文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念のもと、全国の経営者・リーダーにパートナーとして寄り添い支援しております。2022年10月16日に創業65周年を迎える日本の経営コンサルティングのパイオニアとして、全国主要都市10地域に常駐するBusiness Doctors(コンサルタント)が、社会へ高付加価値を提供することができる「ファーストコールカンパニー 100年先も一番に選ばれる会社(FCC)」を、数多く創造していくことを経営方針としております。
グループ全体の力を結集して提供する「チームコンサルティング」「経営コンサルティング・バリューチェーン」により、顧客企業の持続的な成長とその従業員・家族等の豊かさの実現のみならず、その顧客企業の商品・サービスを利用する消費者にも良い影響を与え、結果的に社会全体・地域全体の発展にも寄与していきたいと考えております。
(2)経営環境及び中長期的な経営戦略
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種等のウィズコロナ対策が促進される反面、感染力の強い変異種が次々と蔓延し、社会経済活動は一進一退を繰り返しております。また、ウクライナにおける地政学リスクの高まりにより、資源・エネルギー価格の高位不安定化が常態化しつつあり、日本銀行の金融緩和政策や貿易赤字の拡大に伴う円安の進行もあり、企業経営におけるコストプレッシャー懸念が上昇しております。
これら過去に例を見ない複合的な転換期における経営環境に適応するために、TCGの主要顧客である大企業から中堅企業にも大きな変化が求められております。具体的には、パーパスの再定義、サステナビリティ・DX・M&A・ファイナンス・グローバル等を組み込んだ経営ビジョンの再構築、コーポレート・ガバナンスの強化、HR(人的資源)価値の向上、CX(カスタマーエクスペリエンス:顧客体験価値)デザイン、事業承継・グループ経営等、その経営ニーズはますます専門化・多様化しております。
このような環境下において、創業64年間で培ってきた11,000社以上の経営コンサルティング実績及び成功済みのメソッドを駆使し、企業の経営全般を支援できる我々TCGの役割は、より一層増してきていると認識しております。経営コンサルティング業界においては、特定の業種や経営機能に特化するコンサルティング企業は多くありますが、大企業から中堅企業におけるあらゆる業種に対し、経営戦略の策定から現場におけるオペレーションズ・DX実装までを一気通貫で支援できる経営コンサルティング企業は稀であり、競合他社も比較的少なく、独自のポジションを構築できていると認識しております。
以上を踏まえ、顧客企業の専門化・多様化する経営ニーズに応えるための経営コンサルティング領域の多角化戦略「C&C(コンサルティング&コングロマリット)戦略」を推進することが、中長期的な経営戦略であります。この数年間でBtoBデジタルマーケティングを提供する株式会社リーディング・ソリューション、クロスボーダーを含むM&A全般の支援やバックオフィス部門に対してBPR・DX支援を提供するグローウィン・パートナーズ株式会社、ブランディングやCXデザインを提供する株式会社ジェイスリーの3社をグループ化いたしました。今後も引き続き、デジタル領域に強みを持つ企業のM&Aを積極的に実施し、経営コンサルティング事業の開発を強化してまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前述の経営方針や経営環境及び中長期的な経営戦略を踏まえて、今後のTCGの対処すべき課題については、次のとおりであります。
①グループ経営の強化(純粋持株会社体制への移行)
2022年10月16日に創業65周年を迎えるにあたり、この区切りの年にさらなる飛躍を実現すべく、2022年10月1日より純粋持株会社体制へ移行する計画を進めております。そして、純粋持株会社となる予定の当社は「株式会社タナベコンサルティンググループ」へと商号変更し、新たに設立した事業会社「株式会社タナベコンサルティング」へ経営コンサルティング全事業を承継する予定であります。
