(業績等の概要)
[事業活動の取り組み状況及び業績]
グローバルでのデジタルトランスフォーメーション等の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でビジネス拡大を図るとともに、市場の変化に対応したデジタルオファリングの拡充、システムインテグレーションサービスの提供等の多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。
当期における業績につきましては、海外事業の規模拡大及び収益性の改善、国内事業の順調な規模拡大等により、当期利益をはじめとする全ての項目について過去最高を更新しました。受注高は海外事業の規模拡大及び為替影響により増加しました。売上高は、全セグメントにおける規模拡大に加え、為替影響により33期連続増収を達成しました。営業利益は、増収及び海外における事業構造改革の効果等により増益となりました。
セグメント別の取り組み及び業績については、以下のとおりです。
(公共・社会基盤)
IT基本法の見直しやデジタル庁設置などを契機としたデジタル社会実現への加速を踏まえ、政府・インフラ企業の基幹業務のシステム更改を確実に獲得しつつ、Society 5.0に基づく成長戦略やデジタル・ガバメント実行計画に沿った新たな社会システム実現に向けた利用者目線での新規ビジネス創出等により事業拡大をめざしました。
<迅速な災害対策と関係組織の情報連携を促進>
・自治体やインフラ事業者向けに災害対策業務をト ータルで支援するデジタル防災プラットフォーム「D-Resilio」を2021年7月より提供開始しました。デジタル衛星画像やドローンを用いた広範囲における状況把握、Twitterによる被災地住民のリアルタイム情報収集等、当社が有する先端技術を活かし、災害発生時におけるデータ収集や収集データの可視化・分析による対策本部の意思決定の支援を行い、迅速な災害対策を可能とします。また、当社が保有する減災コミュニケーションシステムを活用し、一度の操作で屋外スピーカーやスマートフォン等多様な伝達媒体へ一括で情報配信が可能になる等、災害対策時の全フェーズにおいてデジタル技術を活用した業務遂行支援を実現します。また、本プラットフォームは既存の災害対策関連システムや県の総合防災情報システム等の他システムと簡易に連携可能であり、自治体やインフラ企業等の関係機関における情報連携も支援します。
<行政・金融機関のデジタル化・効率化、ESGの実現に貢献>
・行政機関が金融機関へ要請する預貯金照会業務のデジタル化の実現に向け2019年より提供開始した「pipitLINQ」の業務効率化の有用性が幅広く認められ、2021年度では国税庁、日本年金機構、全国206自治体、りそなグループ全社、ゆうちょ銀行など51金融機関、生命保険会社で導入されました。行政機関と金融機関・生命保険会社の双方がpipitLINQに加入することで、今まで全て紙ベースで行われていた預貯金等照会が電子データによる照会となることにより、書面を取り扱う人的負担や郵送によるコスト及び回答までのタイムラグが大幅に軽減され、迅速かつ適正な業務の実現につながります。高い信頼性とセキュリティを有したクラウドサービスであるOpenCanvas(注1)上に構築し、AnserDATAPORT(注2)や保険会社共同ゲートウェイ(注3)を最大限活用することで、セキュアかつ低コストのサービスを実現します。
当期の公共・社会基盤セグメントの業績は以下のとおりです。
・売上高は、中央府省及びテレコム向けサービスの規模拡大等により、582,435百万円(前期比7.8%増)となりました。
・営業利益は、ビジネス拡大のための先行投資及び不採算案件の発生はあるものの、増収等による増益により、68,092百万円(前期比0.4%増)となりました。
(金融)
規制緩和や技術革新による金融機関の事業環境の大きな変化に加え、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い価値観や生活様式も大きく変化し、キャッシュレス・ペ ーパーレスなどのデジタルシフトが加速しています。当社は引き続き高信頼で高品質な金融インフラを支え続けるとともに、お客様との共創や新技術により、より良い社会の実現に貢献するビジネス拡大をめざしました。
<金融機関の勘定系システム等の安全性・信頼性を保持したオープン化を実現>
・金融機関の勘定系システム等、高い信頼性が求められるシステムを安全にオープン化(注4)できるフレームワーク「PITON(ピトン)」を2024年から次期MEJAR(注5)に適用し、2026年目途で更改予定のしんきん共同センターの次期勘定系システムでも採用することが決定しました。PITONにより、メインフレーム(注6)向けに開発された既存の業務アプリケーションは、変更を加えずにオープン系の基盤上での稼動が可能となり、オープン化の移行リスクが低減します。PITONによるオープン化によって、システムを構成するハードウエアや製品等の中長期的な確保が可能となり、システムの継続性が確保されるとともに、オープン系の技術者はメインフレーム技術者と比べ母数が多いため、システムの開発・維持・運用に必要なIT人材確保も容易になります。また、PITONはメインフレーム向けアプリケーションのオープン系基盤上での稼動を可能にすることから、システムと最新技術の親和性が向上するため、利用金融機関のデジタル化やコスト削減にもつながります。更に、オープン化によって勘定系システムのクラウドやデータセンターの活用が進むことにより、将来的に消費電力削減等によるお客様の脱炭素化への貢献も期待できます。
