当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
当期における我が国の経済状況は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続きました。また、世界の経済状況においても、新型コロナウイルス感染症の影響等によるサプライチェーンの停滞や半導体不足等により厳しい状況が続きましたが、持ち直しの動きもみられました。一方で、急速な円安ドル高の進行や、2022年2月に発生したロシアのウクライナ侵攻に伴う原材料価格の上昇等により、景気の下振れリスクが懸念されました。
このような状況のなか、当社グループは、2023年度(2024年3月期)を最終年度とする「中期経営計画2023」を策定し、その達成に向けて「①基盤分野の強化と成長分野の拡大」「②研究開発投資の拡大」「③持続的なESGの取り組み」を重点施策とし、全社を挙げて取り組んでまいりました。
当連結会計年度における当社グループの業績は、次表のとおりとなりました。
(注)当連結会計年度より、収益認識に関する会計基準を適用しております。
また、前連結会計年度より、Wigen Companies, Inc.及びRood Wit Blauw Water B.V.を連結の範囲に含めております。
なお、前期において、退職給付信託に拠出していた株式の売却による未認識数理計算上の差異(貸方差異)の一括償却として、原価及び販売管理費への戻し入れを実施しております。同じく前期において、従業員に対する特別慰労金を支給しております。これらによる前期の営業利益への影響額は、1,735百万円となっております。
当社グループの事業は、「プラントエンジニアリング事業セグメント」に基盤分野であるEPC事業及び成長分野と位置付ける海外事業が区分され、また、「サービスソリューション事業セグメント」に基盤分野であるO&M事業及び成長分野と位置付けるPPP事業が区分されております。セグメント別の業績は次のとおりです。
(プラントエンジニアリング事業)
プラントエンジニアリング事業における業績は、次表のとおりとなりました。
EPC事業においては、売上高及び営業利益共に前期を下回りました。海外事業においては、売上高は北米及び欧州の子会社の業績が好調に推移したこと等により前期を上回りましたが、営業利益は前期を下回りました。
(注) 前期において、退職給付信託に拠出していた株式の売却による未認識数理計算上の差異(貸方差異)の一括償却及び従業員への特別慰労金の支給を実施しており、その影響額を除いた営業利益を参考として記載しております。
(サービスソリューション事業)
サービスソリューション事業における業績は、次表のとおりとなりました。
O&M事業においては、売上高及び営業利益共に好調に推移し、前期を上回りました。また、PPP事業においても、売上高及び営業利益共に前期を上回りました。
(注) 前期において、退職給付信託に拠出していた株式の売却による未認識数理計算上の差異(貸方差異)の一括償却及び従業員への特別慰労金の支給を実施しており、その影響額を除いた営業利益を参考として記載しております。
(受注及び販売の状況)
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2. 受注高のうち、官公庁からの受注が9割以上を占めております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
(1) 経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループの業績は、受注高は前連結会計年度に比べ4.3%減少の152,279百万円となり、売上高は前連結会計年度に比べ1.7%増収の135,557百万円となりました。なお、セグメント別の経営成績につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析 (業績等の概要)」に記載のとおりであります。
売上原価は、前連結会計年度に比べ、3.2%増加の107,065百万円となりました。販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ8.5%増加の20,344百万円となりました。
これらの結果、営業利益は前連結会計年度に比べ25.0%減益の8,146百万円となりました。また、経常利益は前連結会計年度に比べ20.8%減益の8,751百万円となりました。特別損失の計上はありません。以上により、税金等調整前当期純利益は8,751百万円となり、前連結会計年度に比べ20.8%の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ4.5%減益の6,245百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,871百万円増加し、133,065百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金が増加しましたが、仕掛品が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ310百万円減少し、108,939百万円となりました。
固定資産は、公共施設等運営権並びにソフトウエア仮勘定が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ2,181百万円増加し、24,125百万円となりました。
流動負債は、買掛金が増加しましたが、前受金が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ5,610百万円減少し、56,980百万円となりました。
固定負債は、PFI等プロジェクトファイナンス・ローン並びに退職給付に係る負債が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ1,365百万円増加し、16,536百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、前連結会計年度末に比べ6,115百万円増加し、59,548百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
主な資金需要は、運転資本、設備投資、研究開発、IT投資に対するものであり、それらの資金は主に営業キャッシュ・フローで充当しており、必要に応じて借入金による調達で対応しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は20,613百万円となり、前連結会計年度末に比べ、2,569百万円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
契約負債の減少による支出5,207百万円、法人税等の支払による支出4,292百万円となりましたが、税金等調整前当期純利益8,751百万円、売上債権及び契約資産の増加による収入3,121百万円などにより、営業活動に伴う資金の増加は6,635百万円(前年同期比3,768百万円減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出1,206百万円、無形固定資産の取得による支出1,577百万円、公共施設等運営権の取得による支出1,000百万円などにより、投資活動に伴う資金の減少は3,846百万円(前年同期比594百万円増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
PFI等プロジェクトファイナンス・ローンの借入による収入1,600百万円となりましたが、配当金の支払による支出1,741百万円、PFI等プロジェクトファイナンス・ローンの返済による支出863百万円などにより、財務活動に伴う資金の減少は628百万円(前年同期比1,475百万円減)となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
3.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しているとおり、事業環境や国際情勢の変動、大規模災害・事故、法令規制・コンプライアンス、製品・サービスの品質等、様々なリスクが当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
(5) 重要な会計方針及び重要な会計上の見積り・当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計基準に基づいて見積りが行われており、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しております。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針や見積が連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があると考えております。
・履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり認識する収益
当社グループは、工事契約による請負、役務の提供(以下、工事契約等)については、一定の期間にわたり履行義務は充足されると判断し、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり収益を認識する方法(履行義務の充足に係る進捗度の見積りはコストに基づくインプット法)を適用しております。履行義務の充足に係る進捗度は案件の原価総額の見積りに対する連結会計年度末までの発生原価の割合に基づき算定しております。
ただし、想定していなかった原価の発生等により進捗度が変動した場合は、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する収益及び費用の金額に影響を与える可能性があります。
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