カーボンニュートラルへの挑戦に向け、“カーボンニュートラルチャレンジ2050”を策定し、取り組みの柱の1つとして、「火力の脱炭素化」を進めることとしており、各種実証を進めております。

新潟火力発電所においては、LNG火力の脱炭素化に向け、燃焼時にCO2を排出しない水素・アンモニア混焼の設備への適応性評価などに取り組んでまいりました。石炭火力の能代火力発電所においては、さらなるバイオマス燃料の混焼率向上を目的として、木質チップよりも高い熱エネルギーを有するブラックペレット混焼の設備への適応性評価などに取り組んでまいりました。

 

 

 

 

[送配電事業]

⑦ 災害対応と電力設備の強靱化

東北電力ネットワーク株式会社は、激甚化する大規模自然災害への備えやこれまでの経験を踏まえ、電力の安定供給に努めてまいりました。

このような中、昨年8月の青森県下北地区に甚大な被害をもたらした台風9号に伴う停電や、本年3月の最大震度6強を観測した福島県沖を震源とする地震に伴う停電に対し、当社と適切に連携しつつ防災体制を整え、迅速な停電復旧に努めました。また、災害対応力の向上などを目的に、東日本電信電話株式会社や海上保安庁との間で、相互協力に関する覚書などを締結いたしました。さらに、お客さまへのサービス向上のため、AIを活用した停電に関する問い合わせへの自動応答を開始するとともに、一般送配電事業者10社による停電や電柱・電線などの送配電設備に係るチャット受付対応を開始いたしました。これによりお客さまをお待たせすることなく、最新の停電情報などを伝えることが可能となりました。

引き続き、大規模停電を回避する設備形成や維持運用、様々な事業者との連携による災害対応力の向上に取り組んでまいります。

 

⑧ 再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取り組み

 安定供給の維持と再生可能エネルギー導入拡大を実現するため、電力ネットワークの環境整備を進めてまいりました。具体的には、東北北部募集プロセスや東北東京間連系線などの系統整備計画の着実な推進、既存電力系統の最大限の有効活用、需給・系統運用技術の高度化及び再生可能エネルギー出力予測精度のさらなる向上など技術的課題への対応に取り組んでまいりました。

また、内燃力発電が主体である佐渡島において、安定供給の維持と再生可能エネルギーの最大限の活用を目指し、太陽光発電や蓄電池、エネルギーマネジメントシステムなどを組み合わせた最適な電力需給制御の実現に向けた取り組みを開始いたしました。東北電力ネットワーク株式会社においても、引き続き、“カーボンニュートラルチャレンジ2050”の実現に向け、電力ネットワークの高度化を通じ、安定供給の維持と電源の脱炭素化に向けた環境整備などに積極的に挑戦してまいります。

 

 

(2)経営成績の分析

当連結会計年度の販売電力量の状況については、当社において、販売電力量(小売)が、新型コロナウイルスの影響で大幅に減少した前年度からの反動などにより増加したことから、販売電力量(全体)は、841億kWh(前年度比 1.9%増)となりました。

売上高は、「収益認識に関する会計基準」の適用による影響などから、2兆1,044億円となり、前連結会計年度に比べ、1,823億円(8.0%)の減収となりました。なお、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更) 1収益認識に関する会計基準等の適用」に記載のとおり、「収益認識に関する会計基準」等の適用前と比べ、4,529億円減少しておりますが、費用も同額減少していることから、利益に影響を与えるものではありません。

経常損益については、減価償却方法の変更により減価償却費が減少したものの、燃料価格の高騰による燃料費調整制度のタイムラグ影響に加え、卸電力取引市場の価格上昇や、昨年2月及び本年3月に発生した福島県沖を震源とする地震に伴う火力発電所の停止により、電力調達コストが増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,167億円減少し、492億円の損失となりました。

