業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概要

①経営成績等の業績の概要

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中で、持ち直しの動きがみられます。先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待されます。ただし、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要があります。また、感染症による影響を注視する必要があります。

このような経済情勢のもと、航空業界においては、国内の感染が拡大し本年1月に東京都等にまん延防止等重点措置が再発出されたこともあり、国内線の需要が再び低下しました。羽田空港国内線の通期の旅客数は、前期比では38%増ですが、コロナ影響が深刻化する前の2019年度比では57%減となりました。国際線では、昨年11月末に強化された水際対策は本年3月から徐々に緩和されているものの依然として需要は低迷しております。羽田空港国際線の通期の旅客数は、前期比では100%増ですが、2019年度比では95%減となりました。

このような状況のもと、当社グループでは「航空分野における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」(定期航空協会及び全国空港ビル事業者協会共同作成)に基づき、ターミナル各所で感染防止対策を実施することにより空港利用者の安全・安心の確保に努めております。また、第3ターミナルでの入国前PCR検査スペースの国への提供に加え、出発旅客に対しても第1、第2ターミナル(株式会社木下グループ)及び第3ターミナル(東邦大学羽田空港第3ターミナルクリニック)においてPCR検査体制を整備しております。

施設面においては、大規模災害への備えとして、特定天井の改修工事を順次行っており、一方で、蓄電池内蔵充電設備の整備は本年3月に完了いたしました。また、当社は2016年よりHaneda Robotics Labを始動させ、これまでさまざまなロボットの実証実験・開発・導入を促進しており、昨年7月には自動運転技術搭載のパーソナルモビリティ「WHILL」による運行サービスを国内線出発ゲート全域に展開し、多くのお客さまにご利用いただいております。国際線では、顔認証技術を活用した「Face Express」の本格運用や、従来の5倍の規模のビジネスジェット専用施設の供用を開始しております。なお、コロナ禍での需要減少を受け業務内容の見直しや人材の効率活用等により施設維持管理費用の抑制に努めておりますが、これまでに国際線の機能強化や国内線の防災対策、バリアフリー対応等への投資を行ったこともあり、本年3月に旅客取扱施設利用料の改定を行いました。今後も安全性・利便性の向上に加えて非対面・非接触化による感染防止策を強化し、アフターコロナを見据えた羽田空港全体のスマートエアポート化を推進してまいります。

営業面においては、国内線を中心に旅客が回復する中、昨年の東京オリンピック・パラリンピック期間中には第1、第3ターミナルにオフィシャルショップを展開したほか、軽飲食スペースを併設した北海道公式アンテナショップ「北海道どさんこプラザ羽田空港店」を開業するなど需要の取り込みを図っております。EC事業では、北海道の厳選した産品を産地直送で販売するサイト「羽田産直セレクション」を開設したほか、人気の機内食セットは新メニュー等の商品を拡充し空港内店舗でも販売するなど、実店舗と連動した取り組みも進めております。また、羽田空港で導入しているロボットとオペレーションシステムをセットにし、国内外の空港やオフィスビル・商業施設等への販売・リースを開始しました。加えて、当社グループが培ってきた保税管理手法を応用し、第1ターミナルで国内初となる保税アートオークションを昨年10月に開催し、本年3月に第2回目を開催しました。さらに、第2ターミナル国際線施設を映画やドラマ等の撮影場所や各種イベント会場として活用しております。

環境問題への対応について、本年2月に国土交通省の空港分野におけるCO2削減に関する検討会において各空港は2030年に2013年比で46%以上の温室効果ガス削減目標が示されており、羽田空港は東京国際空港エコエアポート協議会を中心に削減目標の達成に向けて取り組んでおります。当社はこれまでも館内照明のLED化等により東京都の温室効果ガス排出削減義務量を達成しておりますが、同協議会の一員として羽田空港に従事する各事業者とともに2030年の削減目標達成、2050年のカーボンニュートラル実現に邁進してまいります。

ガバナンス強化については、当社は本年の株主総会での承認を前提として、監査等委員会設置会社へ移行することを昨年12月の取締役会にて決議しました。委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が、業務執行の適法性、妥当性の監査・監督を担うことでより透明性の高い経営を実現し、国内外のステークホルダーの期待に、より的確に応えうる体制の構築を目指します。また、取締役会の業務執行決定権限を取締役に委任することにより、取締役会の適切な監督のもとで経営の意思決定及び執行のさらなる迅速化を図ります。

