当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2018年3月30日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2018年3月30日)を適用しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い経済活動が大きく制限され、非常に厳しい状況で推移いたしました。国内におけるワクチン接種が進み、感染拡大防止と経済活動の両立が模索されていますが、ブレイクスルー感染や新たな変異ウイルスの影響により、先行きは極めて不透明な状況が続いております。
このような状況のなか、当社グループにおきましては、感染対策を実施しながら営業を継続してまいりましたが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用を受け、自治体からの休業要請対象地域の施設にて臨時休業や営業時間の短縮を実施し、大変厳しい状況が続きました。
この結果、売上高は22,376百万円(前年同期比3.3%増)、営業損失は691百万円(前年同期は1,257百万円の営業損失)となり、補助金収入625百万円があったものの、経常損失は349百万円(前年同期は1,388百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は638百万円(前年同期は549百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における財政状態の状況については、次のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、次のとおりであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらないため、生産、受注及び販売の状況については、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ① 経営成績の分析」における各セグメントの経営成績に関連付けて示しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
① 経営成績の分析
当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
≪映像事業≫
当連結会計年度における映画興行界は、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」「名探偵コナン 緋色の弾丸」「竜とそばかすの姫」などの邦画作品に加え、夏以降は「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」などの、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて公開を延期していた洋画作品も順次公開され、ヒット作品が生まれました。新作映画の公開延期が相次いだ前年同期に比べ興行収入は上回りましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、業界全体としては極めて厳しい状況で推移いたしました。
当社の映画館におきましては、お客様に安心してご鑑賞いただけるようガイドラインに則り、場内の換気やアルコール消毒、サーモカメラによる体温確認などの感染対策に取り組みながら営業を続けてまいりました。しかしながら、緊急事態宣言等による営業時間の短縮や一部映画館の臨時休業、座席の間引き販売など、営業上の制約を受けました。
一方で、来場されるお客様にご満足いただけるよう映画館ならではの鑑賞体験を追求するべく、10月に「109シネマズ木場」(東京都江東区)及び「109シネマズ湘南」(神奈川県藤沢市)にて4Kレーザープロジェクターと最新の12chリアルサウンドを搭載した「IMAX®レーザー」を、11月に「109シネマズグランベリーパーク」(東京都町田市)に109シネマズオリジナル規格のプレミアムサウンドシアター「SAION(サイオン)」を導入いたしました。
この結果、全国的に臨時休業を実施した前連結会計年度と比較して興行収入が改善したため、売上高は11,620百万円(前年同期比1.8%増)となり、営業損失は577百万円(前年同期は925百万円の営業損失)となりました。
≪ライフ・デザイン事業≫
ボウリング事業、スポーツコート事業、コミュニティカフェ事業におきましては、適切な感染対策に取り組んでまいりましたが、営業時間の短縮や臨時休業など、営業上の制約及び感染不安による外出自粛等の影響により、売上高は減少いたしました。
一方で、フィットネス事業におきましては、事業を拡大するべく、3月の「エニタイムフィットネス代々木店」(東京都渋谷区)開業に続き、8月に「エニタイムフィットネス中目黒店」(東京都目黒区)を開業いたしました。
ホテル事業におきましては、適切な感染対策に取り組みながら通常通りの営業を継続してまいりましたが、緊急事態宣言等の影響によりビジネス利用を中心とした宿泊需要が回復せず、厳しい状況が続きました。
この結果、売上高は1,991百万円(前年同期比2.2%減)となり、営業損失は279百万円(前年同期は389百万円の営業損失)となりました。
≪不動産事業≫
不動産事業におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を最小限にとどめるべく、当社直営ビル及びマスターリースビルの双方においてテナントの個々の状況を勘案し、賃料の支払い猶予などの柔軟な対応を行ってまいりました。このようにテナントとの協力関係を保ち、入居率の維持に努めてまいりましたが、厳しい事業環境を余儀なくされている飲食業やサービス業のテナントを中心に解約が増加いたしました。
一方で、事業を拡大するべく新規収益物件の開発を進め、11月に「a・cube(エイ・キューブ)」(神奈川県横浜市)と「VeLeV(ヴェレヴ)」(神奈川県横浜市)の2物件を取得し、直営ビルとして運用を開始いたしました。
この結果、収益認識会計基準の適用により純額から総額で一部収益を認識することとしたため、売上高は6,990百万円(前年同期比4.4%増)となりましたが、営業利益は1,411百万円(前年同期比1.2%減)となりました。
≪その他≫
ビル管理事業におきましては、商業ビルを中心にビルメンテナンス・安全管理におけるニーズに応えるとともに、クオリティーの高い技術力とサービスの提供に努めてまいりました。
