事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

[方針]

当社グループは、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、リスクの発生頻度や経営への影響を低減していくため、2002年に全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進する役員を置くとともに、リスク管理部門及び各部門とグループ会社にCRO・リスクマネジメント推進責任者を配置し、主体的・自主的に対応できる体制を整備しています。

また、重要リスク項目を取締役会において毎年設定し、原則年2回実施する内部統制推進委員会において各主管組織の策定した各重要リスク項目の取り組み計画を報告し、その取り組みの評価・振り返り等を行い、その結果は取締役会に報告しています。

なお、当社グループは、多岐にわたるお客様・業界に対し世界中で様々なサービスを提供しており、各事業により事業環境が大きく異なります。そのため、当社取締役会は事業本部長等へ大幅な権限委譲を図ることで、お客様との関係や市場環境等に関連するリスクを適切に把握し、迅速に対応することを可能としています。

 


 

 


 


 

[個別のリスク]

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの事業計画の達成、存立基盤に重大な影響を与える可能性のあるリスクには以下のものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断によるものです。

 

(特に重要なリスク)

(1)システム開発リスク

 [リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの主力事業であるシステムインテグレーション事業では、一般に請負契約の形態で受注を受けてから納期までにシステムを完成し、お客様に提供するという完成責任を負っています。
 そのため、契約内容の曖昧性等による当初想定していた見積りからの乖離や、開発段階に当初想定し得ない技術的な問題、プロジェクト管理等の問題が発生し、原価増となることがあります。
 不採算案件が発生した場合、想定を超える原価の発生や納期遅延に伴う損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があり、特に重要なリスクであると認識しています。

[リスクへの対応策]

システムの完成責任を全うするため、お客様・業務・技術のいずれかに新規性のある大規模案件を対象に当社内の第三者組織による提案準備段階における提案内容の実現性確認・契約内容の明確化等のリスクへの早期対応、受注時計画や原価見積の妥当性審査と納品までのプロジェクト実査を行っています。更に、お客様・業務のいずれかに新規性のある一定以上の規模の案件はグループ会社の案件も含めて「高リスク案件」として選定し、進捗や課題の状況、リスクとその軽減策を定期的に把握・管理するなど、不採算案件の抑制に努めています。

 

(2)出資・M&Aに関するリスク

 [リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、新技術やソリューション、開発リソースの獲得及び戦略的パートナーシップの構築等を目的とし、国内外の企業・組織への出資を実施しています。また、Global 3rd Stageの達成に向けてはM&Aを重要な手段の一つと捉え、グローバル成長の推進力としてM&Aを活用しています。M&Aの実施にあたっては、当社グループと共通の価値観・親和性を持っていることを最重要視し、主にGeography(重点地域)、Offering(サービス提供力)の観点から、当社グループとのシナジー効果の実現性の見極めを実施しています。
 しかしながら、特に海外の出資先において法的規制、税制、商習慣の相違、労使関係、各国の政治・経済動向等の要因により、当社グループの適切なコントロールが及ばず事業運営を円滑に行うことが困難となった場合や出資先に対し当社グループとのシナジー効果を十分に発揮できず売上や利益が想定を大きく下回るなど、期待したリターンが得られなかった場合、のれん等の減損処理を行うなど、当社グループの経営成績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があり、特に重要なリスクであると認識しています。

[リスクへの対応策]

M&Aの意思決定時には、資本効率性を意識した投下資本利益率(ROI)等の指標を用いた投資対効果の評価や、第三者評価による財務健全性の評価等を判断要素としています。

特に重要なリスクと認識している、当社グループの適切なコントロールが及ばず事業運営を円滑に行うことが困難となるリスクについては、出資時の意思決定において、社内ビジネス部門及びファイナンシャルアドバイザ・会計士・弁護士等外部有識者によるビジネス面に着目したデューデリジェンスと、出資先のカントリーリスクを踏まえたコンプライアンスに着目したデューデリジェンスの実施を必須とし、発見された各リスクの検証、対応策を踏まえた意思決定を実施することにより、当該リスクの低減に努めています。
 また、当社グループとのシナジー効果を十分に発揮できず売上や利益が想定を大きく下回るなど、期待したリターンが得られないリスクについては、当社グループとのシナジー創出による買収先会社の継続的成長を重要視し、案件の規模や内容に応じてロングタームインセンティブ(一定期間の勤続に伴う報酬)やアーンアウト(買収価格の分割払い)等のスキームを活用しています。加えて、意思決定時にM&A実施後の統合プロセス(PMI)計画の作成を必須とし、M&A効果の最大化に向けた統合プロセスを早期から実施することにより、当該リスクの低減に努めています。
 当社は連結会計年度末における予期せぬリスクの顕在化を抑制するために、四半期ごとに買収先会社の経営状況、PMIの取り組み状況等のモニタリング及び必要な是正を行っています。