羽田空港旅客ターミナルは、SKYTRAX社による国際空港評価“Global Airport Rating”において、6年連続で世界最高水準である「5スターエアポート」を受賞しておりますが、国際空港評価の顧客調査において、昨年8月にアジア空港の総合評価である「Best Airports in Asia」部門で日本の空港で初めて第1位、空港の総合評価である「World's Best Airports」で3年連続して世界第2位を獲得しました。さらに、部門賞である「World's Cleanest Airports」(6年連続)と、「World's Best Domestic Airports」(9年連続)、「World's Best PRM / Accessible Facilities」(3年連続)で世界第1位となりました。また、新型コロナウイルス感染症対策に関する監査「COVID-19 Airport Safety Rating」において、日本国内の空港では初めて世界最高水準である「5スター」を獲得いたしました。加えて、「カームダウン・クールダウンスペース」の設置やサービス介助士資格をもったコンシェルジュによる案内、すべての空港職員を対象とした有識者による研修の開催など、多様な方々が安心できる施設整備とサービスの提供、理解を深める取り組みが評価され、当社は東京都の「心のバリアフリー」好事例企業に選定されました。

以上の結果、当連結会計年度の業績については、国内線と国際線の旅客数の段階的な回復に伴い施設利用料収入等が前年度より増加し、営業収益は 570億5千7百万円となりました。一方で、売上の回復と前期からのコスト削減の堅持はあるものの、営業損失は 412億5千5百万円、経常損失は 438億6千1百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は 252億1千7百万円となりました。なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しているため、前期比(%)を記載せず説明しております。詳細については、「第5.経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)及び(セグメント情報等)」をご参照ください。

 

                                                 (単位:百万円)

区 分

前連結会計年度
(自 2020年4月1日
  至 2021年3月31日)

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)

前年比
増減率
(%)

営 業 収 益

52,572

57,057

 

(施設管理運営業)

35,917

40,029

 

(物品販売業)

13,657

13,174

 

(飲食業)

2,998

3,852

営 業 損 失

△ 59,020

△ 41,255

経 常 損 失

△ 57,320

△ 43,861

親会社株主に帰属する
当期純損失

△ 36,578

△ 25,217

 

足元においては、3月のまん延防止等重点措置の全面解除を受け、国内線需要は急速に回復しております。一方、国際線は水際対策の緩和で留学生やビジネス客の需要が上向きつつありますが、ウクライナ情勢等を含め世界経済に不透明感が漂っており、引き続き厳しい状況が続いております。当社グループはプライム市場上場企業として、サステナビリティの推進を事業戦略の中核と位置付け、一層のガバナンス向上と経営効率化を推進するとともに、羽田空港旅客ターミナルの利便性、快適性、機能性の向上に取り組み、すべてのお客さまの安全で円滑な出入国や移動を実現することで、日本及び首都圏の空の玄関口である羽田空港の価値向上に取り組んでまいります。

 

セグメント別の業績は次のとおりです。なお、各事業における売上高はセグメント間の内部売上高を含み、営業損失はセグメント損失に該当します。

 

(施設管理運営業)

                                                 (単位:百万円)

区 分

前連結会計年度
(自 2020年4月1日
  至 2021年3月31日)

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)

前年比

増減率

(%)

外部顧客への売上高

35,917

40,029

 

家賃収入

17,712

18,543

 

施設利用料収入

7,644

10,539

 

その他の収入

10,560

10,946

セグメント間の内部売上高

1,614

1,982

売上高 合計

37,532

42,012

セグメント損失

△ 36,283

△ 24,863

 

家賃収入については、国際線の入国時検査スペース提供範囲の増加等により、前期を上回りました。

施設利用料収入については、旅客数の回復に伴う旅客取扱施設利用料収入の増加等により、前期を上回りました。

その他の収入については、国内線及び国際線の広告料収入が減少したものの、ラウンジ収入や駐車場収入が増加したこと等により、前期を上回りました。

 

その結果、施設管理運営業の営業収益は 420億1千2百万円となり、営業損失は248億6千3百万円となりました。

 

 

(物 品 販 売 業)

                                                 (単位:百万円)

区 分

前連結会計年度
(自 2020年4月1日
  至 2021年3月31日)

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)

前年比

増減率

(%)

外部顧客への売上高

13,657

13,174

 

国内線売店売上

8,559

5,166

 

国際線売店売上

2,751

4,242

 