当社、グループ企業である株式会社リーディング・ソリューション、グローウィン・パートナーズ株式会社、株式会社ジェイスリーのTCG全体が、引き続き「All for the Client すべてはクライアントのために」、企業そして社会に貢献し、グループ企業価値の最大化を実現すべく、以下の目的により、純粋持株会社体制へと移行いたします。
a.純粋持株会社が、TCGというグループ全体の成長戦略の策定、それに伴うグループ横断での経営資源の最適配分・効率的活用を実施し、グループ全体のガバナンスは維持しつつ最大限のシナジー発揮をリードし、グループ全体の企業価値を最大化していく。
b.純粋持株会社が、グループ資本戦略やM&A推進体制等を強化した上で、経営コンサルティング領域の多角化戦略のもと、今後もグループ企業をスピーディーに増やしていく経営体制を構築していく。そして、グループ全体の権限を明確にした上で、各事業会社がより事業戦略の推進に注力できるようにすることで「TCG Future Vision 2030」を実現していく。
c.東証プライム上場企業に求められるトップマネジメント体制を志向しながら、サステナビリティ経営を推進していくために、グループの各事業会社に権限を適切に委譲し、各社が迅速な意思決定や業績責任を果たす経営を通じて、次世代経営者・リーダー人材を多く登用、育成し、グループ全体の人的資源価値の向上を実現していく。
②中期経営計画(2021~2025)「TCG Future Vision 2030」の推進
中長期的に持続的成長及び企業価値の向上を加速させるために、「One&Only 世界で唯一無二の新しい経営コンサルティンググループ TCGの創造」をスローガンとした中期経営計画(2021~2025)「TCG Future Vision2030」を推進しております。中期経営計画の最終年度である2026年3月期目標としての売上高150億円・営業利益18億円・株主資本当期純利益率(ROE)10%・総資産経常利益率(ROA)15%・従業員数800名を実現すべく、以下の5点を成長モデルと設定し、推進してまいります。
a.「プロフェッショナルDXサービス」(デジタル技術により、現場におけるマネジメント実装やオペレーションズを支援)を拡大し、大企業から中堅企業向けに圧倒的な競争力を持つ経営コンサルティング・バリューチェーンの構築を実現する。
b.経営コンサルティング事業の開発・拡大のために、M&Aを積極的に実施する。
c.経営コンサルティング契約の継続率(Life Time Value)70%以上を実現するために、顧客体験価値を重視したデジタルマーケティングを推進する。
d.経営コンサルティング領域の多角化に伴い、コンサルティングチームとパートナーリーダーシップを拡大する。
e.TCG全体の人的資源価値を拡大する「TCGアカデミー」(企業内大学)を充実させる。
③経営コンサルティングバリュー(専門価値)の強化
前述の純粋持株会社体制への移行も見据え、2022年4月1日より、経営コンサルティング領域別の事業部組織へと体制変更しております。大阪・東京の両本社及びグループ企業がチーム一体となり、大企業から中堅企業の専門化・多様化する経営課題を解決するための経営コンサルティングバリュー(専門価値)を強化してまいります。そして、各事業部がリージョンにおける地域密着の事業所とも連携し、全国レベルで展開してまいります。
領域別の強化すべき経営コンサルティングバリューは、以下のとおりであります。
a.ストラテジー&ドメイン(業種別/ビジネスモデル戦略)コンサルティング
業種別のビジネスドメイン戦略及びサステナビリティ経営に必要なビジョンを策定し、各企業にとって最適なビジネスモデル変革を実現する。
<バリュー>
ビジネスドメイン戦略:食品・アグリ、建設、ライフ&サービス、サプライチェーン、製造等
ビジネスモデルイノベーション:イノベーション&テクノロジー、ビジョンマネジメント、組織開発、SDGs等
b.デジタルコンサルティング
私たちが定義する4つのDX領域(ビジネスDX、マーケティングDX、HRDX、マネジメントDX)に対して、DXビジョンの策定からデジタル実装、具体的な実行推進支援までを提供する。
<バリュー>
ビジネスプラットフォーム、デジタルマーケティング(BtoB・BtoC)、クリエイティブディレクション、ブランディングDX、CXデザイン、プロダクトデザイン、採用サイト、アカデミークラウド、ERP&マネジメント、業種別DXCloud、オペレーションDX等
c.HR(人的資源)コンサルティング