上記のような対応策により、当該リスクが当社グループの経営成績及び財務状況に大きな影響を与えることのないよう、入念な検証及び適切なガバナンス態勢の構築を行うことで、リスクの顕在化防止に努めています。

 

(3)情報セキュリティに関するリスク

 [リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは業務遂行の一環として、個人情報や機密情報を取り扱うことがあります。これらの情報について、サイバー攻撃等による情報セキュリティ事故のリスクがあります。国内外問わず、最近ではランサムウェアをはじめとする標的型メール、フィッシングによる攻撃や、急速に普及拡大するテレワークやオンライン会議の脆弱性を狙ったサイバー攻撃が急増しています。中でも、高度な標的型のサイバー攻撃として、重要な社会インフラ等を支える企業や政府機関等組織への攻撃を目的として、その取引先を標的にする攻撃手法が活発化しています。当社は自ら社会インフラを提供する企業であるとともに、取引先でもあり、当社にとってサイバー攻撃は特に重要なリスクであると認識しており、顕在化の可能性は日常的にあると認識しています。当該リスクが発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い、法的罰則等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当該リスクを低減するため、当社では、「情報セキュリティ委員会」のもと、情報セキュリティポリシーや個人情報保護方針を制定し、情報技術の進歩や社会情勢の変化外部の脅威動向等を把握し、技術、管理の両面から関連施策の見直しや改善を実施しています。
 サイバー攻撃への備えとしては、防止・検知・対応・復旧のための各種ソリューションの導入、24時間体制の監視運用を行うとともに、インシデント発生時の緊急対応のためのCSIRT組織として「NTTDATA-CERT」を設置し、万一に備えての初動対応訓練等を実施しています。
 

(4)コンプライアンスに関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループはグローバルに企業活動を展開しており、海外事業の拡大に伴い、国内だけでなく、海外の法令を遵守する必要が生じています。各国の法令の中には、当該国内における企業活動について適用されるだけではなく、EUのGDPR(注1)や米国のFCPA(注2)等、当該国の域外においても適用される法令があり、当社グループはこれら域外適用法令も遵守する必要があります。これらの法令に違反した場合は多額の制裁金や当局対応に要する費用の支払いが必要となる可能性があります。この他にも、会計基準や税法、取引関連等の様々な法令の適用を受けています。不正な会計処理やサプライチェーン上における不正や横領等といった法令違反が発生した場合は、当該不正等による損害はもとより、課徴金の支払い等が必要となる可能性があります。
 更に、このような法令違反が発生した場合は、費用の支出といった経済的損失のみならず、社会的信用やブランドイメージが大きく毀損され、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があり、特に重要なリスクであると認識しています。52カ国・地域、約15万人(2022年3月31日現在)で事業運営をしている状況においては、これらのリスクが発生する可能性を完全には否定できません。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、法令違反等のリスクの顕在化を未然に防ぐため、日々の業務活動における基本的規範として「NTTデータグループ行動規範」を制定の上、適法性、財務報告の適正性を確保するための内部統制システムを構築しています。加えて、役員及び社員への教育啓発活動の実施、グループ全社員が利用できる内部通報制度の整備、運用等の取り組みを通じて、グループでのいっそうの企業倫理の向上及び法令遵守の強化に努めています。

なお、国内においては公務員等への接待贈答の禁止、不適切な接待贈答の禁止、違反時の処分等を規定した「贈収賄・腐敗防止規程」を定め、運用しています。

 

(5)システム運用リスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループが提供するシステムやサービスには、社会的なインフラとなっているものがあります。これらにおいて運用中に障害が発生し、システムやサービスが停止すると、お客様業務や一般利用者の生活に多大な影響を及ぼすことがあります。また、顧客データの喪失等の問題が発生した場合には更に影響は大きくなり、場合によっては発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があり、特に重要なリスクであると認識しています。加えて、システムやサービスの運用が滞ることは、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下にもつながります。
 当該リスクが顕在化する蓋然性は高くはありませんが、皆無とは言えません。特に、市販製品の不具合に起因する故障は対応に時間を要する場合もあります。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、システムを安定運用し、継続してサービスを提供できるように、障害発生の未然防止と障害発生時の影響極小化の両面から、公知の市販製品の不具合情報や対処策情報の積極的な収集と周知、過去発生した障害の原因分析結果及び再発防止策の社内共有、チェックリストを用いた定期点検、故障発生時の連絡体制の構築や障害発生対応訓練等の様々な活動を実施しています。