また、親会社株主に帰属する当期純損益は、関係会社株式等の売却益を特別利益に、本年3月に発生した福島県沖を震源とする地震に伴う被害設備の復旧に要する費用や東北電力ネットワーク株式会社におけるインバランス収支還元損失※1、※2を特別損失に計上したことに加え、最近の業績動向等を踏まえ繰延税金資産の回収可能性について検討した結果、繰延税金資産の一部を取崩したことにより法人税等調整額が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,377億円減少し、1,083億円の損失となりました。

なお、当連結会計年度における連結キャッシュ利益 ※3 は2,573億円となりました。

 

※1 インバランス

発電・小売電気事業者等が電力広域的運営推進機関を通じて一般送配電事業者へ提出した日々の発電・需要の計画と実績の差分のこと。一般送配電事業者は、この差分を補給もしくは購入した後、インバランス料金単価に基づき精算しております。

 

※2 インバランス収支還元損失

2021年12月に開催された「総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会」において、2021年1月の電力需給ひっ迫により高騰したインバランス料金のうち、200円/kWh(税抜)及び市場価格を超えた単価によって算定された小売電気事業者等の負担額を、将来の託送料金から毎月定額を差し引いて調整を行うことが取り纏められました。これを踏まえ、東北電力ネットワーク株式会社では、当該調整を実施するため、2022年1月27日に特例認可申請(電気事業法第18条第2項ただし書きによる措置)を行うとともに、その調整額を連結決算において特別損失として計上しております。

 

※3 「東北電力グループ中長期ビジョン『よりそうnext』」において「連結キャッシュ利益」を財務目標とし

て設定しております。(2024年度に3,200億円以上を目標)

「連結キャッシュ利益」= 営業利益+減価償却費+核燃料減損額+持分法投資損益

(営業利益は、燃料費調整制度のタイムラグ影響を除く。)
 

ウクライナ情勢の悪化などにより世界的にエネルギー価格が上昇し、燃料価格の動向が不透明感を増している中で、地震により被災した一部の火力発電所が停止したままであり、非常に厳しい経営環境が継続しているものと受け止めております。

当社としては、被災発電所の早期復旧に全力で取り組み供給力の安定化を図るとともに、契約内容の見直しなど、販売面での収益性の向上や、収支改善の取り組みをさらに深堀りし、悪化した財務体質の回復に努めてまいります。

 

 

 


 

当連結会計年度におけるセグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は次のとおりであります。

[発電・販売事業]

当社の販売電力量(小売)は、前連結会計年度に比べ夏場の気温が低かったことによる冷房需要の減少や競争の進展による契約の切り替えがあったものの、新型コロナウイルス影響の反動などにより、業務用・産業用での稼動が増加していることから、2.1%増の673 億kWhとなりました。このうち、電灯需要は、4.5%減の210億kWh、電力需要は、5.4%増の464億kWhとなりました。また、販売電力量(卸売)は、卸電力市場取引などが減少したものの、東北6県及び新潟県での卸売が増加したことなどから、0.9%増の167億kWhとなりました。

この結果、当社の販売電力量(全体)は、1.9%増の841億kWhとなりました。

売上高は、「収益認識に関する会計基準」の適用による影響などから、1兆6,028億円となり、前連結会計年度に比べ、1,327億円(7.6%)の減収となりました。(「収益認識に関する会計基準」等の適用影響 3,170億円 減少)

経常損益は、燃料価格の高騰による燃料費調整制度のタイムラグ影響に加え、卸電力取引市場の価格上昇や、福島県沖を震源とする地震に伴う火力発電所の停止により、電力調達コストが増加したことなどから、前連結会計年度に比べ969億円減少し、830億円の損失となりました。

 

[送配電事業]

当年度のエリア電力需要(kWh)は、前連結会計年度に比べ空調機器の稼動減などにより低圧が減少したものの、産業用その他における生産動向などにより高圧・特別高圧が増加したことから、2.8%増の790億kWhとなりました。