さらに、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、ウイルス対策の需要に対応した抗ウイルス・抗菌施工のサービスを積極的に実施した結果、売上高は1,774百万円(前年同期比16.8%増)となり、営業利益は173百万円(前年同期比36.7%増)となりました。
翌連結会計年度以降のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大を防ぎながら経済活動の正常化が進むことにより回復基調となることが期待されるものの、未だ感染症収束の見通しは立っておらず、感染拡大による経済活動への影響が一定期間継続することが懸念されます。
このような状況のなか、当社グループといたしましては、外部環境等を的確に把握し、万全な感染対策により事業継続を行うとともに、感染拡大収束後の速やかな業績回復に向けて強固な経営基盤の構築を目指してまいります。
なお、中長期的な経営戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、有形固定資産2,945百万円、投資有価証券326百万円の増加と、流動資産その他(短期貸付金)2,212百万円の減少等により44,787百万円(前年同期比959百万円増)となりました。
負債は、短期借入金1,824百万円の増加等により17,250百万円(前年同期比2,081百万円増)となりました。
純資産は、利益剰余金985百万円の減少等により27,536百万円(前年同期比1,121百万円減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額1,646百万円を合わせて、前連結会計年度に比べ40百万円減少し、664百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失787百万円、法人税等の支払額659百万円、減価償却費1,608百万円、減損損失538百万円等により、1,082百万円の収入(前年同期は1,609百万円の支出)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、短期貸付金の減少及び固定資産の取得による支出等により、2,480百万円の支出(前年同期は2,576百万円の収入)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加や非支配株主からの払込みによる収入等により、3,005百万円の収入(前年同期は935百万円の支出)となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、戦略的に経営資源を配分し、資産の有効活用と収益基盤の強化をはかることが、企業価値向上と長期安定的な株主還元に繋がると考えております。また、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出し、かつ、財務の健全性を保ちながら、金融機関等からの借入などを活用することにより、当社グループの成長を維持するための将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが必要であると考えております。
ロ.資金調達の方法及び状況
当社グループは、運転資金及び設備投資資金などは、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関等からの借入などにより資金を調達することとしております。2021年6月には「歌舞伎町一丁目地区開発計画」に係る資金調達を行うため、取引銀行3行との間に借入極度額19,000百万円のシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結いたしました。また、当社グループは、東急グループのCMS(キャッシュマネジメントシステム)に参加しており、一時的な余剰資金の預け入れや短期的な運転資金はCMSにより運用・調達しております。
なお、当連結会計年度末における借入金については、次のとおりであります。
ハ.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要の主な内容は、運転資金では、映画館の運営に関わる不動産賃貸料、人件費等の販売費及び一般管理費があります。設備投資資金では、「歌舞伎町一丁目地区開発計画」や不動産事業における新規収益物件の開発、映画館等の設備改修等があります。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループにおきましては、主幹事業である映像事業が映画興行市場の影響を受けやすく、予想と実績の乖離が生じやすい事業であるため、売上高ではなく営業利益を経営指標に設定しております。また、事業活動から生み出されるキャッシュ・フローを新たな設備投資に充当し、価値あるサービスを提供することで持続的成長をはかっていく方針であるため、EBITDA(営業利益+減価償却費)を補助指標として管理をしております。
当連結会計年度における営業利益及びEBITDAは次のとおりであります。
当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による営業上の制約や感染不安による外出自粛等の影響により、映像事業やライフ・デザイン事業を中心に大幅な減益となりました。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、不確実性が内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症が会計上の見積りに与える影響に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。事業計画や経営環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の事業計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって前提とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
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