 

(6)大規模災害や重大な感染症等に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループが提供するシステムやサービスには、社会的なインフラとなっているものもあることから、行政のガイドラインに準拠した事業継続のための体制整備や防災訓練のほか、従業員の安否状況確認等を適宜実施しています。
 しかしながら、巨大地震や気候変動、その他の大規模な自然災害等が発生した場合、システムや従業員等の多くが被害を受けることでサービスの提供が困難になり、お客様業務や一般利用者の生活に多大なる影響を及ぼすことがあります。その結果、当社グループの社会的信用やブランドイメージが低下するおそれがあるほか、多額の復旧費用等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
 また、新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症等の発生によって、従業員等の感染や、感染拡大防止のために従業員が出社できなくなること等によってシステムやサービスの提供が困難になる可能性があります。
 これらリスクの発生可能性を正確に見通すのは困難ではありますが、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があると認識しています。

[リスクへの対応策]

被災時における事業継続については、従業員等の安全の確保と事業の継続を目的として、一定の基準を超える災害発生時には事業継続計画を発動し、代表取締役社長を執行責任者とする体制により、臨機応変な対応を行います。また、事業継続性を確保するために、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、オンライン環境の増強を進め、オンラインで可能な業務はオンラインで実施することで、社員や協業者の安全確保を行いながら、確実に事業を遂行します。 
 また、一方では従来以上に、お客様の働き方改革やそれに伴うIT投資、デジタル化のニーズが顕在化する可能性もあり、社会的なインフラを担うシステムやサービスを提供する当社は取り組みを通じて得た、デジタル等先進技術に関するノウハウやインダストリーの知見を最大限活用し、お客様・社会全体のデジタル化への貢献を通じて事業拡大に取り組んでいます。

 

(7)人権対応に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

お客様にとって最適なサービス・ソリューションの提供をグローバルに展開する当社グループは、各国・各地域における法令遵守はもとより、国際基準に適合した適切な企業行動が必要です。とりわけ、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(注3)」に対しては、サプライチェーンを含め適切な対応が重要であり、これらリスクは日常的に顕在化するものです。

当該リスクが発生した場合、経済的損失、社会的信用の低下による当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループは、「NTTデータグループ行動規範」を制定し、社会課題への取り組み姿勢や、社員が事業活動において参照すべき行動を明確に示すとともに、サステナブルな社会をめざし、各国・各地域に存在する様々な人権テーマ、サプライチェーンにおける人権課題への姿勢を示した「NTTグループ人権方針」に沿った企業活動を展開しています。

また、NTTグループとして、「ビジネスと人権に関する指導原則」をもとに、人権デューデリジェンスプロセスを用いて、人権課題の特定、防止、軽減、是正をグローバル規模で進め、人権意識の向上、人権マネジメントの向上に努めています。

 

(8)地政学に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの事業は、日本国内だけではなく、北米やEMEAL(欧州・中東・アフリカ・中南米)等を中心に事業展開を行っています。そのため、世界各国の政治・経済動向や法規制等の変化や、テロや戦争といった国際紛争の発生などにより、お客様に対するシステムやサービスの提供停止、安全保障観点での新たな規制への対応の必要性、サイバー攻撃、必須資材の調達困難、為替の急激な変動等の事象が生じることにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があることから、特に重要なリスクと認識しています。

[リスクへの対応策]

当社グループは、特定のリージョンに依存しない事業ポートフォリオとすることで、各国における政治・経済動向等の変化がもたらすリスクを分散し、事業全体が大きな影響を受けない構造にしています。

また、当社は、関連する組織による社内横断的な体制において、本リスクについて継続的に必要な情報収集を行いつつ、本リスクが発現した場合は派生的に発生する各種リスクへの対応も含め、迅速かつ的確に対処することを可能とする体制を構築しています。

なお、2022年2月以降のロシアのウクライナ侵攻による影響及びリスクについては、社員の安全管理や経済制裁への対応等をはじめとした対策を実施しています。また、事業への中長期的な影響について、引き続き注視、対応します。

 

 

(重要なリスク)

(1)気候変動に関するリスク

[当社グループにおける取り組み・体制等]

・当社グループにおける気候変動への取り組み

気候変動が世界的に深刻化し、世の中の脱炭素の動きも野心的な目標を掲げるフェーズから、削減の実行フェーズに移行しつつあります。

当社グループは、グローバル社会でのネットゼロへの要請の高まりへ対応し、2020年度にTCFDやBusiness Ambition for 1.5℃にも賛同しており、NTTデータCarbon-neutral Vision 2050にて、2040 年度には自社(Scope1~2)のカーボンニュートラル、2050年度にサプライチェーンを含めたネットゼロ(Scope1~Scope3)を目指しています。