<業界の垣根を越えたデジタル化を推進>
・フィンテック企業や自治体等「API利用者」と金融機関「API提供者」をつなぐオープンなプラットフ ォームである、オープンAPI(注7)の市場「API gallery」を2021年10月に開設し、2021年度末時点で約50社が参画しています。新しい金融IT戦略である「Open Service Architecture」(注8)のコンセプトに基づき、組込型金融や金融機関と行政機関のシステム接続など業界の垣根を越えたデジタル化を推進することで、「ANSER」等に代表される当社の金融ITインフラについて、いっそうの利用拡大を促進します。
<取引の厳格な監視と規制変化への柔軟性を両立し、日本最大の口座数・顧客数に対応>
・ゆうちょ銀行のアンチマネーロンダリング向けシステム(注9)を2021年7月から開発に着手し、2024年のサービス開始をめざします。同システムは「モニタリング」「リスク格付け」「スクリーニング」「顧客管理」の4つの機能を備え、マネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐため、取引の厳格な監視と規制変化への柔軟性を両立します。これにより、日本最大の口座数・顧客数を持つゆうちょ銀行の大量の取引に対するサービスの継続を可能とする性能が確保されます。
当期の金融セグメントの業績は以下のとおりです。
・売上高は、銀行向けサービスの規模拡大等により、633,063百万円(前期比4.2%増)となりました。
・営業利益は、増収等による増益により、62,332百万円(前期比9.9%増)となりました。
(法人・ソリューション)
ウィズコロナ社会で加速するデジタル化の波を捉えるとともに、需要回復の機会も着実に捉えることにより、日本を代表する企業とともに先進デジタル領域での取り組みを加速し事業成長に貢献することで、更なるビジネス拡大をめざしました。また、当社は先進テクノロジーやグローバルソリューションを活用した独自の強みを拡充し、より高い付加価値を提供することで、グローバルでの競争力を強化しました。
<ライオン株式会社のDX(注10)推進プロセス確立・展開、人材開発の強化>
・当社は、ライオン株式会社(以下:ライオン)とともにDX推進に関する業務提携を2022年1月より開始しました。ライオンがめざす「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」というパーパスを実現するデジタル基盤の構築と、同基盤を最大限活用した事業変革に向けて、DX推進プロセスの確立・展開と人材開発の強化を行います。具体
的には、当社が提供するデジタルサクセスプログラム(注11)を活用し、ライオンのDX戦略立案、実行、定着化に取り組みます。また、ライオン社員向け専用講習の開発や当社の研修への参加により、ライオンにおけるDXを推進する多様な人材の育成を行います。
<カーボンニュートラル実現のための取り組みを開始>
・当社は、2022年1月より提供しているグリーンコンサルティングサービスについて、三菱重工業株式会社の AI ソリューション「ENERGY CLOUD」を活用して、製造業向けに高度化し提供開始しました。本サービスの特長は、製品単位に留まらず、生産時期、ラインごとのCarbon Foot Print(注12)が把握可能となり、サプライチェ ーンも含めたGHG(温室効果ガス)排出量の可視化に加え、その可視化データを用いてGHGプロトコルScope1及び2(注13)の削減を実現します。また、2022年2月よりGHG排出量可視化プラットフォームを提供開始しました。企業にGHG排出量の可視化が求められる中、最適な算定方法の選定が難しい等の課題がありますが、当社は、実績のあるメソッドを活用することで、排出量算定に必要な活動量を事業活動やデータから取得・調査し、削減アクションにつながる算定シナリオを作成し算出を行い企業の排出量可視化を支援します。また、サプライヤー企業の排出量削減効果を自社の排出量へ反映できる方式を採用します。この方式を採用する際に時間のかかる初期のプロセス構築やサプライヤー別排出原単位(注14)の把握に加え、企業のニーズに合わせたその他複数の算定方式を兼ね備えたハイブリッド型の算定方式の提供により可視化を支援します。
当期の法人・ソリューションセグメントの業績は以下のとおりです。
・売上高は、製造業、流通業及びサービス業向けサービスの規模拡大等により、652,907百万円(前期比10.5%増)となりました。
・営業利益は、ビジネス拡大のための先行投資等による費用増はあるものの、増収に伴う稼働率の改善等により、64,146百万円(前期比22.6%増)となりました。
(北米)
ウィズコロナ社会における新たなニーズの拡大等、市場環境が継続して変化する中、2020年度に実行した事業構造改革の成果を通じたデジタルとコンサルティング領域の更なる強化を図り、既存の強みを掛け合わせることで、お客様のDXをサポートしました。
<M&A及び事業売却を通じ、デジタル対応力の強化及びデジタルシフトを更に推進>
当社子会社であるNTT DATA Servicesは、M&A及び事業売却を通じた選択と集中による事業ポートフォリオの最適化によって、デジタル対応力を強化するとともに、デジタル中心の事業ドメインへの変革を更に推進しました。