その他の売上

2,345

3,765

セグメント間の内部売上高

779

769

売上高 合計

14,436

13,944

セグメント損失

△ 11,322

△ 6,134

 

国内線売店売上については、国内線旅客数の回復に伴い商品売上は前期を上回りましたが、当期より「収益認識に関する会計基準」等を適用したことの影響により、収益計上額は前期を下回りました。

国際線売店売上については、羽田空港や成田空港等での国際線旅客数の増加により、前期を上回りました。

その他の売上については、卸売売上が増加し、前期を上回りました。

 

その結果、物品販売業の営業収益は139億4千4百万円となり、営業損失は61億3千4百万円となりました。

 

(飲  食  業)

                                                 (単位:百万円)

区 分

前連結会計年度
(自 2020年4月1日
  至 2021年3月31日)

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)

前年比

増減率

(%)

外部顧客への売上高

2,998

3,852

 

飲食店舗売上

2,363

2,790

 

機内食売上

365

730

 

その他の売上

269

332

セグメント間の内部売上高

1,093

796

売上高 合計

4,091

4,649

セグメント損失

△ 4,150

△ 3,091

 

飲食店舗売上については、主に国内線旅客数の回復により、前期を上回りました。

機内食売上については、顧客である外国航空会社の旅客数の回復により、前期を上回りました。

 

その結果、飲食業の営業収益は46億4千9百万円となり、営業損失は 30億9千1百万円となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ232億2千6百万円減少し、

971億2千8百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 49億1千7百万円支出が増加

(前年比112.1%増)し、93億5百万円の支出となりました。

これは主に、その他の流動負債が減少したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 203億4千1百万円支出が減少

(前年比80.5%減)し、49億2千6百万円の支出となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出等が減少したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 872億6千3百万円減少

(前連結会計年度は782億2千8百万円の収入)し、90億3千5百万円の支出となりました。

これは主に、転換社債の償還による支出等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の状況

 当社グループの事業は、「第1 企業の概況 3.事業の内容」において記載したとおりの業種、業態により、生産実績等について、セグメントごとの生産規模及び受注規模を記載することは困難であります。

 このため、生産、受注及び販売の状況については、「業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて記載しております。

 なお、当連結会計年度の営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

施設管理運営業(百万円)

35,917

40,029

 

家賃収入(百万円)

17,712

18,543

 

施設利用料収入(百万円)

7,644

10,539

 

その他の収入(百万円)

10,560

10,946

物品販売業(百万円)

13,657

13,174

 

国内線売店売上(百万円)

8,559

5,166

 

国際線売店売上(百万円)

2,751

4,242

 

その他の売上(百万円)

2,345

3,765

飲食業(百万円)

2,998

3,852

 

飲食店舗売上(百万円)

2,363

2,790

 

機内食売上(百万円)

365

730

 

その他の売上(百万円)

269

332

 

合計(百万円)

52,572

57,057

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.施設管理運営業の家賃収入における貸付状況は、次のとおりであります。

区      分

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

 

比率(%)

 

比率(%)

所有総面積 (㎡)

966,191

 

970,497

 

貸付可能面積(㎡)

311,414

100.0

332,653

100.0

貸付面積  (㎡)

302,547

97.2

324,069

97.4

 

航空会社    (㎡)

157,744

50.7

158,238

47.6

 

一般テナント  (㎡)

62,556

20.1

63,106

19.0

 

当社グループ使用(㎡)

82,245

26.4

102,724

30.9

 

(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

①財政状態の分析

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べ 295億3千8百万円減少し、1,138億6千8百万円となりました。これは主に、新株予約権付社債の満期償還などにより、現金及び預金が減少したことによるものです。固定資産は、前連結会計年度末に比べ 257億7千5百万円減少し、3,500億1千万円となりました。これは主に、減価償却に伴う減少によるものです。

この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ 553億1千4百万円減少し、4,638億7千8百万円となりました。

 

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ 222億4千6百万円減少し、368億4千7百万円となりました。これは主に新株予約権付社債の満期償還で減少したことによるものです。固定負債は前連結会計年度末に比べ64億6千6百万円増加し、2,710億2千1百万円となりました。これは主に、東京国際空港ターミナル株式会社(TIAT)が長期借入を実行したことによるものです。

この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ 157億7千9百万円減少し、3,078億6千9百万円となりました。

 

(純資産)

純資産合計は前連結会計年度末に比べ 395億3千4百万円減少し、1,560億9百万円となりました。これは主に、その他の包括利益累計額が増加したものの、当期純損失の計上により利益剰余金及び非支配株主持分が減少したことによるものです。