2021年度からの削減の実行においては、グリーンコンサルティングサービスの提供や温室効果ガス排出量可視化プラットフォームの提供を開始し、お客様の脱炭素実現の支援を本格化させました。

自社のサプライチェーンを通じた脱炭素の推進に加え、グローバルでお客様や社会のネットゼロに向けたグリーンイノベーションで貢献すべく、2022年3月1日にCDPゴールド認定パートナー(気候変動コンサルティング&ソフトウェアパートナー)、2022年4月1日にはCDP Supply Chainプログラム Premiumメンバーとなり、CDPとともに社会のネットゼロに向けた活動を推進しています。

2021年9月には、ソフトウェアのCO2排出量の削減を目指すGreen Software Foundationに、Steering Member(運営メンバー)として加盟し、ソフトウェア開発におけるグリーン化のグローバルスタンダードの策定や啓発活動に取り組んでいます。

企業活動や事業が環境負荷に与える影響に対して責任を持つことはもちろんのこと、環境問題が当社グループの企業経営及び当社の提供する社会インフラを支える各種システムに与える影響を把握し、対策を講じることが重要だと認識しています。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、Green Innovationを通じ、自社のサプライチェーンの温室効果ガス排出量削減のみならず、お客様や社会のグリーン化へ貢献します。

 

・ガバナンス(気候変動マネジメント体制)

2021年度は、内部統制推進委員会での全社リスクマネジメントにおいても、「気候変動」を重要リスクとして位置づけました。さらに、気候関連リスク・機会については、TCFDのフレームワークに沿った分析・評価を実施し、より長期の気候関連リスク・機会においての対策検討を進めました。

気候変動に関する当社グループの取り組みを主導するため、2020年11月に気候変動アクション推進委員会を設置しました。また、2021年10月1日付で「グリーンイノベーション推進室」をグリーン専任組織として新設し、気候変動アクション推進委員会をリードしながら、当社グループ全体の取り組みを推進しています。

気候変動アクション推進委員会では、委員長である代表取締役副社長執行役員が、気候変動に関する取り組みの最高責任を負っています。2021年10月時点では、気候変動アクション推進委員会内に11のタスクフォースを設置し、各タスクフォースでは、執行役員等がリーダーとして全社横断で関係者含めた取り組みを推進しています。

気候変動アクション推進委員会で協議した内容は取締役会へ報告され、取締役会は重要な経営・事業戦略として議論、方針の決定に加え、気候変動問題への実行計画等について監督を行っています。2022年度には、役員や社員の報酬と連動した気候変動関連のKPIも設定し、目標達成に対する社員や経営層の関与の深化を図っています。

 


 

・戦略(気候関連リスク及び機会に関する戦略)

当社グループは、以下<気候変動シナリオ分析の概要>記載のとおり気候変動シナリオの分析を行い、気候変動に関するリスクと機会による影響を把握して、その結果を中期経営計画(2022年度~2025年度)に取り込むことにより、サステナブルな社会の実現に向け、企業・業界の枠を超えた革新的なサービスの提供をより一層推し進める戦略を遂行しています。

また、当社グループでは、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し対応するため、全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進する役員を置くとともに、各部門とグループ会社にCRO・リスクマネジメント推進責任者を配置しています。年2回内部統制推進委員会を実施し、リスク低減に関する施策を討議するとともに、有効性に対する評価等を行い、その結果を取締役会に報告しています。

半期に一度最高責任者の代表取締役副社長執行役員が気候変動アクション推進委員長及び環境保護推進委員長として、各々の会議体を通じ、全社リスクマネジメントの中で気候変動および環境全般に関するリスク管理を行っています。また、リスクの内容と顕在化した際の影響、及びリスクへの対応策に関しては表1(気候関連のリスク)をご参照ください。

 

<気候変動シナリオ分析の概要>

当社グループでは、気候変動に関する事業影響を把握し、気候関連リスク・機会に対する当社戦略のレジリエンスを評価することを目的として、シナリオ分析を実施しています。

2021年度は、パリ協定を踏まえて低炭素経済に移行する1.5℃シナリオと、現状予想される以上に気候変動対策が実施されない4℃シナリオを中心に分析を行いました。

1.5℃シナリオでは、カーボンプライシングが導入されるなどの気候変動対策が強化される一方、気候変動の物理的な影響は報告時点(2022年3月末)レベルにとどまり、それ以上の深刻な影響は発生しないと仮定しました。4℃シナリオでは、気候対策は報告年レベルである一方、異常気象の激甚化等の気候変動の物理的な影響が生じると仮定しています。