・Nexient, LLC及びChainalytics, Inc.に続き、CX(注15)分野に強みを有するVectorform, LLCを2022年3月に買収しました。戦略的なデジタル投資による成果が得られる中、本買収をとりわけ好調なアプリケーション開発・モダナイゼーション(注16)領域における更なる取り組み強化の一環として行うことにより、デジタル対応力の強化、デジタルオファリングの拡充を加速していきます。
・非デジタル事業の売却を完了し、デジタル中心の事業体系への組み替えを進めることで、デジタルシフトの加速及び収益性の改善に貢献しました。
<金融分野における複数のお客様へDXにおける取り組みを推進>
当社子会社であるNTT DATA Servicesは、デジタル領域における知見やデジタルオファリングを活用し、複数のお客様のDXにおける取り組みを推進しました。
・北米の大手金融機関より、アプリケーションモダナイゼーションやデジタル・エクスペリエンス(注17)の向上等、お客様のDX戦略の推進をサポートする大型更改契約案件を2022年1月に受注しました。このサービスはクラウド移行やCX改善、オムニチャネル(注18)等を実現するデジタルケイパビリティの提供により、お客様のデジタルサービスの強化に貢献します。
・Everlake Life Insurance Companyを含む複数の年金・生命保険業界のお客様より当社のデジタルオファリング「GIDP」を活用したTPAサービス(注19)に関わる大型契約案件を受注しました。GIDPは、年金・生命保険業界のお客様に最適な様々な機能・サービス・ソリューションを組み合わせ、コンサルティングからデジタルプラットフォームの導入、BPO移行・運用までの一貫した提供に貢献します。
これらの案件は、金融業界における深い知見及び、デジタル領域における技術力強化の成果が高く評価されたものであり、引き続きお客様のDXの推進に貢献していきます。
当期の北米セグメントの業績は以下のとおりです。
・売上高は、一部事業売却による減収はあるものの、ヘルスケア向けサービス等の規模拡大に加え、M&A及び為替影響等により、475,656百万円(前期比10.8%増)となりました。
・営業利益は、事業構造改革の費用減及び効果、増収等により、17,169百万円(前期比-%)となりました。
(EMEA・中南米)
ウィズコロナ社会における新たなニーズの拡大等、市場環境が大きく変化する中、デジタル人財・デジタルアセットの強化によるデジタルビジネスの拡大を図るとともに、グローバルブランドの統一・事業会社の一体運営を早期に実現し、お客様のDXへのニーズに的確に対応しました。
<グローバルブランド統一・事業会社統合によるお客様提供価値の向上>
欧州・中東・アフリカ・中南米地域(以下:EMEAL地域)における事業運営の統合により、これまで以上に一体的なグローバル事業展開を推進、お客様と社会のデジタルによる変革を支援しました。また、スタッフ部門の効率化やニアショア・オフショアの推進など運営面も効率化し、市場からの反応や第三者機関によるブランド価値評価も向上しました。
・everis及びitelligenceは、独自のブランドを通じ培った各地域マーケットにおける信頼感を重視し、現在まで既存のブランドで事業を継続してきましたが、 2021 年 4 月よりそれぞれのブランドを “NTT DATA” へ統合しました。
・EMEAL地域の地域統括会社「NTT DATA Europe & Latam, S.L.U.」を2021年9月に新たに設立しました。
※NTT DATA Europe & Latam, S.L.U.にはitelligence(現在の商号:NTT DATA Business Solutions AG)は含まれません。
<お客様事業のデジタル化の取り組みを通じて、社会課題の解決に貢献>
先進技術を活用したDXにおける豊富な実績が高く評価され、デジタル化案件の戦略的パートナーに選ばれました。
・スペイン政府100%出資の鉄道会社Renfe OperadoraよりMaaSプラットフォーム構築における要件定義、構築、展開、運用まで5年間の契約を受注しました。このプラットフォームは様々な交通事業者やホテル・レジャー施設等を統合するプラットフォームで、ユーザーがWEBやアプリケーションを利用することで、時間や場所を問わず旅行の計画や、旅行中に必要な交通手段の手配・サービスの予約等を可能とする包括的なソリューションを提供します。
・欧州医薬品庁向けの治験の提示・評価・監督のための治験情報システム「CTIS(Clinical Trial Information System)」の本番運用を2022年1月に開始しました。このシステムは、EU及びEEAにおける臨床試験の登録から評価までをモニタリングする唯一のシステムであり、加盟国間の連携や治験の重複・反復回避を可能とし、欧州における治験の効率化を促進します。
当期のEMEA・中南米セグメントの業績は以下のとおりです。
・売上高は、スペイン及びドイツ等での規模拡大及び為替影響等により、550,885百万円(前期比21.3%増)となりました。
・営業利益は、グローバルブランド統一及び追加施策に係る費用増はあるものの、低採算事業見直しによる前期の一時的な費用の減、事業構造改革の効果及び増収等により、15,608百万円(前期比-%)となりました。
当期末における主な海外拠点の状況は以下のとおりです。
(2022年3月31日現在)
(注1)OpenCanvas
行政機関や金融機関に求められる高い信頼性やセキュリティーを有したクラウドサービスです。
