課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「自然の摂理にのっとり、人類の創造的発展と世界平和に寄与する」という企業理念のもと、旅行のみならず様々な事業を通じて、常に変化・発展し続ける企業として、世界の平和に貢献できる新しいビジネスモデルの構築を目指します。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略および目標とする経営指標

当社グループは、既存の事業領域に加え、新たな可能性を追求し続けるべく新規事業領域へのチャレンジに積極的に取り組んでまいります。そして、現在の旅行事業を中心とした経営体制から変革し、より強固な事業ポートフォリオの確立および事業ポートフォリオの転換を通じた収益体質の強化を図り、更なる企業価値の向上を目指してまいります。また、これらを成し遂げるためには事業の持続的な成長が不可欠であり、各事業の売上高・営業利益の成長率を重視の上、財務の安定性基準として自己資本比率20%以上、収益性の基準としてROE10%以上を当面のターゲットといたします。なお、経営指標等を織り込んだ詳細な中期経営計画の策定につきましては、環境変化の予見がある程度可能であることを要件とし、2022年10月期からの3ヵ年計画、もしくは2023年10月期からの3ヵ年計画として検討を進めていく予定です。

 

(3)対処すべき課題

今後の経営環境につきましては、引き続き世界的な新型コロナウイルス感染拡大に伴う景況感の悪化が懸念されており、終息時期が不透明な中、国内外において経済活動の回復が見通せない状況が続くと予想されます。

このような経営環境の中、当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりです。

 

① 新型コロナウイルス感染症拡大への対応

 当社グループにおいても、足元の業績悪化により、財務基盤が毀損されるなど大きな影響が出ているため、新型コロナウイルス感染拡大の影響を軽減することが重要な課題であると認識し、最優先で取り組んでまいります。

 

〇 財務の健全化

 自己資本の充実化及びフリーキャッシュフローを生み出す体制の構築が目下の課題と認識しております。状況に応じた資金調達や蓄積した保有資産の流動化等により、当面の手元流動性を確保しながら、コスト削減の徹底による体質強化、市場環境ビジビリティの改善までは投資計画を慎重に構えるなどキャッシュアウトを抑制し、キャッシュポジションの改善を図ってまいります。

 

〇 ウィズコロナ、アフターコロナ時代を見据えた経営

 コロナ禍における新しいコスト構造をベースとした経営を推進し、独自性や競争優位性を生かした事業展開により、早期の業績回復を目指してまいります。また、業界再編の可能性などアフターコロナの機会を確実に捉え、更なる成長を加速させてまいります。

 

② あらゆる変化への対応

 当社では、認識の視野を広げ、現状を知ることが、未知を考え・守るきっかけとなり、ひいては、SDGsへ繋がると考えています。地域の文化や歴史遺産、自然環境などの地域資源に目を向け、その土地の暮らしに敬意を払うことができるよう、また全ての関係者一人一人が各々の意識や行動に責任を持つよう、持続可能な観光の実現のための取組みに注力してまいります。

 加えて、テクノロジーの進化とともに社会やビジネスが劇的に変貌を遂げている中で、既定概念に捉われることなく新たな可能性を見出し、あらゆる変化に対応し続けていくことが、持続的な成長を可能にすると考えております。

 各事業領域において、生産性の向上や収益性の改善が当面の課題と認識しており、解決に向けデジタルトランスフォーメーションを推進し、効率的な事業構造への変革を図り、新たなビジネスモデルの確立を目指すと共に、今後もグループ企業理念のもと、全てのステークホルダーの理解を深め、サステナブルな取組みを推進すべく、取り組んでまいります。

 

③ 顧客満足の追求と安全・安心な商品の提供

 世界中で信頼され、お客様からご支持いただけるグローバル企業になるために、快適で安全・安心なサービスの提供が不可欠であると考えております。当社グループの持つ世界ネットワークやインフラを最大限に活用し、新たな体験価値の創造や、充実したサービスの提供を図ることで、今後も、安全、安心、高品質な商品やサービス、情報の提供に努めてまいります。また、国内外においてサービスレベルの向上を図ることで、世界中のお客様に喜ばれ、ご支持いただけるよう取り組んでまいります。

 

④ グループガバナンスの強化

 当連結会計年度において、連結子会社の社長等による、GoToトラベル事業の趣旨に反した申請事実が発生いたしました。今般のGoToトラベル不正受給問題に係る調査の過程においては、GoToトラベル事務局による宿泊実態等に関する調査が、2020年12月から開始されていたにも関わらず、その状況に関しては、長期間にわたり上記連結子会社2社から親会社に対する報告がなされておらず、また、親会社としてもそれを把握することができておりませんでした。各社のコンプライアンス意識の乏しさや、親子間の適切な情報共有が行われていなかったという当社の関係会社管理体制については非常に反省すべき点であると認識しております。
 当社としては、こうした事実の発生を重く受け止め、以下の再発防止に向けた改善措置を着実に実施し、より良いグループ運営を実行し信頼回復に努めてまいります。
 

〇 コンプライアンス意識の改革
 当社のリスク・コンプライアンス委員会の活動を通じ、当社グループのコンプライアンス施策の実施、コンプライアンス意識の向上を図ります。事務局としてのリスク管理室は、子会社役職員にコンプライアンス違反が疑われる事案に遭遇した際の報告・相談窓口として機能します。また、経営トップがコンプライアンス遵守を発信するとともに、Go To トラベル事業の趣旨の再確認を含むコンプライアンス研修を実施します。さらに、グループ各社のマネジメント層との面談を実施し、コンプライアンス意識の確認を進めます。

 

〇 各社取締役会による監督機能の強化
 社長の業務執行に対する監視・監督機能を強化するため、各社取締役会における付議事項の見直しを実施するとともに、十分な検討時間や事前の情報共有、事後の進捗報告等により取締役会の審議の実質化・充実化を図ります。また、従前当社役職員からの役員任命が行われてこなかった子会社についての任命要否を再検討するとともに、現在の任命役職員の定期的な見直しを行ってまいります。

 

〇 親会社による子会社管理の強化

 前記のとおり、従前当社役職員からの役員任命が行われてこなかった会社(特に当社から見た孫会社の中で、グループ連結業績に与える影響が大きいと思われる会社)について任命要否を検討します。また、関係会社管理規程を見直して一定金額以上の経常的取引についても報告義務を課すほか、事前承認・報告ルールの周知徹底及び事後チェックを通じて運用状況を改善してまいります。また、人材の採用・育成・確保等を含めた関係会社管理部門の体制の強化を図ります。
 

〇 内部監査の強化

 内部監査については、IT を活用したリスク分析の強化、監査部門の人員補充を含めた監査体制の強化並びに助成金受給に関する項目追加など監査項目の見直しを検討してまいります。
 

〇 不祥事の早期発見のための取組み

 内部通報制度をグループ横断型の制度とし、定期的に制度の周知を図ります。また、グループ各社経営層に対する定期的なアンケートを通じてコンプライアンス意識の浸透や不正発生への抑止力を高めます。
 

〇 その他の再発防止に向けた改善措置(IT 統制について)
 内部不正の早期発見や事後的監査の効率的実施、IT 統制の観点から各種施策を実施してまいります。

 

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