その結果、当社グループでは、1.5℃シナリオによる持続可能な社会では、社会の移行に伴うリスクと機会の両方が影響しますが、それ以外のシナリオによる社会では、リスクの影響が大きくなる可能性が高いことが分かりました。各シナリオによるリスク・機会は、それぞれの影響度・発生可能性等を考慮し、事業戦略へ反映させています。

※気候変動シナリオの詳細は、サステナビリティレポートをご参照ください。

NTTデータ サステナビリティレポート2021 Databook : https://www.nttdata.com/jp/ja/sustainability/report/

 

[リスクの内容と顕在化した際の影響] 及び [リスクへの対応策]

・リスクと機会

当社グループは、シナリオ分析に基づき、気候関連リスク・機会による事業への影響を評価し、その結果を気候変動戦略として事業戦略に反映することで、気候関連リスクへの対応を進め、また気候関連の機会実現を図っています。

気候関連リスク・機会に関しては短期・中期・長期の時間軸を考慮し、財務的影響への影響度を高・中高・中・低の4段階、発生可能性をほぼ確実・非常に高い・高い・低い、の4段階で評価しています。気候関連リスク・機会の評価は「表1(気候関連のリスク)」及び「表2(気候関連機会)」のとおりです。

※各評価項目の詳細は「表1(気候関連のリスク)」及び「表2(気候関連機会)」の注記参照

 

表1(気候関連のリスク)

項目

カテゴリー

期間

1

影響度※2

発生可能性

リスクの内容と顕在化
した際の影響

財務上の影響
(想定)

リスクへの対応策

対策費
投資額
 ※4

リスク1

「気候変動」評価が低いことによる評判低下リスク

移行リスク

・ 評判

短期

ほぼ確実

気候変動への対応が遅れることで、海外ESG投資家や国内金融機関からの評価が下がる。仮に海外投資家と国内金融機関からの評価が下がり、株価時価総額が1%下落した場合の株価影響額として試算

株価時価総額

(期末時点)

▲340億円

NTTデータグループのサプライチェーンを通じた脱炭素や、お客様・社会のグリーン化の対応加速に向けた専任組織としてグリーンイノベーション推進室※3を設置し、気候変動アクション推進委員会による活動を推進。グリーンイノベーション推進室による活動費・イノベーション投資額(2022年度〜2025年度累計)を計上

50億円

リスク2

異常気象による災害リスク増加

物理的リスク

・ 急性

短期

中高

ほぼ確実

IPCC第6次報告書の地域毎リスクが高い場所にも拠点があり、ハザードマップ等から様々な対策を講じて、事業継続性を確保している。仮に、台風により、首都圏を中心とする主要なデータセンタの通信等が5日間ダウンした場合の売上影響額を試算

売上影響

▲130億円

データセンタ・オフィス・通信等のBCPを最大限高めている。事業継続性のためのデータセンタ、リモートアクセス・メンテナンス環境等の増強・更改費用(2022年度〜2025年度累計)計上

80億円

リスク3

カーボンプライシングによるコスト増加

移行リスク

・ 規制

長期

中高

ほぼ確実

グローバル社会で2050年までのネットゼロ対応が社会的コンセンサスとなり、企業へも法令等による対応要請が高まる。2022年度〜2040年度までの残存排出量に対し、国際エネルギー機関IEAネットゼロシナリオのカーボンプライスを掛けてコスト影響額を試算

※2022年度~2040年度
 累計 700億円

営業利益影響

▲70億円

※4

省エネによる炭素排出削減、再エネ導入による自社サプライチェーンの脱炭素化を推進。

省エネ対応・再エネ導入等への投資額(2022年度〜2025年度累計)を計上

50億円

 

 

表2 (気候関連機会)

項目

カテゴリー

期間※1

影響度

※2

発生可能性

機会の内容と影響

財務上の影響(想定)

機会実現の対応策

投資額
 ※4

機会1

サステナビリティ関連オファリング創出ニーズ増加

製品

・ サービス

短期

非常に高い

お客様の脱炭素の取り組みが加速し、各種産業におけるサステナビリティ関連ビジネスの拡大および、技術革新によるデジタル技術適用の機会増加を想定。2025年度のサステナビリティ関連の新規オファリング創出による売上高を影響額として試算

2025年度

売上影響

+2,000億円

社会全体や各企業における気候変動の適応と緩和等に貢献する技術開発やサステナビリティ関連オファリングの創出に向けた投資額を計上

320億円

機会2

サステナブルな社会実現のためのコンサルティングサービス増加

製品

・ サービス

短期

中高

非常に高い

各種産業におけるサステナビリティ関連ビジネスの拡大に伴い、コンサルティングサービスの機会増加を想定。当社全体のコンサルティング売上高のうち、サステナビリティ関連のビジネスが占める割合を想定し影響額を試算

