「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した各事業の特性に起因するリスクとその影響等は以下のとおりです。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の防止及び発生した場合の適切な対処に努めております。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また以下の記載は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。
・ソリューションサービス事業
ソリューションサービス事業の中核製品である「ZeeM」は法人向け人事給与・会計等のシステム製品のため、商談期間として数ヶ月を要し、製品の特性上システムの導入完了までに数ヶ月から1年以上の期間を要します。さらに近年は案件の大規模化により商談期間、導入期間がより長期化する傾向があります。
これにより商談成立の成否によって受注実績(金額及び時期)が計画に対して大きく乖離する可能性があり、導入期間が延伸した場合には売上高、利益計上の時期が計画と異なる会計期間になることがあります。
このリスクに対応するため、同事業においてはいわゆる「ストック売上」比率を増加させることによって安定的、平準的な売上及び利益計上を行うことを企図して、ソリューションサービスの収益モデルをサブスクリプション型に移行するなどの取り組みを行っております。
・受託開発事業
受託開発事業では顧客との間に請負契約を締結しています。当該契約の受注時に採算性が見込まれるプロジェクトであっても、新技術仕様での開発であるものや開発進行途中で想定外の仕様変更が発生し、開発工数が当初の見積り以上に増加することなどにより、最終的に案件が不採算化する可能性があります。こうした不採算プロジェクトの発生を抑制するため、一定規模以上の案件に関してPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)を軸としたプロジェクト管理を実施し、受注時の見積やリスク要因のレビュー、見積精度の向上、開発技術手法の整備により対応しております。
・システム運用・サービス事業
システム運用・サービス事業の売上高の約80%(連結売上高の約13%相当)はヤフー株式会社との取引によるものです。同社との関係は同社の持株親会社であるZホールディングス株式会社が当社の株式を12.8%保有しており、取引開始以来安定したものとなっております。しかしヤフー株式会社における経営方針や経営状況の変化などにより現在外部委託している業務を内製化に切り替えるなどの可能性があり、その程度によっては同事業の経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、同事業の取引先をヤフー株式会社以外の企業へ拡大することや受託する業務の種類の多様化、高度化などによりリスクを分散、回避するための取り組みを行っております。
・サポートサービス事業
サポートサービス事業に従事する従業員の多くは顧客企業又は当社グループのオフィス、コールセンター等に勤務しており、情報セキュリティ保持等の必要性から他の事業と比較して在宅勤務への切り替えが難しい状況にあります。このため当該オフィス、コールセンター又はそれらが入居するオフィスでの感染症の発生等により、一定期間事業所が閉鎖されるなどの事態が発生した場合には顧客からの業務委託が停止され、同事業の経営成績に一定程度の影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、まず当社グループの従業員に起因する感染症の発生を防ぐため従業員の体調管理や各種感染防止策の実施を徹底しております。この他にも特定の顧客からの業務委託が停止された場合でも、他の顧客からの業務に円滑に移行できるよう、従業員の「多能工化」の取り組みを平常時より行っております。
(新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うリスク)
世界的な感染症拡大に伴うリスクについては、当連結会計年度の当社グループの経営成績に与える影響は軽微であったと認識しております。今後も変異型ウイルスの拡大など、当該リスクが長期に渡って存在する場合、リスクが増大する場合の影響及びその対応策等は以下のとおりです。
・通常業務の継続について
当社グループ従業員の主要な業務であるソフトウェア開発や技術サービスの提供は在宅勤務への切り替えが比較的容易であり、例として緊急事態宣言の期間、ソリューションサービス事業においては約80%の従業員が在宅勤務を行っております。このため当社グループの通常業務は概ね平常どおりに行われております。
情報セキュリティ保持等の必要性から在宅勤務への切り替えが行えない業務については、事業所内での人の密度を下げることなど複数の対策を含む感染しない、感染を拡大させないための当社グループ内の一貫した方針のもとに対応を行っております。
・営業活動の継続について
顧客に対する営業活動については、当社グループが提供するものがソフトウェアや技術サービス等である特性上、ウェブ会議等で製品やサービスの特長等を説明することが比較的容易であるため、これまでのところ大きな支障はきたしておりません。
・感染拡大が長期化、悪化した場合について
上述のとおり、これまでの感染拡大状況による当社グループの業務及び経営成績に対する直接的な影響は軽微であるものの、今後長期化、悪化した場合には当社グループの業務及び経営成績に直接的・間接的に与える影響が増大する可能性があります。
過去の景気後退局面においてICTサービス市場及び当社グループが受けた影響と同様の影響が生じると仮定した場合、ICTサービスに対する需要の大きな減少が顕在化するまで半年から1年程度の遅れが生じる可能性があります。
当社グループが提供する製品、サービスは景気による需要の増減が生じにくいと認識しておりますが、感染拡大の長期化、悪化によって顧客企業の業績悪化等が生じ、ICTに対する投資意欲が大きく減退した場合には当社グループの一部又はすべての事業に影響を与える可能性があります。
また、在宅勤務環境の整備等感染拡大防止策の実施、そのための費用支出は既に行われておりますが、感染拡大の長期化、悪化に伴って追加の対策が必要となった場合に経営成績に一定程度の影響を与える費用の支出が生じる可能性があります。
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