売上高は、「収益認識に関する会計基準」の適用による影響などから、7,931億円となり、前連結会計年度に比べ、608億円(7.1%)の減収となりました。(「収益認識に関する会計基準」等の適用影響 1,352億円 減少)

経常利益は、減価償却方法の変更により減価償却費が減少したことなどから、409億円となり、8百万円の増と前連結会計年度並みとなりました。

 

[建設業]

売上高は、配電工事や原子力関連の改良工事が増加したことなどから、2,999億円となり、前連結会計年度に比べ、287億円(10.6%)の増収となりました。

これにより、経常利益は、117億円となり、前連結会計年度に比べ、13億円(13.3%)の増益となりました。
 

 

 

[その他]

売上高は、ガス事業における増加などがあったものの、製造業や情報通信業における減少などにより、2,073億円となり、前連結会計年度に比べ8億円(0.4%)の減収となりました。

経常利益は、ガス事業における原料費増加などにより、100億円となり、前連結会計年度に比べ、7億円(6.9%)の減益となりました。

 

(3) 財政状態の分析

資産は、女川原子力発電所2号機の安全対策工事や、上越火力発電所1号機新設工事などにより建設仮勘定が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ、2,545億円(5.7%)増の4兆7,256億円となりました。

負債は、建設工事などに充てるための有利子負債が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ、3,771億円(10.6%)増の3兆9,466億円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ、1,225億円(13.6%)減の7,789億円となりました。
 

 

 

(4) キャッシュ・フローの状況の分析

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

燃料価格の上昇により燃料購入支出が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,204億円(55.3%)減の971億円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投融資による支出が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ672億円(26.4%)増の3,221億円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入れによる収入が増加したことなどから、前連結会計年度の支出から収入に転じ、2,932億円の収入(前連結会計年度は57億円の支出)となりました。

 

この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に比べ688億円(32.8%)増の2,784億円となりました。

 

フリー・キャッシュ・フロー は前連結会計年度に比べ1,888億円(833.3%)減の△2,115億円となりました。

 

   ※ フリー・キャッシュ・フロー

     <算出方法>

       営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー - 利息及び配当金の受取額

            - 利息の支払額

                                              (単位:億円)

 

  前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日

  当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日

増 減

営業活動によるキャッシュ・フロー(A)

2,176

971

△1,204

投資活動によるキャッシュ・フロー(B)

△2,549

△3,221

△672

利息及び配当金の受取額(C)

11

10

△0

利息の支払額(D)

△157

△145

12

フリー・キャッシュ・フロー(A+B-C-D)

△226

△2,115

△1,888

 

 

 

また、キャッシュ・フロー指標の変動は次のとおりであります。

 

前連結会計年度
(自 2020年4月1日
 至 2021年3月31日 )

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日 )

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

11.2

28.4

 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

13.8

6.7

 

(注)1  キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー

    2  インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業活動によるキャッシュ・フロー/利息の支払額

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

① 資金調達方針並びに状況

当社は、電気事業における安定供給に必要な設備投資、社債などの償還資金への充当及び東北電力グループ中長期ビジョンに掲げた再生可能エネルギー事業、スマート社会実現事業への投資などの資金需要に対し、資金調達環境の動向や有利子負債、現金及び現金同等物の適正な保有額を総合的に勘案し、社債の発行及び、金融機関からの借入金等を組み合わせて安定的に資金を調達しております。

社債については、当連結会計年度において、一般担保付社債を総額2,500億円発行しております。これらは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりA+、株式会社日本格付研究所(JCR)よりAAの長期債格付を取得しております。なお、当社は、2020年3月27日に「電気事業法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第47号)」(平成27年6月成立)に基づき、経済産業大臣の認定のもと、2020年度から5年間に限り、一般担保付社債の発行が可能となる経過措置を受けております。