2025年度

売上影響

+200億円

サステナビリティ関連のコンサルティング人財創出・育成投資や関連する環境整備等コンサルティング強化施策に関連する投資を計上

40億円

機会3

レジリエントなクラウドへのニーズ増加

製品

・ サービス

短期

非常に高い

台風や局地的豪雨等の異常気象の増加に加え、脱炭素化要請の高まりから共同利用・機器集約による省エネや再生可能エネルギー導入等が進み、レジリエントかつ脱炭素に貢献するクラウドへの移行ニーズが増加すると想定。当社全体のクラウド関連売上の増分を影響額として試算

2025年度

売上影響

+1,500億円

クラウド関連の技術開発やグローバルデリバリセンタ強化などのクラウド関連投資額を計上

190億円

 

 

※1 期間の定義は以下のとおりです。

評価内容

期間

備考

短期

〜2025年度まで

2022年度に2025年度までの短期目標・削減計画を設定・策定済

中期

~2030年度まで

SBT認定の2030年までの中期目標を設定済

長期

~2050年度まで

NTTDATA Carbon-neutral Vision2050として長期目標を設定済

 

 

※2 影響度の定義は以下のとおりです。

評価内容

影響金額

売上高1000億以上、営業利益100億円以上、または株価影響100億以上

中高

売上高100億円以上~1000億円未満、営業利益10億円以上〜100億円未満、または株価影響10億円以上~100億円未満

売上高10億円以上~100億円未満、営業利益1億円以上〜10億円未満、または株価影響1億円以上~10億円未満

売上高10億円未満、営業利益1億円未満、または株価影響1億円未満

 

※3 2022年7月よりサステナビリティ経営推進部として、取り組み範囲を拡大し、グローバル一体での気候変動対応を推進

※4 2022年度~2025年度の累計額

 

・資本配備

新中期経営計画期間(2022年度~2025年度)における気候関連の対策費・投資額の予定は、「表1(気候関連のリスク)」及び「表2(気候関連機会)」の「対策費・投資額」のとおりです。(以下再掲)

項目

対策費・投資額

リスク1

「気候変動」評価が低いことによる評判低下リスク

50億円

リスク2

異常気象による災害リスク増加

80億円

リスク3

カーボンプライシングによるコスト増加

50億円

機会1

サステナビリティ関連オファリング創出ニーズ増加

320億円

機会2

サステナブルな社会実現のためのコンサルティングサービス増加

40億円

機会3

レジリエントなクラウドへのニーズ増加

190億円

気候関連投資予定総額

約730億円

 

 

・指標と目標(気候関連リスク・機会の管理指標と目標)

気候関連のリスク管理および機会実現の戦略のために、当社グループで定めている指標と目標はそれぞれ以下のとおりです。

指標カテゴリ

指標・目標・実績等

温室効果ガス排出量

(指標)Scope1~3の各排出量

(目標)温室効果ガス排出量の目標は以下の通りです。

長期:2050年までにネットゼロ(Scope1~3)

中期:2030年までに2016年度比で次の削減を行う。

 Scope1・2 60%減(SBT1.5℃レベル), Scope3 55%減

短期:2025年度Scope1・2   73,000トン削減

(実績)2021年度の温室効果ガス排出量実績に関しては、統合レポートまたはサステナビリティレポートに掲載予定です。過去の実績に関しても、同様に掲載しております。

統合レポート

https://www.nttdata.com/jp/ja/ir/library/ar/
 

サステナビリティレポート Databook
https://www.nttdata.com/jp/ja/sustainability/report/

移行リスク

リスク・機会の財務上の影響(想定)および対策費・投資額

 

物理的リスク

機会

資本配備

内部炭素価格

内部炭素価格(2022年度):6,500円/トンCO 2
※NTTグループ統一価格(毎年更新予定)

報酬

気候関連の役員報酬および従業員賞与連動あり。

 

 

(2)人財確保に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの成長と利益は、デジタル技術等の専門性に基づいて顧客に価値を提供する優秀な人財の確保・育成に大きく影響されます。これは当社グループに限らず、協力会社の人財確保状況からも大きな影響を受けます。こうした優秀な人財の確保・育成が想定どおりに進まない場合、事業計画の達成が困難になることや、システムやサービスの提供が困難になることがあります。これによって、お客様業務や一般利用者の生活に多大なる影響を及ぼすこととなり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があることから、重要なリスクであると認識しています。当該リスクは一定程度予見が可能であり、突発的に顕在化する可能性は僅少であると認識しています。