この結果、自己資本比率は、33.2%(前連結会計年度末は 34.3%)となりました。

 

②経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績及びセグメント別の売上につきましては、「3〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)業績等の概要 ①経営成績等の業績の概要」に記載しております。

当社グループは、2016年度から2020年度の前中期経営計画において、総合力指標、収益性指標、安定性指標の各指標に目標数値を定め、2020年度(最終年度)の達成を重要課題として取り組んでまいりました。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により事業環境が著しく変化していることから、2021年度については目標数値を設定せず、収束の兆しや旅客数の回復動向等を見極めながら、今後の指標や目標数値の再検討を進めてまいりました。

なお、前中期経営計画で定めた各指標の推移は以下のとおりです。

 

指標

目標数値

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

総合力指標:ROA(EBITDA)

12%

13.0%

 7.5%

n/a

n/a

収益性指標:営業利益率

 8%

 8.2%

 4.0%

n/a

n/a

安定性指標:自己資本比率

早期の安定性を目指す

33.7%

31.2%

34.3%

33.2%

 

 当社グループは、2022年度から2025年度の中期経営計画を本年5月に公表し、その中で指標及び2025年度(最終年度)の定量目標を定めております。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの分析については、「3〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)業績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社グループの資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、平素より旅客ターミナルビル等への大規模設備投資に備えて内部留保の充実と株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としております。

 運転資金は自己資金を基本としておりますが、不測の事態に対応したコミット期間付タームローンおよびコミットメントライン契約を合計90億円の極度額で設定しております。さらに、新型コロナウイルス感染症対応の一環として、資金不足リスクの回避のため複数行との間で200億円の短期借入枠を設定しており、当面の資金繰りに支障が生じることがないと考えております。

 旅客ターミナルビル等の大規模設備投資資金については、自己資金及び、金融機関からの長期借入、社債等による調達を基本としております。さらに、シングルAプラス以上の格付(日本の格付機関)を維持することで資金調達の多様化、安定化および資金調達コストの低減を図るとともに、設備投資に対応する借入の一部については、過度に金利変動リスクにさらされないよう金利スワップなどの手段を活用しております。連結子会社のうち、PFI事業である東京国際空港ターミナル株式会社につきましては、事業の安定性及び継続性が第一に求められており、旅客ターミナルビル等の大規模設備投資はプロジェクトファイナンスの手法を用いて長期借入金等による調達を実施しております。

 また、当社グループは資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、グループ内の資金調達・管理の一元化を行っております。

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は971億2千8百万円、借入金等を含む有利子負債残高は2,571億5千1百万円となりました。

 

④重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表及び財務諸表は、わが国における一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。これらの財務諸表の作成の基礎となる取引は会計記録に適切に記録しており、繰延税金資産については回収可能性を十分に検討した回収可能額を計上し、棚卸資産評価損については滞留品に対して評価損率を乗じて計算し、計上しております。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5.経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

⑤今後の見通し

次期については、社会が新型コロナウイルス感染症の影響から回復に向けて進展する中、航空業界においても国内線を中心に需要回復が見込まれます。羽田空港においても、国内線は観光需要がけん引し、上期中にコロナ前に近い水準まで回復すると見込んでおります。一方、国際線は各国の入国制限は徐々に緩和されておりますが、本格的な回復には時間を要する見込みです。

この中で当社は、ターミナル運営においてコロナ禍で見直しを進めたコスト削減策を堅持し、営業面ではデジタルマーケティングも活用して旅客需要を取り込むことで、業績の回復に努めます。また将来の旅客増への対応やさらなる旅客利便性向上を見据え、第1ターミナル北サテライト新設、第2ターミナル本館-サテライト接続工事に取り組み、羽田空港の機能向上を目指してまいります。

セグメント別の収益は以下のとおり見込んでおります。

施設管理運営業については、旅客数の回復に伴う施設利用料収入の増加等により、前年を上回る予想です。物品販売業及び飲食業については、主に羽田国内線及び国際線の旅客数回復による商品売上や飲食店舗売上の増加等により、前年を上回ると予想しております。

損益面では、国際線の回復の遅れが影響し、営業損失となる見通しです。

長期的には航空需要は着実に伸びていくと見込んでおり、引き続きコスト削減の堅持や収益事業の改善及び多様化を進めることで、航空需要の回復時にはコロナ禍前以上の業績をあげられるよう取り組んでまいります。

 

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