(注2)AnserDATAPORT
行政機関と金融機関の安全な取引を実現するファイル伝送サービスです。
(注3)保険会社共同ゲートウェイ
生保・損保業界共通の標準化されたシステム仕様に基づく、Webベースの新しいネットワークインフラです。
(注4)オープン化
オープンサーバー製品を採用するなど、市場に提供されている汎用製品を主体としたシステム構成にすることです。
(注5)MEJAR
株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループの株式会社横浜銀行と株式会社東日本銀行、株式会社ほくほくフィナンシャルグループの株式会社北陸銀行と株式会社北海道銀行、及び株式会社七十七銀行の5行が共同利用している勘定系システムのことです。
(注6)メインフレーム
官公庁や金融機関等の大量のデータやトランザクション処理を扱う基幹システム向けに長年にわたり古くから提供されてきた、一般的にメーカー固有のCPUやOS等を用い高い性能や信頼性を保持した大型のコンピューター製品のことです。
(注7)API (Application Programming Interface)
各種システムやサービス(Webサービス等)を利用するアプリケーション(Application)を開発(Programming)するためのインターフェース(Interface)です。
(注8)Open Service Architecture(OSA)
ポストコロナに求められる新しい金融ITの姿を具体化した標準アーキテクチャーです。
(注9)アンチマネーロンダリング向けシステム
本ソリューションは、「Open Service Architecture (OSA)」のデータアナリティクスに関わる領域に位置付けられています。
(注10)DX(デジタルトランスフォーメーション)
デジタル技術を手段として用い、事業や働き方に革命的な変化をもたらすことです。
(注11)デジタルサクセスプログラム
データドリブンカンパニーへの変革に向けて段階的にデジタル変革していくプログラム/メソドロジーです。お客様がデジタルを活用して成功した状態である「デジタルサクセス」に導くために、当社が過去10年以上に渡る豊富なDX支援実績に基づき、DXの成功要因や実現プロセス、400以上のデ ータ活用事例をはじめとしたノウハウを体系的に整備しています。
(注12)Carbon Foot Print
商品やサービスの原材料の調達から生産、流通を経て最後に廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したものです。
(注13)GHGプロトコルScope1及び2
GHGプロトコルとは、サプライチェーン全体の温室効果ガスの排出量を算定・報告する際の国際的な基準です。温室効果ガスの区分を排出方法や排出者により以下の3つに分類し、Scope1からScope3までの合計をサプライチェーン全体の排出量とする考え方です。
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
(注14)排出原単位
単位当たりの活動量から排出されるCO2等の温室効果ガスの量のことです。
(注15)CX(Customer Experience)
顧客が商品サービスを体験して、顧客視点でその価値を評価することです。
(注16)モダナイゼーション
古くなった現行のIT資産を最新技術に対応する形で更新し、新たな価値を生み出すよう変革する手法のことです。
(注17)デジタル・エクスペリエンス
AIやIoT等のデジタル技術を活用し、ユーザーにとって最適化されたプロセスと体験を企業が提供するためのしくみのことです。
(注18)オムニチャネル
店舗、ECサイト、SNS等、オンライン/オフライン問わず、あらゆるメディアを活用して顧客と接点を作り、購入の経路を意識させずに販売促進につなげる戦略のことです。
(注19)TPA(Third Party Administration)サービス
保険契約管理等のアウトソーシングサービスのことです。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産は、株式売却によるその他の金融資産(非流動)の減少等はあるものの、M&Aに伴うのれん及び無形資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ187,497百万円増加して、3,084,513百万円となりました。負債は、営業債務及びその他の債務の増加等はあるものの、有利子負債の返済による減少等により、前連結会計年度末に比べ14,222百万円減少して、1,756,246百万円となりました。
また、資本は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ201,719百万円増加して1,328,267百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は246,941百万円と前連結会計年度末に比べ40,117百万円減少となりました。
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支出はあるものの、当期利益の増加等により、310,404百万円の収入(前期比42,088百万円の収入減少)となりました。
一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入等はあるものの、有形固定資産、無形資産及び子会社の取得等による支出により