[リスクへの対応策]

・当社グループに関する対応策
 当社グループは、Group Visionにもあるとおり、より長期的な目線で、「働く一人ひとりの多様性を尊重することによって、グローバルに通用する創造力を培い、刺激し、更に成長させていく」ことをめざしています。

そのような背景から「人財・組織力の最大化」を新中期経営計画(2022年度~2025年度)の成長戦略の一つと位置付け、次の取り組みを進めています。

中長期的なビジネスを担う人財を、質と量を伴って採用・育成しており、デジタル技術の素養のある人財や、グローバルビジネスを推進できる素養のある人財の採用の強化、即戦力となる経験者採用の強化を推進しています。また、先進技術領域や急速に利活用が進むデジタル領域において卓越した専門性を有し、即座に当社ビジネスの拡大・牽引に寄与できる人財を市場価値に応じた報酬で採用するAdvanced Professional制度や専門性による貢献度に応じた処遇を実現するTechnical Grade制度等による人財の確保を推進しています。

育成においては、高度な専門性と変化への対応力を有するプロフェッショナル人財やグローバルで活躍できる人財の育成に注力しており、2022年4月に新たな人財育成基盤OliveOneを導入し、社員の多様な専門性・志向に応じた幅広いコンテンツの整備、学習の設計と獲得スキルの見える化、コミュニティ学習を通じた共創促進と学びあう風土の醸成を今後さらに推進していきます。また、高い専門性に応じた処遇の実現等、社員の自律的な成長を促す制度を整備するとともに、業務の特性等に応じて働く時間と場所を柔軟に設定できる環境を実現することで、Diversity, Equity & Inclusionを推進し、従業員エンゲージメントを向上していきます。

多様な人財ひとり一人が自分自身を表現し、活躍できる組織機能・カルチャーをもった、働く人にとって魅力的な企業へと変革し、各戦略の実行を支える人財・組織力を最大化するとともに、将来にわたっての企業価値を高めていきます。

・協力会社に関する対応策
 協力会社に関しては従来よりパートナー制度を導入し、当社と協力会社との深いパートナーシップを構築することにより、当社のニーズにマッチした、安定的な人材確保に貢献いただいています。具体的には、協力会社をコアビジネスパートナー、ビジネスパートナー、アソシエイトパートナーとして認定し信頼関係を築くとともに、①社長を含む当社の経営幹部と協力会社の経営幹部が対話を行う会の開催による一体感醸成、②当社の方針や成長戦略の共有等を通じたコミュニケーションの深化、③当社のシステム開発標準の研修や新規技術分野のセミナーの開催等による技術情報提供、④生産性向上支援等、様々な共同施策を実施しています。

 また、技術の専門性や当社のビジネス領域の変化に対応し、新たなパートナー会社の追加や見直しをしています。

 さらに、DX領域の人財については主管する推進組織を中心に協力会社と強く連携し、スタートアップ企業の開拓、DX人財へのリスキルを含めた育成プログラムなどの取り組みをするなど更なる人財の安定的確保に努めています。

 

(3)技術革新に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループが属する情報サービス産業では、破壊的技術革新のような不連続な技術環境の変化が生じることがあります。当社グループの重要事業領域やその周辺で、予想を超える破壊的技術革新があり、それらへの対応が遅れた場合、市場での競争力やブランド価値が低下し、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があり、重要なリスクであると認識しています。以下に記載の対応をしているため、破壊的技術革新に対して対応が遅れるというリスクが顕在化する可能性は僅少であると認識しています。

[リスクへの対応策]

予想を超える技術革新は日常的に発生する可能性はありますが、当社グループでは、先進技術への感度が高い海外に専門拠点を設置し、新興技術の情報を早期に収集し、グローバルメンバーによるステアリングコミッティにて経営トレンドや技術トレンド等も考慮しながら革新技術を見極める取り組みを推進しています。そして、特に力を入れて投資すべき注力技術を、グローバルで技術戦略を議論するCTO級会議にて決定し、取り組みを推進していますまた、NTT研究所の研究開発成果を取り入れています。
 

(4)知的財産権に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループが事業を遂行する上で必要となる知的財産権等の権利につき、当該権利の保有者よりライセンス等を受けられず、その結果、特定の技術、商品又はサービスを提供できなくなる可能性があります。当社グループはグローバルでビジネスを行っており、また、従来からの個別受注型システムインテグレーションビジネスに加え、最近ではより多くのお客様への提供が見込まれるソリューション展開型やプラットフォーム提供型のビジネスが増加しています。これにより、他者の知的財産権を侵害したとして、損害賠償請求を受ける可能性が高まっています。いずれの場合も当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があり、重要なリスクであると認識しています。
 当該リスクが顕在化する蓋然性は高くはありませんが皆無とは言えません。