HRビジョンに基づく人材ポートフォリオ(中長期的な人的資本の最適配分、組織開発の判断基準等)を定義し、「採用」「育成」「活躍」「定着」の4つを取り入れた「戦略人事システム」を構築する。
<バリュー>
戦略人事、グループ人事システム、採用&キャリアデザイン、人材アセスメント、タレントマネジメント、トップマネジメント、アカデミー(企業内大学)、組織コミュニケーション、社員エンゲージメント、階層別人材育成等
d.コーポレートファイナンスコンサルティング
企業価値の最大化を目標に、経営システムの構築及び企業の成長性と持続性の両面をサポートできるCFO(最高財務責任者)機能の発揮により、成長ステージに合わせた最適なファイナンスコンサルティングを提供する。
<バリュー>
ホールディングス、グループ経営、事業承継&資本政策、マネジメントシステム、企業再生、グローバルファイナンス、IPO支援、CFO人材育成プログラム等
e.M&Aアライアンスコンサルティング
事業承継や事業ポートフォリオ転換による企業の存続・成長のために、アライアンス先とも連携し、クロスボーダーも含めてM&A戦略構築からアドバイザリー、PMI(統合支援)までを一気通貫で提供する。
<バリュー>
M&A戦略、クロスボーダーM&A、グループM&A、事業承継M&A、ファイナンシャルアドバイザリー、デューデリジェンス、人事PMI、経営システムPMI、マーケティングPMI等
f.クリエイティブ&デザインコンサルティング
経営課題や経営戦略に基づき、市場・顧客等のあらゆるデータを活用し、顧客のCXを向上させるコミュニケーション戦略の立案から実行支援、クリエイティブ領域までを一気通貫で提供する。
<バリュー>
コミュニケーションデザイン、クリエイティブ&メディア、SNSマーケティング、コンテンツマーケティング、デザインプロモーション、ディレクション、キャンペーンプレミアム、ダイアリー等
g.リージョン&コンサルティング
全国主要都市10地域にコンサルタントが常駐する地域密着型の事業所を展開し、各地域の企業や金融機関等と連携して「地域創生」に取り組み、地域経済の成長・発展を支える経営者のリーダーシップを支援する。
<バリュー>
北海道、東北、東京、新潟、中部、北陸、大阪、中四国、九州、沖縄に事業所を展開
④コーポレート戦略
a.東証プライム市場の基準達成を実現する資本・株式政策を推進する。
b.TCG各社のバックオフィスオペレーションを効率化し、より一層の生産性向上を実現するスマートDX投資を推進する。
c.TCGのサステナビリティ経営を実現するためのESG・SDGsに係るマテリアリティを特定・推進する。
d.「One&Only 世界で唯一無二の経営コンサルティンググループ TCG」を実現するためのブランディング活動や商品・サービス、コンサルタント等のPR活動を積極的に実施する。
e.多様な人材がお互いを知り、尊重し合い、より活躍するためのオフィス環境投資や健康経営等を積極的に実施するTD&I(タナベ ダイバーシティー&インクルージョン)を推進する。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
TCGが、経営コンサルティングを通じて顧客企業の持続的成長に貢献し、延いては社会全体・地域全体の発展に寄与していくこと、そして我々TCGも持続的成長及び中長期的な企業価値の向上を実現していく上で、売上高成長率と営業利益額及び売上高営業利益率の向上を目標としております。また、売上高成長率の向上を推進する従業員数の増加も目標としております。そして、安定的な利益確保により、まずは有事にも動じない高い安定性を備えた最適資本構成を実現し、その上で中期経営計画において目標としている株主資本当期純利益率(ROE)を向上してまいります。結果、収益性・安定性・効率性のバランスが取れた企業を目指してまいります。
そのために、「売上高」「営業利益」「売上高営業利益率」「株主資本当期純利益率」「従業員数」を重要な指標として位置づけております。当連結会計年度における売上高は105億72百万円、営業利益額は9億26百万円、売上高営業利益率は8.8%、株主資本当期純利益率は5.4%、期末従業員数は495名でした。引き続き、これらの指標の改善に向けて取り組んでまいります。
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