196,487百万円の支出
(前期比
22,594百万円の支出増加
)となったことから、当期のフリー・キャッシュ・フローは
113,917百万円
の黒字(前期比
64,682百万円減少
)となりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当金支出に加えて、有利子負債の返済等により、
166,513百万円
の支出(前期比
64,895百万円の支出増加)となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりです。
(注)D/Eレシオ:有利子負債/自己資本(資本合計-非支配持分)
なお有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、社債及び借入金を対象としています。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 金額は、製造原価(販売価格)によっています。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 ANSER、CAFIS等利用量に見合う料金をいただくサービスについては、受注高に含めていま
せん。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
各販売先における販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、主な相手先
別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しています。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1) 当連結会計年度の経営成績の分析
以下は、前年度実績対比及び2022年2月4日に公表の修正業績予想対比の分析を記載しています。
① 売上高の状況
前年度実績対比においては、法人・ソリューションセグメントの製造業、流通業及びサービス業向けサービスの規模拡大、EMEA・中南米セグメントにおけるスペイン及びドイツ等での規模拡大及び為替影響等により、前連結会計年度を上回りました。
また、業績予想対比においては、全セグメントにおいてほぼ想定どおりとなりました。
② 営業利益の状況
前年度実績対比においては、主に北米セグメントやEMEA・中南米セグメントでの事業構造改革の効果や増収等により、前連結会計年度を上回りました。
また、業績予想対比においては、第4四半期会計期間において事業拡大や新中期経営計画に向けた施策費を多く投じたことに加え、不採算案件も発生したことで、やや業績予想を下回りました。
③ 当社株主に帰属する当期利益の状況
前年度実績対比においては、営業利益の増益により、前連結会計年度を上回りました。
また、業績予想対比においても、為替差益の発生等により業績予想を上回りました。
(2) 当連結会計年度末の財政状態の分析
当連結会計年度末における財政状態の概況については、「業績等の概要 (2) 財政状態の状況」をご参照ください。
(3) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① 財務方針
社会や金融・経済を支える大規模システムの開発・構築を担う企業として、ビジネスを安定的に継続し、中長期的な企業価値の向上を実現していくためには、強固な財務基盤を維持することが重要と考えています。D/Eレシオを重要指標と位置付け、目安としては、AA格の信用格付を維持できる水準かどうかを意識し、財務基盤の健全性を注視しています。
② 経営資源の配分(資金需要)・株主還元
社会を支える情報インフラの開発・運用のための先行投資に加え、グローバルで質の伴った成長をするために、デジタル対応力強化やM&A等の成長に必要な事業投資に優先的にキャッシュを振り向けていきます。
また、株主還元については、成長に必要な事業投資と健全な財務基盤の維持のバランスを総合的に勘案した上で、中長期的に充実していく方針であり、資本効率の向上については、投下資本の圧縮ではなく、利益拡大によって改善させていきます。
③ 資金調達
金融機関等からの借入、各種社債の発行等にて対応する方針です。
資金を好条件、安定的に調達するため、国内の2つの格付機関から長期債とコマーシャル・ペーパーの格付けを取得しています。
コマーシャル・ペーパーについて、150,000百万円の発行枠を保有するとともに、NTTグループのキャッシュマネジメントシステムにも加入しており、現金及び現金同等物の代替となる資金流動性も十分確保しています。また、当社グループ全体の有利子負債と支払利息の低減を図るため、国内外の子会社69社にグループキャッシュマネジメントシステムを導入し、グループ資金を当社に集中するとともに、各社の必要資金について当社から貸し付けを実施しています。
④ キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「業績等の概要 (3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループにおける重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
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