[リスクへの対応策]

当社グループでは知的財産権活動を推進する担当組織を設置し、産業財産権の適正な権利化や侵害予防調査(クリアランス)、知的財産権に関するプロジェクトからの各種相談対応や当社グループ内での教育・啓発活動を実施し、当社グループの知的財産権の保護・活用、第三者の知的財産権侵害防止に努めています。
 

(5)競争激化に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

社会を取り巻く環境は日々大きく変化しており、SDGs(持続可能な開発目標)に代表される社会課題の解決・地球環境への貢献と、新しい価値創造をはじめとした経済価値向上の両立等、企業経営に求められる要素は多様化しています。テクノロジーの進化を背景に様々なモノ・ヒトがつながることで、企業活動から人々の消費・生活スタイルまであらゆる社会トレンドが変化しており、各業種における事業成長のためのデジタル関連投資が加速しています。

一方、IT市場における競争環境は激化しており、様々なプレイヤーが社会・テクノロジーの変化に合わせてサービス・ラインナップを拡大させる中、当社がお客様へ貢献し続けるために、更なるグローバルレベルでの事業競争力強化の必要性が高まっています。

このような競争環境の激化は当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があり、重要なリスクと認識しています。

[リスクへの対応策] 

当社グループはグローバル全体での事業競争力強化に向け、NTTグループ傘下のNTT Inc.と海外事業を統合し、ITとConnectivityを融合したサービスをTotalで提供する企業へ進化していきます。コンサルティングやアプリケーション開発に留まらず、Connectivity領域までを含むデジタルトランスフォーメーションに必要なサービス・ラインナップを一元的に整備し、複雑化・多様化するお客様のニーズにグローバルレベルで対応していきます。 加えて、業界・技術のForesightを起点としたコンサルティング力強化と、高いアジリティを実現するアセットベースの価値提供により、経営変革・事業変革の構想策定から実現まで、End to Endの対応力を強化し、お客様への提供価値を最大化していきます。

また、先進技術活用力とシステム開発技術力の強化としてEmerging、Growth、Mainstreamの技術の成熟度に応じた3つ領域における活動を推進し、未来の競争力獲得に向けた先進技術活用力の強化と生産性の向上に向けたシステム開発技術力の強化を両輪で進めると共に、サステナビリティやIOWNといった社会変革を実現するテーマに対する投資枠を新設し、将来のビジネス創出に向けた戦略的な投資をグローバル全体で推進し、将来に渡っての事業競争力を強化していきます。

 

(6)親会社の影響力

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社の直接的な親会社であるNTT株式会社は、当連結会計年度末現在、当社の議決権の54.2%を保有している大株主であります。当社は直接的な親会社であるNTT株式会社及び最終的な親会社である日本電信電話株式会社(以下総称して、親会社)並びにその他の子会社から独立して業務を営んでいますが、重要な問題については、親会社との協議、もしくは親会社に対する報告を行っています。このような影響力を背景に、親会社は、自らの利益にとって最善であるが、その他の株主の利益とはならないかもしれない行動をとり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があり、現実化した場合には重要なリスクであると認識しています。

[リスクへの対応策]

当社は、親会社との間で締結する重要な契約については、法務部門による法務審査を行った上で、意思決定を行います。特に重要な契約については独立社外取締役が出席する取締役会での承認を必須とし、親会社から独立した意思決定の確保に努めています。
 また、日本電信電話株式会社の研究所との強連携として、基盤的研究開発や次世代技術研究開発の成果をグローバルで活用し、先進ソリューションやサービスの提供をめざします。NTTグループの各社が得意とするインフラ、セキュリティサービスを組み合わせた、トータルサービスの更なる拡大及び調達集約等によるコスト削減等のスケールメリットを活かした連携を進めていきます。今後も引き続き、親会社との間で、相互の自主性・自律性を十分尊重し、親会社との取引等について法令に従い適切に行うことで、リスクの顕在化防止に取り組むとともに、親会社との連携を強化することで株主への利益還元に尽力し、上記リスクの低減に努めます。
 

(注1)GDPR

EU域内の個人情報を取り扱う際に適用されるEU一般データ保護規則のことです。

(注2)FCPA

贈収賄にかかる米国の海外腐敗行為防止法のことです。

(注3)ビジネスと人権に関する指導原則

2011年6月に国連の人権理事会において全会一致で支持された文書であり、「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」の3つの柱で構成されています。

 

 

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