また、当社は、2021年8月に当社として初めてとなるグリーンローンによる資金調達を実施し、その後計4回のグリーンローンを実施するなど、再生可能エネルギー事業に対する積極的な取り組みを資金調達面から支えるとともに、さらなる資金調達の多様性や安定性の確保に努めております。

 

上記による資金調達の結果、当連結会計年度末の社債発行残高及び借入金残高はそれぞれ1兆2,750億円、1兆3,853億円となっております。

短期的な資金需要に対しては、機動的なつなぎ資金調達の手段としてコマーシャル・ペーパーなどを活用しております。コマーシャル・ペーパーは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりa-1の短期債格付を取得しており、当連結会計年度は2,000億円の発行限度枠を設定しております。

 

② 資金の流動性に係る情報

当社は、月次での資金計画などにより、資金需要を的確に把握することに努めるとともに、金融機関との間に当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結していることから、電力需要の変動などに伴い、営業活動によるキャッシュ・フローが減少した場合でも、必要に応じて極度枠の範囲内で速やかに資金調達ができる体制を整えることにより、充分な流動性を確保しております。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社企業グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

当社企業グループは、固定資産の減損、繰延税金資産、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。

 

(6) 生産、受注及び販売の実績

当社企業グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるため「生産実績」を定義することが困難であります。また、建設業においては請負形態をとっており、「販売実績」という定義は実態にそぐわないため、生産、受注及び販売の実績については、記載可能な情報を「(2)経営成績の分析」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。

なお、当社個別の事業の状況は次のとおりであります。

 

① 供給力実績

種別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年度比(%)

自社発電電力量

 

 

 

水力発電電力量

(百万kWh)

8,028

101.7

火力発電電力量

(百万kWh)

51,891

101.9

原子力発電電力量

(百万kWh)

新エネルギー等発電電力量

(百万kWh)

612

87.0

融通・他社受電電力量

(百万kWh)

32,780

△5,109

98.1

79.3

揚水発電所の揚水用電力量

(百万kWh)

△314

292.8

合計

(百万kWh)

87,889

101.7

出水率

(%)

96.2

 

(注) 1 停止中発電所の所内電力量は、自社事業用電力量として、販売実績に記載しております。

2 融通・他社受電電力量には、連結子会社からの受電電力量(東北電力ネットワーク㈱ 3,833百万kWh、酒田共同火力発電㈱ 4,795百万kWh、東北自然エネルギー㈱ 441百万kWh 他)、送電電力量(東北電力ネットワーク㈱ 4,557百万kWh)を含んでおります。

3 融通・他社受電電力量の上段は受電電力量、下段は送電電力量を示しております。

4 揚水発電所の揚水用電力量とは貯水池運営のため揚水用に使用する電力であります。

5 出水率は、1990年度から2019年度までの30ヶ年平均に対する比であります。

6 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合があります。

 

② 販売実績

種別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年度比(%)

販売電力量(百万kWh)

電灯

20,990

95.5

電力

46,356

105.4

小売 計

67,346

102.1

卸売

16,718

100.9

合計

84,064

101.9

 

(注) 1  停止中発電所の所内電力量は、自社事業用電力量として、販売実績に記載しております。

2 小売には自社事業用電力量(139百万kWh)を含んでおります。

3 卸売には特定融通等を含んでおります。

4 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合があります。

 

 

 

③ 資材の状況

 石炭及び燃料油等の受払状況

区分

単位

2021年
3月末
在庫量

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

2022年
3月末
在庫量

受入

前年度比
(%)

払出

前年度比
(%)

石炭

t

1,001,304

8,897,217

104.35

9,197,223

111.92

701,298

重油

kl

27,590

360,540

1,254.53

321,802

356.06

66,328

原油

kl

25,301

14,974

37.33

40,275

65.63

LNG

t

227,524

3,849,214

89.16

3,893,113

90.93

183,625

 

 

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